「解析学基礎/極限」の版間の差分

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:この 2 つの病的なグラフの例は重要です。そっくりな例でも結果は逆なのです。 有理数と有理数の間には必ず無理数があり、無理数と無理数の間には必ず有理数があるのでグラフを描こうとしても有理数と無理数の区別を付けられず、 y=g(x) のグラフなどは、視覚的に表現するとすれば y=2 というグラフと y=0 というグラフを合わせたものにせざるを得ません。
 
==極限を求めるための道具==
===はさみうちの原理===
:<math>f(x) \le g(x) \le h(x) </math>
を満たす関数、f(x), g(x), h(x) があり、x を c に近付けた時に f(x) と h(x) の極限が存在し
:<math>\lim_{x \rightarrow c} f(x) = \lim_{x \rightarrow c} h(x) = \alpha </math>
であれば、 g(x) の極限も存在し
:<math> \lim_{x \rightarrow c} g(x) = \alpha </math>
となります。これを'''はさみうちの原理'''といいます。これはいろいろな場面で使われます。
 
===はさみうちの原理の使用例===
[[画像:Harami sinx.jpg|right|350px|三角形と円弧]]
右図の三角形ABCにおいて∠ACBが直角とします。 AC=AE=1とし、C から E まで円弧が描かれています。
E から AC に降ろした垂線の足が D です。
∠BAC の大きさを x とします。(弧度法で単位はラジアンです。x は正であることに注意してください。)
 
すると、ED = sin(x) 、 BC = tan(x) です。面積を比べると
:△EAC &lt; 扇形 ACE &lt; △ABC
ですから
:<math>\frac{\sin(x)}{2} < \frac{x}{2} < \frac{\tan(x)}{2} </math>
という不等式が得られます。これを整理して
:<math>\cos(x) < \frac{\sin(x)}{x} < 1 </math>
いま、 0<x< &pi;/2 ですが、この不等式の左辺と中辺は偶関数なので、この不等式は &minus;&pi;/2 < x <0でも成り立つとわかります。即ち、 0<|x|<&pi;/2という区間でこの不等式を考えます。
 
ここで、x &rarr; 0 とすると、
:<math>\lim_{x \rightarrow 0} \cos(x) = 1 </math>
なので、はさみうちの原理より
:<math>\lim_{x \rightarrow 0} \frac{\sin(x)}{x} = 1 </math>
となります。
 
はさみうちの原理自体とても便利な道具ですが、この sin(x) と x の比が 1 に収束するという事実もとても役に立つ道具になります。
 
===はさみうちの原理の証明===
:<math>\lim_{x \rightarrow c} f(x) = \lim_{x \rightarrow c} h(x) = \alpha </math>
という条件から、任意の &epsilon; に対して、ある &delta;<sub>1</sub> 、 &delta;<sub>2</sub> が存在して、
:0<|x-c|<&delta;<sub>1</sub> ならば、 |f(x)-&alpha;|<&epsilon;
:0<|x-c|<&delta;<sub>2</sub> ならば、 |h(x)-&alpha;|<&epsilon;
となります。&delta;<sub>1</sub> 、 &delta;<sub>2</sub>のうち小さい方(等しければその値)を &delta;とします。
:0<|x&minus;c|<&delta;
ならば
 
: f(x)&minus;&alpha; < g(x)&minus;&alpha; < h(x)&minus;&alpha;
: &minus;&epsilon; < f(x)&minus;&alpha; < &epsilon;
: &minus;&epsilon; < h(x)&minus;&alpha; < &epsilon;
であることから
 
:&minus;&epsilon; < f(x)&minus;&alpha; < g(x)&minus;&alpha; < h(x)&minus;&alpha; < &epsilon;
となり、
:|g(x)-&alpha;|<&epsilon;
が言えました。つまり、g(x) も &alpha;に収束します。
 
==無限大 &infin; について==