高校受験ガイド/高校の部活動の傾向

職業高校に無い部活

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吹奏楽部の無い工業高校

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工業高校や農業高校など肉体労働系の学科の高校の多くに、吹奏楽部が無いか、あっても活動が小規模です。(なお商業高校には吹奏楽部が存在する場合が比較的に多いです)

例えば東京都の場合、東京都立の杉並高等工科学校や足立高等工科学校には吹奏楽部はありません[1][2]

他県でも同様の傾向です。

もし、野球部など高校スポーツの運動部の公式試合のトーナメント戦で県大会以上に勝ち進んで応援の吹奏楽部などが必要になった場合は、近隣の公立高校の普通科の吹奏楽部が応援の演奏をする慣習があります。

チアリーディング部なども同様、工業高校などには無いのです。

スポーツ応援とは関係ありませんが、演劇部も多くの工業高校にはありません。

中学でこれらの部活をしていた人や、高校時代にこれらの部活をしたい人は、入学前によく考えてください。

軽音楽部や美術部は工業高校にもある高校もありますが、しかし現代(2023年12月に本文を記述)のところ甲子園などを見ても、応援席で軽音楽をするような風潮はありません。

なので、応援の音楽を自校の生徒で演奏したいなら、たとえば応援団などが校歌を歌うしかないかもしれません。ああ玉杯に花受けて。(w:あゝ玉杯に花うけて

工業高校にも「音楽部」という部活がある場合もありますが、しかし高校野球などの全国大会を見ても、近隣の公立高校の普通科の吹奏楽部が応援するのが実情です。

なお、茶道部・華道部は無い工業高校がほとんどです。

農業高校に演劇部が無いことが多い

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農業高校では、たとえ吹奏楽部のある高校でも、よく調べると演劇部が無い、という学校がとてもよくあります。

農業高校には、茶道部や華道部はよくあります。演劇部だけ無い、というパターンがよく農業高校の部活の構成で見られます。

農業高校には吹奏楽部はある事も無い事もありますが、たとえ吹奏楽部があっても、演劇部は無いのが農業高校のほとんどです。

「合唱部」は、ほとんど無いです。ただし、もしかしたら吹奏楽部で合唱の練習をしているかもしれません。ただし県大会などの合唱コンクールには、吹奏楽部だと参加できないと思います。


美術部も、無い場合があります。首都圏の農業高校でないと、演劇部や美術部は無いことが多いかもしれません。あるいは京都・大阪や愛知などの地方都市でないと、演劇部は無い傾向があります。


余談ですが、食品部や畜産部や園芸部などが、農業高校だと、ある場合があります。ほか、なぜかよく分からないのですが、写真部がよくあります。きっと、仕事でカメラをよく使うのでしょうか。


運動部では、柔道部の無い農業高校が散見されます。

(※おまけ)工業大学の文化部はどうなのか?

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なお、工業大学には吹奏楽部があったりします。茶道部は、工業大学だと、存在している場合もよくあります。詳しくは各大学のホームページなどを確認してください。

ただし、一般に工業大学は学業が忙しいので、あまり部活動には長時間は関われないかもしれません。

なお、普通の公立の工業高校には茶道部なんぞ無い。

高専の文化部はどうなのか?

高専はどうかいくつか学校を調べてみると、吹奏楽部はなんとかありますが、演劇部がない学校がチラホラです[3][4]。茶道部があります。

狭い高校に特有のこと

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文化部

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美術部と油絵

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校舎の狭い高校の美術部では、油絵が描けない、または油絵の規制がひどく強くて実質的に禁止の学校な場合があります。絵画系の部活に行きたい人は、文化祭などで事前に志望校の美術室などを確認しておきましょう。

ほか、色々な事情で、校内の部活で使用できる画材が限定される場合があります。学校では、水彩絵具は許可されているものの、なるべく鉛筆、ボールペンやマーカー、またはパソコン印刷できるものなど、水を使わないものが推奨される場合もあります。

パソコン印刷の場合、自宅でタッチペンやペンタブなどを使って描いた絵のjpegファイルやpngファイルなどを、部活側で印刷することになります。学校側ではペンタブなどは用意されていないのが一般的です。

なお、大学などでも同様の傾向です。油絵を描けない大学は多くあり、都心の大学や、理系の学部などでその傾向が強いです。

たとえ高校の敷地そのものは普通の学校でも、スポーツに力を入れている高校の場合、校庭は広くとも、代償に校舎の設備が狭い場合もあります。こういうのは現地の高校内部を見ないと分かりづらいので、文化祭などで現地を確認しましょう。

ほか、画用紙の大きさの制限が強い、紙粘土などの塑像(そぞう)などの工作が基本的には出来ない、などなど狭い高校特有の美術部の制限もあります。

和室の共通

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たとえば和室は、多くの高校でたいてい和室が教室1~2個ぶんの広さの1つあるだけであり、曜日などによって茶道と華道と囲碁将棋部とカルタ部とで使い分けたりします。

茶道部・茶華道部に限らず、他の文化部でも、多目的室みたいな一室を、曜日によって使い分ける事例は多々あります。

運動部

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余談ですが、東京都内は過密のため私立高校の敷地も狭いことが多いので、そのため校庭も狭いので、屋外の運動部に入る予定の人は志望校選びで少し気にする必要があります。

具体的には、いくつかの屋外の運動部の練習場所が、学校の敷地外の民間の練習場になる可能性があります。さすがに歩いて数分で通える場所(または自転車で数分の場所)に練習場所を確保するでしょうが、裏を返すと数分は掛かってしまう場所に練習場のある場合があります。

たとえばテニス部とか、そうなるかもしれません。

昭和の戦後に新制の私立高校が設立された高度経済成長期 ~ 1970年代の時代、まさか未来の2020年代には私立高校が部活の強豪になるとは昔の人は思わず、そのため私立高校は運動部が21世紀の今でこそ強豪であっても、その校庭が意外と狭いことが多いのです。

校庭自体には、体育の授業をするための最低限の敷地しかない場合もあります。


たとえば、校庭は野球部とサッカー部が優先に使うので、その他の部活動の敷地が狭い、専用のテニスコートが1~2面しかないとかの場合もありえます(ただし体育の授業で使うので最低1面はある)。

このたった1~2面のコートを、付属中学がある中高一貫校なら、中学生と高校生とで共有するのです(ただし中学の全生徒数は高校のそれの半分くらいなのが通常)。もしくは、中学生は子どもなので校庭のコートで優遇、高校生は校外の練習場でガマンして、というふうに別々の場所かもしれません。


野球部とサッカー部とソフトボール部と陸上部とラグビー部が、同日に一緒に校庭で練習するのが難しい高校もあります。練習日を変える必要があるかもしれません。もっとも学業の予習・復習も高校生には必要なので、練習しない日があるのも文武両道としては良いかもしれませんが。

テニス部は存在するだけマシです。高校によっては、スポーツ強豪校であるにもかかわらず、ラグビー部などマイナー競技ぎみの部活が存在しないスポーツ強豪校もあります。敷地不足のため、部活をもう増やせないのです。そのため、小中の体育の授業では習わないラグビーの部活が削られたりします。

首都圏では、ラグビー部のある高校は、かなり少ないです[5]

参考サイト 『部活に「ラグビー部」のある高校』 を見ると、甲子園の強豪校などで知られる首都圏の私立高校にもラグビー部は存在していない場合が大半です。都心だと、戦前からの私立大学の付属校や、旧制高校の伝統をもつような古くからの私立高校でないと、そもそもラグビー部が存在してない傾向があります。


もちろん、スポーツで好記録を出してる私立高校なら、そういう「校庭が狭い」という条件下でも好記録を出しているノウハウがその高校にあるわけですので、高校に希望の部活があるなら志望するのも良いでしょうが。ともかく、都心の私立高校の多くは校庭が狭いです。 運動部の場所は、校外の少し離れた練習場になる場合があります。


条件の良い練習場は、その高校の看板の運動部が押さえます(たとえば甲子園出場校なら野球部が校庭を使う)。

首都圏に限った話ではないですが、スポーツ高校の私学には、知名度があって地域の人気もあるのに付属中学を作ろうとしない私学もあります。もし高校に付属中学があると、狭い校庭をさらに中学生と使い分けてしまうので、ますます狭くなってしまうから、それを恐れているのでしょう。付属中学を作る際、校庭を新校舎のために減らさないといけない場合もありますので、それは既存の高校の運動部と干渉します。

運動部の新設は、たとえメンバーが集まっても、練習スペースの確保で苦労をかなりすると思います。ラグビーなどマイナー競技をしたいなら、なるべく既にその部活が存在する高校を選ぶのが良いでしょう。

部活と文武“別”道

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基本

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今時の高校野球は私立高校の独壇場です。松谷創一郎 著『“プロ部活”のための夏の甲子園──ますます空洞化する「教育の一環」』2017/8/6(日) 11:00 (Yahooニュース)

広尾晃 著『センバツ「私学と公立の格差」埋まらぬ根本原因 「特待生」や「野球留学」によるアンバランス』2021/03/30 12:00(東洋経済)

私学には学区の制限が無いので、他県からもスポーツの得意な受験生を集めることができます。

リンク先のYahooニュースの記事に、下記のような記述があります。

消えた名門公立校

 80年代までは、公立高校の活躍も目立った。たとえば蔦監督が率いる池田高校(徳島)や、春夏合わせて7回の優勝を誇る広島商業(広島)の活躍が歴史に刻まれている。他にも松山商(愛媛)や箕島(和歌山)など、公立高校は少なくなかった。

 しかし、今大会に出場する公立高校はとても少ない。滝川西(北北海道)、高岡商(富山)、坂井(福井)、彦根東(滋賀)、三本松(香川)、鳴門渦潮(徳島)、東筑(福岡)、波佐見(長崎)──8校のみである。


東洋経済でも、下記のような言われようです。

甲子園の出場校は、戦前から都市部は私学が多く、地方は公立学校が多かった。しかし近年は、全国的に私学が公立を凌駕しつつある。

少子化とともに全国の公立高校では、統廃合が進んでいる。公立高校は2010年には全国で3780校あったが、2018年には3559校と221校も減少している。甲子園を沸かせた高校も例外ではない。1995年春の優勝校、香川県立観音寺中央高は、2017年、香川県立三豊工業高と統合されて観音寺総合高になった。

(※ 中略)

少子化に加え、地方財政の疲弊によって部活動予算が削減される学校が多く、公立高の野球部の多くは財政難に苦しんでいる。グラウンドや練習施設も老朽化している。さらに部員が減少したために「連合チーム」を組む学校も増えてきた。


このように、高校スポーツは私学の大会です。もはや公立学校は、例外として体育学科とかのある特別な公立高校でもない限り、もう高校スポーツで公立学校が活躍するのは難しいでしょう。

私立はスポーツ推薦などにより中学スポーツで好成績をおさめた受験生を集めていますので、もう公立高校では、ほぼ活躍は無理です。


運動部だけでなく、文化部も似たような傾向です。たとえば吹奏楽部に関しては、楽器は高いので、私学が有利だと、雑誌『東洋経済』の取材で明らかになっています。

東洋経済に下記の記事があります[6]

またある公立校の吹奏楽部には、古くて手入れの行き届かない楽器しかない。部員たちはアルバイトの合間に楽器に触りに来る。金管楽器の中には凹んだものもある。

指導者は「コンクールとかはとんでもないので、何とか数曲は演奏できるようにしたいんです。部員たちはクリスマスに近所の老人ホームで慰問のコンサートをやるのが目標です。この学校の子たちは、卒業後の目標がない子が多いのですが、お年寄りが喜ぶ姿を見て、福祉関係に行きたい、と言い出した子どももいます」と言った。


余談ですが、日本人作曲のクラシック曲で、実は吹奏楽コンクールなどの課題曲として作られたオリジナル曲で、クラシック風に日本人の作曲したオリジナル曲というものが幾つもあります。(しかし音楽教科書や一般の楽譜集などには書いてない曲である。)日本人作曲クラシック音楽は、決して西洋ファンタジー風ゲームとか西洋ファンタジー風アニメのBGMとしてしか残ってないわけではないので、勘違いしないように。もちろんそういう表現も否定しませんが。


文武両道ならぬ、文武 "別" 道 という言葉もあります。

広尾晃 著『甲子園に出て東大へ行く、は可能か。流行は文武両道ならぬ文武“別”道。』 (NumberWeb)

最近の流行りは複数コースでの「文武別道」。

野球で甲子園を目指す生徒と、勉強で東大・京大を目指す生徒を別枠で集める。こういうのを「文武別道」というそうだ。今、全国の私立高校はこの方向に傾いている。

 少子化の中、私立高校は厳しい競争をしている。「文武別道」は、より多くの優秀な生徒を獲得し、競争を生き抜くための大方針なのだ。

 世の中、世知辛くなった。本当の意味の「文武両道」の学校は、絶滅危惧種なのかもしれない。


上記では説明を省略しましたが、「文武両道」にしろ「文武別道」にしろ、私立高校の宣伝でいう「文武」の「武」とは部活動のことであり[7]、大学受験の推薦入試でその部活での功績が高く評価される部活のことです。文化部だろうが何だろうが、大学受験の推薦入試でさえ高く評価されれば構いません。また、「文」とはその高校の生徒における大学受験の一般入試などを突破する学力のことであり、いわゆる大学受験の偏差値です。

例外として、ごく一部の私学では、武道や体育を重視している私立高校もありますので、念のため、「武」がどちらの意味なのかを高校のパンフレットなどは確認しておきましょう。


東大進学率トップ10の高校に、甲子園出場経験のある高校はゼロです[8]

2017年の時点で、それまでの夏の甲子園の地方大会の最高戦績は、過去の何十年間も含めてですら、

開成 [私・東京] 169人 地方5回戦(甲子園0回)
筑波大附駒場 [国・東京] 102人 地方4回戦(甲子園0回)
灘 [私・兵庫] 94人 地方準々決勝(甲子園0回)
麻布 [私・東京] 94人 地方決勝(甲子園0回)
渋谷教育学園幕張 [私・千葉] 76人 地方5回戦(甲子園0回)
聖光学院 [私・神奈川] 71人 硬式野球部なし
桜蔭 [私・東京] 59人 女子高
栄光学園 [私・神奈川] 57人 硬式野球部なし
駒場東邦 [私・東京] 57人 硬式野球部なし
東京学芸大附 [国・東京] 57人 地方準々決勝(甲子園0回)

です。

麻布は決勝に1回進出しているが、これは出場校数が少なくリーグ戦をしていた1927年のことです。

甲子園に出た中での東大合格実績の最上位校は、32人を送り込んで19位タイの筑波大附属と、千葉県立千葉の2校だ。

 この2校も筑波大附属は東京高等師範時代の1946年、県千葉は6回出ているが、最後は1953年だ。

 もともと野球は、お雇い外国人がエリート学生に手ほどきしたものだ。明治時代には、今の東大教養学部の前身である第一高等学校が無敵だった「一高時代」さえあった。野球はそもそもエリートのスポーツだったのだ。

 だから昔にさかのぼれば、「野球も勉強も」という学校はあったのだ。しかし大学進学率が高まり、東大のようなエリート校の競争が激化するとともに、昔の「文武両道校」は鳴りを潜めたのだ。

[9]

世間では、文武別道の高校が、あたかも文武両道のように振る舞う場合もありますが、しかし統計が出ています。


進学校によくある文化部の勉強系の部活

進学校の部活も、歴史部とか科学部とか英語部とかクイズ部とか、ほぼそのまま受験勉強にも活用できそうなモノが他校よりも多かったりします。

ある程度、学力の高い高校でないと、英語部とかクイズ部とかが存在しない場合もあります(文化部は、芸術系の部活放送部ばかりとか。あと放送部など)。そういう部活が存在する事すら知らないで人生を終える大人もいます。


部員数の限界はバスの人員

野球は9人まで(「○○ナイン」)、サッカーは11人まで(よく草野球チームのことを「○○イレブン」とか言います)ですが、野球部の10人目以降、サッカー部の9人目以降は補欠のための要員です。

競技によっては、春大会や夏大会や秋大会のように年に2回の大会があって、たとえば春大会は補欠要員のための出場場所だったりとか考えられます。

春大会に引退間近の3年生が優先して出場するとしても、1学年あたり11人まで、です。高校は3年間なので、その3倍で春大会で将来的に出場予定の部員の数は、単純計算でサッカーの場合は 11人×3学年=33人 まで。

秋大会の本命の夏大会も含めると、単純計算で3倍になり、33人×3倍=99人まで。

本命の夏大会のほうでは決してローテーション人事(じんじ)みたいなことはしないのが現実でしょうから、これよりも公式試合に出場できる人は少なくなります。

なので、33×2+11=77人くらいが、とりあえずの現実的な限界。


そもそも、大型バスで運べる人数が約50人まで(ネットで調べたら補助座席を使って53人まで)です。1学級が多くても40人+数人なのには、大型バスの限界という理由もあります。

裏を返すと私立大学のように1学級が80人~120人とかの場合、行事ではバスがなく、普通は現地集合です。


なので、高校によっては部員数の制限として「50人まで。1学年あたり17人まで」というように制限を設けているのは、そういうバスの理由もあります。1年生はバスに載せないとして2年生以降はバスに載せるなどすれば、50人以上の部員も可能ですが、それでも常識的に部員数はせいぜい60くらいまででしょう。部員数60人の場合、1学年あたり20人であり、2年生以上がバスに乗るとして40人になり、顧問なども含めても何とかバスに乗れます。


プロ野球には一軍と二軍というのがありますが、スポーツの強豪高校に進学すれば、多くの生徒は高校時代から二軍のような気分を経験できる事でしょう。

もしくは、最初から入部制限があるかもしれません。大会出場の見込みのない人はその部活に入れないなどのルール、もしくは硬式(こうしき)野球ではなく軟式(なんしき)野球部にしか入れない、とにかく二軍の気分を味わえます。社会人みたいで大人ですね。


春大会や夏大会を補欠メンバーに割り当てることにより、夏大会用の本命生徒は夏大会以外の試合対策をしなくて済むので、夏大会生徒は春・秋には学校の勉強などにも集中でき学力も向上できます。また、あまり試合ばかり対策してると、さすがに高校の定期テスト対策などがキツイです。また、こういった分担・分業により、スポーツ推薦で文系の大学に進学した後の学業も安心です。


なお、3年生は夏に引退するので、秋大会は若手である1年生・2年生に経験を積ませるための大会というのが慣習です。秋大会のメンバーの中には、来年の夏大会のメンバーもいるでしょう。逆に、春大会は、主に引退する3年生のための大会です。

このため、決して単純計算どおりに99人が何らかの公式大会に出られるなんてことはありえず、実際には公式大会に出られるメンバーの人数は、もっと減ります。

秋大会と夏大会を除くのが現実的であり、夏・秋の11人と、春大会のローテーション人事で3×11を合わせて、合計で11人+33人=44人、くらいが現実的でしょうか。ちょうど大型バスに乗れます。

試合に出れなかった若干名は、体育祭などで運営側を手伝うなどの仕事が与えられるでしょうか。


運動部に限らず文化部も同様です。

実際、雑誌『東洋経済』の取材によると、ある高校の吹奏楽部では、野球部の応援などのチームと、吹奏楽の大会などでチームを別々に分けて活動している高校もあると知られています[10]

外部の人は、まさか文化部の内部でチームが分かれているなんて知らないので、あたかも一人の部員が野球部の応援の演奏から吹奏楽コンクールまで幅広く曲の演奏をこなしているように見えますが、しかし、素人の勘違いです。

たとえば吹奏楽部なら、地元の老人ホームとか保育園とかに慰問コンサートに行くメンバーと、県大会や全国大会などの公式の大会に出場するメンバーが、必ずしも同じメンバーとは限りません。音楽とはこのように、プロでなければ少しくらい演奏をミスしたりして少し下手であっても平気なのです。じっさい、少しの演奏のミスに文句を言う保育園児なんていないでしょう。

文化部でもこのようにイベントごとに出場メンバーを交代することにより、学業での偏差値の高さと部活での業績とを両立できます。


ほか、そもそも楽器を演奏している応援の人員が、吹奏楽部の現役部員の他にも OB/OG の混ざった混声チームの場合もあります。昨今は、少子化などにより、十分な数の部員をそろえられない高校や大学も多いので、小規模校や学業優先の学校では、こういう現象も起きがちです。


もしかしたら部活によっては大会の時期が夏ではなく冬の場合もあるかもしれません。しかし、春大会が引退する3年生のため、秋大会が1年生に経験を積ませるため、という出場高校側の意図は、おおむね変わらないでしょう。


慰問ついでに言うと、僕たちが学校で習う歌や曲は、じつは教育用にけっこう大きくアレンジされた曲です。何十年も前の昭和や平成初期の当時の歌や曲とは、現代の学校で習う曲は微妙に違っています。もともとの曲は歌手1人を宣伝するためのものですが、しかしそれだと男女で混声合唱できませんので、合唱曲用に学校で習う歌や曲はほぼ全曲が編曲されています。文化祭とかに行く際、こういった事も考慮すると効率的でしょう。

だから高校卒業や大学卒業などで企業に就職して、会社の忘年会などのカラオケ(二次会)で、学生時代に授業で習って知っている歌をうたおうとすると、カラオケ曲と学校曲とで曲調がまったく違っていたりして戸惑ったりすることもあったりとか。

なお、高校の文化部の紹介で、「わが校の〇〇部は(全国大会の優勝などの目標の)競技を目指さない部活です」とか紹介されたとしても、運動部とちがって文化部の場合だと慰問や地域交流イベントみたいに競技以外の色々な活動がありますので、けっして「気軽に遊べる部活だ」なんて勘違いしないようにしましょう。よほど特別な高校でない限り(定時制とか通信制とか高専とか)、文化「部」は(同好会はどうか知りません)そういった地域交流イベントみたいなのも参加したりしますので、勘違いしないように。


編曲うんぬんの余談ですが、実は小中の国語の教科書にある作品も、原作と教科書版とで、言い回しが改訂されている事もあります。たとえば谷川俊太郎訳『スイミー』がそうです[11]。スイミーが教科書掲載された際に、「○○してた」→「○○していた」みたいに言い回しが改訂されています。

こういうのは谷川俊太郎に最近に始まったことではなく、昭和の時代から、阿川弘之『きかんしゃやえもん』が1968年版の小学校2年生の国語(下巻)の教科書に掲載をされた際に、ページ数の制限の都合で内容の削減などの改訂をされたり、漢字が追加されています(原作は本文がすべて平仮名)[12]


文武両道は浪人が実態

埼玉県の県立進学校で、浦和(うらわ)高校という埼玉公立トップ偏差値の高校があるのですが、その高校は建学の理念として文武両道を掲げているのですが、しかし大学受験での浪人率が比較的に高い高校でもあり(代わりに進学先の大学の偏差値は他校よりも高いですが)、浦和高校でも部活に専念する学生は、浪人をして志望大学に入る人が多いのが現実です[13]

そうそう、スポーツの世界は選手寿命が短いので、プロスポーツ選手を目指すなら浪人しないのが普通です。だからスポーツ系で大学進学する人は、推薦でも何でもいいから、さっさと文系の私立大学に行くのです(理系の大学だと運動施設などが貧しいし、練習時間も取れないので)。

バンカラ高校

余談ですが、戦前からの県立高校の旧・男子校だった公立高校の文武両道の伝統には、音楽はろくに入っていません。証拠として戦前の学園モノの小説『ああ玉杯に花受けて』の一節、

そのころ学校内で奇怪な風説が伝わった、生徒の中で女学生と交際し、ピアノやバイオリンの合奏をしたり、手紙を交換したり、飲食店に出入りしたりするものがある、いまのうちに探しだして制裁を加えなければ浦和中学の体面に関する。

[14]

ピアノやバイオリンは、学生にあるまじき退廃的な趣味あつかい、らしいです。吹奏楽部の男子なんて、とんでもない。楽器にはカネが掛かるので、校歌でも歌ってろ、という発想です。

こういう戦前からの剛健と質素を尊重する文化を、野蛮カラーの略で「バンカラ」と言います。「カラー」とは、服の襟(えり)のカラーの事です。

対義語は、「ハイカラ」です。戦前の貴族が着る洋服の、高い襟を着るような人たちのことを「ハイカラ」と言います。転じて、実際には洋服ではなくても、戦前の上流階級の先端文化のことをハイカラと言ったり。

女学校の女子生徒とか、服が和服でも、学校で先端文化を学んでいるのでハイカラと言ったりしたわけです。


現代ではどうも、世間の人は、「バンカラ」と(レオナルド=ダ=ヴィンチみたいな)「全人的」な教育とを混同しているフシがあります。

バンカラを気風とする高校で、茶道とか華道の部活とかは、まあ決して無理ではないですが、おそらく基本的には、バンカラの伝統があるなら、活発な部活も体育系の気風がメインでしょう(地域によります)。

万能人ではなくバンカラだ。

なんか、高校で部活とかをやろうと思ってる中高生は、やたらと日比谷高校や浦和高校を神格化して万能視しますが、実際の戦前の公立の学生文化は上記のようなバンカラ文化です。

戦前の高校生はゲーテの詩集とか読んでて・・・~みたいなイメージの人、私立の麻布(あざぶ)高校あたりと混同してませんかね?


土曜授業と部活の大会・コンクールなど

進学校などで土曜日に授業がある高校では、当然ですが土曜日に開催される学外の部活動コンクールや大会など学外イベントには出づらくなります。(どうしても大会などのイベントに土曜日に出る場合、授業は公欠になる。)

なので、土曜授業を行っている高校は、それだけ部活がコンクールなどの出場イベント数を減らしている、という意味でもあります。なので学業と部活の「文武両道」とか、真に受け過ぎないようにしましょう。

イベントの開催日にちによっては、土曜日が祝日で授業が無い場合もありますが、その日には近隣の他の私立の部活動もそのイベントに出たがりますので、スケジュール的に競合します。もし、土曜授業をしている私立や公立進学校などをコンクールの祝日に優先すると、首都圏などだと、祝日のコンクール出場校が私立と公立進学校ばかり、なんて事態になりかねません。


すべての高校部活向けイベントには参加できない

国の通達により、過熱化する部活動を規制する総量規制がありますので、一人当たりが活動時間や活動日数[15]に上限が掛けられています[16]。運動部についての記事ですが、ネット記事『教員の部活指導 校長の苦悩 「負担軽減のために強制」の判断』によると、下記のようにあります。

冒頭のスポーツ庁が今月発表したガイドライン骨子案は、部活動の活動量について「週当たり2日以上の休養日」、「長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度」、「大会数の上限の目安等を定める」と、具体的に総量規制に踏み込んでいる。

文化部についても文化庁が同様のガイドライン『文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』(2018年)[17]を策定しており、スポーツ庁のガイドラインと同様の内容です[18]

このため、一つの学校が何でもイベント参加できるわけではなく、何かのイベントに参加する場合、他のイベントを諦めることになります。

大会やコンクール、コンテスト、発表会、地域からの要請により地域の行事や催し等、運動部の応援、などなど決して何でもは参加できないのが建前です。もし、そういったすべてのイベントに参加している文化部があれば、(体育学科や音楽学科などの高校でないかぎり)普通科高校なら文化庁ガイドライン違反です。

なお、中央官庁の行政機関からの通達により、大会や地域の催し物などの統廃合を行ってイベントを減らせという要請が国からされています[19][20]


トーナメント戦に参加しない高校

文化系の部活の場合、そもそもトーナメント戦の大会に参加そのものをしない高校も、公立・私立とも、あります。高校入学後に部活の業績で全国に名をあげようとしている人は、進学しようとしている高校がトーナメント戦大会について参加する方針かそうでない方針なのか、受験前に学校紹介パンフレットや学校ホームページなどの部活紹介などで確認してください。もしパンフレットなどの部活紹介で、全国大会や県大会などの出場実績を誇っている高校なら、おそらくはトーナメント戦にその部活が参加する方針の高校でしょう。

トーナメント戦そのものに参加しない高校では、自分がどんなにその部活が上手くても、そもそも地区予選の時点で不戦敗なので、どうあがいても全国大会に出場しようがないのです。

学校教員側の視点で見ると、トーナメント戦のイベントは勝ち負けによってスケジュールも変わるので、事前に予定が立てづらく(もっとも開催日も土日ですが)、なかなか面倒です。顧問の遠征や引率などのスケジュールも勝ち負けによって変動してしまいます。

よくスポ根マンガ(スポーツ根性モノのマンガ)とかで、高校の運動部が、トーナメント戦の公式競技を地区大会→県大会→全国大会とか勝ち抜いたりとかの描写があります。文化部では、必ずしもすべての部活がトーナメント戦に参加するとは限らないのです。

運動部と違って文化部は勝ち負けを競う必要が無いので、トーナメント戦にあまり参加しない高校もあるのです。


ほか、私立では部活のコーチは外注の派遣だったりします。そういう部活専門の派遣会社がすでに存在しています[21]。もはや、教員免許をもった教員ではなく、外注です。生徒だけでなく部活コーチも文武別道です。

進学校と部活の間引き

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進学校の幾つかでは部活の引退が高校2年

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ネット上で、いわゆる進学校のいくつかでは、部活の引退は高校2年の2学期~3学期という高校もある、という発言が、ネット各所から上がっています。 [22] [23] [24]

必ずしもすべての高校が、高校3年の夏の6~7月で部活を引退するとは限らず、もっと前に引退するのが原則になってると思われる高校も幾つかあるようです。

なお、中高一貫校だと、たとえ高校2年に引退しようが、それでも中1から通算で同じ部活に合計5年間、入れるわけです。

進学校の部活では出席ノルマが軽い場合も

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塾業界の言い伝えでは、部活で朝練・夜練などが無く負担が軽いとか、運動部でも週1~2日だけの出席ノルマとか、そういう言い伝えが塾業界から報告されている[25]

そもそも、部活の内容が運動部とも限らず、部活の種類によっては活動内容が受験勉強に生かしやすい分野もある(「科学部」「歴史部」など)。

文化祭の部活の出し物そのものが2年生以降

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進学校では、部活の1年生は、文化祭などでも出し物をしません。文化祭で出し物をするのは普通は2年生以降です。

よって、出し物のために1年間以上の練習をでき、ゆっくり練習できます。4月入学から翌年6月に出し物をするので1年間+2か月が練習に使えます。

いっぽう、比較対象として、別高校Bが、もし9月文化祭の高校だとしましょう。9月の文化祭に出し物をする高校は、1年生が出し物をする場合、4月入学から9月までの5か月間で練習をします。

さらに、別の節でも述べるように、文化祭以外の各種の部活系の行事も(学外の公演とかも)、間引きされているのが進学校です。

「自称進学校」の部活

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文武両道と言うと、一見すると模範的なように聞こえますが、しかし高校では時間的に難しいのです。

たとえば部活を夜の7時や8時まで練習したら、一体いつ、勉強をするのでしょうか。『【ここはやめて】自称進学校の学校生活が超ヤバい【あるある10選】【武田塾高校受験】vol.263』 4:30 ごろ つまり、時間的にパンクしてしまいます。

こういう実態があるので、実際の進学校では、部活の時間は、抑制的に限られています。

そういう実態を無視して、やみくもに部活に熱心な進学校は、大学受験を考える場合には、考え物です。

あるいは、幽霊部員みたいのが横行しているのかもしれません。これなら、部活に入りながら(そして部活を通した総合型選抜などのアピールも出来るし)、受験勉強もできる。しかし、そういうウソを平気でつける高校は、考え物です。

文武両道でない公立高校もある

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進学重点校は文武が非・両道

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公立高校の進学重点校は、文武が、あまり両立していません。

直接は、教育委員会も公立高校も、そうは明言していません。しかし非・進学重点校が、たとえば「体育施設の充実した高校」、「音楽設備の充実した高校。他校に無い管弦楽部のある高校」、・・・などなど特色を宣伝している一方、進学重点校は、進学実績ばかりを宣伝します。

相対的に、進学重点校は、それらの設備が劣っているわけです。

公立高校の一校あたり予算はおおむね均等に決まっているので、進学重点校ばかりに何でも予算を与えるわけにはいかないのです。

施設だけの費用ならともかく、もし、そのための教員や顧問などを雇うと、かなりのお金が掛かります。

実際、たとえば各地の「体育施設(音楽設備)の充実した高校」みたい公立高校の多くは、進学重点校から外されていたりします。


進学重点校の生徒は。高校の設計の最初から、生徒が管弦楽とかを始めないように、あるいはマイナースポーツ(たとえばフェンシング部みたいな)を始めないように、各県の公立高校の教育が設計されています。

なんでも充実しているのは、公立ではなく、私立のごく一部です(学費も高い)。それも郊外の私立です(都心だと土地不足なので、学業以外の施設をあまり充実できない)。


そもそも、教育委員会は、国民の子弟に対して、平等主義です。税金の使い道も、国民全体の福祉を考えて平等でなければいけません。

だから、スポーツ特化の公立高校があるのと同じように、大学受験に重点を置いた公立高校(それが「進学重点校」です)もあるのです。

なんだか、やたらと県立の伝統校を「文武両道」だと誤って崇拝する人がいますが、しかし行政的には、そのような仕組みは存在していません。県立高校で進学重点校になっている伝統校は。行政的には、そもそも体育や音楽・美術に重点を置いてないからこそ「進学重点校」なのです。言葉の意味を理解してください。

なのに日本語が理解できない人は、なるほど、難関大学への進学実績が悪いのも当然でしょうか。


たとえば、もし仮に「3年生の音楽行事に力を入れている進学重点校」があったとしても、それはあくまで「他の進学重点校と比べた場合」に音楽行事がちょっと多いだけに過ぎません。

2年生や3年生で、なにか特別な音楽行事がある場合、たとえば文化祭とは別に校内の合唱コンクールが3年生にある高校の場合、そのぶん、ほかの行事が削られています。たとえば、3年生の修学旅行が無かったり、みたいな。けっして、高校側が、一般の偏差値50高校と比べて音楽教育に特に力を入れているわけでもありません。

もし進学重点校に、他校に特殊な体育行事や音楽行事がある場合、そのぶん、他校にあるような一般的な行事などが削られています。なぜなら、各公立高校に与えられた予算は有限で、ほぼ同じ金額(であるはず)だからです。

専門学科

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世間の人の多くは、普通科以外の「体育科」とか「美術科」「音楽科」とかの専門高校という制度そのものを知りません。普通科以外は、工業高校・商業高校・農業高校・水産高校しか存在しないと思ってる情報弱者の大人も多いのです。

「私立はスポ-ツ推薦でスポーツ優秀な生徒を集めてて、ズルい!」とか言う人は、では公立高校の体育学科はズルくないと考えている官尊民卑(かんそんみんぴ)の主義者なのでしょうか。テレビとかの高校スポーツ番組とかで、ある高校を「公立高校」と聞いただけで、勝手に「普通科に違いない」と早合点して「文武両道で、スゴイ!」とか言う情報弱者の高校スポーツファンも世間には多そうです。

体育科だけでなく、「美術科」とか「音楽科」といった美術高校・音楽高校も存在します。

ついつい、世間の情報弱者たちは、公立中学の吹奏楽部とか美術部とかのイメージの延長線上で考えがちですが、しかし、そうではなく、体育科の時間割のスポーツ専門科目の部分を、美術の専門科目あるいは音楽の専門科目に置き換えたような時間割です。

法律で、専門科目の単位数については、25単位以上だと文科省の学習指導要領などで決まっています。なので、「美術科」「音楽科」の時間割は、けっして普通科の文系コースのような時間割ではなく、たとえば数学IIは時間割に存在しないのが普通です。仮に数学IIがなんとか存在しても、数学Bや数学Cは存在しないのが大半です。

そういう公立の専門高校が存在するのも多様性であり民主主義ですが、しかし「公立 = 文武両道」という、実態と離れた意味不明な勘違いはヤメましょう。

私学のスポーツ高校の専用食堂

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私学のうち、甲子園の出場などを誇るようなスポーツ分野の名門高校では、専用の食事があったりするくらいです。スポーツ選手はよく汗をかくので、運動で不足しがちな栄養素が多めの食事だったりとか。

高校スポーツは、専用の食堂までつくって相撲取りみたいに食わせるいまの私立の甲子園常連校との勝負です。

マイナースポーツで全国大会の「文武両道」

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文武別道の話のついで ですが、弓道部とかアーチェリー部とかフェンシング部とかああいうマイナー競技で全国大会に出場したのを「文武両道」とか言うのも、素人ダマシです。競技と地方によっては、地区大会~県大会でたった計2~3回だけ勝ち進むだけで全国大会に出れたりするかもしれない地方もあります。弓道部はまだ公立高校にもありそうですが、アーチェリーとかフェンシングとかああいうのはお金が掛かるので、なかなか公立高校では難しい。

たとえば埼玉県ではラクロス部のある高校はたった4校ですので、2~3回の試合で全国大会に出れそう[26]

いっぽう、野球だと8回戦も勝たないと全国大会に出れない地方もあります。

もっとも、あまりに、そのマイナー競技の部活の数が少ない県だと、全国大会の前に他県の高校を相手として広域の公式試合を組まされるかもしれませんが、まあそれでも近隣の県にその部活の無い地方は有利です。


ラクロスみたいに大学だとよく聞くけど高校の部活としては少ない競技をすると、世間の頭わるい人が勝手に「熾烈(しれつ)な競争」だと勘違いしてくれます。

なお、政治家の安倍晋三(あべ しんぞう)元総理は大学時代の部活ですがアーチェリー部です。筋肉を鍛える必要は無い。政治家の家ではお勉強が忙しいし大学の勉強も忙しいので、野球とかああいう筋肉スポーツは避けるのでしょう。麻生太郎(あそう たろう)元総理は大学時代はクレー射撃の部活でオリンピック出場選手。

部活の大会と年齢

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全日制(朝8時くらいに登校する普通の課程はコレです)の部活動での地区大会~全国大会などの公的な大会は、普通、出場資格に「18歳まで(18歳も含む)」または「19歳まで」のような年齢制限があります。

なので、浪人などせず、さっさと合格した高校に進学するほうが得です。

また、高校で留年した場合も、同一学年では出場できなくなるのが普通です。「同一学年で春大会・夏退会に出場できる回数はそれぞれ1回まで」のような内容の規定があるのが普通です。大会出場目的の意図的な留年を防ぐために、こういう規定があると思われます。

なお、定時制・通信制の大会と全日制の大会とは、別々の大会です。定時制・通信制の大会は「全国高等学校定時制通信制〇〇大会」みたいな名前です。定時制などの場合、年齢制限の無い場合も多いですが、同一学年の出場が1回まで等の規定があり、よって留年などで意図的に出場回数を増やすのは不可能です。


難関私大にスポーツ推薦で入れてしまう危険性

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たとえば理科系の大学の学部学科など、一般入試で入った人ですら留年や退学も多い難関の大学であっても、スポーツ推薦などで入学できてしまう場合があり[27]、そのためスポーツ推薦者などの留年などの問題も起きかねません。

高校卒業後の専門教育はもはや義務教育でも何でもないので、大学の学科の専門的な学問は「ある程度以上専門的になると万人向けではなくなる」という原則があります。スポーツの大会がもはや万人向けでないのと同様です[28]

都心の私立の部活は社交の場

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都心の私立は、特に文化部などでは、私立どうしでイベントを開いたりする社交の場でもあります[29]。よくあるのは、高偏差値の私立男子校が、近隣の高偏差値の女子高と、共同でイベントをしたりすることです。

このため、別に都大会とか全国大会で勝つ必要は無いのです。

スポーツ用語や経済用語でw:ウィンブルドン現象という用語があります。テニスの国際大会の開かれるイギリスのロンドンの地名のウィンブルドンの事です。現地イギリス出身の選手がなかなか勝てないことで有名なのがウィンブルドンの大会です。しかしイギリス選手が勝たなくても、イギリスが社交の中心地になれば良いのです。

同様、私学が社交の中心地になれば良いのです。そしてそれができるのは、独自に大会を開催できる私学たちという仕組みです。税金で運営される公営のトーナメントでは、どうあがいても独自に大会は開けません。自己資金だから私学は独自に大会を開けるのです。

そもそも公営の競技の大会と同じことをしてもツマラナイし、規模も小さいので、私学の開催する大会では基本、勝ち負けにはこだわりません。むしろ、公営トーナメント競技では交流できない他地域の名門校どうしで交流する仕組みの大会をしたりします。

進学校系の私学があまり「競技の勝ち負けを気にしない」のは、べつにお上品なわけではなく、そもそも私学には公営の大会とは別の私学独自の大会がいくつもあるのです。


さて、部活の外注コーチも、文化部にばかり手厚く与えられます。

地方の人は、けっして都心の私学の部活なんかを真に受けてはいけません。近所に早慶マーチの付属校がいくつもあってそれら有名私大付属の私立と交流できる都心の私立高校の部活と、そういうのが近所にない地方の公立高校とでは、まったく事情が違います。

つまり都心の私立中高の場合、学区の中どうしで学校間が公立・私立とも部活で交流するのではなく(そういうのはスポーツ強豪校以外は気にしてない)、それとは別に、私立どうしでの同盟のような交流イベントが色々とあります。公立高校は、そういうのには入れないわけです。


1990年代の大学評論の書籍で、浅羽通明(あさば みちあき)著『大学で何を学ぶか』でも、中世ヨーロッパのダンスパーティを例に、そういう例え話がありました。

中世・近世の貴族たちのダンスパーティで、本気でオーケストラの演奏やら歌を聴いているのは、音楽家志望の一部の家の青年くらいでしかない。ほとんどの参加者の貴族は、貴族どうしの社交こそが本当の目的であり、音楽とかダンスはその余興(よきょう)でしかないのだと、そんな感じのことを浅羽は書籍中で述べました。

スポ-ツでも、中学の大会ですが、首都圏私立中学校チャンピオンズカップみたいに、最初っから私立学校でないと参加そのものが不可能なリーグが存在しています[30]。高校にも同様、各種のスポーツで、私立のリーグが存在しています。

地方にも地元高校どうしのリーグ戦はあるかもしれませんが、しかし地方での無名の高校どうしリーグ戦の大会には、地元マスコミ以外は誰も感心を抱いてくれません。たとえば北海道民や東北民が、四国や九州の中高の地方リーグに関心が無いのと同様です。結局、東京に上京したがる地方民の因果応報、自業自得でしかありません。

トーナメントでは半数が初戦敗退

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トーナメント戦では、原理的に、参加チームの半数が、初戦で敗退します。

もし、なんとか1回戦を勝ち進んでも、2回戦でまたその残り半数が負けるので、2回戦が終わるまでには合計で初戦参加チームの75%は敗退します。

なお、アメリカやイギリスだと、中高スポーツは、リーグ戦が主体との事です。しかし日本でそういうのが出来るのは、きっと私立で、都市部の私立どうしの交流試合だけでしょう。

大人たちは直接は言いませんが、「ごく一部のスポーツの天才以外は、サッサと切り上げて学業に集中しろ」って本音です。マスコミや教育行政や政治の本音も、そうです。

口でそう言ってなくても、やってる行動が、そうなっています。マーケティングの格言で、「消費者の言っている事(= 発言)と、やっている事(= 行動)がちがう場合、本音はやっている事のほうだ」というのがあります。

参考文献

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書籍

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教育学

  • 田中耕治 著『よくわかる教育課程』、ミネルヴァ書房、2012年2月10日 初版 第5刷 発行、
  • 安彦忠彦・藤井千春・田中博之 共著『よくわかる教育学原論』、ミネルヴァ書房、2020年5月20日 初版 第1刷 発行、

その他

  • 佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、

脚注

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  1. ^ 『部活動・生徒会 | 東京都立杉並工科高等学校 | 東京都立学校』 2023年12月28日に閲覧.
  2. ^ 『部活動・生徒会 | 東京都立足立工科高等学校 | 東京都立学校』 2023年12月28日に閲覧.
  3. ^ | 東京都立産業技術高等専門学校』 2023年12月28日に閲覧.
  4. ^ 『部活動一覧|国立東京工業高等専門学校 2023年12月28日に閲覧.
  5. ^ 『部活に「ラグビー部」のある高校』、高校受験スタディ 2024年03月06日に確認.
  6. ^ 広尾晃 著『中高の「部活至上主義」がいまだ根強い深刻な実情 テスト前にも「家でしっかり練習しろ」と熱血指導』 2022/03/27 6:00 2023年12月08日に閲覧.
  7. ^ 山内太地 『学力が低い私立高校が生き残る方法』2021/12/05、 2:20 あたり
  8. ^ 広尾晃 著『甲子園に出て東大へ行く、は可能か。 流行は文武両道ならぬ文武“別”道。 』 、Number web , posted2017/02/19 11:30 , 記事1ページ目
  9. ^ 広尾晃 著『甲子園に出て東大へ行く、は可能か。 流行は文武両道ならぬ文武“別”道。 』 、Number web , posted2017/02/19 11:30 , 記事2ページ目
  10. ^ 広尾晃 著『中高の「部活至上主義」がいまだ根強い深刻な実情 テスト前にも「家でしっかり練習しろ」と熱血指導』 2022/03/27 6:00 2023年12月08日に閲覧.
  11. ^ togetterまとめ 『谷川俊太郎訳『スイミー』が教科書では検定により改変されている?!ご本人による加除訂正にしても、良さが失われるのではないか』2023年6月26日, 2023年12月22日に閲覧.
  12. ^ 田中耕治 著『よくわかる教育課程』、ミネルヴァ書房、2012年2月10日 初版 第5刷 発行、P70
  13. ^ 佐藤優 編著『埼玉県立浦和高校論文集』、K&Kプレス、2019年12月15日 第1刷 発行、P17
  14. ^ 『佐藤紅緑 ああ玉杯に花うけて』
  15. ^ 安彦忠彦・藤井千春・田中博之 共著『よくわかる教育学原論』、ミネルヴァ書房、2020年5月20日 初版 第1刷 発行、P.143
  16. ^ 内田良 著『教員の部活指導 校長の苦悩 「負担軽減のために強制」の判断』2018/1/31(水) 7:20 2023年12月02日に確認.
  17. ^ 文化庁『文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』、平成30年12月 2023年12月02日に確認.
  18. ^ 内田良 著『教員の部活指導 校長の苦悩 「負担軽減のために強制」の判断』2018/1/31(水) 7:20 2023年12月02日に確認.
  19. ^ スポーツ庁『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』平成30年3月、 P.8 の「5 学校単位で参加する大会等の見直し」 2023年12月02日に確認.
  20. ^ 文化庁『文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』、平成30年12月、P.13 2023年12月02日に確認.
  21. ^ 矢野 耕平『「私立中高一貫校に相次ぐ労基署の"ガサ入れ"」おかげで部活消滅の危機という憂慮すべき事態 』2022/11/19 11:00
  22. ^ 『東大生の多くは高2の夏に部活は引退しているって本当ですか?』2022/6/3 15:07 2023年12月02日に確認.
  23. ^ 『毎日親技「お前ら、引退が1年早くねえか?」』 2023年07月15日 2023年12月02日に確認.
  24. ^ 『【中高一貫校】授業進度と勉強方法について、一貫校出身者が解説』2021.11.30 2023年12月02日に確認.
  25. ^ (動画)コバショー『東大生は高校で部活に入っていた?現役東大生100人に調査!』 2024/03/06
  26. ^ 『部活に「ラクロス部」のある高校』 2024年04月12日に確認.
  27. ^ 村山恭平 著『部活推薦は「地獄への道」〜 工学部の入試に“アスリート枠”は必要か 「部活動全廃論」シリーズ最終回 』 2023年06月18日 06:00 2024年01月30日に確認.
  28. ^ 村山恭平 著『部活推薦は「地獄への道」〜 工学部の入試に“アスリート枠”は必要か 「部活動全廃論」シリーズ最終回 』 2023年06月18日 06:00 2024年01月30日に確認.
  29. ^ 矢野 耕平『「私立中高一貫校に相次ぐ労基署の"ガサ入れ"」おかげで部活消滅の危機という憂慮すべき事態 』、President Online、2022/11/19 11:00
  30. ^ 『首都圏私立中学校チャンピオンズカップ』