マーク式の問題が主体である。近年、早稲田商学部の数学は非常に難しく、英語がやや難しく、国語と地歴公民は平易という傾向が定着している。尚、早稲田商学部の学生は、4年間早稲田キャンパスで過ごすことになる。

 2021年より受験方式は

  • 地歴・公民型
  • 数学型
  • 英語4技能テスト利用型

の合計3つの方式に変わった。文学部及び文化構想学部と違い異なる受験方式での併願は不可能であり、それぞれに応じた定員が設けられている。合格者数は地歴公民型で約700人、数学型で400人、英語4技能テスト利用型で70人程度である。受験方式が分離したことにより合格者数が減ったと思われるが、実際は従来の地歴・公民と数学選択者の混合受験での合格者数を考慮した定員と予想され、逆に実質的に合格者数は増加したとまで言われている。

 地歴・公民型では、英語の配点は80点、国語の配点が60点、地歴の配点が60点の「合計200点満点」である。合格最低点は62〜65%程度である。近年英語の平均が5割を超え、国語が6割程度で日本史が世界史よりも平均点が高くなっているため、標準化を考慮すると目標の素点は140後半〜150ほどとやや高得点勝負となっている。

 数学型では、英語と数学と国語の配点が全て60点、60点、60点の「合計180点満点」である。初年度の合格最低点は107.6/180と約60%ほどであった。数学の難易度は高くほぼ一定なため、大体この程度の合格最低点に今後もなると予想される。また早稲田商学部の数学は非常に難易度が高くこの方式では東大や一橋を志望している上位国立文系志望の受験生の併願や東大理系、医学部志望といった理系の受験生も受験可能なため受験者のレベルは高いと思われる。

 英語4技能テスト利用型では、英検準1級以上またはTOEFL iBTで72点以上で出願可能である。英検の場合準1級で加点0点、1級で5点、TOEFL iBTの場合72〜94点で加点0点、95点以上で5点となっている。4技能テスト5点、その他は地歴・公民型と同じ配点で合計205点満点である。初年度の合格最低点は120.05/205と地歴・公民型よりも10点ほど低い数値となった。加えて倍率も低かったが文学部及び文化構想学部での4技能検定利用型方式導入の初年度も同様に合格最低点が低かったため今後どうなるかはまだ不明である。

一般入試 編集

英語(90分/80点)

 500語程度の長文が4問、そして会話文が大問1で毎年必ず出題されている。したがって、口語表現の対策にも時間を割くべきである。長文4題のうち例年1つか2つは抽象度の高い難しい英文が出題される。比較的簡単な長文を早く終わらせて難しい大問に時間をかけたい。かつて英文和訳や和文英訳が出題されていたが近年は姿を消しつつある。英文和訳、和文英訳など設問の形式問わず、記述式の設問は配点が高いと予想されているため、白紙解答は避けたい。

 早稲田商学部の英語は難語の同義選択、単語の穴埋め、前置詞の穴埋め、整序、内容一致、TF問題、文の同義選択、指示語の内容など1個の大問でやることはかなり多い。特に内容一致では一見設問の文章を読むと本文で述べられた内容と違うところがないように思えてしまうが、丁寧に読むと述べられていなかったり、本文に記述があるものの設問で聞かれている因果関係としてはおかしいなど、設問の作り方が他学部と比べて非常に巧妙である。このような問題は過去問で慣れておく必要がある。

 和文英訳では、難しい構文等を使おうとせず確実に得点できる平易な文を書くこと。和文英訳やマークとは対照的に、英文和訳の難易度は平易なため、確実に得点できるよう構文の参考書の例題を和訳するなどして対策する必要がある。

 なお、受験者平均得点は例年40点前後であるため、問題はやや難しめである。合格に必要な素点の目安は7割弱であり、8割取れた場合はかなりアドバンテージになる。

国語(60分/60点)

 難化した年を除けば現代文に関しては比較的平易な問題(センター試験や共通テストよりも簡単)で、基本的な学習で対応する事が出来る。但し、やや高得点勝負である(合格に必要な素点の目安は、例年だと7割前半〜75%。2016年だけは、平均点が25点程度であり非常に難しかった分、低得点の勝負となった。)。また、2006年の試験から現古融合問題が姿を消し、純粋な古文が出題された。漢文の知識を問う問題も出題された。そのため、問題難易度や出題傾向の変化に左右されない実力を付けておきたい。

 現代文は本文の一部が消えていて、文脈に合うように10字程度で自分で内容を予想して書くという商学部特有の設問がある。この設問はさほど難しくないが過去問で慣れておく必要がある。英語の記述式の設問同様、国語の記述式の設問も配点が高いと予想されているため、白紙解答は避けたい。現代文は平易で差がつかないため、古文と漢文で差がつくと言って良いだろう。難度の高い問題が出題されることも現代文より多く、対策してきた人としてない人で差がつきやすい。

 古文対策として、古典単語、古典常識、文法(助動詞、敬語、識別、接続条件等)を完璧にしておきたい。08年度入試では漢文の知識を問う問題は見られなかった。演習として、本学部以外に問題のレベルや設問形式が近い社会科学部や人間科学部の問題が有用である。

日本史(60分/60点)

 概ね出題される問題は標準的な問題が多い。しかし商学部の日本史の難しさは総合的なところにある。問題数が多く時間が厳しい、2つ選べという形式が中心になる大問の存在、近代の経済史、短文論述等、1問1問は難しくないが総合的に難しい。2018年以降は難易度が平易であり、その代わりにやや高得点勝負となっている(合格に必要となる素点は75〜79%程度)。問題数が早大の中で1番多く時間が厳しいため、素早く解く練習が必要である。かつては「適当なものがなければ6をマークせよ」という人間科学部に見られる受験生を悩ませる設問が存在したが近年は姿を消している。

 大問1〜4が全てマーク式、大問5がマーク式と記述式の混合、大問6がマーク式と記述式の混合に加えて短文論述が出題される。大問1〜5は各大問につき設問が10個、大問6は論述抜きで設問が8個で安定している。全体の配点と設問数を考慮するとマークと記述で58点分、論述の配点は2点程度と推測されるため論述はあまり差が付かない。そのため、論述の対策は最低限で良い。その代わりに、大部分を占めるマークの問題を取りこぼさないように、盤石な得点力を付けておくべきである。

 大問2、3では主に史料問題が出題される。有名史料の場合は時間をかけずに素早く解きたいが、未見史料の場合、穴埋めや読解も出題されるため時間がかかる。教育学部の問題と似ているため対策に使うことができる。大問4の近代史ではほとんどの設問が2つ選べという形式であり本学部の中では1番差のつく大問であるため丁寧な学習が必要とされる。この形式は社会科学部の問題を対策に使うことができる。大問5は近代の経済史が出題され、松方財政や産業の構造といった経済の仕組みを問う問題が出題される。近年は大問6の戦後史で極めて難度の高い問題が出題されるため、対策は必須である。

 大問6つのうち4つは近世以降の出題であるため、江戸時代以降を苦手とする受験生は苦戦を強いられる。また、戦後史の大問が毎年必ず1つ出題される。そのため、現役生は学習が間に合わないことが無いように気をつけたい。

世界史(60分/60点)

 2010年以降は難易度が標準であり、近年は日本史よりも平均点が低い。(合格に必要となる素点は70〜75%)。 出題内容は古代から近現代まで幅広く、出題地域は、欧州、北米、南米、中国、東南アジアなど、世界中のどの国、地域からも出題される。高校で使われる世界史教科書の全ての範囲である。  大問1~3はマーク式の正誤問題が中心で、大問4は文中の空欄にあてはまる語句を記述する問題であるが、最後の問題は、文中にある単語または事件について説明する100字論述がある(2007年度は150字)。また、その最後の論述問題の近年の傾向は、1900年代後半に起きた事柄について説明を求める問題がよく出題され、難易度も高い(例、2019年の「プラザ合意」、2016年の「アメリカと中国の国交正常化の背景」、2014年の「ECSCの発足と独仏の関係」)。近現代の分野については、多くの受験生が学校の世界史の授業でやりきれてないケースが多い。そのため、受験生は、世界史だけでなく、世界史とつながりのある時事問題、経済問題にも注意を払って対策をするべきである。近年の早稲田商学部の世界史はやや高得点勝負で、且つ日本史に比べて論述の字数も配点も高いため、日本史と異なり、論述対策がある程度必要である。とはいえ、全体の配点に占める論述のウェイトは高くないため、論述で半分程度の得点力を付けたら、後は大部分を占めるマークの問題で確実に得点を稼いでいく方法で臨むべきである。

政治経済(60分/60点)

  問題難易度が乱高下しており、難化した年と易化した年の差が激しいため、問題難易度に振り回されない実力が必要である。 入試の形式は、マーク式、記述式の問題が中心であり、政治分野、経済分野から幅広く出題される。2017年にはイギリスEU離脱問題、マックス・ウェーバーに関する問題、2018年には、ヘッジファンドに関する問題、2019年には、ウィリアム・ノードハウスとポール・ローマーがノーベル経済学賞を受賞した理由、などが出た。 また、早稲田商学部の政治経済の入試では、大学の授業で習うような経済学の計算問題が遠慮なく出題される。2019年では、アイドルのチケット販売を題材にした経済学の問題が、2018年では、市場メカニズムについての経済学の問題が出た。これらは、大卒を対象にした公務員試験によく出題されそうな問題であり、一般の大学経済学部に通う大学生でも解くのは難しい問題である。それらの問題を、一般の受験生たちが入試で解くのは大変なことである。もし時間的余裕があるなら、一般の「政治経済」の参考書・問題集だけでなく、大学の授業で使われている「経済学」(マクロ経済学、ミクロ経済学)の教科書を買って、独自に勉強するべきである。  時事問題についての対策は当然必要である。受験生は日頃から最新のニュース、新聞記事をよく読んで政治問題、経済問題を勉強していくべきである。また、、高校の授業で使う「政治経済用語集」(山川出版社)だけでなく、書店で売られてる時事問題を集めた本・参考書を買って独自に勉強するべきである。早稲田商学部の問題は基本問題から発展問題まで幅広く作られている。試験前1週間で時事問題を詰め込んで簡単に解けるような問題は出ない。受験生は、早いうちから、政治経済の勉強をスタートして、高校で習う教科書レベルの基本問題から、大学で習う内容まで広く勉強するべきである。10、11月から読み物感覚で時事問題をまとめた参考書を何周か読み、センター試験終了翌日から1週間で時事問題を総ざらいし、その後は模試の復習等で基本的な問題を1問たりとも落とさないようにすることが合格の最善策である。

数学(90分/60点)

 90分3題で、大問1に答のみを求める小問集合、2と3は記述解答を求めるという構成である。例年、数的思考力を要求する捻られた問題が多い。早稲田商学部の数学は文系数学の中で最高レベルの難易度を誇り、東大を超えた日本一難しい数学の入試などとも言われている。問題の中身は、どの参考書にも載っていないような「新種の数学問題」が遠慮なく毎年出題され、この飛び抜けた数学の難問に多くの受験生は解くのに苦戦し、予備校講師も頭を悩ます程である。例年、大問1の小問集合では、医学部や旧帝大の理系と言った最難関大学の大問で出題されてもおかしくない水準の問題が出題されることがある。また数学Ⅲを履修していると有利になる問題が近年出題されているので、理系の受験生で早稲田商学部を受験するケースもある。参考書としては、「チャート式基礎からの数学 青」と言った基礎の問題集をまず完成させることを薦める。この問題集の基本例題及び重要例題を全て解けるようになって欲しい。この問題集を完成させた後は「文系数学のプラチカ」といったより上のレベルの問題集を解くことを薦める。そして過去問をまずは時間を無制限に設定して、じっくりと考えて解く練習をしたい。時間的余裕があれば「赤チャート」をやるのもいいだろう。

 ちなみに、例年記述問題として出題される数列や整数問題は、多くの受験生が解けない問題である。平均点が非常に低く、成績標準化(得点調整)で得点がかなり上がりやすいため、難しいと判断した設問は潔く捨て、取れる問題を確実に取り、少しずつ素点を積み重ねる戦略がベストである。入試は相対評価であるため、満点を目指す競技ではなく、あくまでも合格点を目指す競技であることを忘れてはならない。合格に必要な素点の目安は2割弱〜3割程度である。

大学入試共通テスト利用入試 編集

早稲田大学商学部では実施されていない。