「債権各論/賃貸借」の版間の差分

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=== 費用の負担 ===
賃貸人は賃借人に賃貸目的物を使用収益させなければならず、賃貸人が賃貸目的物の保存や管理に必要な費用を負担します。そこで、賃借人が必要を支出した場合には、賃借人は賃貸人からその償還を受けることができます。必要費の償還については、契約の終了を待つことなく、直ちに償還請求できます([[民法第608条|608条]]1項)。
 
賃借人が賃借物の価値を増加するために必要な費用(有益費)を支出した場合、賃貸人は賃貸借の終了時に、それを償還しなければなりません。この場合賃貸人は現実に支出された費用と増価額とのどちらを償還するかを選択することができます(608条2項本文による[[民法第196条|196条]]2項の準用)。また選択されない場合について、判例(大判明治35年2月22日民録8輯2巻93頁)は、相当の期間が経過しても選択されない場合には、低い額の方で有益費返還請求権が確定するものとしています。これに対して有益費償還債務を選択債務と構成して、[[民法第408条|408条]]によって賃借人は賃貸人に選択するよう催告でき、相当期間内に選択しない場合には賃借人が選択できると解する見解も主張されています。