「政治学概論」の版間の差分

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==== 政治的共同体の基盤 ====
 
[[ファイル:Benedict Anderson.jpg|thumb|right|150px|ベネディクト・アンダーソン(1936年生)はアメリカの政治学者である。中国で生まれ、アメリカのカリフォルニアで育ち、後にイギリスへ移ってそこで高等教育を受けている。コーネル大学で博士号を取得し、同大学で政治学を教えるようになった。東南アジア地域、特にインドネシアの政治研究を専門としているだけでなく、近代以後のナショナリズムについての研究で業績を残しており、出版資本主義、公定ナショナリズムなどの概念を提示した。著作には『想像の共同体』、『言葉と権力』などがある。]]
国民には民族としての文化的なアイデンティティよりもむしろ市民の忠誠や政治的な団体性を強調することが含意されている場合がある。ルソーの議論はこのような近代的な意味での国民、ナショナリズムを論じた初期の思想家であり、フランス革命のナショナリズム運動に影響を与えた人民主権と一般意志の概念を提唱した。ルソーは貴族的な政治体制を批判する上で政府が人民の一般意志に立脚しなければならないことを主張した。フランス革命によって形成されたナショナリズム運動はフランス国民という近代的な観念として結実することになる。これはヘルダーなどが想定していたような民族的な共同体ではなく、政治的な共同体としての国民であった。政治的共同体について歴史学的な観点からエリック・ホブズボウムは新しい伝統の創出に着目する。同時にホブズボウムは民族のような文化的共同体の延長として国民という政治的共同体を理解する立場を退ける。そしてナショナリズムを近代という時代に特有な現象、19世紀的な現象として理解する。当時の社会では国民国家の成立や公用語の制定、義務教育の導入による社会的な統合が進められていた。ナショナリズムとはこのような時代背景に基づいてもたらされたものであり、だからこそ国民という存在は近代より前には存在しなかったと考えられる。ベネディクト・アンダーソンの立場もこれに類似しており、国民を想像の共同体(imagined community)として理解しようとする。アンダーソンの着眼点は個々人が互いに知り合っている対面社会と近代的な国民が成立した社会の決定的な相違点として幅広い国民的アイデンティティが共有されていることにあった。国民が存在するということは個々人が直接的な体験によって知りうる人々とだけ社会的な一体感を持つのではなく、出版産業、マスメディア、教育を通じた社会化の過程によって、個々人が間接的にしか知りえない人々とも一体感を持つことを意味している。
 
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