「高等学校商業 経済活動と法/法の分類」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
個人的意見は不要なので除去
査読(途中まで)
1 行
== 成分法と不文法 ==
法律には、条文として表されている'''成文法'''(せいぶんほう)と、条文には なっていない'''不文法'''(ふぶんほう)がある。
中学校までに習ってきた、日本国の憲法は、条文があるので、成文法である。そのほか、日本国の民法や刑法も、成文法である。
 
中学校までに習ってきた[[日本国憲法]]条文があるので成文法である。そのほか、日本国の民法や刑法も成文法である。
しかし、実際の裁判などでは、公序良俗にもとづく慣習なども重視する。このように、裁判などに影響を与える慣習もあり、公序良俗にもとづくなどの正当な慣習が場合によっては法律と同等の効力を持つ場合があるので、このように法律と同等の効力もつ慣習を'''不文法'''(ふぶんほう)という。
 
しかし、実際の裁判などでは、公序良俗にもとづく慣習なども重視する。このように、裁判などに影響を与える慣習もあり、公序良俗にもとづくなどの正当な慣習が場合によっては法律と同等の効力を持つ場合があるので、このように法律と同等の効力もつ慣習を'''不文法'''(ふぶんほう)という。
不文法のうち、その正当性の根拠が世間一般での慣習によるものを、'''慣習法'''(かんしゅうほう)という。
 
不文法のうち、その正当性の根拠が世間一般での慣習によるものを'''慣習法'''(かんしゅうほう)という。
一方、裁判においては、過去の判決が、今後の判決を予想するさいの参考になる。過去の裁判の判決が先例になったものを'''判例'''(はんれい)という。ある種類の事件の裁判において、似たような結果の判決が繰り返された結果、今後の同様の事件の裁判でも、同じような判決が出るだろうと予測されるので、判例がしだいに同じ内容に定まってくるので、こうして、あたかも法律的な効力をもつにいたったものを'''判例法'''(はんれいほう)という。
 
一方、裁判においては過去の判決が今後の判決を予想するさいの参考になる。過去の裁判の判決が先例になったものを'''判例'''(はんれい)という。ある種類の事件の裁判において、似たような結果の判決が繰り返された結果、今後の同様の事件の裁判でも同じような判決が出るだろうと予測されるで、判例が(当然ながら)しだいに同じ内容に定まってくるので、のよして、あたかも法律的な効力をもつにいたったものを'''判例法'''(はんれいほう)という。
とはいえ、成文法と判例法となら、一般的に日本の裁判では、成文法が優先する。なぜなら日本国憲法にあるように、裁判官は憲法と法律にのみ拘束(こうそく)されるからである。(憲法76条)
 
とはいえ、成文法と判例法となら、一般的に日本の裁判では成文法が優先される。なぜなら日本国憲法にあるように裁判官は憲法と法律にのみ拘束(こうそく)されるからである。([[日本国憲法#76条|憲法76条]]
なお、ドイツとフランスが、成文法を重視する国である。(※参考文献: 有斐閣『法律学入門 第3版増補訂』、佐藤幸治ほか、166ページ、)いっぽう、イギリスは、判例法を重視する国である。(※参考文献: 慶應義塾大学出版会『法学概論』、編: 霞信彦、72ページ、)
 
なお、ドイツとフランスが成文法を重視する国である。(※参考文献: 有斐閣『法律学入門 第3版増補訂』、佐藤幸治ほか、166ページ、)いっぽう、イギリスは判例法を重視する国である。(※参考文献: 慶應義塾大学出版会『法学概論』、編: 霞信彦、72ページ、)なお、ドイツとフランス以外にも成文法を重視する国家は存在するし、イギリス以外にも判例法を重視する国家も存在する。
また、ある事件の一審と二審において、かりに一審と二審が同じ内容の判決を下しても、最高裁判所では一審・二審とは異なる判決を下しても構わない。
 
また、ある事件の一審と二審において、かりに一審と二審が同じ内容の判決を下しても、最高裁判所では一審・二審とは異なる判決を下しても構わない。
なお、刑法では罪刑法定主義(ざいけい ほうていしゅぎ)の原則があるため、ほかの法律よりも不文法の影響力が弱いとされる。(※参考文献: 慶應義塾大学出版会『法学概論』、編: 霞信彦、72ページ、)(しかし、刑事訴訟での判例もまた、今後の刑事訴訟に影響を及ぼすので、その点では慣習法(判例法も慣習法であり、不文法である)の影響を受けているだろう。(推測) )
 
なお、刑法では罪刑法定主義(ざいけい ほうていしゅぎ)の原則があるため、ほかの法律よりも不文法の影響力が弱いとされる。(※参考文献: 慶應義塾大学出版会『法学概論』、編: 霞信彦、72ページ、)(しかし、刑事訴訟での判例もまた、今後の刑事訴訟に影響を及ぼすのでその点では慣習法(判例法も慣習法であり不文法である)の影響を受けているだろう'''(推測)'''
いっぽう、民法や商法では、慣習もまた重視される。
たとえば民法第92条では、「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」(民92)と規定されている。
つまり、民法では、慣習が成文法と異なる場合でも、契約の当事者がその慣習に従って判断し契約したと思われるのが妥当なら、慣習が成文法に優先するのである。
 
いっぽう、民法や商法では慣習もまた重視される。たとえば民法第92条では、「法令中の公の秩序に関しない規定と異なる慣習がある場合において、法律行為の当事者がその慣習による意思を有しているものと認められるときは、その慣習に従う。」([[民法第92条]])と規定されている。つまり、民法では慣習が成文法と異なる場合でも、契約の当事者がその慣習に従って判断し契約した、と思われるのが妥当であれば慣習が成文法に優先するのである。また、[[商法第1条|商法第1条2項]]でも、「商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の定めるところによる。」と規定されている。前半部の「この法律に定めがない事項については商慣習に従い、」にあるように商慣習が成文法に優先する。
前半部の「この法律に定めがない事項については商慣習に従い、」よあるように、つまり、商慣習が成文法に優先する。
 
民法・商法以外のその他の法律では一般的に成文法が慣習に優先する。(法の適用に関する通則法 3)
 
 
== 一般法と特別法 ==
日本の法律では、個人どうしの契約や貸し借りなどについては民法が扱う。いっぽう、商法は商事に関する契約や貸し借りなどを扱っている。つまり、商法と民法の対象は部分的に重なっている。
 
もし、同じことがらについて民法と商法とでは違った結果になる内容が書かれている場合、商事に関しては商法が適用される。
つまり、商法と民法の対象は、部分的に重なっている。
 
もし、同じことがらについて、民法と商法とで違った結果適用対象が商事なる内容が書か限定されて場合その適用対象(すなわち商事に関しては商法が適用優先されるのである。
 
商事に関しては、民法は'''一般法'''というものに分類される。いっぽう商法は'''特別法'''というものに分類される。
商法は適用対象が商事に限定されてるぶん、その適用対象(つまり商事)に関しては商法が優先されるのである。
 
商事に関しては、民法は'''一般法'''というものに分類され、いっぽう商法は'''特別法'''というものに分類される。
 
そして、特別法と一般法に同じ規定があるとき、特別法は一般法に優先する。(「'''特別法優先主義'''」という。)
 
アパートを借りる時は一般法である民法の規定に対して、特別法である「借地借家法」(しゃくちしゃくやほう)の規定が優先する。
 
{{コラム|※ 範囲外: どの法律が特別法であるかはどうやって決まるのか?|
ある法律Aがその分野の別のある法律Bに対して、一般法であるか特別法であるかは、どちらの法律の条文を読んでも書かれていない場合がほとんどである。たとえば、民法の条文を読んでも、民事保全法(みんじ ほぜんほう)や民事執行法(みんじ しっこうほう)との関係は民法には書かれてない。けっして、(次のような内容の条文は'''無い''' →)「この民法は、強制執行に関する特別法として民事執行法(みんじ しっこうほう)および民事保全法(みんじ ほぜんほう)をもち、」(←このような条文は'''無い''')とかなんて、いっさい書かれてないのである。
 
同様に、特別法の側の条文を読んでも、条文にはまったくその(特別法の側の)法律がどの一般法に対しての特別法であるかは、いっさい書かれていない'''場合が多い'''
 
実際に、民事執行法の条文の第1章の『総則』(そうそく)である第1条から第21条を読んでも、2017年の時点ではけっして(次のような条文は'''無い''' →)「この民事執行法は、一般法として民法をもつ」(←このような条文は'''無い''')とかなんて、いっさい書かれてないのである。
 
なので、どの法律がある法律Aに対して特別法であるか一般法であるかは、覚える必要がある。しかし、丸暗記をする必要はなく、たいていは民事法の教科書を読めば、文脈から分かるようになっており、読んでいるうちに自然に覚えられるようになっている。