高校受験参考書/社会 地理/ロシアと周辺


概略

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国土面積は約1700km2であり、日本の約45倍。世界一大きな国土面積を有する。

ロシアは多民族国家である。人口比で見ると、スラブ系のロシア人が80%を占める。タタール人などの少数民族もいる。100以上の少数民族がある。

ウラル山脈から東側をシベリアという。

ロシアの宗教は、スラブ人のあいだでは、キリスト教の東方正教に近いロシア正教が、おもに信仰されている。中央アジアに近い地域では、イスラム教徒も多い。

少数民族の住む地域については、ロシア内に、サハ共和国やチェチェン共和国などのような共和国や、自治州がある。

ロシアの首都はモスクワ

ソビエト連邦の設立から解体まで

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18世紀前半は、ロシアは、「ロシア帝国」という帝国だった。ロシア皇帝の権力が強く、ロシアの民衆は貧しかった。当時のヨーロッパによるアジア諸国への領土拡大的な(アジアなどへの)侵略に対抗して、ロシアも周辺国への領土拡大的な政策を取り、その負担はロシア民衆に押し付けられた。

そして1917年に(※ 第一次世界大戦のころ)、皇帝の支配にさからうロシア革命が起きて、ロシア帝国がたおされ、1922年ごろにソビエト連邦として成立した。

ソビエト連邦は、世界で最初の社会主義国であり、15の共和国からなる連邦国家だった。

ソビエト連邦の政治は、共産党(きょうさんとう)が支配し、経済も軍事も、共産党が支配した。実質的に、共産党の最高職が、ソビエト連邦の支配者だった。

ソビエト連邦の経済では、国家主導の計画経済によって、経済活動の統制が行われた。

第二次大戦後は、世界の覇権(はけん)をめぐって、アメリカと対立した。アメリカとソ連は、直接は戦争をしなかったが、アメリカとソ連が対立が続いたので、この戦後のアメリカとソ連との対立を冷戦(れいせん)という。

しかし、第二次大戦後、ソビエト政府主導の経済がしだいに行き詰まっていった。

1980年には改革のため、市場原理を部分的に取り入れる「ペレストロイカ」(改革)や、「グラスノスチ」(情報公開)といった政策が、ゴルバチョフなどの政治家の主導によって行われた。

しかし、それでも経済は行き詰まり、そして1991年9月にエストニアラトビアリトアニアといったバルト3国(ばると さんごく)が独立し、それをきっかけに、ついに1991年12月にソビエト連邦は解体された。

そして、バルト3国を除く、ロシア、ウクライナ、カザフスタンなどの共和国により、独立国家共同体(CIS)が結成された。

ソ連の解体にともない、経済については、計画経済から市場経済へと移行した。

このさい、経済が混乱し、物価の大きな上昇(インフレ)をもたらしたり、失業者が増加したり、生活物資が不足したりした。

しかし、2000年に入るころから、石油の輸出産業を中心にして、ロシア経済が回復していった。国際市場で、石油や原油の価格が上昇したことも背景にある。

ロシアではない国

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現在、中央アジアでは、カザフスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタンは、ロシアではない。宗教について、カザフスタンなどでは、イスラム教が信仰されている。

また現在、ウクライナやベラルーシは、ロシアではない。宗教について、ベラルーシやウクライナでは、東方正教が信仰されている。

モルドバは、ロシアではない。

バルト三国のエストニア・ラトビア・リトアニアも、ロシアでない。なお、「バルト三国」は、バルト海沿岸にある3つの国なので、そう言う。

バルト三国の宗教は、プロテスタントやカトリックである。

ロシアからみて西南方向に、黒海カスピ海がある。この黒海とカスピ海に挟まれた地域をカフカス地方という。

カフカス地方では、アルメニア、グルジア、アゼルバイジャンは、ロシアではない。

アゼルバイジャンではイスラム教が信仰されている。アルメニア、グルジアでは、キリスト教が信仰されている。

民族紛争

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ロシア西南部のカフカス地方にある「チェチェン共和国」は、「共和国」とはいうものの、ロシアの一部である。

しかし、チェチェンに独立派がいるが、ロシア政府は独立を認めていない。 このため、独立派とロシア政府が対立し、武力衝突がたびたび発生している。

チェチェンでの宗教は、おもにイスラム教が信仰されている。

ほかにも、となりの国のグルジアで軍事衝突が起きている。

ロシア周辺国の農業

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ロシアは広すぎるので、ロシアの農業を語るのは、後回しにしよう。

ウクライナ

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ウクライナ

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ウクライナの首都はキエフ。(外務省が2022年3月31日にキエフをウクライナ語の発音に基づくキーウに変更すると発表した。)

ウクライナにドニエプル工業地帯がある。

1986年の「チェルノブイリ原発事故」で有名になったチェルノブイリ原子力発電所は、ウクライナにある。

また、「ヤルタ会談」で有名なヤルタも、ウクライナにある。

ウクライナの農業

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気候は、ステップ気候である。


ウクライナから西シベリアにかけての地域の農業では、小麦の生産が盛んである。

ヨーロッパの南部からロシア西部にかけて、土壌のこえた黒土地帯(こくど ちたい)がある。このロシア西部あたりの黒土地帯のことを「チェルノーゼム」という。

中央アジアの農業

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カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメンスタンなどを中央アジアという。 中央アジアは乾燥気候である。

中央アジアの農業では、かんがい(灌漑)による綿花や小麦の栽培がさかんである。とくにウズベキスタンが、綿花の世界的な生産国になっている。

過剰な かんがい により、アラル海の水位が低下しており、湖面の面積が減少し、アラル海は消滅の危機にある。

中央アジアでは、羊の遊牧もしている。

カフカス地方の農業

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黒海とカスピ海のあいだの地域を「カフカス地方」という。 カフカス地方の農業では、茶の栽培が盛ん。

また、ブドウやオレンジなどの果樹栽培も、カフカス地方では盛ん。


ロシアの農業

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ロシアの農業では、小麦や大麦やジャガイモの生産が、盛んである。

ロシアで農業の盛んな地域は、気候の温暖なロシア西部のため、そのためロシアの農業は、ウクライナの農業に近い。

いっぽう、北極海沿岸や、シベリア東部では、気候が寒冷すぎてツンドラ気候なので、農業がほぼ不可能なので、漁労などで食料を得たりしている。

  • ソ連時代の農業

かつてソ連の時代には、コルホーズ(集団農場)やソフホーズ(国営農場)によって、農場の国有的な統制があった。だが現在では、ロシアおよび旧ソ連からの独立国の農業は、民営化して、企業的な農業になっている。


工業

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原油や天然ガスの輸出で、世界でも上位の有数の国である。

旧ソ連では、資源産地が離れていたので、それらを鉄道や水運などで結びつける「コンビナート」と呼ばれる方式の工業地域を各地につくった。

首都のモスクワからサンクトペテルブルクにかけてが、主要な工業地帯になっている。このモスクワ・サンクトペテブルクの工業地帯は、資源はとぼしいが、人口の多い地帯なので、工業地帯になっている。

西シベリアにチェメニ油田や、ヨーロッパ=ロシアにあるヴォルガ・ウラル油田が、とくに産出量が多い油田である。

ヴォルガやウラルでは石炭や鉄鉱石の山地が周辺にあり、ヴォルガやウラルにそれぞれ工業地帯がある(ヴォルガ工業地帯。ウラル工業地帯)。

旧ソ連諸国では、ウクライナにあるドニエプル工業地帯で、工業が発達している。ドニエプル工業地帯では、ドネツ炭田の石炭や、クリボイログ鉄山の鉄鉱石を利用して、重工業が盛んである。

アゼルバイジャンでは、カスピ海沿岸のバクー油田で、石油の産出量が多い。

ロシアから産出する石炭の多くは、クズネツク炭田から産出している。