聖書ヘブライ語入門/名詞文・主述統合・冠詞・名詞の型/名詞文
4.3 名詞文
文1 は טוֹב という単独の名詞から成る名詞句と,名詞 דָּבָר に冠詞 הַ が接頭した名詞句とによって,構成されている.
名詞句とは,一つ以上の名詞を主要成分とし, 文法的に名詞と同じ働きをする句である. 例えば,日本語の 花,美シイ花,サクラノ花, コノ春咲イタ花,花ト実 はみな名詞句である. さて,二つの名詞句が,現代日本語の 人ハ塵ダ のように助詞の助けを借りたり, 英語の The word is good. のようにいわゆる copula を介在させたりすることなしに,ただ 並置されるだけで一つの文を構成し得るということは, 珍しいことではなく,身近なところでは, 我々に漢文としておなじみの古代中国語で例えば 柳緑花紅(杜牧)と言われたり, 日本語でも「文語」では 秋深シ などと言う. しかし,これらの文の構文法と聖書ヘブライ語のそれとには, いくつかの相違がある.