比較的平易な地歴科目と数学で確実に得点をして周囲に差をつけられないようにし、比較的難しめな英語と国語のうち捨て問以外の問題で得点をかき集めることになる。選択科目を除き、基本的に難問中心の低得点勝負であるため、設問の取捨選択能力が非常に重要である。難解な設問に時間を取られて、本来は取れる問題を取りこぼすことが最も手痛い失敗である。このような失敗を避けるために、過去問演習を十分にこなしておきたい。また、これは詳しく後述するが、減点されやすく且つ配点が低い自由英作文や国語記述に関しては、対策や解答時間を最小限にして、それらを極力(出題の大部分を占める)マーク式の問題に集中させるべきである。費用対効果の高い部分にリソースを集中投資するのが、最もリターンの大きい手法である。

一般入試

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英語(90分/60点)

 比較的長い長文読解が出題されている。例年大問1及び2はそれぞれ1000語程度の長文読解問題が出題される。本文は硬質であり、難易度は高い。パラグラフ毎の展開及び大意をつかむ練習をしてみよう。設問は一致するものを選ぶものと一致しないものを選ぶものが混じっているなど、読み飛ばすと失敗につながるため、指示を正確に読み解くことが必要である。文章が長いので、過去問でどこを精読し、自分なりの解答法を得ることが重要である。

 大問3及び4は変動もあるが、文法単独問題が出題される。比較的平易な問題が多いため、ミスは無いようにしたい。

 全体の配点と設問数を考慮すると、自由英作文の配点はあまり高くなく(6点〜8点)、差がつきにくいと推測される。そのため、自由英作文の対策は最低限に留め、大部分を占めるマークの問題の得点力を固めるのを優先してほしい。早稲田法学部の英語は比較的低得点勝負であるため、マークで少し稼いで自由英作文で耐える戦略を勧める。

国語(90分/50点)

 法学部の現代文は、本文の抽象度が高いのが特徴。一般の受験生にしてみれば、本文を読解するだけで骨が折れるような重厚な文が使われる。本文の一字一句を正確に理解しようとしても疲れるだけである。設問を基準に本文を鳥瞰すれば内容把握が容易になり、解答の正確性やスピードもアップするであろう。難しく感じるときは一度論旨を要約し、選択肢を吟味すると良い。

 現代文を先に解く人が多いが、時間配分を考えると古文の方を先に解く事を勧めたい。古文は現代文に比べると得点しやすい作りになっている。古文対策として、古典単語、古典常識、文法(助動詞、敬語、識別、接続条件等)を完璧にしておきたい。

 大問(1)では古文+その文に関係のある漢文の出題が含まれるという形が定着している。数年前までは歌論など評論の出題が目立っていたが、ここ最近は随筆・日記・説話など幅広いジャンルから出題されている。和歌についての出題も見られるので、対策しておきたい。古文では『源氏物語』・『十訓抄』・『宇治拾遺物語』、漢文では『蒙求』・『長恨歌』など著名な作品からの出題が多い。問題のレベルも比較的平易であったが、漢文については近年は長文化傾向にある。それでも現代文に比べれば平易であるので、なるべく早く正確に解答して現代文に少しでも多く時間を回せるようにしたい。

 大問(2)・(3)では現代文が出題される。かつては芸術論や仮面論などとても抽象的で読みにくい文章が多かったが、近年では近・現代の社会問題をとりあげ、その問題について根源的に追求・考察する文章や、人が無意識に行っている思考や認識について再認識させるような文章に出題がシフトしている。 設問は傍線部説明問題が極めて多い。〈筆者の言いたいことが何かがわかっているか〉を問う問題がほとんどであるため、その傍線の周辺だけをあたれば答えが選べると思っている受験生には非常に手強い設問が含まれている。このような設問を解答するには、全体の要旨を意識して本文を読むことが必要である。これは最後に出題される難解な記述問題でも同様である。ただ、全体の配点や設問数を考慮すると、記述問題の配点はかなり低いと推測される。つまり、記述問題はほぼ差が付かないため、記述の対策は最小限にして、大部分を占めるマークの問題の得点力を固める対策に集中したい。また、早稲田法学部の国語は比較的低得点勝負であるため、難しいと判断した設問は潔く捨て、取れる問題を確実に取り、少しずつ素点を積み重ねる戦略がベストである。柔軟な取捨選択能力を身に付けておきたい。入試は相対評価であるため、満点を目指す競技ではなく、あくまでも合格点を目指す競技であることを忘れてはならない。合格に必要な素点の目安は6割強である。

日本史(60分/40点)

 4題中、近現代史から2題が出題され、近現代史に重点を置いた学習が求められる。中でも、戦後史の比率が比較的高く、出題分野は公害史から汚職史、外交史など多岐に渡る。戦後史は難度の高い問題が出題されることが多いため、現役生は学習が戦後史まで間に合うように注意すべきである。

 平易な問題が中心であり、やや高得点勝負である(合格に必要な素点の目安は7割強)ため、それらを取りこぼさずに確実に得点することが重要である。他学部に比べると用語記述が多いため、日頃から歴史用語を正しい漢字で書けるよう練習をしておきたい。難度が高い設問は過去問と類似の出題が多く見られるため、過去問をしっかり対策することで差がつく。大学関係者についての出題も頻出であるので、大隈重信や小野梓、石橋湛山など、過去に出題されたことがある大学縁の人物についても抑えておきたい。個人の日記を中心とした史料問題の出題も非常に多いため、日頃から歴史史料にも目を通しながら学習する習慣を身につけておきたい。

また他学部と比べると、正誤の「荒さ、曖昧さ」が目立つため、過去問演習ではそういった設問にも触れておきたい。

世界史(60分/40点)

  西洋史、東洋史満遍なく出題される。西洋史については近世以降を中心とした出題である。東洋史は中国の前近代については毎年出題されると考えてよい。

 例年250字の論述問題が出題されており、論述対策が求められる。記述する字数が多い分減点されやすいため、論述で稼ぐ戦略は避けた方が良いだろう。ある程度の対策をして半分程度得点できる力を付けたら、あとは大部分を占めるマークの問題の得点力を固めるのを優先してほしい。ちなみに、マーク式の問題は平易であるものの、論述で減点される分を稼ぐ必要があるため、高得点勝負故にミスが許されない。

政治経済(60分/40点)

 2018年までの問題は平易だったが、2019年以降の問題難易度は標準レベルとなっている。

 2008年度で出題された「民法」に関するような問題は、一般の受験生が解けるものを理解・暗記し、それ以外は特別な対策をする必要はない。ただ08年の民法に絡んだ問題は、その前年にいわゆる「300日ルール問題」と「無戸籍児問題」としてマスコミが大きく報道した内容であるので、新聞等を普段から読んでいる受験生ならば容易に回答できたであろう。それでも結局は、合格ラインに達するためには、基礎力が重要だということである。

 例年100字程度の論述があるため、忘れずに対策しておきたい。ある程度の対策をして半分程度得点できる力を付けたら、あとは大部分を占めるマークの問題の得点力を固めるのを優先してほしい。

数学(40点)

 数学は大学入試センター試験の「数学I・数学A」「数学II・数学B」の得点を調整して、選択科目の得点として利用される。センター試験対策がそのまま選択科目の対策に繋がるため、国立大学受験生にとっては非常に有利な入試形態となっている。合格に必要な素点の目安は9割弱であるため、ミスが許されない高得点勝負となっている。

大学入試共通テスト利用入試

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5教科6科目(800点満点)で、合格するには9割弱の得点が必要である。数学が苦手な受験生には、比較的問題難易度の高い数学IIB以外の6科目で得点をかき集める戦略を勧める。