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線形代数学を学ぶ意味編集

線形代数学は、多くの理工系の大学において必修とされている、数学の中でもとても重要な分野である。ここでは、線形代数学を学ぶ意味について述べる。

線形代数学とは、端的に言えば、「まっすぐなもの」を扱う方法を学ぶ分野である。「曲がったもの」の扱いは難しいが、「まっすぐなもの」については美しい理論ができあがっており、その理論に基づけば、簡単に正しく扱うことができる。

世の中にあるものの多くは「まっすぐ」ではないが、近似的には「まっすぐ」とみなすことができることはしばしばある。そのような場合、曲がったまま扱うのは難しくても、「まっすぐ」に近似した上で線形代数学の理論を適用すると簡単に扱えることがある。例えば、曲がったグラフに接線を引く微分操作は、このような扱いの代表例である。

線形代数学で学ぶ内容編集

上に書いたような「まっすぐなもの」の集合を線形空間と言う。また、線形空間から線形空間への「まっすぐな」写像を線形写像という。線形代数学の理論によると、多くの線形空間では、基底を取ることによって、元はベクトルで、線形写像は行列で表せることがわかっている。そこで、まずは行列の扱い方を学び、その基本を一通り習得した後、線形空間や線形写像についての一般論を学ぶ。その一般論を用いると、より高度な行列の扱い方を知ることができる。その中でもジョルダン標準形の理論は実用上も重要な理論である。

本書で用いる記号編集

定義0.0.1

「ものの集まり」を集合という。集合を構成するものをまたは要素という。a が集合Aの元であることを で表す。

以下、おもな集合を挙げる。本書では今後断りなしにこれらの記号を用いる。

定義0.0.2
  •   = {実数} ; 実数全体の集合。
  •   = {自然数} ; 自然数全体の集合。
  •   = {整数} ; 整数全体の集合。
  •   = {複素数} =   ; 複素数全体の集合。
  •   = {有理数} =   ; 有理数全体の集合。
  •   ; 任意の体。体というのは、四則演算に対して閉じている集合。本書では特に断りのない限り、 または とする。