高校化学 クロムとマンガン

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クロム

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クロム

クロム(Cr)は空気中でも水中でも常温で安定な金属である。クロムは、銀白色の光沢を持つ。

化合物中での酸化数は、おもに+6または+3を取る。

クロムは、空気中では表面に酸化物の緻密な皮膜ができるので(不動態)、それ以上は酸化されず、安定である。

鉄の表面に施す クロムめっき は、この不動態の性質を利用して、さびを防ぐものである。

クロムは、ステンレス鋼の材料でもある。

イオン

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酸化数が+6のクロムの多原子イオンの主なものに、水溶液の黄色いクロム酸イオン(CrO42-)がある。この水溶液は黄色であるが、酸を加えて液を酸性にすると、同じく酸化数が+6の二クロム酸イオン(Cr2O72-)となり、橙色の水溶液となる。

逆に、橙色の二クロム酸イオン水溶液に塩基を加えると、クロム酸イオンの黄色水溶液となる。

   
K2CrO4(黄色) K2Cr2O7(橙色)

クロム酸イオンは、さまざまな金属イオンと反応して沈殿となる。たとえば、クロム酸イオン水溶液に銀イオンを加えると、クロム酸銀の赤褐色沈殿が生成する。

CrO42- + 2Ag+ → Ag2CrO4

また、クロム酸イオン水溶液に鉛(Ⅱ)イオンやバリウムイオンを加えると、ともに黄色の沈殿を生じる。

CrO42- + Pb2+ → PbCrO4↓(クロム酸鉛(Ⅱ))
CrO42- + Ba2+ → BaCrO4↓(クロム酸バリウム)
  • 酸化作用

希硫酸を加えて酸性とした赤橙色の二クロム酸イオン水溶液は強い酸化剤であり、自身は還元されてクロム(Ⅲ)イオン(Cr3+)の緑色水溶液となる。

Cr2O72- + 14H+ + 6e- → 2Cr3+ + 7H2O

マンガン

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マンガン

マンガン(Mn)は銀白色の金属である。空気中で簡単に酸化されるので、単体では用いない。合金の材料として、マンガンは利用されることがある。 イオン化傾向が鉄より大きく、また、酸にマンガンは溶ける。

過マンガン酸カリウム

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過マンガン酸カリウム(KMnO4)は酸化剤として有名で、過マンガン酸カリウム水溶液は赤紫色であるが、自身は還元されてマンガン(Ⅱ)イオン(Mn2+)の淡桃色水溶液となる。

MnO4- + 8H+ + 5e- → Mn2+ + 4H2O

このMn2+水溶液にアンモニア水を加えて塩基性とした後、硫化水素を通じると、硫化マンガン(Ⅱ)の淡桃色沈殿を生じる。

Mn2+ + S2- → MnS↓

二酸化マンガンから過マンガン酸イオン水溶液を得ることができる。二酸化マンガンに水酸化カリウム水溶液を加えて加熱すると、緑色のマンガン酸イオン水溶液(MnO42-)となる。これに希硫酸を加えると過マンガン酸イオンの赤紫色水溶液となる。

二酸化マンガン

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二酸化マンガン MnO2 は、黒色の粉末をしている。

過酸化水素水の分解を早める触媒として作用する。

 

また、酸化剤でもあり、たとえば塩酸を酸化して塩素とする。

4HCl + MnO2 → MnCl2 + 2H2O + Cl2

二酸化マンガンは、日常的にもマンガン乾電池で原料の一つとして用いられている。