民事訴訟法第261条
条文
編集(訴えの取下げ)
- 第261条
- 訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
- 訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。
- 訴えの取下げは、書面でしなければならない。
- 前項の規定にかかわらず、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)において訴えの取下げをするときは、口頭ですることを妨げない。この場合において、裁判所書記官は、その期日の電子調書に訴えの取下げがされた旨を記録しなければならない。
- 第2項本文の場合において、訴えの取下げが書面でされたときはその書面を、訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされたとき(相手方がその期日に出頭したときを除く。)は前項の規定により訴えの取下げがされた旨が記録された電子調書を相手方に送達しなければならない。
- 訴えの取下げの書面の送達を受けた日から2週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす。訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは訴えの取下げがあった日から、相手方がその期日に出頭しなかったときは前項の規定による送達があった日から2週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。
改正経緯
編集2022年改正により、以下のとおり改正。
- 第3項、以下の但書を削除。
- ただし、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)においては、口頭ですることを妨げない。
- 第4項を新設。
- 旧第4項を第5項に繰下げ、以下のとおり改正。
- (改正前)その期日の調書の謄本を
- (改正後)前項の規定により訴えの取下げがされた旨が記録された電子調書を
- 旧第5項を第6項に繰下げ、以下のとおり改正。
- (改正前)前項の謄本の送達があった日から
- (改正後)前項の規定による送達があった日から
解説
編集参照条文
編集判例
編集- 約束手形金請求(最高裁判決昭和37年4月6日)旧・民事訴訟法第236条(現本条)
- 訴の取下に対する同意の拒絶とその撤回の可否
- 訴の取下に対し同意を拒絶したときは、訴の取下は無効と確定し、その後右拒絶を撤回し更めて同意をしても、右訴の取下は効力を生じない。
- 建物所有権確認、建物保存登記抹消請求(最高裁判決昭和44年10月17日)旧・民事訴訟法第236条,旧・民事訴訟法第225条(現・民事訴訟法第134条)
- 合意成立後、原告が欠席した事案
- 裁判外の訴取下の合意の効力
- 裁判外で訴取下の合意が成立した場合には、権利保護の利益を喪失したものとして、訴を却下すべきである。
- 認知請求(最高裁判決昭和46年6月25日)旧・民事訴訟法第236条,旧・民事訴訟法第420条(現・民事訴訟法第338条)
- 刑事上罰すべき他人の行為によつてなされた訴の取下の効力
- 詐欺脅迫等明らかに刑事上罰すべき他人の行為によつてなされた訴の取下は、民訴法420条1項5号の法意に照らし、無効と解すべきである。
- 旧・民事訴訟法第420条第1項
- 左ノ場合ニ於テハ確定ノ終局判決ニ対シ再審ノ訴ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得但シ当事者カ上訴ニ依リ其ノ事由ヲ主張シタルトキ又ハ之ヲ知リテ主張セサリシトキハ此ノ限ニ在ラス
- 五 刑事上罰スヘキ他人ノ行為ニ因リ自白ヲ為スニ至リタルトキ又ハ判決ニ影響ヲ及ホスヘキ攻撃若ハ防禦ノ方法ヲ提出スルコトヲ妨ケラレタルトキ
- →民事訴訟法第338条第1項
- 次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
- 五 刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。
- 次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
- 左ノ場合ニ於テハ確定ノ終局判決ニ対シ再審ノ訴ヲ以テ不服ヲ申立ツルコトヲ得但シ当事者カ上訴ニ依リ其ノ事由ヲ主張シタルトキ又ハ之ヲ知リテ主張セサリシトキハ此ノ限ニ在ラス
- 旧・民事訴訟法第420条第1項
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