高校受験ガイド/一条校と非一条校
一条校と非一条校
編集日本の普通の公立中学を卒業した場合、多くの人が進学する学校は、教育行政などで「一条校」(いちじょうこう)と言われる類の学校のうちの、高校レベルの学校です。
日本には、日本以外にも外国の民族学校や、ほかにも障害者などの通う学校があります。
外国の民族学校は、普通、「一条校」ではないのです。たとえ外国の民族学校を卒業しても、それだけでは日本の大学への受験資格は得らないのが普通です。非一条校の卒業でどうしても日本の大学に進学したい場合、高卒認定試験などに合格する必要があったり、あるいは別の一条校に入学する必要があるなど、なかなか面倒です。
「インターナショナルスクール」と言われる学校も、一条校ではないので、そこを卒業しても日本の大学受験資格は、それだけでは得られません。
フリースクールなども同様、非・一条校ですので、そこを卒業しても日本の大学受験資格は得られません。
外国の民族学校などが「高等学園」とか「高等学院」とかの名前をなのっている場合もあります。
日本の大学に進学したいなら、一条校に進学しましょう。普通、一条校の高校は、「高等学校」を名乗っているはずです。
学校教育法 第135条 第1項において、一条校でない教育施設(一条校として設置・認可されていない教育施設)は、「幼稚園」、「小学校」、「中学校」、「義務教育学校」、「高等学校」、「中等教育学校」、「特別支援学校」、「大学」、「短期大学」、「高等専門学校」または「大学院」の名称を用いてはならないと定められています。
なお、非一条校でも略称として「高校」を名乗る場合があります。
フリースクールなどでは、中学卒業したばかりの子供の受け入れ先では「高等部」などを名乗っており、たとえば「○○学園 高等部」みたいに名乗っていたりするわけです。学校教育法の規定により「高等学校」を名乗れないので、フリースクールでは「高等部」を名乗っているわけです。
日本の大学への受験資格を得たい場合は、一条校である高等学校または高等専門学校または中等教育学校(いわゆる「中高一貫校」)または障碍者向けの盲(もう)学校か聾(ろう)学校か養護(ようご)学校などの高校教育相当の課程に進学する必要があります。
駿台予備学校、河合塾、代々木ゼミナールなどのように、非一条校であっても、行政から学校として認可されていたり、あるいは「学校法人」などとして認可を受けている場合があります。
学校法人であることと、一条校であるかどうかは、全くの別物です。予備校などですら、学校法人として認可を受けている予備校もあります。
たとえば、大手の予備校である駿台(すんだい)予備学校、河合塾(かわいじゅく)、代々木(よよぎ)ゼミナールは学校法人です。しかし、これらの予備校に在籍しようが、なにも大学受験資格とは関係ありません。なお、これらの予備校は学校法人なので、電車でそれらの予備校に通う人は通学定期券を購入できる可能性が高いです。予備校の経営側にとっては、学校法人として認可を受けることで税金面で優遇されます。
なお、高校教育は教育行政では「中等教育」に分類されます(高校は「後期中等教育」である)。「高等教育」とは大学相当の教育のことです。
大学進学に限らず、日本の高校スポーツ大会などの日本の高校生むけの部活の大会に参加したいなら(全国大会に出れるかどうかはともかく)、一条校である必要があるのが普通です。
なお、文部科学省管轄外(かんかつ がい)である(他省庁の管轄している)警察大学校や税務大学校なども一条校ではないのですが、しかし中学を卒業するばかりの子どもには関係のない話です。
ほか、カルチャーセンターなどで、「○○大学」や「〇〇大学院」などを名乗っている場合もあります。市役所など公営施設で、これらのカルチャーセンターのパンフレットが無料配布されている場合もありますが、しかしこれらのカルチャーセンターは一条校ではないので、卒業しても大卒の資格は全く得られません。市町村や場合によっては県が支援している公営のカルチャーセンターも日本には各地に存在しますが、断じて一条校の大学ではないので、勘違いしないでください。
基本的に、市販の「大学受験ガイド」に載っている大学が一条校です。
カルチャーセンターのパンフレットの中には立派な印刷代の高そうなパンフレットもあるので、パッと見で一般の大学の新設校っぽく見えてしまう場合もありますが、カルチャーセンターはカルチャーセンターです。
ほか、マンガだと、学問モノのマンガとかで、よく「〇〇学園 中等部」とか「〇〇学院 高等部」とか作中の私立が名乗っていますが、実際には現実の私立中学・高校の多くは「中等部」「高等部」を基本的には名乗りません。教育基本法などの規制により本物の中学校および高等学校でない組織は、「中学校」や「高等学校」を名乗るのが禁止されています。おそらくマンガでは法的な事情で、名門私立っぽい学校がしかたなく「中等部」とか「高等部」とか名乗っているだけでしょう。
- ※ もっとも、『サザエさん』ではカツオの通う公立小学は「かもめ第三小学校」を名乗っているので、創作物の中では禁止というわけではない。しかし、よくよく他のマンガ作品を見ると、作中の学校がセリフでは「小学校」や「中学校」や「高等学校」を名乗っていない作品も多い。
なお、私立の青山学院大学と早稲田大学と慶應義塾(けいおうぎじゅく)大学(※いわゆる「慶応大」))の付属校の名前はやや例外的です。両校とも一条校です。
他にも「中等部」「高等部」を名乗る一条校はあるかもしれませんが、キリがないので、紹介は早慶マーチに限定します。
青山学院大学の渋谷にある付属高校は「青山学院 高等部」を名乗っていますが、一条校のはずです。(なので、青山学院の高等部を卒業すれば、日本の普通の大学を受験できて、大学受験に合格すればそれらの大学に進学できる。)このように、「高等部」を名乗っていても一条校の学校も、少数ですが存在します。
(私大の青学の付属・系列高校とは全く別に)公立の東京都立青山高校というのが渋谷にあるので、混同しないように区別のためもあるかと思います。なお、渋谷には「青山」という市町村の名前はないです。都立青山高校は渋谷区神宮前にあります。青山学院の高校のほうも東京都渋谷区渋谷です。東京都の港区にある赤坂に青山という地名があり、両校ともそこが発祥(はっしょう)の地なので「青山」を名乗っています。港区の青山に、公立の青山中学とか色々とあるので、区別のために私立青山のほうが「中等部」とか名乗るのは合理的でしょう。
早稲田大付属については、早稲田大学の付属校のひとつであり(高田馬場にある早大付属校とは別に)練馬(ねりま)市にある早稲田大学高等学院も「中学部」とかあります。早稲田とは、高田馬場や新宿あたりの古い地名です。新宿区内に「早稲田」という町名がありますので、早稲田小学校とかあります。しかし、高田馬場の付属校ではなく練馬の付属校のほうせ「中学部」とか名乗るのは、よく分かりませんが、まあ現地の事情もあるのかもしれません。
なお、渋谷も港区も新宿も「区」なので、そこに青山「市」とか早稲田「市」とかはありません。「町」というとイメージ的に小規模な感じがしそうですが、しかし東京23区内には早稲田庁のように規模の大きい「町」もあるので、勘違いしないようにしてください。
なお、まったく別の埼玉県に早稲田という地名があるので、そこに公立の早稲田中学とかあるが、他県なので省略。
ほか、慶應義塾大学の付属中学と付属高校が港区にありますが、付属中学のほうは「中等部」という共学なのに、付属高校のほうは男女別学で「慶應義塾女子高校」(東京都港区)に「慶応義塾高等学校」(神奈川県横浜市)に分かれます。
ついでに言うと、よく昭和の学園ドラマや学園マンガとかの中学高校で「3年B組」とかアルファベットの学級名が出てきますが、しかし現実の高校の多くは昭和から令和までずっと数字の学級名であり、たとえば「3年2組」のようなクラス名に数字を使う高校がほとんどです。