旧課程(-2012年度)高等学校数学基礎

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本項は高等学校数学の科目である「高等学校数学基礎」の解説である。この科目は2012年度以降に高等学校に入学した生徒は履修しない。

高等学校数学基礎について 編集

高等学校指導要綱の数学基礎の目標には、

数学と人間とのかかわりや,社会生活において数学が果たしている役割について理解させ,数学に対する興味・関心を高めるとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識し数学を活用する態度を育てる。

とある。ここでも同じように、数学というものについて、いったん振り返ってどのような学問であるかということ 数学の内容とともに、見つめなおすのが目標である。

数学と人間の関わり 編集

古くから、人間は数字を使い数を数えていた。では、それ以前はどうだろうか? 数字というモノの概念は無かったのだろう。 せいぜい、1つ2つ3つ、それ以上はたくさんといったぐらいにしか数えられなかったのかもしれない。

りんごが五つ、みかんが五つ、これらの間に5という共通点を見出せるのは普段我々が、 レベルの差はあれ、数学に慣れしたしんでいるからである。このことをもっと深く考えてみよう。 りんごが五つ――ただ、それぞれのりんごは微妙な違いを持っている。あるものは青かったり、傷がついていたり、 ほかの物より甘かったりするのかもしれない。しかし、我々はそれぞれの違いがあるにもかかわらず、これらを りんごという共通点で、これらを一くくりにし、見つめている。このこれらという表現自体も 一くくりにしているという意味では同じ表現である。

どうやら、我々には、物の細かな違いを適当に無視し、同一視する能力があるらしい。

数字も、前述の通り、我々のこのような能力によって発見(発明)されたのだろう。 このように改めて万物の共通点などを見つめなおすことは今日の研究や思索にとって非常に重要なはたらきである。

数字は、時代を超えてその存在をより我々にとって都合の良い便利なものに姿を変え、いまや もはや我々の道具としての手段すら離れ、数学として独立し、我々の生活に無くてはならないものになっている。

このように発展してきた数字、数学は我々にどのように必要とされているのか? たとえば、このようなシナリオを考えよう。目覚まし時計が鳴り、あなたが起きる。 とりあえず料理を作り、どこかへ出かける。友人との待ち合わせである。友人と電車に乗り、繁華街で服を買い、 家へ帰ってパソコンでネットショッピングをする。飽きてきたので、テレビを付け、十分に笑ったところで、 テレビゲームをし、気づけば夜中になっていたので寝ることにする。おやすみ。

まず目覚まし時計というものがどれほど数字と関連があるのか知ってもらいたい。 時計に表示されているもの、それはほかならぬ時刻、つまり1から12、1から60までの まぎれもなく、これは数字である。 そもそも時刻自体数字無しには考えられない概念だとは思わないだろうか? 数字が無ければ時刻を指定することも出来ない。今日の友人との正確な待ち合わせもなかったのである。 きっと太陽が真上に登っていた頃に、とでも話し合っていたのかもしれない。 我々が今日も正確に生活をおくれている(ルーズな人もいるかもしれないが)のも数字の概念のお陰ともいえる。 もちろん、古代人の太陽や季節についての研究も必要だったということは言うまでもない。 ――そして、その目覚まし時計を動かす電池は規格通り1.5Vを出し続けている。

次に、料理を作らなければならない。慣れていれば目分量で作れるが、 実際にきちんと料理をするとすれば量りが必要になる。その量りに表示されるのも、また数字である。 レシピを見ても数字だらけである。レシピの二倍量を作るとすれば掛け算が必要になってくる。 そして、作っている最中、我々が温度を知るのにも数字が必要である。

さて、やっと電車だ。電車の無駄の無いダイヤ、これらも数学が必要である。 電車の設計にも工学、化学、物理学、そしてそれらを支える数学が必要だ。 駅に着けば、友人の携帯電話へ電話をかけ―ちょっと待った。電話番号がある。これも数字だ。 足したり、掛けたりするだけでなく、このような使いかたもある。

だいぶ疲れてきたが、服を購入することになる。当然ながらレジで支払う。 ここにも数字が息づいている。今のレジは、単に売り上げ登録を行うだけでなく、 レジの登録のスピードなども記録していることがある。こうやってレジを打つ人の成績を客観的に評価するわけだ。 レシートが出てきた。消費税が表示されている。消費税が8%なら元の価格に1.08をかけなければならない。 もはや、日本の法律自体が数字という概念に基づいているのがわかるだろうか?

もうへとへとなので、家に帰ってネットショッピングすることにしよう――とここで、またもや数学の登場である。 ネットショッピングなどでは、大切な個人情報や知られては不味いクレジットカードのナンバーをやり取りする。 しかし、それらを単に回線上でやり取りするだけでは、第三者に盗聴され悪用されてしまう。 それらを防ぐための数学的方法がある。それが暗号化だ。現在はRSAという 方法を我々は使っている。これは、数学的に安全性が確保された方法で、我々の便利な生活を支えるために なくてはならないものになっている。

さて、気分をかえてテレビゲームをしようか。ここにも高度な数学がかなり使われているが、 もはや言うこともないだろう。そろそろ寝よう。

このように、我々は過去の人間達が積み重ねてきた開発した技術や発明や考えの上で生活している。 今、あなたが見渡す限りの視界に入るもの全てがそうであるといっても過言ではあるまい。 数学もそれらのうちの一つであるし、これらの発明は素晴らしいものである。 これらの大切な遺産は絶やしてはならないし、我々が便利な生活を送る上で使いこなせた方が良いものだ。 そのことを踏まえて数学を勉強していこう。

目次 編集

学習指導要領をもとにして、以下のようなことをまなんでいく。

  1. 数と人間
  2. 図形と人間
  3. 社会生活と数学
  4. 資料の活用