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本項は、大阪大学の「一般入学試験」対策に関する事項である。

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ウィキペディア大阪大学の記事があります。

大阪大学のホームページ(入学試験の概要が記載されている)http://www.osaka-u.ac.jp/jp/examination/undergraduate.html

大阪大学(阪大)は、我が国で6番目に設立された帝国大学である。

出題の傾向としては、いたずらに難しい問題や奇問が出題されることはあまりなく、基礎を徹底的に身につけた上で対策をすれば、合格点を取ることは可能である。平成30年度一般入試は、前期日程のみの募集である。

共通テスト

阪大は、共通テストの配点がそれほど低いわけではない。これは、教科にとらわれない全般的な基礎学力を重視する本学の方針を表しているものと思われる。経済学部の3種類の変則的配点はこの好例といえる。よって、二次の記述対策はもちろん、共通テストで高得点を取れるように十分に対策すべきであろう。特に、理系は国語の比重が共通テストの他科目よりはるかに高いので他大のように国語を捨てることができない。一方理科の比重は低めである。また、文系の学部でも、理数系科目の配点が非常に高い学部がある。よって、まんべんなく得点できる学力を有した上で、マーク模試を適宜受験し、時間配分の訓練・マークミスの最小化に備えておくべきである。

二次試験対策

*本節では特に断りのない限り、大阪大学が独自に行う試験のうち、主に一般入試・前期日程で出題される問題について概説する。*
2017年現在、旧帝大では北海道大学とともに一般入試(前期日程)では全学部・学科で学科試験は1日完結で行われる。

英語

和訳·長文·自由英作文·英訳·リスニング(外国語学部のみ)が課され、英語における総合力を問うている形式となっており、難易度はかなり高い。ただ、ここ最近は和訳と長文読解の易化が見られる。そのため、合格圏内に到達するには最低でも55%、できれば70%の得点は確保したいところである(医学科志望者ならば、7~8割程度は得点したい)。

英文和訳

最近の阪大和訳問題は易化傾向にあるため、和訳は近年の阪大英語における有力な得点源といえる。いたずらに難しい単語こそ出ないものの、市販の単語帳には載っていない単語が出ることがある(文意で予測することも難しい)。

和訳問題の高得点確保に求められるのは、正確な構文把握及び日本語力である。本学の和訳と英作文の問題指示文は特異で、「次の英文の意味を日本語で表しなさい」というものである。この問題文をどう解釈するかは議論が分かれるところだが、一般的に受験英語では、名訳を狙わずに英文構造に忠実な日本語を大切にすることが重視されやすい。この観点から阪大英語の和訳にも臨むべきであろう。

また、阪大の英文和訳においては、「対比」を軸にした文章がほとんど毎年のように出題されている。過去に実際に出題された例を挙げると、「運を信じる人」と「運を信じない人」や、「正しい言葉遣い」と「不適切な言葉遣い」などである。そのため、対比の関係性を見抜けば、対比されている単語の逆を書けばある程度の訳を導きだすことができ、いわゆる「難単語」の部分で点を稼ぐことが容易になることもしばしばである。

長文読解

長文読解は、オーソドックスな問題で、対比構造が明確な文章が多い。難単語の同義語を選ばせる問題、和訳、文章の大意など設問形式は様々である。

英文素材は様々だが、特に専門知識がいるほどでもないが、俗に言う一般教養が無いと苦戦を強いられる場合もあるため(そうでもない場合もある)、一通り自分の使用している単語集を覚えたら、学術的な基礎知識をつけておきたい。加えて知らない単語の意味を前後の文脈から類推する力がついていることが望ましい。他の大学と比べても決して難しいわけではないのでこの分野で落としてはならない。記号問題などで点を落とす受験生はほぼいないので、確実に点数をとれる問題を確実にとることが合否を分ける。また、代名詞などに下線部が引かれ、意味内容を答えろという問題も出題されるが、非常に単純明快で素直な問題である。ここも点数を落とすことがないようにしたい。

ただ、外国語学部は、独自の長文問題を課しているが、こちらの問題の難易度は他学部のそれよりも数段高いといえ、また分量も多いので、相当な英語力と的確な説明を行う日本語力が要ることは、外国語学部志望者なら分かるだろう。阪大のブランドイメージや、センター試験のボーダーの点数だけで、受験するかを判断するというのは、相当危険であり、控えるのが望ましい。

ところで、下線部和訳を、「どうして阪大は英文解釈のⅠ番だけでなく、長文読解のⅡ番でも出しているのか」と、疑問を抱いたことはないだろうか。疑問があって正解である。実は、この下線部和訳の箇所というのは、確かに構文が入り組んでいたり、難単語があったりするというだけのこともあるが、実は文全体を理解できているかを、下線部和訳で見ている場合もある。とりわけ、this や that などの代名詞をの意味を明示させることがある場合には、その傾向が強い。裏を返せば、長文読解を難なく乗り切るには、小手先のテクニックに頼ったりせず、速読と精読をする力を身に付け、全文を読み切ることが大切だということになる。また、これを押さえてしまえば、指示語の指す内容を日本語で答えさせる問題も、阪大ではお馴染みの対比構造をヒントにして解かせる穴埋め式の記号問題も、正誤問題もある程度は解きやすい物となるだろう。そのためには、より多くの英文に触れておくことをお薦めする。

自由英作文・和文英訳

自由英作文については、60~80語の英文を書かせる形式が定着している。テーマは身近なものが多いが、平成20(2008)年度は「嘘をつく」ことについて論述を求めるという、比較的一般的なテーマが出題された。また、設問文は英文である場合もあるし、日本語である場合もある。なるべく多くの基本例文を暗記し、できれば15分程度で回答することが望ましい。他の問題との兼ね合いから、20分以上はかけるべきではないだろう。そのため、日頃から自分の意見の立場を明確にして、なおかつその理由付けをする癖をつけることが有用となろう。

一方、和文英訳は二問構成となっており、訳させる分量がかなり多く逐語訳がほぼ不可能であるため、日本語の意味をうまくくみ取った上での訳出が求められる。和文英訳の二問目は文学部用と他学部用の問題に分かれているが、文学部志望者用の問題の方が難度が一段高く、京大英作文と難易度はあまり変わらないか、その水準を凌駕する。難易度としては大学入試英語では最高峰レベルといえる。また、外国語学部は、自由英作文は他学部と共通であるが、和文英訳問題は独自の問題を課している。こちらの問題も文学部並みのレベルと考えて差し支えない。

対策としては、基本的な英語構文を多く頭に入れ、英語にしにくい日本語をどう解釈していくかを考える能力、つまり和文和訳の力を磨きつつ、作文と添削を繰り返すのが一番良い。実践的な演習問題としては、阪大の過去問である。

現状の傾向

阪大英語は、試験時間90分(文学部は105分、外国語学部は120分)に対して分量がやや多いため、かなりのスピードが要求される。これが、本学の英語が難問と称される所以の一つとなっている。

平成8(1996)年以前は、試験時間は今と同じで大問が一題多かった。英文も現在よりも難度の高い素材が選ばれていたようである。そのため、問題数が減少してから、阪大英語は若干の易化を辿っているように思えるが、全大学の入試英語問題自体が平均的に易化しているようであり、一概に阪大英語だけが易化傾向にあると断言できない。

仮にこうした傾向にあったとしても阪大英語が良問であることには変わりがない。テクニックも必要だが、多くの英文に触れたり書くことで鍛えられる英語の基礎体力や総合力を育成することが阪大英語突破の近道であろう。

なお、平成20(2008)年度入試より、大阪外国語大学の入試は大阪大学外国語学部の入試として実施された。上述の通り、和訳問題と自由英作問題は他学部と出題形式が共通しているが、長文問題と英作文問題は独自の形式を課している。また、当然入念なリスニング対策もする必要がある。リスニングは年々難化しており、語数も昨年の倍という年もあった。設問は非常に単純なことを聞いているので、流れる英語の音声をいかに速く自分の頭で理解・整理するかが大事である。平成23(2011)年度は、総合問題の語数が倍増した。

数学

理系

150分で5題出題される。理系数学の出題範囲は数学I・数学A・数学II・数学B(ベクトル・数列)・数学IIIである。特徴としては標準~やや難レベルの問題がズラリと並び、一見しただけで解ける問題は少ない。また5題中2~3題は数学Ⅲから出題されることが多い。

また、かなり高度な計算力·論理的思考力·推論力が要求されるため難易度は相当高い。常にハイレベルな範囲内で易化~難化を繰り返している。またその年度によって難易度の差が大きいのも特徴である。5題中、4題の難易度は標準~やや難レベルで難易度差が大きくなく、1題はやや難~難レベルで他の4題に比べて頭1つ抜けた難易度の問題であることが多い。 ちなみに05年、06年は標準的な問題が多かったものの、07年には難化し、08年には再び元の水準に戻った。09年、10年も標準的な水準だったが11年に至ってはかなり難化(特に第4問目の不等式の証明はかなり難しく大学初級レベルの高い応用力が必要)した。

また理系数学の場合、文系数学と比較して、それほど高得点の争い(医学部医学科を除く)にはならない為、捨てる問題と取る問題を見分けることが重要となってくる。過去、難しい年度では数学が入試問題として機能せず工学部や理学部で完答0でも受かる場合もあった。例年なら2完+部分点で合格圏には入ってくるだろう。なお、医学部医学科は学力が飛び抜けているため、易しい年度だと全問完答者が続出することもある。例年の難易度でも7割~8割くらいは必要になってくると思われる。

確率、微分積分、ベクトル、数列が頻出であり、証明問題の出題率が極めて高い。

よく練られた良問が多く、複数分野にまたがる融合問題と解答の方針が立てにくい証明問題が多く出題されている。ゆえに教科書を理解した程度では全く歯が立たぬが教科書の理解が不十分ではスタ―トラインにも立てないので、まずは教科書を隅々まで理解した上でセンタ―でコンスタントに8~9割(可能ならば満点)を取れる実力をつけよう。 つまり、解法パターンが明らかな基本問題・典型問題は短時間で正確に解けるようになるまでしっかりやり込むことが肝要である。

阪大理系数学はどうやっても概ね計算が繁雑になる問題が多くすっきりとはいかない傾向がある。つまり、センスは要求しない代わりにあまり楽ができず忍耐力を要求してくる傾向が強い。 阪大のような難易度、分量の入試問題は探すのは意外と大変であったりする。

阪大理系数学はこのように概ね難易度は高く、数学が非常に得意な受験生を除くと、対策に相当な苦労を要する受験生が多いことだろう。 1つ目に重要なことは、計算力を身につけることである。阪大理系数学の大きな特徴として、各問題の難易度を問わず必ず計算力が要求されるということがある。つまり、標準レベルの問題だからと言って、やや難レベルの問題に比べて計算が大幅に楽であることはあまりないということだ。そして、計算は時間のない中、基本事項を地道に積み重ねて進めていく作業である。したがって計算力は忍耐力であり集中力であり体力なのだ。解答作成を含め1題30分ほどかかる問題を途中でミスすることなく完答する習慣は毎日の勉強で意識して取り組まないと身に付かない。計算ミスをケアレスミスだからと軽視していては計算力は全く身に付かない。1問解ききるだけの集中力や忍耐力がないからケアレスミスが起きるわけである。計算力に対する認識が甘ければ阪大理系数学は1問も完答できないことさえ十分ありうる。

2つ目に重要なことは、判断力である。つまり、得点すべき問題と捨てる問題をいかに見分けるか、そして複数のアプローチを思いついた場合どちらで解き進めるのかを判断するための力である。阪大レベル以上になってくると特に顕著な傾向であるが、問題の見た目と難易度が一致しないために簡単な問題が難問に見えたり、その逆が起きうる。阪大理系数学は一目見てすぐにアプローチを思い付くような典型問題はほとんど出題されない。そこまで難しい発想力を要求されてない問題であっても、見たことがない問題であるため最初は難しく感じてしまう。そして、実際非常に難しい問題も混ざっていることから、なかなかアプローチできないと「これは難問なのではないか」と考えてしまう。そうなると思考が停止し、解けるはずの問題でも止まってしまう。数学の場合、1問目の完答をいかに早く取るかということが心理的に大きく影響する。最悪1問目の完答が取れずに時間前半を折り返すようなことがあれば、焦りは相当なものである。すると、パニックになり、ますます判断力や集中力の低下を招き、深刻な事態となる。よって、普段の学習で難易度不明な問題のセットに当たって、問題の難易度を見分けるための判断力を養うことが必須である。解法によって問題の難易度が変わることもあるので、思いついた解法で最後まで解き進めるのか、撤退して他の問題に時間をまわすのかも判断力が必要である。こういった判断力も一朝一夕で養えるものではない。阪大模試も十分利用してほしい。

以上2点が阪大理系数学対策の上で重要な視点となってくるだろう。 阪大の理系学部の受験生の多くにとって、最も大きな壁となるのがこの数学であろう。このハイレベルな阪大理系数学に関して万全の対策を立てることはまず不可能である。 言うまでもなく、受験の合否は二次試験の数学だけでなく、センター試験や二次試験の他の科目の点数との総合で決まる。 特に阪大理系数学は時間をかければかけるほど点数が上がるという保証はない。従って二次試験の数学対策に気をとられ過ぎず、他の科目の対策が疎かにならないようにすることも必要である。

文系

3問で90分で、他教科と異なり、配点比率が明示されている点が特徴的である。出題範囲は数学I・数学A・数学II・数学B(ベクトル・数列)である。難易度は理系数学と違い、標準レベルの問題が多い。「チャート式基礎からの数学(青チャート)」の例題を何周も解いて基礎を固め、過去問対策をしていれば、満点も十分に狙えるだろう。数学が苦手な受験生でも二完はしておきたいところである。頻出分野は微分積分、ベクトル、数列、確率であるが、幅広い分野が出題されるため、苦手分野は作らないようにしよう。また、証明問題はほぼ毎年のように出題され、図示問題も出題されたことがある。平成25年度では教科書にある公式の証明が出題されるなど、教科書の徹底的な確認は必須条件である。

理科

試験時間は1科目(医学部保健学科看護学専攻)75分、2科目150分である。

物理

物理基礎・物理から出題され、力学、電磁気学が頻出である。主に大問1は力学、大問2は電磁気学、大問3A・Bは熱力学・波動・原子のうち2つで構成されている。また、阪大物理は難易度が高くいわゆる公式を適用しただけで解ける問題は殆どない。

変則的な変数指定も含めて問題文から要求されている事を正確に物理現象に置き換えてそれを読み取る力・高い思考力・高度な数学の力が必要であり、早い段階から十分な対策が要求される。物理の本質を理解出来ているかが高得点のカギを握っている。また結果のみを記すものが殆どであるがグラフの描写問題や論述問題が頻出なのでこちらもしっかり対策されたい。

阪大の物理対策としては基礎を十分に理解し1冊問題集を仕上げた後に入試対策の問題演習を行うとよいだろう。難しい問題でも気をぬかずしっかりと解いておきたい。また、微分積分の概念や、微分方程式の解法をある程度身につけておくと非常に役に立つことがある。

化学

阪大化学は理系全学部(理学部工学部基礎工学部医学部歯学部薬学部)共通で大問4題の出題である。

出題形式としては、記述式が多く、選択肢を選ぶなどの問題はほとんどなく、20~100字程度の論述問題、反応式を書かせる問題、解答過程を書かせる問題、実験装置の図示やグラフを書かせるなど多種多様である。 高い化学的応用力と思考力が要求され難易度はかなり高い。

出題範囲は化学基礎・化学の全分野である。新課程から登場した核酸ATP医薬品(生命と化学)は、今後十分に出題される可能性があるので留意すべきである。今まで取り扱われていないような新傾向の問題も数多く出題されているので、暗記化学のような学習法では到底太刀打ちできない。化学的思考力・洞察力を普段から養っておく必要があろう。

解答用紙は、大問1題につきB4判1枚である。

例年、理論化学から1題、無機化学から1題、有機化学から1題、高分子化学(化学の有機・無機)から1題出題、というのが定着している。また、無機は理論分野との融合問題であることが多い。(2008年2月現在)

理論化学

頻出分野は熱化学速度平衡である。特に平衡はほぼ毎年出題されている。

無機化学

頻出分野は電気化学との融合問題である。理論化学と無機化学の融合問題が増える傾向にある。

有機化学

出題に占める割合が最も大きい。難問が多く、頻出分野は構造決定である。官能基の性質や、検出反応についての問題がよく出題される。

高分子化学

頻出分野はアミノ酸ペプチド糖類である。また前述の通り核酸・ATP・医薬品が出題される可能性もある。

生物

「生物基礎・生物」から出題される。1冊の参考書を完璧になるまで解き続けるとよい。

国語

阪大国語は文系のみに課されるが、文学部用問題と法·経済·外国語・人間科学部用問題に分かれ、両者に共通問題はなく全く別の試験になっている。

法·経済·外国語・人間科学部

法·経済·外国語・人間科学部用問題は、漢文の出題は無く試験時間は90分である。オーソドックスな問題が多いが、字数指定が課される問題が多い。字数指定は厳しい。文学部に比して難度は下がるが、易しいわけではなく、地道な練習がなければ、合格点を取るのは難しい。古文に関して言えば、近年本文の字数が増加している(問題レベルも難易度を増している)。文学部以外を志望する受験生も、古文の和歌に慣れるために文学部用の問題をやっておくことも有用であろう。

文学部

文学部用問題は、評論·小説(または随筆)·古文·漢文の構成で、試験時間は120分である。

特に、小説の難易度が高く、試験時間に比して全体的な分量が非常に多い。短編小説や随筆の全文が問題文になることも多い。対策法の一つとして、短編小説を日常的に短時間で読めるようにするという訓練も有用であると考えられる。

また、小説における大きな特徴としては、ただ単に登場人物の心情などを答えさせる問題にとどまらず、「表現上の特徴だと思われる点を説明しなさい」や、「本文中において『バイオリン』がどのような役割を果たしていると思われるか、考えを述べなさい」などの、レトリック(比喩や象徴なども含めて)に関する問題が出題されることもあることである。この対策としては、センター試験の小説の表現の特徴を問う問題において、選択肢を選ぶのみならず自分の言葉で説明できるように練習することが一つであると考えられる。

評論文はオーソドックスな問題文が題材となることが多いが、過去には西田幾多郎に関する哲学関係の評論が出題されたこともあり、注意も要する。小説と同様に記述は容赦のない量を要求される。他難関国立大学の過去問なども利用しつつ、スピードのある読解・解答・添削を繰り返すしかない。小説と同様、岩波書店などから出版されている哲学書、新書などの「原書購読」も有効な対策法であることは間違いない。

古文や漢文の記述問題に関しては、関西圏の大学で和歌を出題したり本格的な漢文を出題する大学は少ない。傾向も一定ではなく、漢詩が出題されたこともある。現代文・英語の難度も考慮すると、模擬試験は阪大用の模試だけでなく駿台全国模試も受験すべきであろう。

なお、設問に字数指定が課されることは少なく、解答欄を逐一全部埋めていては、時間に余裕が無くなる事もあるので、短くとも答えの核になる部分を分かりやすく記述できるよう、また日ごろから活字の文章を素早く読めるように練習しなければ、文学部用問題で合格点を取ることは難しい。

過去問題の用い方として、同一問題に対する解答例を多く集め、比較することが有効となる。阪大のようなトップクラスの難関大学となると、赤本・青本以外に、各予備校のウェブサイトから数年分の解答速報が利用できる。特に、論述問題には絶対的な解答というものはなかなか存在せず、予備校や出版社の模範解答例でも、大学の採点官から見れば8割程度の解答であろう。だが、受験生から見れば、8割で合格には十分である。従って、色々な8割の解答を参照することで、様々な解答の視点や論述の展開などを、吸収しておくと対策が立てやすくなる。これは、国語に限ったことではなく、論述地歴などにも有効であろう。

地理歴史

阪大地歴は文学部・外国語学部のみの出題となり、数学か地歴(世界史B、日本史B、地理Bより1つ)のいずれかを二次試験の科目として選択することができる。ただし、平成24(2012)年度入試より、外国語学部では、日本史Bと地理Bを選択することができない。数学か世界史Bを選択することになる。阪大文学部・外国語学部は、二次試験科目として英・国・地歴(前記の条件あり)での受験が可能である。これは、国公立大学のなかでは珍しい例である。これにより、数学が苦手な受験生でも旧帝国大に入学することが可能となるが、代わりに論述地歴・ハイレベルな国語問題が課されることに留意して受験対策をしなければならない。阪大文系の他学部(法学部、経済学部、人間科学部)にはこのオプションはなく、数学が必須で地歴は課されない。

本学の試験形式は日本史B、世界史B、地理Bともに論述問題がメインとなる。(世界史などに一部短答問題もあるが、少数である)論述問題としてはシンプルで解きやすいといえる。

日本史B・世界史B

従って、歴史の流れを頭の中に入れることが必須となる。そして教科書記載の基礎知識をしっかり覚えることも絶対条件となる。この2ステップには、教科書とそれに準じた問題集を使えばよい。

次に重要なことは、流れに沿って身に付けた知識を使って、論理的な文章をきちんと書けるようになることである。数十字の論述からはじめて、作文と添削と再作文を繰り返していけば、いつのまにか100字単位の論述問題に対応できるようになる。または、論述問題集を用いて、学校の先生の添削を受けていくのもよい。

地理B

抽象的で大きなテーマについて論述させるのが特徴。問いが提示しているものが奇異に感じられることがあるかもしれないが、焦らず、地理の基本的・基礎的な事項を問われているものと考えて答案を作成すればよい。農業関連、特に焼畑を含むアジア・アフリカの農業は頻出である。150〜250字と分量が多いため、必然的に複数の要素に分節化して論じることになる。分節化の仕方を問題文で誘導してある場合もあれば、受験生が考えなければならない場合もある。大切なのは解答欄の大きさを活かすこと。地理的事象のとらえ方はいくつもあるのが通常であるから、できるだけ多角的な見方を試みて答案に反映しよう。実際、問題文に「多角的に説明せよ」という文言が入ったこともあり、大学側が受験生の発想・手数の豊富さを期待しているのは明らかである。

対策としてやはり、阪大の過去問に当たるのが有用であろう。

そして英語や国語と同様、「対比」を意識して構成すると緊密な答案に仕上がることがある。たとえば「熱帯林は広葉樹が階層構造をなすのに対し、冷帯林は純林であり疎林のことが多い」といった答案は高い評価を得にくい。前半は「落葉性」と「樹木の高さのありよう」を、後半は「樹種の均一性」と「樹木の疎密」をと、評価する項目がばらばらであるためだ。ここを確実に整理して「熱帯林は多種多様な広葉樹が階層構造をなす密林であるのに対し、冷帯林はほぼ一種類の針葉樹が同じ樹高で生育する疎林のことが多い」などとまとめた方がよい。

総論

阪大地歴特有の形式として字数指定が「○○字以内」ではなく「○○字程度」で、升目が無いことが挙げられる。字数指定については、議論が分かれるところだが、基本的に所定の枠内に常識的な範囲内の大きさの文字で解答枠を埋められれば、問題が無いと考えることもできるが、定かではない。また、2011年度入試より、問題文、解答欄ともに横書きとなった。

模試

阪大対応模試として2020年現在、河合塾、SAPIX YOZEMI GROUP、駿台[1]でいずれも年1回、東進は年3回、と開催されており、最大で6回の受験が可能である。四社で幅広い期間(2020年は7月・8月・10月・11月開催、そして夏休み終了までで3回、9月から本番までで3回実施)で分散して受験できるようになったことから大阪大合格へ向けての習熟度が適宜把握できるメリットが生じたと言える。本番レベルの試験(阪大入試予想問題)を阪大受験予定の受験生と共に受験できる良い機会であるので、可能な限りで受験されることが好ましい。また、中には、マーク模試(センター型)とドッキング判定もあるため、併せて受験されることもおススメする。

加えて、主に高1・2生が対象になるが、2023年度は東進で「阪大入試直近日体験受験」(3月12日)という模試が開催される。これは同年の前期日程入試本番に出題された問題を直近日に同解答時間・同スケジュール(但し、終了時刻は異なる)で解くというものである。試験開始と終了の時刻は違えど、前期日程入試と同じスケジュールで試験を受けることができる(医学部医学科の面接試験は実施せず)。高3卒対象の「本番レベル模試」とは違った本番ならではの感覚を味わうまたとない機会と言えるので、本学を希望するならば受験しておくと良いかもしれない。

四社で幅広い期間(2020年は7月・8月・10月・11月開催、そして夏休み終了までで3回、9月から本番までで3回実施)で分散して受験できるようになったことから阪大合格へ向けての習熟度が適宜把握できるメリットが生じたと言える。本学志願者はこれらの模試を可能な限りで受験することをお勧めする。四社合わせて最大5回受験できることになるが、復習そして共通テストを考えれば、全社そして全回受験するのはさすがに過多であるだろう。いくら2次重視とはいえ、総点に加算される以上、共通テストの成績も侮れないし、万全な対策は必要である。目的は阪大模試で良い判定をとることではなく「阪大合格」とすべきであり、阪大模試はあくまで合格に向けての弱点補強や傾向を知るためのきっかけそして手段であるに過ぎず、模試の判定に一喜一憂しないことが大切である。成績は短期(1~2週間程度)でそんなに大きく変わらないし、全6回分を受験すれば必ず合格できる或いは合格できる実力が付くとは限らないし、受験しても受験しただけで消化不良になってしまえば全くの無意味でそのようになれば、受験しない方がマシである。自身の処理能力を考えて適当な受験回数(予備校模試はどこでも可)を選んで取り組んでほしい。

大手予備校による阪大模試は、以下である。

  • 阪大本番レベル模試(東進)
  • 阪大入試オープン(河合塾)
  • 阪大入試実戦模試(駿台予備学校)
  • 阪大入試プレ(SAPIX YOZEMI GROUP)

※予備校によっては、大阪大学が受験会場として設置されていることがある。

編入試験

工業高等専門学校生のみ対象。募集人数は若干名。

脚注

  1. ^ 答案は2014年実施分よりWeb返却(駿台のマイページにPDF形式で掲載。掲載期間は、Web公開開始日から3ヶ月間。)となり、紙の答案は追加料金を払うことで返却可能となった(但し試験会場で使用した答案そのものは返却されず、答案をスキャンして前記のPDF形式のものをプリントアウトしたものを返却)。

関連リンク