早稲田大対策
本項は、早稲田大学の入学試験対策に関する事項である。
早稲田大学ホームページ(入学試験の概要が記載されている)https://www.waseda.jp/inst/admission/
早稲田大学(早稲田、または早大)は旧制大学の一つであり、我が国で最初期(1920年)に大学として認可された8つの私立大学の中の一つである。
出題の傾向としては、「早稲田らしい問題」と言えるような非常に癖のある、難問より奇問に分類されるような問題が出題されることもある。特に、国語、地歴公民でその傾向が強い。また、早大では一部の学部を除いて大学入試共通テスト利用入試を導入している。
概観
一般入試
早稲田の一般入試の特徴として、どの科目も早稲田特有の癖があるということである。その特有の癖による「思っている以上に難しい」という難しさ、つまり「一般的な受験勉強の延長では報われないかもしれない」という思いを味わうことである(問題との戦い、時間との戦い、自分との戦い)。この悩みを解決するには「早稲田入試の癖を体得する」こと、すなわち学部の壁を超えた相当量の過去問演習が必要となる(逆に徹底した過去問演習によって合格率は向上する)。
また、学部によって科目ごとに難易度が全然違うため、それぞれの学部に応じた対策が必要となる。
- 英語は試験時間に対して非常に問題量が多い。学部によっては大学受験レベルを逸脱した非常に高度な単語・熟語も出題されるため市販の難関大学受験用の英単語集(お勧めは単語王)を一冊覚えたら、どんどん難しい英文に当たり、そこで出てきた難単語もできるだけ覚えて吸収していくことをお勧めする。また、政治経済学部・法学部・国際教養学部の英語は相当な速読力がないと制限時間内に完答することはできない。さらに、国公立2次試験のように、学部によっては要約問題、和文英訳、自由英作文といった問題も出題されるため、該当する学部を受ける人はそれらの対策も怠らないように。
- 国語 「国語の早稲田」と言われるほど早大受験において国語は重要である。というのも、難易度が高く問題も早大特有であるため、受験生の中で非常に差が付きやすいためである。特に法学部の国語は抽象度が高く内容を理解するには相当な語彙力も必要である。早大特有の癖を体得するために、全学部を通してしっかりとした過去問演習を積んでおく必要がある。
- 地歴公民は標準的な知識を問うものと細かい知識を問うものとの二極が目立つ。但し、昔のように早大特有の難問奇問のオンパレードではなくなってきていると思われる。教科書レベルの知識を完璧にしておけば合格点以上は得点可能である。また歴史では年号暗記も必要になる。
- 文系数学 商学部以外は受験標準レベル(センター試験数学と同等もしくはそれより少し難しいレベル)の問題が多い。一方、商学部では非常に難易度の高い問題も出題され、受験生の間で差が付きにくくなっている。
- 理系数学 理工学部の場合、例年数学IIIからの出題が多く、特に極限の計算は毎年なんらかの形で出題されている。また、面積・体積といった求積系の問題はほぼ隔年で出題されている。教育学部・人間科学部の場合、受験標準〜やや難レベルの問題が幅広く出題される。
- 理科は理工学部の場合、標準的な問題から受験生の思考力を問う難易度の高い問題まで幅広く出題される。難問は取れなくともやや難程度の問題までは取りきらないと合格は厳しい。教育学部・人間科学部の場合、標準的な問題ばかり出題されるので、その分高得点を取らないといけない。
全学部に共通することは、早稲田の入試問題を単なる受験勉強のゴールと限るのではなく、壁の分厚さを強く感じつつも、やればやるほどよく解かる早稲田入試問題の特殊性にも興味を持ち研究できる者~いわゆる大学に入っても学力オンリーに限るのではなく、それ以外の事にも興味を持ち熱中できる学生~を迎え入れていく方針が垣間見え、「開かれた大学を目指している」といった教授の声も聞かれる。
共通テスト利用入試
早大では、理工学部・教育学部、商学部を除く全学部で共通テスト試験利用入試を実施している。早大の入試問題と国立大学の入試問題の質(出題形式・時間設定・難易度)が大きく異なり、受験学部の過去問分析といった個別の対策をとらねばならず、さらに早大自体の入試日程が遅めなため、多くの国立大受験者が同入試に集まる。そのため合格するには相当な高得点が求められる。そのため、この入試方式で早稲田大学に入学する人はかなり少ない。
受験状況
- 受験者層
- 例年、関東地方を中心に日本全国から優秀な受験者が集まる。受験者層としては、政治経済学部と法学部、理工3学部は国公立大学の併願者が多い。また、その他の学部は国公立大学の併願者は少なく、私立文系の早慶大専願者が多い。試験日程が2月中旬から下旬と私大としては比較的遅いため、他の私大とは日程が被らず、学部同士では被らないようになっている。また国立大学前期二次試験と日程が近すぎる学部(商学部や社会科学部など)も存在するため、注意が必要である。
- 早稲田大学を第一志望にしている受験者は、第一志望学部以外にも、複数の学部を併願する傾向が強い(法学部志望者でも商学部や社会科学部を併願する)。首都圏在住の受験者の中には4学部以上を併願する者も存在する。
- 合格者数
- 私大の入試の特徴として、募集人員以上の人数の受験者に入学が許可されることが挙げられるが、早大もその例に洩れず、文部科学省が進める「私立大学定員厳格化」の流れをうけ、募集定員に対して入学許可者の数が2倍前後まで抑えられる状況が続いている。実質倍率は、社会科学部でおよそ13倍となっている(19年度入試)。しかし、早稲田大学の受験生は(政治経済学部と法学部を除いて)成績下位層の記念受験が多いため、表面的な倍率の数字におののく必要は無い。むしろ、合格難易度の高い政治経済学部や法学部の方が倍率自体は低い。倍率と合格難易度にはほとんど相関が無い。
学部別対策
政治経済学部
早稲田大学の看板学部。現在は政治学科、経済学科、国際政治経済学科の3学科を擁する。パラグラフリーディングや自由英作文、国語や地歴公民でも論述問題が出題されており、明確にセンターから2次試験まで経験する国公立大学受験者に有利になるような問題構成である。
政治経済学部の英語の難易度は国際教養学部と並んで早大随一の難易度である。また、地歴の難易度も非常に高く、教科書レベルの知識で解くことは難しい。一方で、数学は標準~やや難の典型問題ばかりが出題されるため、地歴と数学が両方出来るのであれば、数学を選択することを強く勧める。地歴の難易度が得点を稼ぎにくいとされているため、私立専願者は英語と国語で出来るだけ点数を稼いでおきたい。
なお、2021年度入試から政治経済学部は一般選抜と大学入学共通テストを利用した入試の改革を他学部に先駆けて着手し、大学入学共通テスト、英語外部検定試験、学部独自試験の合計点で選抜する方式に変更すると公表した。
具体的には、「大学入学共通テスト」(100点)、「英語外部検定試験」および「学部独自試験」(100点)の合計200点満点。大学入学共通テストにおいては、外国語、国語、数学I・数学A、選択科目(地理歴史・公民・数学・理科)の4科目を25点ずつ換算する。 そして、学部独自試験は、日英両言語による長文を読み解いたうえで解答する形式とする。
全科目を満遍なくバランスよく学習した高校生に有利になっていく入試になると思われる。政治経済学部の受験生には従来通り特定の科目に偏った勉強ではなく広くどんな分野にも対応できるバランスの良い学習がますます必要になっていくものと思われる。
大学入学共通テスト(2021年~)
早稲田政治経済学部の受験生は大学入学共通テストの受験を必須とする。 まず、主要3教科の英語と国語と数学は、「英語」(200点)「国語」(200点)「数Ⅰ」(100点)とし、各科目の配点はそれぞれ、25点、25点、25点に圧縮される。
残りの選択科目は、「世界史B」「日本史B」「地理B」「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」「数学Ⅱ」「数学B」「理科基礎から2科目」「基礎なし理科」から1科目(選択科目、100点)を選択して、その科目の配点は25点に圧縮される。 以上の方法によって、その4教科の各配点(25点、25点、25点、25点)の合計点を、早稲田政治経済学部の入試の得点として、まずカウントする。
学部独自入試 (2021年~)
2021年スタートの早稲田政治経済学部の学部独自入試は、日英両言語による長文を読み解いたうえで解答する形式とし、記述式解答を含む「総合問題」となっている。試験時間は120分。マーク式と記述式である。
総合問題は以下の3つの問題で構成される。
大問Ⅰ・・・日本語の長文問題
大問Ⅱ・・・英語の長文問題
大問Ⅲ・・・自由英作文
日本語の長文問題と英語の長文問題は、いずれもボリュームがあり、表やデータグラフなども出てくる。問題の難易度はとても高く、200字の記述問題が例年出題される。受験生は試験時間内に早く正確に読んで内容を理解することが重要である。 自由英作文は、あるテーマについて、賛成か反対かを英語で論じる問題が例年出題される。現在、自由英作文は、多くの大学でよく出題されるので、早稲田政治経済学部の受験生は早稲田の過去問だけでなく他大学の英語の過去問を解いて、自分の意見をすぐに英語にして述べる訓練をする必要がある。
一般入試(~2020年まで)
英語(90分/90点) 1998年までは読解4題、英作文形式の対話文完成1題の計5題が基本だったが、1999年は作文2題の計6題に(但し、もともと和文英訳と会話文の完成で1つの大問にしていたものを別々に切り離しただけ)、2000年以降は読解問題3題と英作文1題が、2008年からは会話文と自由英作文が定着している。2000年は読解問題が1題減ったがそれぞれの長文の語数は99年以前とほとんど変わらず、平均点が37.17点から55点と大幅に易化、そのため合格最低点も143点から170点と一気に上昇し、この傾向は2001年も続いた。2002年は大問Ⅰの語数が700語超と長文化したが、大問Ⅲが約180語と短くなった。2003年以降は語数がさらに増加、2005年にはついに1000語超の文章が出題された。難化の傾向は地歴から英語へ合否の要をシフトするための大学側の思惑だと考えられる。合格の為の具体的な学習法として、全文和訳に固持する必要こそないが、普段から英文構造の正確な理解を意識した精読型の勉強を入念にする事が重要。出題される英文は比較的平易な文章が多いが、抽象度の高い評論文も出題される(1999年以前の大問4、2000年以降の大問3等)。特に2004年度の問題は一見平易に見えるが、論理的展開をつかめないと全く解けない問題が出題されており論理的思考力がかなり要求された。勿論本学部の過去問演習も疎かにしてはいけない。また、最近は断続的ではありますが、小説問題が主題されるのが政治経済学部の特色である。微妙な心理描写や間接話法の表現になれるため日ごろから小説文に的を絞った対策も欠かすことはできない 。余裕があるなら出題傾向が似ている東大の英語の大問5の小説問題などで対策を練っておこう。2008年以降自由英作文を出題形式とすることもあるので受験生は英語の総合力を問われる。
政治経済学部の特徴は、受験生が苦手とする空所補充及び文整序が多い事である。一般の熟語集レベルのイディオムを十分に押さえておく事は前提であり、それに加え英文構造の正確な理解が不可欠。英文を文法的に観察する事により、同一の文法形式が繰り返される部分は内容的にも同一である事が予測可能な為である。選択肢の中の単語の役割(接続詞、動詞、名詞それぞれがどれと結びつくか?イディオムになっていないか?等)を検討し組み立てる作業に日頃から慣れる為にも、センター試験の同類の問題を多く解く事をお勧めする。その上で過去問を研究し、出題者の意図を見抜く事が大切である。文整序は1993年に初登場し、2007年以降は毎年出題、2009年からは読解問題3題すべてに出題されている。論理的な流れも大切ではあるが、その前に指示語・代名詞に注目する事である程度の見当はつけられる。1995年と1996年にはパラグラフ整序が出題されており、今後出題される可能性も全くないわけではないので、類似の問題を出題する東大の英語の大問1の(2)のパラグラフ整序の過去問を通じて演習を深めておきたい。
国語(90分/70点) 現代文、古文ともに重厚な堅い文章が使われ、対策・演習が必要となる。この学部を受けるならどの受験生にも言える事だが国語常識(漢字、慣用句、カタカナ語等)は出来て当たり前である。文学史は古典文学史のみならず近代文学史からの出題もあり、内容も早稲田ならではのマニアックな問題が多い。日本史選択者は点の取りどころと言えよう。かつては古文が、受験生間に差が生じないほど難しく、その結果「古文無勉」でも受かる例が多数あったが近年は易化(それでもハイレベル)したので人並みに出来る必要がある。古文対策として、古典単語、古典常識、文法(助動詞、敬語、識別、接続条件等)を完璧にしておく事。所謂受験頻出と言われる中世の有名作品からではなく、センター試験の出典のように受験生に馴染みの薄い近世の文章からの出題が多く、初見の文章でも問題が解けるための基礎力の積み重ねが重要。現代文、古文ともに「特定の段落の文から使われていない動詞を探す」や「文脈上合わない表現を抜き出せ」といった時間のかかる設問が有る為、必ず設問に最初に目を通すべき。2009年度は記述式問題が出題されたので、時間配分に細心の注意をはらうように。漢文は白文(記述回答用紙)に返り点を付ける等、独特な出題が有るので過去問で対策しておこう。
大問(1)では主として古文漢文融合問題が出題される。受験生になじみの薄い近世の文章が多く使われている。問題の特徴として空欄補充問題、それも古文の長い文を入れさせることが多い。中心はやはり意味を問う解釈問題だが、それぞれの関連を考慮しなければならない。文法問題は標準的なものが多いですが、答えを文中から抜き出す問題が多いので注意深さと幅広い知識が必要であるといえる。
大問(2)では明治文語文など古い文体の文章が近年多く出題されている。夏目漱石が2年連続で出題された事もあるので森鴎外なども出題される可能性もある。また、毎年近代文学史の出題もあるので取りこぼさないように。ただ2009年度は例外的に出題はなかった。しかし今後とも対策をしておくことに越したことは無い。
大問(3)では空欄補充中心の問題が中心となる。ただし、数年前までは傍線部説明問題が中心であり過去のパターンに戻る可能性もあるので注意が必要。文化論、芸術論も出題され山崎正和、多木浩二、市川浩など抽象的な文章が多い。また2009年度には本格的な記述問題が出現した。書き慣れていない私立専願の受験生にとっては厳しかったかもしれないが、慣れないと厳しいので日ごろから文章をまとめる練習をしておくことが重要。もちろん国立大の現代文の問題を練習するのも十分力になる。
なお2017年度入試では、これまで大問(1)にあった古文が大問(3)に回り、現代文が(1)(2)で出題された。
日本史(60分/70点) 過去は難問奇問のオンパレード、「カルトクイズ」とさえ評された本学部だったが、数年前から易化が見られ、難易度は平易と言えるレベルになった。2006年度の問題は前年度に比べると難化したが、岸内閣の政策·中井竹山が草もう危言(『草茅危言』(そうぼうきげん)のこと?)を松平定信に奏じた事等は、本学は勿論、他学部·他大学の法学部系で既出の問題であり、幅広く過去問研究を行えば高得点を期待出来る。難問に関して、出題内容は山川出版の教科書よりも用語集からの出題が多く、教科書を読み込むよりも用語集を常に確認するようにこだわれば良い。配点はマーク式が1点で記述式が2点と予想され、記述問題での漢字ミスは命取りになる。戦後史に関する論述問題の配点が高いので(12~14点)、軽視することは出来ない。論述問題は国立大受験生に対するサービス問題といえ、私大専願者にはやや難しいが、問われている内容自体は教科書レベルの知識で対処可能。教科書を読み込み、実際に自分の手で書いてみることが重要。東大・一橋大等の本格的な論述問題も参考にするとよい。国立大の論述問題を参考にすればおつりが出るレベルになると思われる。なお、どの学部にも言える事だが、早稲田大学の関係者(大山郁夫など)は徹底的にマークしておく必要がある。
世界史(60分/70点) 日本史同様過去は難問奇問(有名なのは1992年のユトランド半島の図にエルベ川を書き込む問題。ちなみに1993年にはヨーロッパの地図にアルザス・ロレーヌ地方、トリエステ・南チロル、ヴァチカン市国の位置をそれぞれ塗りつぶし、斜線、◎で図示する問題が出題された)のオンパレード、「カルトクイズ」とさえ評された本学部。近年は易化傾向が続いていたが、2008年度入試では一転して往年の入試問題を髣髴とさせる程の難化の様相を見せた。2009年度には反動もありやや易化したが、勿論それでもハイレベル。なんといってもケアレスミスを無くす事が肝要。また本学部は問題数が多く、即座に情報が引き出せるよう問題演習は数多くする事が重要。教科書·用語集を軸とし、他学部過去問を出来るだけ多く解くように(早大世界史独特の問題に対する勘を養うため)。その際、文学部の問題は基本事項の確認に丁度良い難易度なので、まずはこれを8割以上取れる学力を養成していこう。他学部の問題に比べると一問一答的な問題が多く、年号と人名の正確な暗記が政経世界史勝利の秘訣であるといえる。
政治・経済(60分/70点) 政治・経済は基本的な知識を問う問題が中心。かつては政治思想から逸脱し、倫理分野と思われるような出題があったが、これは特定の教授による物なので特別の対策をする必要は無い。近年は、市場機構論や図表問題等からの出題が非常に多くなり、知識問題から思考問題へのシフトが際立っているので、60分という時間をうまく使わなければならない。これは知識に偏らない、考える力を求めている本学部の意図であるといえる。思考能力を問う問題は、一般的な国語力によって解決でき、特別な対策は不要。近年の傾向の変化は激しく、過去に出題された古い問題を基礎とするのではなく、3年程前からの過去問を利用して傾向を掴む事が重要。2009年度の問題の難易度は高いものであった。なお、政治・経済は2017年度の入試を持って廃止となった。
数学(60分/70点) 60分で4題と分量は標準的な問題。国立大併願者で一般入試を受験する場合は数学受験が一番多いようである。また医学部医学科などの理系受験生も併願して受ける事も多い(理工学部や医学部と併願して受ける者も多数存在する)。そのため、数学受験者が選択科目の中で一番多い。マーク式や解答のみを求める客観問題と記述式の問題が混在している。他の私大文系のような教科書レベルの出題ではないが、典型問題がほとんどを占める為、難易度はセンター試験よりやや高いレベル。かつては理工学部の数学に匹敵するか、あるいはそれを上回るレベルの問題を出題していた時期もあったが、最近はそういった難問は影を潜めている。歴史系科目よりはるかに取り組みやすいので、数学にいくらかでも自信がある受験者は選択する価値があるといえる。ただ、選択科目の中では国立大受験生や理系の受験生の併願率が特に高いのが特徴で彼らはほとんど満点に近い点数を取るのでちょっとしたミスが命取りになりかねない。参考書としては、「チャート式基礎からの数学 青」を薦めたい。この問題集の基本例題及び重要例題を全て解けるようになって欲しい。ここまで出来れば7割以上をコンスタントにとれる実力がついてくる。上記の参考書に出て来る幾つかの解法を組み合わせる問題が出題される事が有るので、過去問を時間の許す限り解いて、応用力を身につけて欲しい。早稲田数学の特徴は、その年だけでは全分野の力は試されないが、各年度を通してみると、全分野にわたって問題が作成されている事である。その為、苦手分野を放置してはならない。どの分野が出題されても満足に得点できる力が求められる。
センター試験利用方式
5教科6科目(800点満点)で、合格するには90%以上の得点が必要。センター試験の成績だけで合格できるため、文系受験生のみならず、理系学部の受験生や国公立大学医学部医学科の受験生も多数出願する。
法学部
比較的平易な地歴科目と数学で確実に得点をして周囲に差をつけられないようにし、比較的難しめな英語と国語のうち捨て問以外の問題で得点をかき集めることになる。選択科目を除き、基本的に難問中心の低得点勝負であるため、設問の取捨選択能力が非常に重要である。難解な設問に時間を取られて、本来は取れる問題を取りこぼすことが最も手痛い失敗である。このような失敗を避けるために、過去問演習を十分にこなしておきたい。また、これは詳しく後述するが、減点されやすく且つ配点が低い自由英作文や国語記述に関しては、対策や解答時間を最小限にして、それらを極力(出題の大部分を占める)マーク式の問題に集中させるべきである。費用対効果の高い部分にリソースを集中投資するのが、最もリターンの大きい手法である。
一般入試
英語(90分/60点)
比較的長い長文読解が出題されている。例年大問1及び2はそれぞれ1000語程度の長文読解問題が出題される。本文は硬質であり、難易度は高い。パラグラフ毎の展開及び大意をつかむ練習をしてみよう。設問は一致するものを選ぶものと一致しないものを選ぶものが混じっているなど、読み飛ばすと失敗につながるため、指示を正確に読み解くことが必要である。文章が長いので、過去問でどこを精読し、自分なりの解答法を得ることが重要である。
大問3及び4は変動もあるが、文法単独問題が出題される。比較的平易な問題が多いため、ミスは無いようにしたい。
全体の配点と設問数を考慮すると、自由英作文の配点はあまり高くなく(6点〜8点)、差がつきにくいと推測される。そのため、自由英作文の対策は最低限に留め、大部分を占めるマークの問題の得点力を固めるのを優先してほしい。早稲田法学部の英語は比較的低得点勝負であるため、マークで少し稼いで自由英作文で耐える戦略を勧める。
国語(90分/50点)
法学部の現代文は、本文の抽象度が高いのが特徴。一般の受験生にしてみれば、本文を読解するだけで骨が折れるような重厚な文が使われる。本文の一字一句を正確に理解しようとしても疲れるだけである。設問を基準に本文を鳥瞰すれば内容把握が容易になり、解答の正確性やスピードもアップするであろう。難しく感じるときは一度論旨を要約し、選択肢を吟味すると良い。
現代文を先に解く人が多いが、時間配分を考えると古文の方を先に解く事を勧めたい。古文は現代文に比べると得点しやすい作りになっている。古文対策として、古典単語、古典常識、文法(助動詞、敬語、識別、接続条件等)を完璧にしておきたい。
大問(1)では古文+その文に関係のある漢文の出題が含まれるという形が定着している。数年前までは歌論など評論の出題が目立っていたが、ここ最近は随筆・日記・説話など幅広いジャンルから出題されている。和歌についての出題も見られるので、対策しておきたい。古文では『源氏物語』・『十訓抄』・『宇治拾遺物語』、漢文では『蒙求』・『長恨歌』など著名な作品からの出題が多い。問題のレベルも比較的平易であったが、漢文については近年は長文化傾向にある。それでも現代文に比べれば平易であるので、なるべく早く正確に解答して現代文に少しでも多く時間を回せるようにしたい。
大問(2)・(3)では現代文が出題される。かつては芸術論や仮面論などとても抽象的で読みにくい文章が多かったが、近年では近・現代の社会問題をとりあげ、その問題について根源的に追求・考察する文章や、人が無意識に行っている思考や認識について再認識させるような文章に出題がシフトしている。 設問は傍線部説明問題が極めて多い。〈筆者の言いたいことが何かがわかっているか〉を問う問題がほとんどであるため、その傍線の周辺だけをあたれば答えが選べると思っている受験生には非常に手強い設問が含まれている。このような設問を解答するには、全体の要旨を意識して本文を読むことが必要である。これは最後に出題される難解な記述問題でも同様である。ただ、全体の配点や設問数を考慮すると、記述問題の配点はかなり低いと推測される。つまり、記述問題はほぼ差が付かないため、記述の対策は最小限にして、大部分を占めるマークの問題の得点力を固める対策に集中したい。また、早稲田法学部の国語は比較的低得点勝負であるため、難しいと判断した設問は潔く捨て、取れる問題を確実に取り、少しずつ素点を積み重ねる戦略がベストである。柔軟な取捨選択能力を身に付けておきたい。入試は相対評価であるため、満点を目指す競技ではなく、あくまでも合格点を目指す競技であることを忘れてはならない。合格に必要な素点の目安は6割強である。
日本史(60分/40点)
4題中、近現代史から2題が出題され、近現代史に重点を置いた学習が求められる。中でも、戦後史の比率が比較的高く、出題分野は公害史から汚職史、外交史など多岐に渡る。戦後史は難度の高い問題が出題されることが多いため、現役生は学習が戦後史まで間に合うように注意すべきである。
平易な問題が中心であり、やや高得点勝負である(合格に必要な素点の目安は7割強)ため、それらを取りこぼさずに確実に得点することが重要である。他学部に比べると用語記述が多いため、日頃から歴史用語を正しい漢字で書けるよう練習をしておきたい。難度が高い設問は過去問と類似の出題が多く見られるため、過去問をしっかり対策することで差がつく。大学関係者についての出題も頻出であるので、大隈重信や小野梓、石橋湛山など、過去に出題されたことがある大学縁の人物についても抑えておきたい。個人の日記を中心とした史料問題の出題も非常に多いため、日頃から歴史史料にも目を通しながら学習する習慣を身につけておきたい。
また他学部と比べると、正誤の「荒さ、曖昧さ」が目立つため、過去問演習ではそういった設問にも触れておきたい。
世界史(60分/40点)
西洋史、東洋史満遍なく出題される。西洋史については近世以降を中心とした出題である。東洋史は中国の前近代については毎年出題されると考えてよい。
例年250字の論述問題が出題されており、論述対策が求められる。記述する字数が多い分減点されやすいため、論述で稼ぐ戦略は避けた方が良いだろう。ある程度の対策をして半分程度得点できる力を付けたら、あとは大部分を占めるマークの問題の得点力を固めるのを優先してほしい。ちなみに、マーク式の問題は平易であるものの、論述で減点される分を稼ぐ必要があるため、高得点勝負故にミスが許されない。
政治経済(60分/40点)
2018年までの問題は平易だったが、2019年以降の問題難易度は標準レベルとなっている。
2008年度で出題された「民法」に関するような問題は、一般の受験生が解けるものを理解・暗記し、それ以外は特別な対策をする必要はない。ただ08年の民法に絡んだ問題は、その前年にいわゆる「300日ルール問題」と「無戸籍児問題」としてマスコミが大きく報道した内容であるので、新聞等を普段から読んでいる受験生ならば容易に回答できたであろう。それでも結局は、合格ラインに達するためには、基礎力が重要だということである。
例年100字程度の論述があるため、忘れずに対策しておきたい。ある程度の対策をして半分程度得点できる力を付けたら、あとは大部分を占めるマークの問題の得点力を固めるのを優先してほしい。
数学(40点)
数学は大学入試センター試験の「数学I・数学A」「数学II・数学B」の得点を調整して、選択科目の得点として利用される。センター試験対策がそのまま選択科目の対策に繋がるため、国立大学受験生にとっては非常に有利な入試形態となっている。合格に必要な素点の目安は9割弱であるため、ミスが許されない高得点勝負となっている。
大学入試共通テスト利用入試
5教科6科目(800点満点)で、合格するには9割弱の得点が必要である。数学が苦手な受験生には、比較的問題難易度の高い数学IIB以外の6科目で得点をかき集める戦略を勧める。
理工学部(先進理工・創造理工・基幹理工)
先進理工・創造理工・基幹理工の3学部を擁し、理工3学部一括で入学試験が行われる。合格難易度は非常に高い。学内併願の特徴として意外に政治経済学部との併願関係が強い。尚、理工学部の学生は、一部を除き4年間を西早稲田キャンパスで過ごすことになる。(例外として、先進理工学部の生命医科学科や電気・生命情報学科の一部の研究室は東京女子医大学キャンパス内にある先端生命医科学センター(TWIns)にあり、学生も当センターで講義を受けたり、研究活動を行ったりする。)
一般入試
数学(120分/120点) 数学IIIからの出題が多く、特に極限の計算は毎年なんらかの形で出題されている。ほとんどが標準問題~やや難レベルの問題である。青チャートなどで典型パターンを繰り返し、標準問題が確実に解けるようになったら、「やさしい理系数学(河合出版)」や「理系数学の良問プラチカ」等でやや難レベルの問題が解けるくらいの思考力を養った上で、過去問演習に取り掛かろう。また、面積・体積といった求積系の問題はほぼ隔年で出題されているため、しっかり対策をしておくこと。近年は数学III以外からの出題も見られ、特に数列の漸化式や図形と式からの出題が目立っている。完答するには相当な実力を必要とする問題が多く、特に問5は例年、かなり難易度の高い問題が出題される。
英語(90分/120点) 専門用語中心の学術英文が出題されることが多い。全く得点できないと合格は難しいが、多くのトップレベル理系受験生が抑えているであろう、文法・語法を習得し、長文読解の過去問研究をしっかり行い、傾向分析するしか手はないと言われている。
理科(120分/120点<1科目60点>) 学科によって指定されている2科目(大半の学科が物理・化学)が課せられ、出願時に科目を選択する。2007年度入試より大問は3つ、1問目はマークシート、2,3問目は記述式となっている。先進理工は学科によって科目の配点が異なる(例、化学・生命化学科…化学:物理=2:1(80点:40点 化学重視)[1])。標準的な問題から受験生の思考力を問うやや難~難レベルの問題まで出題される。難問は取れなくともやや難程度の問題までは取りきらないと合格は厳しい。
空間表現(120分/40点) 創造理工学部建築学科受験生に課される。いわゆる鉛筆デッサンである。独学では対策は難しいため、建築系の美術予備校に通い、プロの指導の下練習することをお勧めする。
※当学部はセンター試験利用方式を採用していない。
文学部・文化構想学部
文学部・文化構想学部入試の特徴としては、入試問題の傾向がどちらも似通っていることや、早稲田の他学部よりも国語の配点が高いことが挙げられる。どちらか一方の学部を受験する場合でも出題傾向に慣れるために両方の過去問を解くことが重要であろう。文学部は坪内逍遥等によって創設され、2007年かつて存在した旧第一文学部と旧第二文学部を一度合併、リシャッフルしそれをさらに再分割してできたものが現在の文学部と文化構想学部(つまり文化構想学部はかつての第一文学部であり第二文学部でもある。)となっている。文学部と文化構想学部はブリッジ科目として、お互い殆ど同じ講義を選択する事が可能となっている。尚、文学部・文化構想学部の学生は4年間戸山キャンパスで過ごすことになる。
両者の学部の一般入試は
- 3科目型
- 英語4技能テスト利用型
- 共通テスト利用型
合計3つの受験方式が存在している。
英語4技能テスト利用型・・・大学が設けている基準に達した英語検定結果を用いることにより、3科目型と配点は変わらず国語と歴史科目の合計125点満点で合否を判定するものである。
共通テスト利用型・・・50点満点で規定された共通テストの科目を歴史科目の代わりに判定に使用し、3科目型と配点は変わらず英語と国語と共通テストの科目の合計200点満点で合否を判定するものである。
商学部とは異なり3つの方式を併願することも可能である。併願した場合1つの方式では受験料はそのままだが、2つ目からは値引きされる。どちらの学部も近年英語の難易度が非常に高くなっているため英語で失敗したとしても、国語と歴史で挽回して英語4技能利用型で合格する受験生が増えている。しかしながら4技能利用型では近年どちらの学部も国語歴史の平均点が高いため、求められる得点は8割以上である。したがって4技能利用型だからといって合格しやすいというわけではない。
文学部では近年国語と歴史の平均点が非常に高いため高得点勝負となり、ハイレベルな戦いとなっている。3科目の素点では標準化を考慮すると目標は155〜160前半と8割程必要である。一方文化構想学部も文学部ほどではないが国語と歴史の平均点は比較的高い。3科目の素点では標準化と近年日本史の方が平均が高いことを考慮すると目標素点は日本史選択で140点後半、世界史選択で140点前半程と文学部に比べると安定している。今後国語の難易度がどうなるかはわからないが文学部ではこれ以上平均が高くなってしまうと更に合格するのが難しくなるだろう。どちらの学部も英語で点数を取れると加点されやすく合格がしやすくなる。しかしながら英語の難易度は両学部とも高いため、配点上国語が苦手ではどちらの学部も合格は難しくなっている。
一般入試
英語(90分/75点)
2つの学部の形式は全く同じで、どちらの学部も難易度は高い。不合格者得点開示を参考にすると英語の素点は国語歴史と異なり平均点が非常に低いため点数が加点されやすい。高得点を取れば取るほど加点されやすくアドバンテージとなる。
- 大問Ⅰ・・・A・Bの2つの長文に分かれており、それぞれの穴埋めをするものだが、語法や熟語の知識等が要求され、単語が難しいだけでなく他の設問に比べると文章そのものの抽象度が高いことが多い。近年は英検1級レベルの単語が正解となる問が増えており文章の難易度の高さも重なって全体的に難しい大問となっている。
- 大問Ⅱ・・・こちらはA・B・Cの3つの長文(AとBは200語〜300語で合計5問、Cは500語で5問)に分かれており、全て内容一致問題である。形式内容共に標準的な問題である。一部答えを導きにくい問題が毎年見られるのでそういう問題は消去法も駆使していきたい。大問ⅠとⅢの難易度を考えると2ミス以内に抑えたい。
- 大問Ⅲ・・・形式は8つの短文を長文の中にある7つの空欄に入れる文挿入。この設問を苦手とする受験生は非常に多く、配点が大きいため1番差がつく。対策をしっかりしておきたい。 3科目型及び共通テスト利用型受験ではこの設問が合否を分けると言っても過言ではない。選択肢にダミー文が1つ有ることに注意したい。対策は、前後の文章との論理関係(品詞、指示語、冠詞、単複、代名詞、同型反復、対比の有無等)に注目する。形で判別できない場合は前後の文脈を参考にし、それでも厳しいならパラグラフの要旨も参考にする。最初から内容面を参考にすると迷いやすくなるため注意。
- 大問Ⅳ・・・難しいものと簡単なものが混ざった会話文問題。基本的な会話表現の知識を押さえて難問を見極められるようにしたい。
- 大問Ⅴ・・・200wordsほどの標準的な文章を英語一文で要約する問題。間違っても日本語で答えを書いてはいけない。他の注意点は、出来るだけ自分の言葉で言い換える(例えば文中で「take care of~」となっているのを「look after~」に変える等)こと。とはいっても、本文中の言葉を全く使ってはいけないわけでもない。青本の解答例では本文中の構文をそのまま使っていることもある。この微妙なさじ加減が難しいところだ。(←*この点に関して、2020年度入試からは「当該ページ中から2つ以上の連続した語句を用いてはいけない」という注釈が追加された。)あくまでも「要約」なので、自分の意見は言わないこと。
配点に関しては以下の説が最も有力であると考えられている。
大問Ⅰ・・・それぞれ1点。大問Ⅱ・・・A・Bはそれぞれ2点。Cはそれぞれ3点。大問Ⅲ・・・それぞれ3点。大問Ⅳ・・・それぞれ1点。大問Ⅴ.8点(部分点あり)。
※ちなみに大問5の配点は大学側が公式に認めている。
世界史(60分/50点)
他学部と同様にマーク式が多い。平易な問題と難しい問題が混在しているが、近年は大部分が平易な問題であり、高得点勝負となっているため、まずは平易な問題を確実に解けるようになる事が必要である。
また、文化史はいきなり多くをやってもほぼ忘れるため、絶対に落とせない基本的な事項から確実に習得することが大切である。なお、文化史は通史に比べて単純暗記要素が強いため、直前期の短期間でも問題無く習得できる。そのため、まずは文化史よりも通史の完成に向けて取り組んでほしい。
日本史(文学部)(60分/50点)
平易な問題と難しい問題が混在しているが、近年は大部分が平易な問題であり、高得点勝負となっているため、まずは平易な問題を確実に解けるようになる事が必要である。
問題形式としては記述3:マーク7が主流となっている。文学部は2007年の学部改組以来、大問6つの出題が基本になっている。大問1から5までは時代系列順に問題が出題され、大問6に関しては毎年美術史が中心となる。全体的に他学部に比べると誤文指摘よりも正文指摘の問題が多い。
大問1は本学部の特色のひとつである考古学を踏まえた出題が多い。正文または誤文を1~2つ指摘させる問題が多く、一見回答不可能に見えることもあるが、時代や文化の特徴を正確に捉えていれば、選択肢の矛盾から誤りが発見できることも多い。大問2~4にかけては(早稲田大学においては)一般的な入試問題である。大問5は近代史が出題される。他の大問が小問9~10個で成り立っているのに対し、大問5は例年12~13個出題される。
近年は大問1の考古学及び大問6の美術史で極めて難度の高い問題が出題されることが多いため、対策は必須である。
日本史(文化構想学部)(60分/50点)
平易な問題と難しい問題が混在しているが、近年は大部分が平易な問題であり、高得点勝負となっているため、まずは平易な問題を確実に解けるようになる事が必要である。また文化構想学部の日本史は良問が多いため、この学部を受けない受験生にとっても演習価値はある。
問題形式としては記述3:マーク7が主流となっている。文化構想学部の大問は古代、近世などの時代区分ではなくテーマで分けられている。文学部系統に多い文化史だけでなく、外交史や政治史など入試頻出のテーマも毎回登場する。中には一般的なテーマ史の問題集にはなかなか取り上げられないようなテーマが出ることもあるが、教科書などを中心に基礎からしっかりと積み上げてきた受験生であれば解答は容易であろう。
選択問題は、一見回答不可能に見える問題も出ることもある。しかし、そのような問題は消去法を利用して回答すべきである。また、「2つ選べ」「当てはまらないものを選べ」のような指定が問題文中にあることも多い。緊張や焦りで読み飛ばすことのないようにしてほしい。
近年は平均点が6割前半と世界史よりも高いことが多く、英語の難易度と標準化を考慮すると日本史選択は8割以上の得点を目指さなければならない。
国語(文学部)(90分/75点)
大問1・2は現代文、大問3は古文、大問4は漢文といったほぼ旧第一文学部・第二文学部と同じ傾向である。問題自体の難易度は平易なのだが、高得点勝負を強いられるため、合格点を取る難易度は低くない。
大問1・2の現代文は多岐にわたる分野から出題される。ごく一部の悪問奇問以外は確実に得点を重ねたい。大問3の古文は文法知識(特に敬意の方向・敬語の種類)を毎年出題している。古典文法の基礎でもあり、本学部を受験する受験生のレベルを考えれば確実に得点できるようにしておきたい。大問4の漢文は、文法知識・内容理解が主であり、文学史的な内容はほぼ出題されていない。出題形式(マーク式・記述式)は異なるが、毎年のように返り点を付ける問題が出題される。
国語(文化構想学部)(90分/75点)
独特の形式となっている。大問Iは2つから3つの文章が提示され、その文章に対する設問に答えるものだが、その複数の文章をまたぐ設問があるというのは特殊である。明治時代の文語文は大学入試では珍しい出題である。大問IIは普通の形式の現代文である。
大問IIIは甲・乙に分かれており、07年度は甲が現・漢融合文で、乙は古文であった。学部改組・試験の変更が行われた07年ごろは凝ったつくりの問題が頻繁に出題されたが、その後はだんだんと平易な文章に切り替わってきている。しかし、この先も易化が続くとは言えず(12年は非常に長い文語文が出題された)、学習に手を抜いてはならない。
文学史も出ているが、マニアックな出題傾向で且つ費用対効果が悪いため、基本的なものだけは事前に押さえておき、演習時にそれ以外のものに遭遇したら、「こんな難問は誰も出来ない」と言った割り切りを持つことも戦略の一つである。また、消去法を有効利用すると良い。
大学入試共通テスト併用方式
共通テスト併用型で、一般入試の外国語と国語を受験する方式。世界史と日本史を以下の科目に変えて受験するため日本史Bおよび世界史Bを選択することはできない。
地理B、現代社会、政治・経済、倫理、『倫理、政治・経済』、数学I・A、数学II・B、化学、物理、生物、地学、「基礎科目2科目」の中から1つ選択する。また、理科・社会を複数科目受験している場合は第一解答科目が利用されるので注意が必要。 なお、一般入試との併願も可能である。
商学部
マーク式の問題が主体である。近年、早稲田商学部の数学は非常に難しく、英語がやや難しく、国語と地歴公民は平易という傾向が定着している。尚、早稲田商学部の学生は、4年間早稲田キャンパスで過ごすことになる。
2021年より受験方式は
- 地歴・公民型
- 数学型
- 英語4技能テスト利用型
の合計3つの方式に変わった。文学部及び文化構想学部と違い異なる受験方式での併願は不可能であり、それぞれに応じた定員が設けられている。合格者数は地歴公民型で約700人、数学型で400人、英語4技能テスト利用型で70人程度である。受験方式が分離したことにより合格者数が減ったと思われるが、実際は従来の地歴・公民と数学選択者の混合受験での合格者数を考慮した定員と予想され、逆に実質的に合格者数は増加したとまで言われている。
地歴・公民型では、英語の配点は80点、国語の配点が60点、地歴の配点が60点の「合計200点満点」である。合格最低点は62〜65%程度である。近年英語の平均が5割を超え、国語が6割程度で日本史が世界史よりも平均点が高くなっているため、標準化を考慮すると目標の素点は140後半〜150ほどとやや高得点勝負となっている。
数学型では、英語と数学と国語の配点が全て60点、60点、60点の「合計180点満点」である。初年度の合格最低点は107.6/180と約60%ほどであった。数学の難易度は高くほぼ一定なため、大体この程度の合格最低点に今後もなると予想される。また早稲田商学部の数学は非常に難易度が高くこの方式では東大や一橋を志望している上位国立文系志望の受験生の併願や東大理系、医学部志望といった理系の受験生も受験可能なため受験者のレベルは高いと思われる。
英語4技能テスト利用型では、英検準1級以上またはTOEFL iBTで72点以上で出願可能である。英検の場合準1級で加点0点、1級で5点、TOEFL iBTの場合72〜94点で加点0点、95点以上で5点となっている。4技能テスト5点、その他は地歴・公民型と同じ配点で合計205点満点である。初年度の合格最低点は120.05/205と地歴・公民型よりも10点ほど低い数値となった。加えて倍率も低かったが文学部及び文化構想学部での4技能検定利用型方式導入の初年度も同様に合格最低点が低かったため今後どうなるかはまだ不明である。
一般入試
英語(90分/80点)
500語程度の長文が4問、そして会話文が大問1で毎年必ず出題されている。したがって、口語表現の対策にも時間を割くべきである。長文4題のうち例年1つか2つは抽象度の高い難しい英文が出題される。比較的簡単な長文を早く終わらせて難しい大問に時間をかけたい。かつて英文和訳や和文英訳が出題されていたが近年は姿を消しつつある。英文和訳、和文英訳など設問の形式問わず、記述式の設問は配点が高いと予想されているため、白紙解答は避けたい。
早稲田商学部の英語は難語の同義選択、単語の穴埋め、前置詞の穴埋め、整序、内容一致、TF問題、文の同義選択、指示語の内容など1個の大問でやることはかなり多い。特に内容一致では一見設問の文章を読むと本文で述べられた内容と違うところがないように思えてしまうが、丁寧に読むと述べられていなかったり、本文に記述があるものの設問で聞かれている因果関係としてはおかしいなど、設問の作り方が他学部と比べて非常に巧妙である。このような問題は過去問で慣れておく必要がある。
和文英訳では、難しい構文等を使おうとせず確実に得点できる平易な文を書くこと。和文英訳やマークとは対照的に、英文和訳の難易度は平易なため、確実に得点できるよう構文の参考書の例題を和訳するなどして対策する必要がある。
なお、受験者平均得点は例年40点前後であるため、問題はやや難しめである。合格に必要な素点の目安は7割弱であり、8割取れた場合はかなりアドバンテージになる。
国語(60分/60点)
難化した年を除けば現代文に関しては比較的平易な問題(センター試験や共通テストよりも簡単)で、基本的な学習で対応する事が出来る。但し、やや高得点勝負である(合格に必要な素点の目安は、例年だと7割前半〜75%。2016年だけは、平均点が25点程度であり非常に難しかった分、低得点の勝負となった。)。また、2006年の試験から現古融合問題が姿を消し、純粋な古文が出題された。漢文の知識を問う問題も出題された。そのため、問題難易度や出題傾向の変化に左右されない実力を付けておきたい。
現代文は本文の一部が消えていて、文脈に合うように10字程度で自分で内容を予想して書くという商学部特有の設問がある。この設問はさほど難しくないが過去問で慣れておく必要がある。英語の記述式の設問同様、国語の記述式の設問も配点が高いと予想されているため、白紙解答は避けたい。現代文は平易で差がつかないため、古文と漢文で差がつくと言って良いだろう。難度の高い問題が出題されることも現代文より多く、対策してきた人としてない人で差がつきやすい。
古文対策として、古典単語、古典常識、文法(助動詞、敬語、識別、接続条件等)を完璧にしておきたい。08年度入試では漢文の知識を問う問題は見られなかった。演習として、本学部以外に問題のレベルや設問形式が近い社会科学部や人間科学部の問題が有用である。
日本史(60分/60点)
概ね出題される問題は標準的な問題が多い。しかし商学部の日本史の難しさは総合的なところにある。問題数が多く時間が厳しい、2つ選べという形式が中心になる大問の存在、近代の経済史、短文論述等、1問1問は難しくないが総合的に難しい。2018年以降は難易度が平易であり、その代わりにやや高得点勝負となっている(合格に必要となる素点は75〜79%程度)。問題数が早大の中で1番多く時間が厳しいため、素早く解く練習が必要である。かつては「適当なものがなければ6をマークせよ」という人間科学部に見られる受験生を悩ませる設問が存在したが近年は姿を消している。
大問1〜4が全てマーク式、大問5がマーク式と記述式の混合、大問6がマーク式と記述式の混合に加えて短文論述が出題される。大問1〜5は各大問につき設問が10個、大問6は論述抜きで設問が8個で安定している。全体の配点と設問数を考慮するとマークと記述で58点分、論述の配点は2点程度と推測されるため論述はあまり差が付かない。そのため、論述の対策は最低限で良い。その代わりに、大部分を占めるマークの問題を取りこぼさないように、盤石な得点力を付けておくべきである。
大問2、3では主に史料問題が出題される。有名史料の場合は時間をかけずに素早く解きたいが、未見史料の場合、穴埋めや読解も出題されるため時間がかかる。教育学部の問題と似ているため対策に使うことができる。大問4の近代史ではほとんどの設問が2つ選べという形式であり本学部の中では1番差のつく大問であるため丁寧な学習が必要とされる。この形式は社会科学部の問題を対策に使うことができる。大問5は近代の経済史が出題され、松方財政や産業の構造といった経済の仕組みを問う問題が出題される。近年は大問6の戦後史で極めて難度の高い問題が出題されるため、対策は必須である。
大問6つのうち4つは近世以降の出題であるため、江戸時代以降を苦手とする受験生は苦戦を強いられる。また、戦後史の大問が毎年必ず1つ出題される。そのため、現役生は学習が間に合わないことが無いように気をつけたい。
世界史(60分/60点)
2010年以降は難易度が標準であり、近年は日本史よりも平均点が低い。(合格に必要となる素点は70〜75%)。 出題内容は古代から近現代まで幅広く、出題地域は、欧州、北米、南米、中国、東南アジアなど、世界中のどの国、地域からも出題される。高校で使われる世界史教科書の全ての範囲である。 大問1~3はマーク式の正誤問題が中心で、大問4は文中の空欄にあてはまる語句を記述する問題であるが、最後の問題は、文中にある単語または事件について説明する100字論述がある(2007年度は150字)。また、その最後の論述問題の近年の傾向は、1900年代後半に起きた事柄について説明を求める問題がよく出題され、難易度も高い(例、2019年の「プラザ合意」、2016年の「アメリカと中国の国交正常化の背景」、2014年の「ECSCの発足と独仏の関係」)。近現代の分野については、多くの受験生が学校の世界史の授業でやりきれてないケースが多い。そのため、受験生は、世界史だけでなく、世界史とつながりのある時事問題、経済問題にも注意を払って対策をするべきである。近年の早稲田商学部の世界史はやや高得点勝負で、且つ日本史に比べて論述の字数も配点も高いため、日本史と異なり、論述対策がある程度必要である。とはいえ、全体の配点に占める論述のウェイトは高くないため、論述で半分程度の得点力を付けたら、後は大部分を占めるマークの問題で確実に得点を稼いでいく方法で臨むべきである。
政治経済(60分/60点)
問題難易度が乱高下しており、難化した年と易化した年の差が激しいため、問題難易度に振り回されない実力が必要である。 入試の形式は、マーク式、記述式の問題が中心であり、政治分野、経済分野から幅広く出題される。2017年にはイギリスEU離脱問題、マックス・ウェーバーに関する問題、2018年には、ヘッジファンドに関する問題、2019年には、ウィリアム・ノードハウスとポール・ローマーがノーベル経済学賞を受賞した理由、などが出た。 また、早稲田商学部の政治経済の入試では、大学の授業で習うような経済学の計算問題が遠慮なく出題される。2019年では、アイドルのチケット販売を題材にした経済学の問題が、2018年では、市場メカニズムについての経済学の問題が出た。これらは、大卒を対象にした公務員試験によく出題されそうな問題であり、一般の大学経済学部に通う大学生でも解くのは難しい問題である。それらの問題を、一般の受験生たちが入試で解くのは大変なことである。もし時間的余裕があるなら、一般の「政治経済」の参考書・問題集だけでなく、大学の授業で使われている「経済学」(マクロ経済学、ミクロ経済学)の教科書を買って、独自に勉強するべきである。 時事問題についての対策は当然必要である。受験生は日頃から最新のニュース、新聞記事をよく読んで政治問題、経済問題を勉強していくべきである。また、、高校の授業で使う「政治経済用語集」(山川出版社)だけでなく、書店で売られてる時事問題を集めた本・参考書を買って独自に勉強するべきである。早稲田商学部の問題は基本問題から発展問題まで幅広く作られている。試験前1週間で時事問題を詰め込んで簡単に解けるような問題は出ない。受験生は、早いうちから、政治経済の勉強をスタートして、高校で習う教科書レベルの基本問題から、大学で習う内容まで広く勉強するべきである。10、11月から読み物感覚で時事問題をまとめた参考書を何周か読み、センター試験終了翌日から1週間で時事問題を総ざらいし、その後は模試の復習等で基本的な問題を1問たりとも落とさないようにすることが合格の最善策である。
数学(90分/60点)
90分3題で、大問1に答のみを求める小問集合、2と3は記述解答を求めるという構成である。例年、数的思考力を要求する捻られた問題が多い。早稲田商学部の数学は文系数学の中で最高レベルの難易度を誇り、東大を超えた日本一難しい数学の入試などとも言われている。問題の中身は、どの参考書にも載っていないような「新種の数学問題」が遠慮なく毎年出題され、この飛び抜けた数学の難問に多くの受験生は解くのに苦戦し、予備校講師も頭を悩ます程である。例年、大問1の小問集合では、医学部や旧帝大の理系と言った最難関大学の大問で出題されてもおかしくない水準の問題が出題されることがある。また数学Ⅲを履修していると有利になる問題が近年出題されているので、理系の受験生で早稲田商学部を受験するケースもある。参考書としては、「チャート式基礎からの数学 青」と言った基礎の問題集をまず完成させることを薦める。この問題集の基本例題及び重要例題を全て解けるようになって欲しい。この問題集を完成させた後は「文系数学のプラチカ」といったより上のレベルの問題集を解くことを薦める。そして過去問をまずは時間を無制限に設定して、じっくりと考えて解く練習をしたい。時間的余裕があれば「赤チャート」をやるのもいいだろう。
ちなみに、例年記述問題として出題される数列や整数問題は、多くの受験生が解けない問題である。平均点が非常に低く、成績標準化(得点調整)で得点がかなり上がりやすいため、難しいと判断した設問は潔く捨て、取れる問題を確実に取り、少しずつ素点を積み重ねる戦略がベストである。入試は相対評価であるため、満点を目指す競技ではなく、あくまでも合格点を目指す競技であることを忘れてはならない。合格に必要な素点の目安は2割弱〜3割程度である。
大学入試共通テスト利用入試
早稲田大学商学部では実施されていない。
教育学部
学内併願で昔から「教育学部だけ落ちた」という声が多いように偏差値通りの結果とリンクしづらい学部である。教育学部の英語の問題は、早稲田の傾向を最も色濃く反映しているとされ、教育学部の英語を解くことで、早稲田の殆どの学部の英語対策に対応できるほど典型的な「早稲田の英語」と言われている。入試問題はかなり独特であり、問題の制限時間が厳しく早大の中でも非常にシビアな時間設定となっている為、過去問で問題演習を繰り返す事が必要となってくる。しかも問題傾向も数年毎に変化するので注意が必要である。文系(英語・国語・社会系学科)と理系(数学・理科系学科)の両方による受験が可能。英語英文学科・国語国文学科・数学科以外の学科・専修は各科目の配点が同じであるため、英語が苦手な場合でも英語の配点が高くなっている他学部とは違って合格の確率は向上する。理系併願の特徴として、意外に理工・人間科学部との併願関係が強い。これは理工・人間科学部受験者は一般入試で数学・理科受験できることに加え、理工・人間科学・教育学部ともに難関国立大受験者に併願しやすい問題レベル(英・数・理の3科目受験では私大最高峰)となっているためと考えられる。理系教育学部の教員は理工学研究科(大学院)の教員が兼担しており、理系学部生の多くが同研究科へ進学する。
一般入試
英語(90分/50点)
1985年以降すべて選択式による解答となり、86年からはマークシートが採用されている。長文4題に会話文1題の5題で、総語数は2000語を超える為、長文を確実かつ素早く処理していく能力が求められる。読解問題は1つの長文の語数が300語台から600語台のいわゆる「中文」レベルであるため、文中に下線や空欄が設けられ、細部にわたる理解が求められる。文系・理系共通問題であるので科学論が題材になることが文系他学部より多いので、文系の受験生は注意する必要がある。単独の文法・語法問題は1992年にいったん消滅し、2000年と2001年に復活したものの2002年以降は出題されていない。このため読解問題において文法や語法も問われる。会話問題は1986年以降出題されており、様々な形式がとられていたが、文法・語法、そして論理展開を意識することが重要。1988年に初出題された「あるだけ選べ」は90年代中盤まで非常に受験生泣かせとして有名だった。この形式は91年・94年・97~2000年は出題されておらず、2001年に突如復活するも2002年以降は消滅している。もし「あるだけ選べ」が出題された場合の対処法としては、品詞特定、自動詞・他動詞の違いなど語法で確実に落とせる選択肢を落とし、判断に迷った選択肢は選ばないことに尽きる。ただ近年は「あるだけ選べ」の消滅など、教育学部としての特徴的な設問形式はほとんどなく、かつてと比べるとオーソドックスになっており、あらゆる長文読解の問題集を解くことが有効になるといえる反面、傾向のつかみどころがないという点では対策がしづらい学部であるともいえる。いずれにせよ総合的な英語力を問われる教育学部の問題に慣れておくためには、なるべく多くの過去問をこなすことが最も重要であることはいうまでもない。
近年比較的平易な問題が出題されるようになったが、2022年には大問4つ構成で大問5にあった会話文が姿を消し、1000語程度の長文の出題や、非常に手間のかかる設問形式が見られるなど大幅難化した。今後どうなるかはわからないがこの年の水準で対策すべきである。
国語(90分/50点)
現代文2題及び古文・漢文1題の構成で一部記述式を採用している。漢文は基本的な句法を抑えておけば充分。現代文は05年度・06年度はかなりの難易度を誇っており、早稲田大学の中でも難しい部類に入りる。しかし07年度以降は徐々に易化している。日頃からそれなりの評論文などを読んで、難文に慣れておこう。古文も同様に確固とした文法力、読解力が必要となる。傍線部の前後から和歌の意図や登場人物の気持ちを推測させるような小説的読解力を問われる事に注意しておくべき。また、2008年度入試では今まで現代文あるいは古文との融合問題であった漢文が、過去のように一つの大問として出題された。難易度はやや易化し、基本句形をマスターすれば十分に満点が狙える程度である。
日本史(60分/50点)
難易度は早大の中でもかなり高い。2021年のように世界史と平均点が約10点離れている学科もある程で目標点は7割である。史料からの出題が多く、過去問を解いている時は問われ方に慣れるように意識して解くようにしよう。未見資料の読解問題や穴埋めも出題されるため商学部の問題は本学部の対策に使える。基本的な内容を問う問題も当然多くが出題されるが、史料を読み取る際の注意力不足で間違える事が考えられる。すなわち、その資料が何の歴史的事項の事を言っているのか解らずに。その設問を全て落とすと言ったような事態も起こりえる。それを防ぐためにも,教科書の隅々までしっかり読んで,頭に入れて問題演習を重ねるようにしよう。大問5は基本的に4、5問と設問数が少なく、女性史、沖縄史などがよく出題されるが、テーマは定まっていなく難問が出題される可能性が極めて高い。
例年2〜4個ほど設問に現れる、教育学部特有のすべて選べという形式は毎年受験生を悩ませている。基本的に全て選ぶ設問では答えが2個か3個であることが多いが、このような設問にも慣れておきたい。
世界史(60分/50点)
難易度は早大の中では標準レベル。平均点が日本史より高く、7割ほどになる年も多いため8割以上を目指したい。以前から中国史及びアジア史はマークでも記述でも他学部より難しい問題が出題されることが多い。大問は例年4題、全50問であり、記号・記述ともに各1点でその割合は1:4である。特に記号問題の難度が高く、他学部同様、山川の用語集の文章中に出てくる語句や話題からも多数出題されるので丸暗記するぐらいの気持ちで臨みたい。一方で、記述問題は基本的な問題も多く出題されるので取り溢さないように。例え難解な問題を落としても1点であるので基本問題を抑えれば7割以上も可能である。英語や日本史で出題実績のある「あるだけ選べ」形式が今後出題される可能性もあるので注意。
政治経済(60分/50点)
例年時事的出題が目立つ。一部において、政治・経済の範囲を明らかに逸脱していると判断される超難問が散見されるが、基本的な部分を確実に習熟しておくことが先決。実際、大問一つ全てが、即ち10点分が全く手が出ないと言う事がある。しかし、その手の問題をすべて落としたとしてもたいした問題はなく、合格への道が遠ざかるということは全くない。国際政治経済など現役生には手の届きにくい分野からの出題が多く、例えばEU(欧州連合)・ヨーロッパにかかわる問題はほぼ毎年のように出題され最近では08年度・05年度・02年度・00年度・98年度と10年で5回も大問丸々EU・ヨーロッパの問題などということもある。また国際貿易体制も頻出のテーマ。政治経済学部・法学部のような思考力等を問う問題は少なく、知識を問う問題がほとんど。
地理(60分/50点)
レベルはかなり基礎的であるから高得点が求められる。大問は例年4題で、ほぼ毎年特定地域を対象とする地誌で全大問が構成されている他、ヨーロッパに関する大問が毎年出題される。18年度に突如としてプランテーションに関する系統地理が出題されたり、20年度にはヨーロッパに関する問題が無くなり、全大問が系統地理になるなど傾向が掴みにくくなっている。毎年マニアックな地名が1,2問出題されるが、それを除けば標準からやや難レベルの問題構成であるため、主要地域の特色への理解を徹底すれば9割以上も難しくない。
数学(120分/50点) 数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・Bから出題される。
理科(60分/50点) 「物理基礎、物理」、「化学基礎、化学」、「生物基礎、生物」、「地学基礎、地学」のうちから1科目選択する。
- 教育学科初等教育学専攻、複合文化学科志願者は、文科系(A方式)または理科系(B方式)のどちらかを選択する。
- 英語英文学科受験生の英語の得点は調整後の得点を1.5倍にする。
- 国語国文学科受験生の国語の得点は調整後の得点を1.5倍にする。
- 数学科受験者の数学の得点は調整後の得点を2.0倍にする。
- 理学科地球科学専修志願者で、理科の地学選択者については、理学科60名のうち5名を「地学選択者募集枠」として理科の他の科目選択とは別枠で判定を行う。
- 「数学B」は、「確率分布と統計的な推測」を除く。
- 数学・理科については、新教育課程と旧教育課程の共通部分から出題される。
※当学部はセンター試験利用方式を採用していない。
国際教養学部
英語を中心に、その学生が本当にこの学部で勉強したいのか(また勉強できるのか)を問う問題になっていると言える。一般入試において倍率は他学部に比べ低いが、受験者全体のレベルが非常に高いので、入試レベルは早稲田大学文系学部の中では標準的である。科目別の傾向としては、国語、世界史・日本史、数学の問題は早大の中でも易しい方だと言われているが、その分英語の難易度は非常に高く、早大最高峰と言われている。帰国子女が多く、入学後は一年の留学が課される。尚、国際教養学部の学生は、留学中以外はずっと早稲田キャンパスで過ごすことになる。
一般入試
英語(英語85分、リスニング50分/100点) 難易度は非常に高い。長文2題、日本語要約、自由英作文、リスニング2題の構成になっている。当然、学部の性質もあるが早稲田大学の中で最も難易度が高い。日本語要約や自由英作文、リスニングが出題されるので、相応の対策が必要だ。05年度はリスニング・自由英作文を中心に難化。初年度の問題を標準的な難易度に抑えた結果、英語力が不十分な学生が少なからず入学して来た為だろう。07年度は更に難化、テスト用紙にリスニングの選択肢が印刷されなくなった。慣れてきたら慶應義塾大学SFCの超長文問題にも挑戦してみてはいかがだろうか。さらに、ここまで語彙力を身につけても、まだまだ分からない単語が存在するのが怖いところ。しかし、それに対応するためには、背景知識の獲得が最も有効である。具体的には、国際関係、社会、小説、科学、経済、思想など幅広い分野に対しての知見が求められる。いわゆる『教養』が試されている。これらは他の大学の多くの英文に触れて身につけてほしい。なお、リーディングの内容に関して、特に近年は小説が頻出となっており、国際教養学部の過去問を遡って解くなど、独特の形式に慣れておいた方がよい。論説文と比較すると抽象的な内容で、文章量が多く、慣れていないと時間内に解き終わらない。また読解だけではなく要約、英作文、リスニングと幅広く求められて大変ではあるが、入学後も絶対必要な能力なのだと思って地道に取り組むしかない。英検で言えば準一級レベルを求められていると言える。リスニングも難度が高く、十分に対策を行った方がよい。なお、大学が一部公開しているリスニング音源は、高校1,2年生を含めて早大の試験を紹介するために分かりやすくリメイクしたものであり、実際の試験とは異なる。実際の試験は、ナチュラルスピードに近い形で実施される。TOEFLや予備校のリスニング教材、リスニング対策CD等も活用して、より実践に近いリスニングの訓練を行った方がよい。また、リーディングに関しては、精読が出来るように単語、熟語、文法、構文を固めてほしい。速読は精読を心がけると自然と出来る様にになってくる。また、音読も効果的である。音読のメリットは、英文を直読直解(文の頭から、返り読みをせず、英文を読むこと)が出来る様にに成る事である。これは、聞く英語が決して巻き戻せないこと(CDなどで意図的にするのは別にして)からも納得がいくと思う。結果、直読直解ができると英文を速く読める。リスニング対策としては、ディクテーション(聞いて書き取ること)も効果的であるが、こちらは時間がかかるため、シャドウイングをメインにしつつ、平行して行うとよい。とにかくここは英語で決まる。
国語(60分/50点) オールマークシート式であり、難易度は早稲田の中では社学と並んで最も易しい部類に入る。早稲田の中では珍しく小説も出題され、問題の傾向もセンター試験に近く、古文の難易度も標準的。対策として古典単語、古典常識、文法(助動詞、敬語、識別、接続条件等)を完璧にしておきたい。また評論、古文は各予備校の解答速報で正解に差異が見られることは滅多に無いのだが、小説においては各予備校間で若干の違いが見られる。よって評論、古典を得点する事、次に小説で各予備校間の正解にぶれの無かった、いわゆる正解が明快な問題を確実に解けるようにして欲しい。本学部は英語の配点が高いと言えども、難易度を考えたら国語を落とす訳にはいかないので、ミスに気をつけながら過去問演習にあたるべきである。
世界史(60分/50点) 早大の中でも比較的解きやすい問題が目立つ。
日本史(60分/50点) 早大の中では比較的解きやすい問題が目立つ。学部の特徴からか外交分野が頻出である。英文史料問題も特別な対策は不要で、一般的な日本史の知識で対応できる。奇問が散見されるが、そのような問題を無視しても基本的な問題が完答できれば合格点には十分届く。
数学(60分/50点) センター試験レベルの問題が解ければよいと言われている。参考書としては、「チャート式基礎からの数学 黄色」をお勧めしたい。こちらの問題集の基本例題及び重要例題を全て解けるようになれば、対策は万全だ。あとは、過去問を徹底的にやれば数学に関しては8割は取れるだろう。センター試験数学や上智大学経済学部の数学もやると良い。早稲田数学の共通の特徴は、その年だけでは全分野の力は試されないが、各年度を通してみると、全分野にわたって問題が作成されていることだ。そのため、苦手分野をそのままにしてはならない。どの分野が出題されても満足に得点できる力が求められる。
その他 赤本と本番の問題冊子は多少違うので、本番さながらの練習をしたい人は、予備校サイトなどが本番の問題を公開しているので、プリントして使うとよい。なお下記URLでは国際教養学部の一般入試の過去問が掲載されている(http://wasedasils.com )。
センター試験利用方式
国語(200)・数学(200)・理科(100)・英語(リスニング含む)(250)、地歴または公民(100)の5教科6科目850点満点である。合格するには90%以上得点することが必要。 東大などの難関国立大受験生でも90%以上取るのはなかなか難しいので、国際教養学部をセンターで合格したいのならセンターの勉強に力を注がなければならない。
社会科学部
政治・経済から法律、国際関係など学際的に学問に取り組むことができる学部。英語と国語と社会に関しては全てマーク式であり、記述問題は一切出題されない。合格最低点は例年6割強〜65%であるが、国語が易化した年は7割弱まで上がる。なお、成績標準化による得点調整が行われるのは選択科目だけであるため、英語と国語は素点がそのまま自身の得点となる。社会科学部は2009年度より完全昼間学部となり、他の学部と同様に一時限からの授業が基本となる。政治学、経済学、法学、商学、あるいは、社会学など、複数の科目を学ぶことができる、すなわち学際的な研究(リベラルアーツ)に適した学部であるといえるが一つのことを専門的に学ぶには難しい面もある。
一般入試
英語(90分/50点)
全体的に問題難易度は高く、合格に必要な素点の目安は6割である。難易度が高いため英語で稼ぐという戦略は厳しい。The Economist 、The Guardian 、The New York Times 、The Washington Postなど引用される英文のレベルがかなり高い。ただ、語彙レベルが高いながらも、内容一致や要旨、推論の設問の選択肢は切りやすい。そのため、設問を軸にして、パラグラフリーディングを駆使して解いてほしい。瑣末な語彙は、本文の要点を把握する上ではあまり関係無いことが多いため、語彙レベルや語数に圧倒されずに食らいつくことが重要である。時間内に辞書無しで本文全体を完全に理解しようとするのは現実的ではないため、「設問で出された箇所を理解する」「取れる問題を取りこぼさずに合格点に達する」「難しい問題は捨てて良い」という思考回路で臨むべきである。
下線部の単語の言い換えを答える問題には、大学受験レベルを逸脱したものが往々にして含まれているため、そのような悪問をスルーできるような取捨選択能力を身に付けておきたい。
大問1が正誤問題10問、大問2が800語程度の長文読解、大問3〜5が1000語前後の長文読解という合計約4000語、大問5つの問題構成が近年の傾向である。2015年からこの形式が定着している。2014年以前は形式が違い語数も少なく、過去問演習にはあまり適さないため、2015年以降の問題を繰り返し演習することを勧める。大問1の正誤問題は私大の中で最も難しいものであり、人間科学部や法学部よりはるかに難しい。長文の語数を考えると大問1にかけられる時間は10分程度である。
2019年を境に長文の語数が増えて、設問で聞かれる単語のレベルが非常に上がりつつある。20年21年と極めて難易度が高くなったが、2022年は語数も減り、設問も易し目になり易化した。今後どうなるかはわからないが、19年〜21年の水準で対策すべきである。
国語(60分/40点)
現代文と現古漢融合問題が一題ずつであり、難易度は平易である(例年だと、センター試験や共通テストよりやや難しい程度。易化した年はそれよりも平易となる)。合格に必要な素点の目安は7割強である(合格最低点は例年6割〜65%であるが、英語は明らかに国語より難しいため、平易な国語で稼ぐ戦略が有効である。また、国語が易化したら合格最低点は7割弱まで上がるため、国語では8割程度の得点が必要となる。)。
人間科学部の問題と類似しているため、演習には有用である。
現代文に関しては、解答の根拠となる部分が離れていることがあり、早稲田の他学部と比べて選択肢の作られ方が異質であるため、社会科学部特有の出題に慣れておく必要がある。
現古漢融合問題に関しては、現代文の内容と古典の内容が連動している(古典の内容を現代文で解説している)ことに注意したい。
日本史(60分/40点)
大問4つ構成で配点40点に対し、2020年以前は各大問10個の合計40問で1問1点と予想される形式であった。全設問のうち半分ほどが2つ選べという形式であり、多い年は半分を超える。「2つ選べ」という形式は2つ正解して得点がもらえるため、これを突破できなければ合格は厳しい。同様の形式は商学部の大問4にもあるため対策に使うことができる。2021年からはマーク38問に簡単な短文論述が出題されるようになった。おそらく論述の配点は2点と予想され、論述というよりは用語の説明である。論述は慶應の商学部に形式が似ているため、対策に使うことができる。
問題難易度はかなり高めである。平均点は歴史科目にしては珍しく5割を切る年もある。目標点は7割である。細かい正誤問題が中心で法学部同様、正誤問題には厳密性に欠ける「荒さ、曖昧さ」が見られる。用語集の文章をそのまま引用した記述などが見られるのが特徴である。難問・奇問に目を向けるのは避けるべきである。「取れる問題を取りこぼさずに合格点に達する」「難しい問題は捨てて良い」という思考回路で臨むべきである。悪問をスルーできるような取捨選択能力を身に付けておきたい。標準~やや難のレベルだけでも合格点+アドバンテージは取れる。他学部の演習用に社会科学部の問題を解くのはあまり推奨しない。
世界史(60分/40点)
正誤問題では、細かい知識が問われる。社会科学部という学部の性質上、近代~現代の比重が高まっている。受験生が苦手とする戦後史は標準レベルで、中世以前は難易度が高い事が多い。早大世界史全般に言える事だが、他学部の過去問をなるべく多く解き、多様な視点や方法で正誤問題を解答する能力を身に付けたい。近年は易化傾向にあるものの、依然として問題難易度は比較的高めである。「取れる問題を取りこぼさずに合格点に達する」「難しい問題は捨てて良い」という思考回路で臨むべきである。悪問をスルーできるような取捨選択能力を身に付けておきたい。標準~やや難のレベルだけでも合格点+アドバンテージは取れる。
政治経済(60分/40点)
政治・経済の難易度は比較的高い。合格を第一の目標とするならば、「取れる問題を取りこぼさずに合格点に達する」「難しい問題は捨てて良い」という思考回路で臨むべきである。悪問をスルーできるような取捨選択能力を身に付けておきたい。標準~やや難のレベルだけでも合格点+アドバンテージは取れる。また、計算問題が出題されるため、その類の問題演習をしておく必要がある。
数学(60分/40点)
問題は平易である(センター試験や共通テストよりやや難しい程度)ため、基礎的な数学I・II及びA・Bの知識があれば余裕を持った解答が可能である。参考書としては、「チャート式基礎からの数学 黄」を進める(しかし、早稲田大学商学部や慶應義塾大学を併願受験する者は「チャート式基礎からの数学 青」の方がよい)。これらの問題集の基本例題及び重要例題を全て解けるようになれば対策は万全だ。記述でケアレスミスをしなければ、9割~満点を出せる実力はつく。
早稲田大学社会科学部の数学の特徴は、その年だけでは全分野の力は試されないが、各年度を通してみると、全分野にわたって問題が作成されていることだ。そのため、苦手分野をそのままにしてはならない。どの分野が出題されても満足に得点できる力が求められる。
※当学部は大学入試共通テスト利用入試を採用している。詳しくは早稲田大学ホームページで確認すること。
人間科学部
人間環境科学・健康福祉科学・人間情報科学の3学科を擁し、環境学や社会学、臨床心理学、人工知能(AI)、脳科学、プログラミングまでのリベラルアーツな(学際的に人間を科学する)学問に取り組める学部であり、慶應SFC(特に環境情報学部)に近い雰囲気を持っている。 人間科学部の学生は4年間所沢キャンパスを本部とすることになる。なお、所属学科に関係なく講義を履修することができ、ゼミ選考においても2017年度より学科枠制度が廃止されたため、大学受験時における学科選択の意義には疑問が残る。そのため合格最低点の最も低い学科を受験することを勧める。 入試の特徴としては ①文系・理系受験の両方が可能。 ②理系併願の特徴として意外に理工・教育学部との併願関係が強い。これは理工・教育学部受験者は一般入試で数学・理科受験できることに加え、理工・教育・人間科学部いずれも難関国立大受験者に併願しやすい問題レベル(英・数・理の3科目受験では私大最高峰)となっていることによるものと思われる。 ③どの科目も難易度は早大の中では標準的だが(しかし受験者レベルは高いため合格するにはどの教科でも高得点を獲得する必要がある。)問題の制限時間が厳しく、早大の中でも非常にシビアな時間設定となっているため、一科目でも取りこぼしがあると当学部の合格は難しい。
一般入試
全体 学科にもよるが合計7割あれば合格できるだろう。英語が難しく、さらに国語がやや難で差がつかないため、選択科目で差をつける必要がある。
英語(90分/50点) 大問一が中文客観式問題8題、二は適当な前置詞を選択させ、三では文法的な誤りを五択で指摘させるというのが傾向である。現在の出題形態は1991年以降一貫しており今後も変化はないと思われる。問一(読解)は平易な反面、問二(前置詞)は対策がしづらく、入らない場合もあり、問三(正誤問題)は近年やや易化傾向にあるとはいえ訂正の必要無しの場合もある為、高得点を狙うことが難しい。勉強次第で読解は高得点を取ることもできるため、どうしても人間科学部に行きたい受験生は長文読解の勉強に重点を置き、問二はハイレベル熟語集の問題を確実にとれるようにすべきである。問三は対策に労力がかかる割に配点が低いので時間をかけてはいけない。従って大問一をいかに得点するかが合否の分かれ目となる。実際の合格者も読解で点を稼ぎ大問二、三は半分ぐらいしかとれていないという声が大半である。TOEFLの問題形式と非常に似ており、問題量が非常に多い(2000〜2500語)ので、速読力を養う必要もある。また、人間科学部という学際的な性質上、文理を問わずあらゆる分野の問題(医学系や生物系も多い)が出題されるので、語彙(特に名詞)の難易度は高い。また社会科学部の問題も時事英文から出題されるので受験しなくとも問題だけは解いてみるとよいであろう。成績標準化を考慮すると、36〜37点程取れると合格に近づくはずだ。
国語(60分/50点) 他の学部に比べ、少し難易度は高めとなっている。人科志望者ならば過去問を解いてみて、本文の主旨をきちんと読み込めたと思えるくらいの実力は要求される。人科合格者の決まり文句は「英語が難しくて、国語は普通。」である。国語が得意な人も苦手な人も対策次第で勝負の行方は変動する。現代文などでは簡単〜標準問題は確実に取ろう。古文対策として古典単語、古典常識、文法(助動詞、敬語、識別、接続条件等)を完璧にしておきたい。近年漢文も難化しているため、対策を怠ることは禁物である。おそらく合格点は7割くらいだろう。
日本史(60分/50点) 早大の中では標準レベル。NO ERRORや2つ選べのような独特の形式が出されるが、そういう問題は総じて教科書レベルなのでそこで立ち止まってはいけない。分野に関してはまんべんなく出されるが、一度出てきたところを数年間続けて出すという傾向がある。なお、最後のテーマ史はマイナーなものが多数出されるが、テレビの雑学や講師の雑談から的中される内容のものも多いので色々な話を知っておいた方がいいだろう。ちなみに50問を超える問題が出されることが多いが[(自分の点数/問題数)×X=自分の点数/50]という風に計算されている。人間科学部の問題は良問が多いため、この学部を受けない受験生にとっても演習価値はある。
世界史(60分/50点) 早大の中では標準レベル。ということは早大対策をしっかりと行ったものには解きやすいが、それ以外にはかなり難しい内容だという事である。問題量は多い。2004年には大学入試では珍しい先史時代に関する出題があった。これは人間科学部という学部のポリシーからなされたのだろう。現代史の難易度もなかなかのもので、総じて教科書レベルでは歯が立たないというのが現状であろう。ただし平均点が高いので、高得点が必要である。
政経(60分/50点) 早大の中ではやや難レベル。常軌を逸した知識レベルを要求する奇問・珍問・悪問と、通常レベルの問題が同居する。世界史や日本史、地理の知識を必要とする問題がほとんどであるが、元来政経という教科に関して言えば、他学部を含めた早稲田大学の入試問題は教科書・用語集を覚えたからと言って解答出来るものではない。人間科学部は特にその傾向が顕著である。対策としては常日頃から国際関係、政治紛争、民族問題等のニュースをチェックすることが重要。また、その年の経済白書も是非目を通して頂きたい。過去には計算問題が出されたこともあるため、その対策も必要である。
数学(文系<A方式>・理系<B方式> 何れも60分/50点) 早大の中では標準的なレベルの問題が出題される。「チャート式基礎からの数学 青」レベルの網羅系参考書の基本例題及び重要例題を全て解けるようにし、補充用問題集として「大学への数学 一対一対応の演習」に取り組むのがよい。そのうえ過去問をじっくりやりこめば対策としては十分である。ここまでできれば見たことの無い問題は皆無またはほとんど皆無のレベルに達し、得点は8割をとれるようになる。早稲田数学の特徴は、その年だけでは全分野の力は試されないが、各年度を通してみると、全分野にわたって問題が作成されていることだ。そのため、苦手分野をそのままにしてはならない。どの分野が出題されても満足に得点できる力が求められる。尚、文系(A方式)は「三角関数」が頻出。理系(B方式)は「微分・積分」が頻出、数Ⅲ範囲の典型問題が中心となるが、回転体の求積や極限も頻出となっている。
物理(60分/50点) 例年、大問3題が出題されており、試験時間は60分で、全問選択肢の多いマーク式である。「力学」「電磁気学」が必出である。大学受験レベルとしては標準的な難易度で、理工学部と比較すると非常に平易な内容になっている。
化学(60分/50点) 大問6~7題と、制限時間60分に対し、問題量は多い。全問マーク式である。化学ⅠⅡの全範囲から標準的な難易度の問題が幅広く出題される。理工学部と比較すると非常に平易な内容になっている。
生物(60分/50点) 大問5題と、制限時間に対し、問題量は多い。 全問マーク式で、選択肢には、近接した数値が並んでいる。動物の反応、タンパク質と生物体、生物の集団、分類・進化の出題頻度が比較的高く、全体的にグラフを利用した問題や、正文・誤文選択問題、ヒトに関連する標準的な問題が多い。
センター試験利用方式
6科目のセンター試験の成績のみで判定する。因みに、2017年度入試のボーダーは88~90%である。
スポーツ科学部
2008年現在、小論文を除いて全教科でマークシート方式を採用している。一般入試科目は、英語+小論文+国語or数学である。尚、スポーツ科学部の学生は、人間科学部と共に所沢キャンパスで4年間を過ごす(一部の講義は東京都西東京市の東伏見キャンパス)ことになる。
一般入試
英語(90分/75点) 長文問題は他学部と比べると標準的な問題である。また、文法問題は人間科学部と理工学部の出題を踏襲したような形式である。よって本学部だけでなく、これらの学部の過去問も解いておくことをお勧めする。語法正誤指摘問題は人間科学部のものよりは易しいが、それでも難しい部類に入る。
国語(90分/75点) 現代文2題、古文1題(一部漢文も含まれる)が出題される。現代文では、スポーツや身体に関する文章だけでなく、様々な分野(政治や経済など)の文章が出題される。選択肢は早大らしいややこしいものが多い。ある程度の読解力が身についたら、どのように選択肢から解答を導き出すのかを過去問を使ってじっくり研究すること。古文(漢文)は、常識知識を知らないと解けない問題が数題出題されるため、古文常識・漢文常識はマスターすること。
数学(90分/75点) 早大の中では比較的簡単な方である。4題構成で全問マークシート方式である。人間科学部や国際教養学部の数学も同様に全問マークシート方式であり、問題の難易度に相違はないのでこれらの学部の過去問も解いて置くことをお勧めする。
小論文(90分/33点) スポーツや身体に関するものが多い。スポーツの話題がメインである為、新聞や雑誌等で、スポーツ業界の話題に目を通し、興味を示しておくことが大切である。課題文やグラフを読み取る上で、これらの知識が役立つはずである。小論文入試全体に言える事だが、小論文の実力は一朝一夕で身に付くものではない。原稿用紙に何度も文章を書いてみて、高校や予備校の先生に添削して貰うのが効果的である。
センター試験利用方式
当学部のセンター試験利用方式は様々な受験方式がある。センター試験4科目のみで選考を行う方式以外にも、センター3科目と競技歴で選考を行う方式、センター1科目と一般入試2科目で選考を行う方式もあるため、受験生は大学HPの受験情報をチェックすることをお勧めする。因みに、センター試験4科目の選考の合格ボーダーは85%以上である。
模試
早稲田大対応模試として、河合塾の早慶レベル模試、代ゼミ・駿台共催の早大入試プレがある(計2回)。これらの模試は大学の傾向を徹底分析し、精度の高い予想問題を作成しており、多くの早大志願者が受験する。その為、受験すれば本番入試に向けての大きな指針となり、本番の雰囲気に慣れることにもなるので、早大志願者は受験することをお勧めする。
かつては駿台予備学校の早大入試実戦模試(2021年度より、代ゼミと共催の形で復活)、Z会の早大即応模試、早稲田予備校の早大模試、早稲田ゼミナールの早大合格直結模試等があったが、全学部を網羅する試験問題を作ることが不可能であること、そして本番さながらの受験者数を確保することが困難であるということから現在では上記の二つしかない。河合塾の模試も1999年から2003年までは早大オープンという早大受験者のみを対象とした試験であった。
模試では、判定も同時に出るが気にする必要は無い。というのは、全学部の志望者を同時に試験するため、多分に志望学部の出題傾向と異なるからである。しかし、不得意な分野についてはしっかりと復習をし、確実に身につける必要がある。判定が悪くても合格するためには、基礎の徹底を怠ってはならない。それには、一度解いたことのある問題を確実に解けるように復習するのが一番の近道である。多くのD・E判定者が逆転合格を果たしているのも事実であるが、判定が良い人ほど合格しやすいこともまた事実である。
以下で現在開催されている模試についてのメリット・デメリットについて記述する。
- 代ゼミ・駿台共催 早大入試プレ
- メリット
- 国語の試験は特に本番の傾向に近い。
- 模試を集めた問題集が市販されているので、過去問をやりつくした受験者もそれを活用することにより高レベルの演習が出来る。
- 問題用紙・解答用紙のサイズ・様式が実際の試験に使用されるものに近い。
- デメリット
- 母集団のレベルは一般の模試より高いが、国立大学の受験者が受けていないため、判定や順位はあまり参考にならない。
- 学部ごとの色が強いため、全学部の傾向をおさえた問題にはなっていない。
- 社会・理科の問題集が市販されていない。
- 第1志望の学部・学科のみの判定しか出ない。
- 解説が簡略なので、中レベル以下の受験者の復習が大変。
- メリット
- 河合塾・早慶レベル模試
- メリット
- 併願者の多い慶大の判定も同時に出せる。
- 代ゼミと異なり、複数学部の合否判定が出される。
- 解答の解説が詳しいので復習がしやすい。
- デメリット
- 母集団のレベルは一般の模試より高いが、国立大学の受験者が受けていないため、判定や順位はあまり参考にならない。
- 全学部の傾向をおさえた問題にはなっていない。
- 問題が優れているのにも関わらず、問題集として市販しない。
- そもそも早大と慶大では問題の傾向が大きく異なる。
- メリット
その他
- 私立大志望者へ
私立専願で早大に行きたい受験者は、早めに出願する学部を絞って過去問等から対策を決め、3科目のみに集中して勉強した方が良い。早大の問題は国立大学2次試験や他の私立大学とは出題形式・時間設定・難易度とも異なっており、相当の学力がある受験者でも独自の対策を取らないと合格は厳しい。一方で受験科目を絞り、十分な過去問演習を中軸に据えた問題処理能力の高い勉強をすれば、合格率は向上する。早大の場合は学部が異なっても出題傾向が似通っている場合が多いので、是非自分が受験する学部以外にも、演習用として他学部の問題にもチャレンジしてみよう。ただし、明らかに自分が受験する学部では出ない問題の出来具合は気にする必要は無い。(例えば自由英作文や地歴論述、文整序、文補充、語句整序、要約などの特殊な問題)
- 国立大志望者へ
早大を併願する場合であっても、受験学部の過去問分析といった個別の対策をとらなければ合格することはなかなか困難であろう。特に政治経済学部、法学部、理工学部などを併願する場合には過去問に当たるなどの対策を講じないと、英語・国語・地歴公民or数学の3科目のみを勉強してきた私立専願のトップレベル受験者との戦いを勝ち抜くことは容易ではない。これは、早大の試験問題と国立大学の試験問題の質(出題形式・時間設定・難易度)が大きく異なるからである。
- 備考
河合塾が早大受験者向けに入試情報をまとめた早大塾というサイトを開設しているため、入試情報収集の際に利用すると良い。また受験についての各種関連記事や合格後の学生生活に対する話題については早稲田大学体験webサイト、早稲田の杜・合格体験記にて【受験者応援特集】が定期的に組まれているため、参考にすると良いだろう。
関連リンク
- 早稲田大学:公式サイト