英語学習の難しさとは何か 編集

英語は習得の難しい言語だと思う人は少なくないでしょう。しかし、一方で英語ほど簡単な言語は無いという非ネイティブスピーカーも少なくありません。では何が英語学習における難敵なのでしょうか。

明確な学習動機の欠如 編集

第一に、英語学習の動機は極めて大きな要素です。学習意欲無しに外国語は身に付きません。例えば、英語圏の北米においてさえ、フランス系住民や、メキシコ系など他国からの移民の中には自分達のコミュニティー内に留まり英語を学ぼうとしないものも少なくありません(アメリカ・カナダでは州によりフランス語やスペイン語も公用語、カナダケベック州ではフランス語のみが公用語)。まして完全に外国語として英語を学ぶ場合、単にそれが第一外国語であるから、あるいは受験や昇進等に必要だからというような理由だけでいわば仕方なく学ぼうといういう場合が多いのがまだまだ現状です。「努力不足」だけを責めるわけにはいきません。目標をはっきりさせ、どう学ぶか、よりも先に何のためにどれだけ学ぶか、を決める必要があります。

特有の音声リズム 編集

日本人であれば秋の虫の鳴き声に風情を感じ、アメリカ人であればストレスを感じる、という報告もあるそうです。音の感じ方が全く違うということです。アメリカ人には認識できる音域を、普通の日本人は認識することができない、これは特にリスニングにおいて大きな障害となります。

対策としては同じものを何度も聞き直すリスニングのトレーニングや、音に合わせて発音するシャドウイングをするのが効果的です。

なお、現代アメリカ英語は馴染みこそあれその音声は少々聞き取りにくい部類に入ります。むしろ、イギリス標準英語(クイーンズイングリッシュ、BBC英語)のアクセントの方が聞き取りやすいはずです。

発音とスペリング 編集

日本語話者のみにかかわらずほとんど全ての英語学習者にとって最大の難関はスペリングと発音です。つまり、個々のアルファベットがその組み合わせによって発音を変化させ、しばしば全く発音されないことさえあるのでスペリングから発音が容易に想像しにくいのです。しかも、その法則は全くないわけではありませんが、同様に文字の組み合わせによって発音の変化するフランス語やドイツ語などに比べてもなお不規則なのです。したがって、日本語のようにあいうえおさえ覚えてしまえば仮名文字のみで書かれた本であれば読める、というわけにはいきません。――それでも、日本語の漢字の読み方ほどには複雑怪奇ということはありませんが。とりわけこのスペルと発音は、アメリカ英語において特に顕著です。

英語特有の発音 編集

どの言語にも、その言語特有の発音があり、外国人には非常な難関となる場合があります。日本語であれば、『美容院』と『病院』の区別などです。

これは言語の相性によって異なり、例えば普通の日本人であれば日本語に元々無い音であるbとv、faとhaの区別はつく反面(表記もできます)、他の多くのヨーロッパ系言語を含めRとLの区別が発音・聞き取り共にほとんどできませんが、韓国人はかなり容易に区別することができます。一方、フランス人はhやth等の発音が非常に苦手で、よくからかわれる対象になっている(例えば、ハリーポッターに出てくるフランス人女性がハリーのことをアリーと呼んでいて揶揄されていました)。

母国語との発想の違い 編集

語順の違い 編集

特に日本人と韓国人は英語との語順の違いに苦しむあまり、無理やりその語順を並べ替えて理解しようとしがちです。その結果、常に母国語を介してしまい英語でものを考えることができなくなってしまうのです。リスニングが苦手な要因のもう一つです。

母国語に引っ張られる 編集

母国語で先にものを考えてそれを直訳してしまうと、意味が通らない場合がしばしばあります。例えば、(驚きのあまり)「頭が真っ白になってしまった」はMy head became white.ではありません。本当に頭が白くなるわけではありませんから。この場合I couldn't think about anything./I was able to think about nothing./My brain didn't work at all.などがベターでしょう。英語は特に、どこかで聞いたことのあるような馴染みのある単語が多い分、このような罠に引っかかりやすい傾向があります(発音もですが)。