ここでは近江弁の語尾で使われる表現(終助詞・間投助詞をひっくるめて文末詞と呼ぶことにします)を解説します。

~ほん

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主に湖北と湖東で使われ、関西のほかの方言にはない「これぞ近江弁」という表現ですが、若い世代ではほとんど使われなくなっています。頻度は低いですが、「~ほんな」と言うこともあります。次の二つの用法があります。

「きっと~(だ)よ」「~に違いない」
相手に何かを伝えたりアドバイスしたり質問に答えたりする際、内容に強い自信や確信がある場合に付けます。
昼から晴れるほん。 HHHH LLHLL
昼からきっと晴れるよ。
はよ病院行き。ほっといたら、いつまでも治らんほん。 LL HHHH HH. HHLLL, LLLHL HHHHLL
早く病院へ行きなさい。放っておいたら、いつまでも治らないぞ。
ほんなん嘘やほん。 HHLL LHLLL
そんなの嘘に決まってるよ。
行動の予告・意思表明
何かをする際、その影響を受ける人に対して「今から~するからね」と予告・宣言する場合に付けます。「~たろほん」(=~てあげよう)という形で使うことが多いです。
代わりに取ったろほん。 HHHH LLHLL
(棚から物を取りづらそうにしている人に対して)代わりに取ってあげよう。
ほな、ぼちぼち帰ろほん。 HL, HLLL HHHLL
じゃあ、そろそろ帰ろっと。(人の家を訪ねて長居したあと、その家の人に帰る意思を伝える場面)

~で

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相手に呼びかけたり注意したりする際に使われる、関西全般で共通する表現です。近江弁には接続助詞の「で」(=から)もありますが、発音が少し違います。

行くで。
HHL(最後のLは尻上がり気味)と発音すると「行くよ」、HHHまたはHHL(最後のLは下がりっぱなし)と発音すると「行くから」という意味になります。

~わ

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相手に自分の考えや事情を伝える際に使われる、関西全般で共通する表現です。「です」「ます」にも付けます。

行くわ。 HHL
行くよ。

~な

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共通語の「ね」に相当する、関西全般で共通する表現です。年配層では「です」「ます」にも付けます。湖東・湖北の高齢女性の丁寧な言い方として「~なーし」「~なし」もあります。湖西などでは「~のー」とも言います。

よう食べるなー。 HL LLLHL
よく食べるねー。

~よ

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共通語の「さ」に相当する、主に湖東・甲賀・湖南で使われる表現です。特に「~けどよ」「~さかいによ」「~しよ」のように接続助詞とともによく使われます。HLと抑揚を付けて伸ばして言うこともよくあります。

ほんでよ、昨日言うたんやけどよ。 HHHH, HLL HLLLLLLH
それでさ、昨日言ったんだけどさ。

~じょ

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湖東・甲賀・湖南などの一部で「ぞ」を「じょ」と言うことがあります。

買いもん行くじょ。 HHHH HHL
買い物へ行くぞ。