高等学校保健体育保健/精神の健康
※ 2022年以降の新カリキュラム用
編集基本的に本Wikibooks の記述は、教科書、参考書と銘打たれていますが、信頼度はそんな高くなく、読者はそれぞれ自己責任で、眉に唾をつけながら、使える上方だけ拾うのが良いでしょう。
この単元を読むにあたって
編集- ※ 2022年から、精神疾患(せいしんしっかん)についての記載が検定教科書に導入される予定です。精神疾患については現在、躁うつ病(そううつびょう)や統合失調症など、医学としての症状名が与えられています。心身症については、『中学校保健/欲求やストレスへの対処と心の健康』に記述があります。
さて、精神医療に関する概念的な命題として、脳と精神・心は同じものなのか? という疑問があります。
そして多くの精神医学者は脳と心が同じものだと考えているようです。事実上こう考えると、話は簡単になり、多くの実務上の判断が非常に明解にはなるでしょう。
しかし脳が我々の意識を生み出す仕組みも不明です。そこで、この単元では、ひとまず棚に上げて、自然科学としての脳の調査、研究の方法を少し記述します。
まず一番ポピュラーな検査項目は、脳波です。よく言われている説明で「アルファー波が出ていると、脳が落ち着いているので健康に良い、いっぽうベータ波は落ち着いていないので体調としてよくない」という指摘ですが、これ自体は俗説として切り捨てる立場の人も多いようです。
認知症の人が症状として落ち着いた状態でいる場合ば,アルファー波が出ている事が多いと言われます。認知症と診断される人はベータ波が出づらくなっている、という検査事例もあります。ホラー映画を見ている人が怖がってるので、「きっと脳波は活発的だろう」と研究者が測定してみたら、むしろ脳波は普段よりも落ち着いていた、というような調査結果も知られています。
核磁気共鳴の物理現象を応用して、脳の断層撮影をする MRI という検査方法もあります。これによって、脳の各部の血流の活性化を知ることができます。しかし、熱が与えられただけで脳の血流が増えることもありますし、この手法では精神の解明に大した貢献をしていることにならない、という指摘もあります[1]。
MRI による脳の観察のほかに、遠赤外線を使って脳を外部から観察する方法もあり、そのような遠赤外線を使った人体内部の観察方法を「光トポグラフィー」といいます。そのような遠赤外線によっても酸素化ヘモグロビンを観察できることから脳の各部の血流が分かりますが、しかし成果は今のところその程度か、あるいはそれから少し発展した程度であり、脳と精神についてはあまり解明されていないのが現状です[2]。
脳内神経物質や脳内ホルモンが現在活性化中かどうかや分泌中かどうかを解剖などをせず非侵襲的に正しく測定する方法は、現在のところありません[2]。
本ページでは精神疾患とよばれる状況について、精神医学会で診断される症名や用語の大まかな説明を行います。
現代の精神科の方針として、薬物投与が主流になっています。歴史的には、脳外科手術(ロボトミー手術)が問題視され、それよりも比較的に安全であり、問題が生じることも少ないとみなされている、薬物投与が普及していきました[3]。
ロボトミー手術は脳を不可逆的に切断する行為ですから、確実に倫理的に不適で、道義的な逸脱行為だと思います。
精神疾患の判定基準は、1980年代ごろからアメリカが主導して基準の国際共通化を進めてきました[4]。
1990年代からは、国連WHOなどが判定基準の作成を主導しています。(しかし実際はアメリカの影響がかなり大きいようです。)また、精神疾患の判定の国際基準としては、ICSDやDSMがあります。
用語の意味
編集- 躁うつ病
躁うつ病とは、気分が明るくなったり、気分が暗くなったりする極端を経過する状況。躁(そう)が、気分のあかるい状態のことで、うつは「憂鬱」(ゆううつ)の鬱。
うつ病などの状態にある人が、自殺を図ることを精神医学の専門用語で「自殺企図」、漫然と「死にたい」と思うことを「希死念慮」(きし ねんりょ)という。
- 躁(そう)病
気分が常に明るすぎると気も大きくなり、自動車運転などで事故をひき起こす可能性も大きくなるだろう。それに性格が明るすぎるのも、行動が大胆に、奇矯になってしまうので、周囲が異常を感じ、精神科の受診を勤務先などが強く勧める場合もある。「うつ」状況が無くとも、「躁」病だけでも疾患として扱われている。[5]
アメリカでも西欧でも、そして日本でも、内気や内向性は(強気・外向的に比べて)、弱いこと・病的なことだと見られている。実際には、世間的には好ましいとされる「饒舌で自信溢れる態度」というものも、単なる強気なだけの態度かもしれず[6]、空疎な出任せを撒き散らすだけの迷惑な人物かもしれないないが[6]、結局多くの先進国では、強気なだけでも饒舌で自信溢れる態度というものが好まれている。
2005年ごろのラジオ番組で、「なんで、うつ病の治療で会社の工場に復帰して仕事しようとしている私が、院内の集団カウンセリングで出会った知人の、作家を目指している「躁」病の知人の精神障碍者と同じふうに世間から見られるのか、正直言って私は納得いかないです」などのような体験談・感想が放送されていたことがあった。
- 統合失調症 (とうごうしっちょうしょう)
精神科医が統合失調症と診断する要素としては、「考えがまとまらない状態が長く続く」、「幻覚が見える」、「幻聴が聞こえる」などがある。
一般的に「意識を統合するのに失調する状態」とみなされているようだ。
「統合失調症の結果、怒りやすくなることがある」という説明もある一方で、「統合失調症の結果、落ち込んで行動力の無くなることがある」という対立するような説明がなされることもある。
ただ、この説明は矛盾しているのではなく、精神科医はどちらも統合失調症の特徴としてとらえており、一人の人物が長いスパンでこの両方の状況に陥ることがあるとみなしているようだ。
実際、躁うつ病の躁と鬱も矛盾している。
おそらく現実の医療現場で精神科医たちがやっていることは、投薬によって受診者を弱らせ、怒りやすくなる状態を、落ち込んで行動力がなくなる状態に落とし込んでいるのだろう。
実際に精神科医たちがどういう意識でそれを行っているかはよくわからないが、現実問題として多くの現場でそれが通用しているし、そうすることで、受診者が奇矯な社会問題を起こすことは少なくなり、精神科の医師たちが、世間から社会的な責務を果たしていないと責められることも少なくなる。
統合失調症は遺伝的な要因が少なからずあるとみなされているようだ。
その根拠として、
- (1) 世界的にどの国でも発生率が一定している事、
および
- (2) 養子に出された人の、生物学的親と養親とで、生物学的親が統合失調の場合、子の統合失調も多いという統計がある事、
などが根拠になっている。
医学書などでは、「養子なので、生物学的親の教育の影響は無いだろう」という判断のようだ。
精神医学と心理学
編集- 精神・心理系の資格制度
精神科医とカウンセラーは異なる資格である。 精神科医は精神医学に基づいた診療を行う医師であり、一方でカウンセラーは心理学の知見に基づいて依頼者の抱える問題や悩みにアドバイスを与える相談員である。カウンセラーに医師免許は不要。「精神療法」とは通常、カウンセリングのことである。カウンセリングという意味での精神療法は法的には「医療行為」ではなく、健康保険の対象ではない。[7]
なお、カウンリングは無資格でも行えるが、しかし有資格者によるカウンセリングとしての「認定カウンセラー」という資格も存在しており、日本カウンセリング学界が認定している。
カウンセラーは医者ではないので病名の確定などの診断は行えないが、しかし病名の予想は心理職でも合法的に可能である[8]。
心理カウンセリングで大切にされる原則として、カウンセラーは基本的に相談者(「クライエント」と言う)の話をよく聞く、聞き手になることが大事である(「傾聴」という)。この目的は、まずは相談者の思考パターンの実態の把握のためです。相談者の話の内容が事実かは分かりませんが、少なくとも「相談者がそう思っている」という事実だけは、相談者の話を聞けば分かるからです。
なお、カウンセリングの段階では思考パターンを把握するのが目的ですが、心理職の仕事は決してそれだけではありません。心理療法というのを仕事にしている人もいます。
心理療法では、たとえば「電車に乗るとパニック発作を起こしてしまう」ような症状の場合は、心理療法として実際に相談者に1駅ずつ電車に乗ってもらうこともあります。電車に乗るとパニック発作を起こしてしまうなら、例えば段階的に「すいている電車に1駅だけ乗る」→「すいてる電車に2駅だけ乗る」→(中略)→「しだいに混んでいる電車にも乗る」などの段階的な曝露(ばくろ)をさせていくことで発作を起こさないように訓練させる方法がありますが、どちらにせよ慣れるしかありません[9]。
ともかく、多くの心理療法では、上述のように段階的に負担を増やしていき、相談者の心の耐久力を上げていき、これを「系統的 脱感作法」と言います。まるでゲームのドラクエやファイナルファンタジーなどRPGのレベル上げのようですが、実際にそう説明する心理学の書籍もあります[10]。
心理療法(セラピー)をしている人はセラピストと言います。ですが、セラピーでもその最中などにカウンセリングと同様の聞き取りをすることも普通あります。
ただし、学校カウンセリング(スクールカンセリング)の分野では、スクールカウンセラーがセラピストを兼ねることもあります。教育心理学を扱った専門書でカウンセリングの章を読むと、スクールカウンセラーなどの仕事のひとつとして「行動療法」を説明しています[11]。ほかの教育学の専門書でも、同様に学校カウンセリングのページで、行動療法のようなものを紹介しており、たとえば不登校の生徒に対して放課後登校や校内の相談室登校を援助するなどの方策がカウンセリングのページと一緒に紹介されています[12]。
※ 本ページでは、カウンセラーとセラピストの聞き取りを区別しない事とする。
※ 「傾聴」や「共感」といった用語の字面と、その実態が異なります。心理学や精神医学などの学問的な歴史的な経緯から、こういった用語になっていますが、その実態は用語の字面とは異なっている。だから、けっして字面を覚えようとするではなく、実際のカウンセリング手法を参考にするのが良いだろう。
このように、カウンセリングはそのあとにセラピーが続くものです。そしてセラピーによって、心の耐久力を上げていくものです。治療を3年以上つづけても、いつまで経っても心の耐久力が上がらない患者は、いわゆる「かまってちゃん」のような詐病の一種であるミュンヒハウゼン症候群などの可能性をうたがう必要があるかもしれません。
- ミュンヒハウゼン症候群とは:Joel E. Dimsdale, MD, University of California, San Diego 著『自らに負わせる作為症 』レビュー/改訂 2020年 10月 2023年12月27日に閲覧.
なお、考え方の偏り(かたより)にもとづく「パーソナリティ障害」という症状は、精神障害としての症状は重くはないですが、しかし改善がとても難しい特徴があります[13]。
- カウンセリング
よく誤解されがちですが、カウンセラーは友達の代わりではありません。そうではなく、カウンセラーは、自然な他人の代わりです[14]。そもそも相談者は最終的には社会参加のためには他人と交流していかないといけないのですから、他人との交流になれる必要があるのです。なお、カウンセラーは親代わりでもなく、先生代わりでもなく、上司でもなければ部下でもないとされています[15]。
なお、過去に19世紀後半の精神分析家フィレンツィ=シャーンドルがすでに実験として、他人の代わりとしてではなく、まるで母親が幼児にするように、全面的に相談者に1日に何回でも深夜でもいつでも可能な限り相談に応じてみるという「大実験」を試したところ、フィレンツィは過労で体を壊してしまいました[16]。そして、そのあと、フィレンツィは自らの実験の失敗を宣言しました。このように、もう歴史的に実験結果が心理学・精神医学でも出ています。当時、「(幼少期などの)親の愛情不足が神経症の原因」という仮説があって、フロイトはその仮説を否定していましたが(「葛藤と向き合うしかない」というのがフロイトの立場)、一方でフィレンツィはその仮説を検証しようと実験したわけです。
- ※ 21世紀の現代でも、いまだに「親の愛情」どうこう言う評論家がいます。児童相談所の案件レベルの虐待とかあるならともかく、そうでないのに「親の愛情」とか言う評論家は、不勉強すぎるので、少しは心理学などを勉強しなおしてほしい。
カウンセラーは傾聴や共感などの態度を示しますが、しかしそれはあくまで、相談者が最終的に他人と交流できるようになるための手段です。なのでカウンセラーが共感の態度を示す場合にも、あくまで他人として、自然に共感できたところだけは共感をできたという事実を限定的に伝えるという態度が望まれています。
このため認定カウンセラーが無条件に相談者の考えを肯定しつづけることはなく、もしそのような出来事があれば、詐欺か、少なくとも相談者もしくは自称カウンセラーのどちらか一方がウソ・インチキを主張していることになります。
古い有名な心理学者で「ロジャーズ」という人が、相談者に対する無条件の肯定的尊重をすべきだと主張しており、共感的理解もロジャーズが主張しています[17]。しかし、21世紀の日本の現実のカウンセリングは、ロジャーズの主張は尊重しつつも、決してロジャーズの理論をそのままは採用してはいないのが現実です。
- ※ なお、ロジャー「ス」なのかロジャー「ズ」なのかは、どちらでも良いです。
- 岩壁茂 ほか著『臨床心理学入門 多用なアプローチを越境する』(有斐閣)(※巻末索引で確認)ではロジャー「ス」ですが、
- 下山晴彦 編『よくわかる臨床心理学 改定新版』(ミネルヴァ書房)(※巻末索引で確認)および矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』(PHP研究所)[18]および福島修美 著『心理カウンセリング実践ガイドブック』[19]ではロジャー「ズ」です。
そもそも、無条件に共感していては、相談者のうつ気分などに飲み込まれてしまう危険がある。必要なのは、苦しみを乗り越える力、悲しみから立ち直る力、である[20]。カウンセリングや心理療法でいう「共感」と、日常語でいう「共感」とは、意味が違います。
- ※ なお、日本の教育界での、戦後の個性教育の元ネタのひとつがロジャーズです。アメリカですら当時は刊行されていなかったロジャーズの全集が、先に日本で刊行されたりもしたほどです[21]。
- しかしロジャーズの理論と、21世紀の教育の実務は、異なっています。現実の教育は、決して小学生以上の子どもを全肯定するようにはなっていませんし(幼稚園児くらいなら、ほぼ全肯定するかもしれないが)、それを目指す予定もありません。
- たとえばスポーツの世界で、中学・高校生で、仮にたとえば50メートル走や100メートル走をかけるのが他の子よりも遅い子がいたとして、それがもし教育者から肯定されたとしても、しかし実際のスポーツの徒競走の世界では役立たないのが現実です。足の遅いのを肯定され続けても、多くの子は、うれしがらないでしょう。
- 心理療法でも、かんしゃくを起こす子供など、子どもが望ましくない行動をしたときに褒めてしまうと、症状が治りづらい、または悪化することが知られています。だから、「消去法」と言って、子どもが望ましくない行動をした場合は、その行動を無視するべきだとされています[22]。もちろん、子どもが望ましい良い行動をした場合には褒めることも忘れてはいけません[23]。この「消去法」のように、現代の心理療法も教育も、もはやロジャーズの時代のような素朴な全面的肯定の理論とは違います。おそらく、ロジャーズの生きた時代とはもう、時代背景が違うのでしょう。
辛辣だと感じるかもしれませんが、しかし精神医学などの用語で「イネイブラー」という用語があって、良かれと思ってアルコール依存やウツなどの精神障害の人を「そのままで良いよ」と励ましつつ世話をやいてしまうと、治りづらくなることが知られています。たとえばアルコール依存症の夫をもつ妻が、夫のアルコール依存を容認して、飲酒している夫を突き放さずに親身に世話してしまうようなものがイネイブラーです。「共依存」という用語も、イネイブラーと似たような文脈で使われます。
なお、依存症患者への本来するべき協力とは、依存を断ち切ろうとする努力への協力だけです。たとえば夫のアルコール依存なら、断酒への協力なら、しても構わないのです。
とにかく、カウンセリングおよび心理療法では、相談者は最終的には、自分の考え方を変える必要があります。しばしば、自分が変わるのではなく、親や上司(または子や部下)など周囲の人間の考えを変えるための知恵を期待してカウンセリングを受けにくる相談者がいると言われていますが、しかしカウンセリングはそういったものではありません[24]。相談者の周囲との望ましい関係の確立のために、相談者が自分自身を変えていくための手助けとしての相談に応じるのがカウンセリングです。
相談者はしばしば「親が愛情を注いでくれなったので、他人を信じられなくなった」のように、逃避します。しかし、現実療法という流儀のセラピーでは、そのような逃避を許しません。ほか、「自分が望む仕事につけなかったのは社会のせい」という逃避もよくあるようです。しかし、現実療法ではその逃避を許さず、「社会が求めることを、相談者であるアナタは十分に行っていなかったから、仕事につけない」という方向に考えさせるように仕向けます[25]。これが心理療法の事実ですので、程度の差はあれ、相談者は自分の心のダメな部分を見つめなおして、自分の心の欠点を直していく必要があります。
なお、現在の心理療法には、すでに家族療法や夫婦療法と言うものが存在します。家族療法とは文字通り、問題を抱えた個人だけでなく、その家族もそれぞれ心理療法にかかるものです[26]。
同様、夫婦療法も、問題を抱えた個人だけでなく配偶者も心理療法にかかるものです[27]。
もし、本当に家族や配偶者にも問題がある場合なら、家族療法や夫婦療法などを紹介されるでしょうから、そうでないなら(その心理職の機関が家族や配偶者に治療をすすめられないなら)、つまり問題の多くは相談者自身の心が原因だという事を受け入れなければならないでしょう。
また、なお、養子研究により、統合失調症については、家庭環境を心の病の原因とする説は否定されています[28]。
発達障害またはそれに近い相談者はしばしば、家庭環境を原因としてもらいたがるかもしれません。しかし、上述のような研究から、よほどの問題家庭でないかぎり(刑事事件になるような家庭とか)、家庭環境が主要原因という可能性は低いという現実を受け入れなければなりません(家庭にも寄りますが)。
もうロジャースの時代から、相談者が、自分自身の問題について、周囲を責めたり、被害者であるという立場を取ろうとする傾向も多いという事が相談の初期には報告されています[29]。
カウンセリングでは、カウンセラーは立場上、相談者を肯定的に評価することになりますが、しかしそれは決して他の立場の人が不要なわけではありませんし、そういった事を何もカウンセリング理論は保証してはいません。じっさい、臨床心理学のある専門書を読めば、学校カウンセリングに関して、小中高の学校教員に求められる生徒指導・教育相談における資質も、下山晴彦 編『よくわかる臨床心理学』(ミネルヴァ書房)という書籍によると一例として、養護教諭には「何でも話せる母親的役割」、生徒指導教諭には「現実原則に即した父親的役割」、担任教師には「兄的・姉的役割」といった役割があるとされ[30]、決して母親的役割だけで済むとか父親的役割だけで済むとか兄・姉役割だけで済むとか言ったことはありません。
学生のうちは、学校側が父親的な役割(現実を教えてくれる役割)を果たすかもしれませんが、しかし大人になって学校をすでに卒業していると、そういう父親的役割の存在が身近な場所からは無くなるかもしれませんので、カウンセラーとは別途、そういった現実を学ぶための存在なりメディアなりを確保する必要があるかもしれません。上記のように、決して安心感を持つだけでは(現実について何も学ばずに、現実を放置しつづければ)心の問題は解決せず、だから現実についてそれなりに学ぶ必要もあります。
もし、学校側が、適応指導教室を中心に生徒に母親的にだけ接してしまうと、もしその生徒の心の成長(たとえば葛藤に耐える能力)が不十分だと、卒業後の進学先の学校でふたたび心の病になってしまう可能性もあります[31]。出典の人の意見とは違いますが、イジメられ経験など相手側(イジメっ子側)の悪事でない限り、生徒の側にも葛藤に耐える能力を身に着ける必要があります。もちろん、それぞれの生徒のペースもあるでしょうが、しかし、どうあがいても卒業後を考えれば最終的に葛藤に耐える能力が必要になります。
なぜなら、今の学校が社会のすべてではなく[32]、あくまで一時的な場所に過ぎないので、最終的に社会であじわう葛藤には耐える能力を身に着けさせる必要があります。
さて、対人関係論アプローチという手法があり、それはクライアントの人格をあまり重視せず、対人関係にのみ焦点を合わせる方法です[33]。うつ病に効果があるとされています。しかし相談者は、しばしば、現在の対人関係から離れようとします。なので、この「対人関係論アプローチ」にもとづく心理療法では、現在の対人関係から離れないように介入します[34]。おそらく相談者は、自分の欠陥の問題を認めたくないとか、あるいは、心理的な負担を経験したくないのでしょう。しかし、治療のためには基本、現在の対人関係から離れるわけにはいきません。
「対人関係がストレス」と言って離れようとするのかもしれません。ですが、そもそもストレスはいたずらに避けるべきものではなく、ストレスには可能なかぎり自己を改革して耐久力を上げることで(ストレスに)耐えるものです。
例えば、手術をしないと治らない病気で、手術を控えた患者は、もし手術の不安がストレスだとしても、それを避けることはできません。そのような理念に基づいた「ストレス免疫訓練法」という心理療法もあります。欧米では、病院患者だけでなく、警察官や軍人にも広がっている心理療法とのことです[35]。
臨床心理学には「ストレスマネジメント」という考え方もあり、ストレスと上手につきあう手法のことです[36]。
なので、いつまで経っても避けるべきではない日常的なストレスを避けようとする相談者がいれば、単に回復が進んでいないか、幼稚な人でしょう。
「急性ストレス障害」という病気もありますが、しかしその病気でいうストレス障害の原因の出来事とは、医学書によると銃乱射[37]とか自動車事故[38]>とか、そういう危うく死ぬ[39]レベル、重症を負う[40]レベルの出来事です。
さて、発達障害の分野でよく言われる語句ですが、「顕在化」という語句があります。人によっては成人や就職活動など、いわゆる「大人」になるタイミングの前後のときに発達障害に気づくことがありますが、しかし往々にして、決して成人のタイミングで急に脳味噌の器質が変化して発達障害になったのではなく(ごく一部の例外ではそういう人もいるでしょうが・・・)、本当は幼少期から発達障害だったのが、単に「子供だから」と周囲からは見逃されていて、しかし成人や就職活動など学生時代が終わるタイミングで、大人としての責任が要求されるので、ごまかしくれなくなって、発達障害であるという事実に気づく、・・・というような意味合いが含まれています。
「精神障害」と「発達障害」とは微妙に意味合いが違いますが、人によっては一部が重なる場合もあります。
幼少期からの自分の価値観を否定するのは心理的に抵抗が大きいかもしれませんが、しかし相談者が現実に適応できていない以上は(だからこそ心の悩みを抱えている)、その価値観は間違った部分がある価値観なので修正される必要があります。なのに、自分の価値観を変えたくない人は(そして周囲の価値観を変えたがる人は)、よほどの天才的な思想家とかでもない限りは、いくらカウンセリングを受けても、治療は難しいでしょう。
なお、心理学などでいう「潜伏期」と言う言葉は、一般の医学でいう感染症などの「潜伏期」とは意味が違います。フロイト心理学でいう「潜伏期」とは、口唇期 → 肛門期 → 男根期 → 潜伏期 → 性器期 といった、今でいう思春期(14歳くらい)の手前の期間の一つのことで、フロイトの理論では「潜伏期」には性衝動が弱まると言われています[41]。
心理学には「思春期」のほかに「思秋期」[42]と言う言葉もあります。
「思春期」とは、だいたい中学生~高校生くらいでしょう。いっぽう、思秋期とは、中年あたりです。結婚している大人の場合、子どもがいるなら、その子供が思春期(10台)の場合、親のほうが思秋期の前後でしょうか[43]。
読者の多くはおそらく「青春」(せいしゅん)という言葉を聞いたことあるかと思います。青春の対義語として、日本および中国には古くから「白秋」(はくしゅう)という言葉があります。
大正時代あたりの詩人・童謡作家でも「北原白秋」(きたはらはくしゅう)と言う人がいましたが、このペンネームにはそういう意味もあるのでしょう。
古代中国の神話上の聖獣で、いわゆる「四聖獣」というのがあり、青龍(せいりゅう)、朱雀(すざく)、白虎(びゃっこ)、玄武(げんぶ)というのがあります。日本の小中高の教育でも、幕末の会津の白虎隊とか、理科の地質の玄武岩とか、古文・歴史あたりで京都の朱雀門とか、色々と習ったかと思います。
高校生は青春を通り、これから大人になって朱夏(しゅか)を経て、そして中高年の白秋(はくしゅう)になり、やがて玄冬(げんとう)となり老いて死ぬわけです。
心理学でも、これが一般的な人間の精神のライフサイクルです(だからこそ「思秋期」という用語がある)。いつまでも自分について「思春期」とか「青春」とか言ってる大人は、それが健康かどうかはともかくとして、少なくとも一般的ではないという事実を受け入れざるを得ないでしょう。
さて、カウンセリングは相談者の精神の把握も目的のひとつですので、一方的に聞くだけではなく、不明点や矛盾点があれば質問をすることもあります。不明点を指摘することで、相談者に「こういう言い方では人に伝わらないんだ」と自己理解を促すこともできます[44]。
一方、相談者に対して明確な解決策を直ちに提示することは基本的にはない。ただし、(カウンセリングではないですが)心理療法において、摂食障害の場合は、科学的に正しい食生活を教育したり、また、食事の行動パターンに介入することもあります[45]。
また、摂食障害なら相談者の身長や体重などを質問するなど、本人が自分で簡単に確認できることも質問して前提知識を確定します[46]。あるいはゲーム中毒なら、どのゲームを遊んでいるのかとか、どのくらいの時間を遊んでいるのとか、いつからかなど、事実関係を確認します。
また、相談者がうまく自分の悩みを言語化できなくて黙っていては思考パターンを把握できないので、その場合には、カウンセラーは幾つかの選択肢を出して「例えば、こういったことですか? それとも、こんなことですか?」みたいに可能性をいくつか挙げて、相談者に訂正してもらいうことで、思考パターンを調べます[47]。
このように、単に黙って聞いているだけでは通常はカウンセリングとは言いません。
他の目的としては、カウンセリング専門書によると、たとえば患者が言ってることが矛盾している場合は、内省をさせるために矛盾を指摘するべきだとされています[48]。
相談者が事実から目を背けずに現実を直視するように誘導することもカウンセリングの目的です[49]。このように、相談者自身にも、現実と向き合おうとする態度が求められます。
だから、もし相談者が、現実離れした政治信条やら現実離れしたカルト的な宗教観やら現実離れした職業観など、なんらかの社会事象に対して現実から目を背けようとする思想信条などを強固に持っているがゆえにおきた心の病なら、残念ながら、永久にその病は治らないかもしれません。なぜなら、日本の憲法には思想信条の自由やら信教の自由などの規定があるので、カウンセラーはそこまで指示できないからです。まあ、相談者が間違った思想信条などを変えないかぎり、お金と時間を無駄にするだけです。カウンセリングの専門書ではそこまで書いていませんが、現実としてそうなるでしょう。
相談者の「(心が)よくなりたい」という気持ちに働きかけるのがカンセリングであり、「復元力」みたいな言い方をするのですが、そもそも相談者が心の理想として目指す方向じたいが社会的におかしい場合、少し治療が難しくなります。
たとえば、「うつで働けない」なら、「普通の仕事でいいから、仕事につきたいのに、うつで働けない」とか「すでに就職して長年働いている会社に、うつで出社できなくなった」とかなら、カウンセリングや精神医療などで治りそうな見込みもあるでしょう。しかし、そもそも普通の仕事につきたくない相談者の場合、たとえば芸能人やらプロ作家やらにつきたくて、まだその仕事につけてない場合、あるいは医師や弁護士などの難関資格の就職を目指しているのに就職できない場合でも良いですが、そして相談者自身の目標が高すぎて目標の職業につけずに「うつ」になっている場合、とても治療が難しいでしょう。お金を支払えるかぎり、カウンセリングを受け続けることは可能ですが、相談者が信念と目標を変えないかぎり、または(実現性は低いでしょうが)実力を大幅に上げて就職できないかぎり、いつまでも「うつ」のままでしょう。
2005年くらいに聞いたラジオで、精神疾患の患者の投書で、そういう投書があります。「私は普通の仕事につけないウツなのに、世間では、普通の仕事につこうとしないで(それゆえに周囲とうまく行かずに)ウツになっている人と一緒にされています。(一緒にされることには)納得いきません」という感じの内容の投書です。あいにく2020年代の精神医学や心理学でもいまだに、これらの要因のまったく異なる「ウツ」を区別するようには なっていません。
なお、片田珠美(かただ たまみ) 著『自己正当化という病』 では、音楽の仕事の夢を諦められない40代の精神病患者の事例があります。「大学卒業後に就職したものの」(中略)「アマチュア音楽家として活動しながら、事務や接客などの仕事をしていたが、仕事に身が入らず、転々としていた」[50]とあります。別に音楽趣味があること自体は良いのですが、この人の場合、「上司や同僚との人間関係のことでイライラすることも少なくなかった」と同じページにあります[51]。
「イライラ」なんですね。なぜ雇ってあげてる会社にイライラと切れるのか。著者はツッコんでないですが。で、「出勤しようとすると、吐き気や動機、頭痛や腹痛などの症状が出現することもあったので、20代後半から心療内科や精神科を受診し、『適応障害』の診断で通院していた」とあります。
なお、この患者はYouTubeで演奏を配信しているらしいですが、大して儲からず、貯金も底をつきかけている、とのことです。以前に通院していた病院の他の精神科医からは「未熟」と言われたそうです。片田珠美 氏も同様の見解です。10代や20代ならともかく40代なのだから、仕事は食べていくための一般の仕事をやり、音楽は趣味として続ければいいという見解です[52]。
しかし、「ドクターショッピング」と言って、医師から耳の痛い意見を言われても、受け入れず、他の病院に行って、自分の気に入る意見を言う医者に当たるまで延々と医師を変え続けるような現象があります[53]。なお、「暗転化」といって、葛藤などを避けるために、不都合な事実を無視しがちであるという心の現象が知られています[54]。
さて、『自己正当化という病』著者の片田珠美 氏は知らないと思いますが、1999年に小説家・村上龍(むらかみ りゅう)の対談集『最前線』で、精神医療にかかわる人と村上が対談しているのですが、その対談の中で、アルコール依存症か何かの患者についての精神医療の仕事をしている人が「患者に、50歳までに依存症が治らなかったら、『あなたはもう治らないですよ』と患者に言いますよ」という感じの話がされていました。そして村上は、「本気で治す気が合ったら、もっと前の年齢で生き方を見直してますもんね」みたいに対談集の中で賛同してました。
音楽の夢の人が40台ということは、タイムリミットの50歳まであと10年。
この患者は現時点(相談の時点)でYouTubeの再生数が少なくて収益化できていないのだから、少なくとも、音楽をマネタイズする才能は少ない可能性が高そうですし、また、音楽性に関しても、YouTube視聴者層を大感動させるような音楽ではないはずです。
なのに、自信満々なわけですので、現実を認識できておらず、つまり「暗転化」です。
そのほか、他の患者の事例などから、自己正当化をしていて「暗転化」のある人は、他責の傾向も高いと片田珠美は論じています[55]。
なお、認知症なのにそれを認めようとしない老人、または認知症の気づいていない老人も、自己正当化から、他責をしがちであり、たとえば財布の場所を忘れるのを「盗まれた」と妄想するような傾向があるとのことです[56]。
認知症の高齢者に限らず、自分にも問題があるという事を自覚できない人ほど、他責的になりやすい[57]。
そして精神医学では、患者に病気の自覚(「病識」という)が無いと直すのが困難だと言われています[58]。なお、病気の自覚のことを「病識」と言います[59]。
ともかく、自分の落ち度は自覚するのに抵抗があるので、なので自己正当化の暴走で病気になると、とても直すのが難しくなります。
片田珠美は、このような自己正当化の病気の人の一種として、一種のナルシストだとして、「うまくいったときは自分の能力と努力のおかげ、うまくいかなかったときは他人や環境のせい、あるいは運が悪かったと考える傾向が強い」と述べています[60]。
さて、精神医学者のフロイトの技法にあるのですが、クライアントに自らを語らせ、治療者はただそれを誠実に聴くことに徹することで、クライアントには無意識を自覚することで良い影響を与え、悪い症状が緩和されることを期待する。この対面による対話から得られる良い結果を、フロイトは除反応(Abreaktion)と呼んだ。
ただし、この方法は、不安・焦燥などの原因が無意識に押し込められている場合にしか通用しないだろう。
また、一方的に聞くだけでなく、相談者の言っていることを短く要約したりカウンセラーが自分の言葉に置き換えるなどして、それを相談者に確認してもらうことで、カウンセラーが本当に相談内容を理解できているかの確認をお互いにすることで、相談者は彼の話がカウンセラーに届いていると安心できます。
相談者の中には抽象的な話ばかりをして具体例が伴っていない人もいる場合もあり、そのような場合にはカウンセラー側で具体的な言いかえをした質問をして確認しなおすこともあります。思いを語るばかりで出来事の事実を語らない相談者もいて、その場合には事実がどうなのかを相談者に問う必要もあります。「お気持ちはわかりましたが、何があったのかを聞きたいのです」のように[61][62]。
事実ばかりを語って思いを語らない相談者も、困った相談者です。事実関係を調べる職業ではなく、精神の病を治すための仕事なので、思いも語ってもらわないと意味がありません。相談者には事実と思いの両方を語ってもらいます[63]。
なんでもかんでも相談者を肯定していいわけではなく、たとえば相談者が違法行為をしている場合は、違法行為をやめるように促す返答をする必要があります。よくある例のひとつが飲酒運転で、その場合にカウンセラーが言うことはたとえば「ここに来るときはお酒を飲まないでください。どうしても飲んでしまった場合は、誰かに送ってもらうか、電車やバスを使ってください。そうしないと、ここに来れなくなってしまいます」のように指導することになります[64]。
- フロイト流カウンセリングへの反対論
ただ、即物的な解決策は示されないので、この方法に疑問をもつ精神医学者も存在していて、たとえば医学博士の岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』でもカウンセリングの効果が疑問視されている[65]。
なお、学校カウンセラーの場合、カウンセラーが教師を指導することを「コンサルテーション」というが、しかし決して経営コンサルタントのような具体的な解決策の指導をするわけではない。学校カウンセリングでいうコンサルテーションとは単に、カウンセラーから教師に対して、悩める生徒に配慮した指導法をするように色々と注意するだけである。
また、相談者の抱えている問題を、相談者の家族の問題、つまり簡単に言えば、親などの家族が悪いから問題が起こると断定的に語られることも多いと、岩波氏は指摘している[66]。
なお、他の書籍でも似たように親を批判する患者もいると指摘されている。基本的にはカウンセラーは、だれだれが悪いと言った責任追及はせずに、ただ単に「あなたが親をこれこれこういう理由で嫌っていることは分かりましたし、だとすればあなたは辛かっただろうなと思います」のように相談者に共感の態度を示しつつ精神状態の事実確認をするのが良いとされる[67]。カウンセリングでは「共感」を示すのが良いと専門書でも言われますが、しかし内容によっては共感してはいけない場合もあり、その場合は前述のように限定的に共感できたところだけを言います。
相談者の中には、親などが悪いとカウンセラーにも思ってほしいと期待する人もいますが、基本的にカンセリングでは悪者探しはしません。相談者に「どうすれば誰も責めずに問題を乗り越えてもらうか」を考えてもらうのが、まともなカウンセリングの目的です[68]。そもそもカウンセラーには中立性が求められますので[69]、悪者探しは好ましくありません。
また、岩波氏は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と言う言葉について、本来ならPTSDは大規模な災害(大地震など)や戦災などで心にショックを負った人の状況だから、(「親にきつめに叱られた」などのように)ささいな家族関係のトラブルやショックをきっかけにPTSDになるという言説を行うのは問題があると指摘している[70]。
小説や映画でも、心的外傷が生活や性格に悪影響を与えるというテーマを中心に語られる物語は非常に多い[71]。
「トラウマ」(英: trauma)という表現も知っておきたい。意味は、現在のPTSDとほぼ同じである。21世紀になって「PTSD」という言い回しが普及する前は、PTSDと同じ状況やその原因である心の傷のことを「トラウマ」と読んでいた。
高校の英語の検定教科書でも、20世紀の国際問題などを解説した英文で「trauma」という表現を見かける[72]。
- ブルーノ
医師にして心理学者のブルーノ・ベッテルハイムは、子供たちや心理的な困難を抱えている人たちの問題の多くの原因は、養育者の不適切な暴力的な態度などの後天的な原因であると主張していた。彼個人も一生涯にわたり抑鬱という問題を抱えており、妻を癌で亡くした6年後、1990年に自殺を遂げた。その直後に彼の経歴詐称や患者に対する問題行動の数々が明るみに出され、ベッテルハイムへの評価は暴落した。 (以上 2文、 Wikipedia の記述から引用)。ブルーノの運営する診療所では50%の患者が回復したと彼は喧伝しているが、しかし具体的な患者のデータはまったく公表されていない[73]。
精神医学に関する諸々、雑感
編集- 心理学におけるフロイトとユングの影響
精神医学の分野では、この項目ではとりあえず、ジークムント・フロイト(Wikipedia)、カール・グスタフ・ユング(Wikipedia)の 2名を重要人物として挙げておく。
フロイトの主張は、精神不調の原因を性欲に結び付けることが多く[74]、後の議論でその点を指摘し、疑問視する意見は多い。ユングもフロイトが多くの議論で性欲を精神問題の原因に結びつける事を批判している[75]。
しかし何かにつけて性欲に言及するのは確かにおかしいという感覚はあるが、しかし一方で性欲は人間の基本的な情欲ではあろう。誰にとっても一生にわたって重要なテーマだし、それと精神の問題を結びつけるのはそれほど不適ではない、という考え方もできる。
フロイトは、性欲に限らず衝動的ではあるが生存や子孫繁栄に必要な本能的欲求をまとめて「エス」と命名して定義し、特に性欲に限っては「リビドー」と命名した。
美学や宗教学では、母が子を愛するような愛情のことを「アガペー」といい、一方で男女間での性行為やその快感を目指すような肉体的な愛情のことを「エロス」と言う。「リビドー」も、おおむね、「エロス」を心理学・精神医学的な文脈において解釈したものであると言って良い[76](入門的、第一段階、当初の理解)。
ユングとフロイトは彼ら個人的にも対立し学説も対立したが、しかし両者の主張にも共通点がある。それは、人間の心理には、意識の他にも「無意識」が存在するという考えであり、フロイトとユングで若干の解釈の違いはあるものの、しかし「無意識」という概念がある事自体は共通している[77]。
ユングはフロイトよりも若い世代の心理学者であり新しいが、しかしユングの登場によってフロイト派の学説が葬り去られたわけではなく、たとえばより若い世代の心理学者エリクソンの学説は、フロイト理論に立脚している[78]。
フロイトの理論は、現在からみればあまり生物学的でないように見える。そのためユングをはじめとする次世代の研究者からは批判対象になっているが、然しフロイト登場の当初は、旧来の価値観(例えば宗教的な価値観)と比べて、生物的であった、或いは生物的に見えていた、という事実がある。
フロイトも、自身の分析法を生物学によるものだと認識していた[79]。
- 「死の本能」の提唱
フロイトの従来のリビドー論では、ヒステリーなどは説明がつくかもしれませんが、しかし自殺をうまく説明できませんでした。
そこでフロイトは、自殺もまた本能に基づく行動であるとし、(リビドー的な)「生の本能」と対峙する「死の本能」(ドイツ語では「デストルドー」)を提唱しました。この「死の本能」論は、当時から大反発を受けました[80]。
フロイトによれば、心の奥底では「生の本能」と「死の本能」とが葛藤をしているとの主張[80]。
しかし、心理学では「死の本能」論に対する反論もある。生存のための外敵への本能的な攻撃が、本来なら外側へ向かうはずなのに、自分に向かっている。それが自殺である。という主張だ。日本では心理学者の岸田秀がそのような議論の元フロイト批判している[81][82]。
- 哲学や思想への影響
一方、近代ヨーロッパにおいてフロイトの脚光後、哲学や思想において、哲学者・思想家のフーコーやラカンが、フロイトの精神分析の言説を取り入れた[83]。今ではフロイトの権威もかなり褪せて、批判的に語られることも多いが、歴史的に重要な著名人で、思想的にも社会に大きな影響を与えた精神医学上の大きなインパクトであることは間違いないだろう。
一方でユングやエリクソンなど、フロイト理論を批判的に検証した心理学も発展した。
特に心理学に限らず、あらゆる学問は批判と再検証と議論の繰り返しだ。社会や権威者や自己本位な賢人気取りたちがいくら思想や学説の真偽や優劣を断定的に判断したところで、全ての研究者、学問者、そして個人と集団が、真理を求めて今後も探求を続けていくしか、行く道は無いだろう。
- ヒステリー
特定のネガティブな精神状況や態度のことをヒステリーと一般的に呼ぶことがある。国語辞典ではこの言葉の意味として、「わずかなことでも、感情をおおげさに表すこと」[84]と、示している。
医学の言葉としては、昔は使用されていたが、現代では、症状を正確に示していないとして、この言葉を使わないようにしている。
現代ではこの状況は身体化障害、あるいは転換性障害と解離障害の二障害に分離して考える。
大雑把にこの障害状況を記述すると、「身体に異常が無いにもかかわらず、心的な原因でうまく動かせない等の障害が起きること」とされていて、女性に多いと昔から言われている[85]。そもそもヒステリーという言葉が、「子宮」を意味する古典ギリシア語の ὑστέρα に由来している。
「ヒステリーは女性の病気」というのは、古代ギリシアの時代から、医学者ヒポクラテスなどが同様の発言をしている(ただし、当時はヒステリーという言葉は無く、別の言い回しだった)。ここでいう「ヒステリー」も俗語の意味とは違う可能性が高い[85]。
時々フロイトがヒステリー患者の治療をしたのがフロイト心理学の端緒となった、と言われることがあるが、しかし正確には、当初のヒステリー患者を診察をしたのは医師ブロイアーであり、フロイトはブロイアーとの共同研究の成果を、彼との共著『ヒステリー研究』で発表した。
- アスペルガー症候群
近年「アスペルガー症候群」という用語がよく話題になるが、この考え方に関する疑問が各国の医学会から提出されており、一説では「アスペルガー症候群」に限っては実は精神疾患ではなく個々人の倫理観の問題だろうという指摘もある[86]。
- 「発達障害」
発達障害は、名前と実体とが微妙に違います。下記で後述するように、分類にあまり一貫性がありません。
文字通りに考えれば、原因がなんであれ、心の発達が遅れていれば「発達」の障害になるはずですが、しかし実際の分類はそうではありません。
児童虐待が原因とされる障害の場合は、どんなに対人関係を作ろうとしないとかのコミュニケーション的な点での症状があっても、「発達障害」に分類しません[87]。たとえ実際に情緒の遅れや言語発達の遅れがあっても、児童虐待が原因とされる場合には、「発達障害」には分類しません[88]。
しかしその一方で、学力の高い人もいるアスペルガー症候群でも、発達障害に分類します[89]。これは文字通り、社会的コミュニケーションなどのスキルの発達が遅れているからです。
このように、「発達障害」の分類はあまり一貫性が無く、科学性が低いのが現状です。
ほか、ADHD(注意欠陥多動性障害)は、知的障害ではなく「発達障害」に分類されます[90]。読者には、「それは本来は知的障害、知能障害では?」という疑問もあるかもしれませんが、しかし経緯として、IQテストでは異常が無いか異常が少ないのに学習能力などが極端に低い子がいるという事実が「発達障害」といった新たな概念の背景です。
「知的能力障害」と言った場合、IQテストの結果が低いことを意味します[91]。
仮に虐待児童の尊厳などに配慮して「発達障害」に分類しないのだとすると、ではアスペルガー症候群の人の尊厳は軽視しているのかという事になり、それこそアスペルガー症候群の人に対する障害者差別でしょうし、偽善的でしょう。アスペルガー症候群の人には、子どもだっています。大人だけの病気でもありません。差別者のくせに自分は善人だと思っており、最低です。
精神医学の研究・診断
編集実験動物のラットの主観、心的内面(「クオリア」という)を知ることは事実上不可能だろう。ラットが投薬などで幻覚・幻聴を体験できるのかどうか、知るすべは今のところない[92]。
精神疾患の原因を遺伝子に求める動きもある。しかし、たとえば医学書『標準精神医学』を読んでも、双子(一卵性双生児など)に注目した症例の統計解析をしても、精神疾患に関しては原因遺伝子などは特定できていない[93]のが実情である。
心理学の世界でもこれは病気とみているだろうが、例えば書籍『心理学・入門 心理学はこんなに面白い』では、「精神病の原因は特定されていません」との記述がある[94]。
しかし心理、神経に隣接する問題で,身体的な病気と考えても良い場合もあるだろう。精神疾患以外の病気のひとつであるハンチントン病という神経病の場合、世界各地の双子たちの症例の有無などの解析により、原因になりそうな候補の遺伝子が絞り込めている[93]。
とちらにせよ精神疾患の場合は、明確な身体の病気のように、「原因菌や原因細胞を顕微鏡で探して判定」、のような生物学的な診断はできない。
そこで現代の精神科医たちは、国際的に認められている症状チェックリストをもとに、判定を行っている。世界保健機関のICD(国際疾病分類)や、アメリカ精神医学界のDSM(診断・統計のマニュアル)に、精神疾患の症状のチェックリストも紹介されており、それにもとづく診断基準を精神疾患では利用することになる[94]。
精神医療の実務
編集精神医療の実務では、通常は、精神療法・行動療法などで状況の改善を進めていく。精神療法の補助や円滑化のために、薬物療法が用いられる場合が普通である(対症療法)[95]。
精神科周辺の救急医療では、他者への障害行為や自殺・自傷などに及ばないかぎりは、たとえ患者に不審な言動などがあっても投薬をしないでおくのが一般的な方針になっている[96]。
精神保健福祉法(正式名称「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」)では、強制入院の基準として、「入院させなければ(中略)自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがある」(第29条)としている。強制入院とは、分かりやすくするために当wikiではその言葉を使っているが、法律上は「措置入院」という。強制入院の事例として、たとえば向精神薬などの不適切な大量使用などによる中毒(症状として呼吸困難やけいれん など本人の身体上の危険もある)のさいの強制入院がある[97]。
精神保健福祉法にもとづく強制入院について、入院の判断基準の実情は、その精神疾患の患者が、刑法に違反する行為をしそうかどうかで判定されるのが通常である。ただし、強制入院の患者の割合は少なく、入院患者の50%以上は、患者本人から(家族ではなく患者本人から)の同意による任意入院である。[98]
殺人・放火など重大な刑法犯の精神疾患については、「医療監察法」(いりょう かんさつほう)という、専門の法律で対処される。統計では、すでに犯罪を犯した精神疾患の刑法犯の多く(約3分の2)は、診察の結果、統合失調症であると診断されている[99]。
そのほかの精神疾患
編集記憶力の障害や睡眠障害など、詳細は不明だが、脳と関係があるとみられる様々な障害があり、精神疾患に分類される。
健忘症
編集「てんかん」という、脳波の乱れる病気がある。「てんかん」自体は、物忘れではない。
現代では行われてない治療法だが、かつて「てんかん」治療法として欧米で、脳の側頭葉の連合野などの一部を切除して切り離す手術が行われ、この手術をロボトミーといった。
こういったロボトミー的な手術によって患者の「てんかん」そのものは収まったのだが、しかし患者の性格や各種の思考などの脳活動に異常が見られた。このため、ロボトミーは現代では行われないのが普通である。(現代の「てんかん」治療は主に、薬物によって症状を治めるのが通常。)
この手術を受けた或る(ある)患者は、物覚えが悪くなり、手術前に覚えたことは普通に覚えているのだが、しかし手術後に新しく物事を覚えるのが困難になるという前行性健忘症(ぜんこうせい けんぼう)になった[100]。
健忘、物忘れ、物覚えが難しい、と一言で言っても様々な状況があり、過去のことは覚えているのか、過去のことも忘れているのか、割と簡単に記憶が保持される状況はないのかなど、個別に詳細に事実関係を見出して区別する必要がある。
認知症
編集認知症も、医学上、法律上精神疾患とみなしています。
かつては痴呆症(ちほうしょう)とも呼ばれ、高齢者に多いと見られている症状です。
精神疾患というと非常にネガティブなイメージが付きまとうので、年齢を重ねて老化したうえでの自然な退化は、一般的な精神疾患とは別物だという意識があるのかもしれません。
- 感染症による認知症
HIVウイルス(いわゆるエイズ)の感染によって物質的に脳細胞が破壊された結果起こる脳活動、心的活動の障害も、認知症として症例を扱います[101]。
梅毒(ばいどく)の神経・脳への感染の進行による、障害も、クロイツフェルト・ヤコブ病(いわゆる狂牛病のヒト感染)によるスポンジ脳症による障害も、認知症と見ます。
これらの感染症による認知症は、症状として、統合失調症のような状況が見られる場合もあります。(最も高齢による認知症でもそう見える場合あるんじゃない? と、一編集者H は思うけど…)
記憶障害
編集記憶障害もまた、精神疾患だと考えている。
認知症は、症状の初期では、基本的に新しい事を覚えるのが苦手になるが、すでに覚えていることは比較的に保たれやすい[102]。
アルコール依存症でも、記憶力が低下したり、事実でない事を事実・体験と認知する症状がある。(コルサコフ症候群というものとの関連も指摘されている)。
事故による頭部挫傷による記憶障害、一酸化炭素中毒による記憶障害、なども精神疾患として扱う。
外的な要因による精神疾患
編集身体、脳の外因的な影響によっても、人間の精神活動は影響を受ける。頭部挫傷などにより記憶障害や気分の異常などが起きる場合もあるとされている。
また、ウイルス性の脳炎の影響でも、精神状態が不安定になると指摘されている。[103]。
また、シンナーや有機溶剤などの化学物質や薬物などの影響により、人間の気分は変わる。(※ シンナー遊びの悪癖だけではなく、ペンキ塗りなど、建物の外装・内装でも有機溶剤を使うので、職業病として、ある。)
精神疾患の原因は、内的心理的な原因だけではなく、外因的な脳や身体機能に原因を求めることもできる。
身体原因として、内臓は動脈や静脈の血管を介して脳と繋がっているので、内蔵疾患が精神の状況に影響を及ぼす可能性も考えられている。
睡眠障害
編集「夜なのに寝付けなくて、困っている」あるいは、「発作的に、不定期に急に寝てしまう」(ナルコレプシー)などの睡眠障害も、精神疾患として分類される。
- ※ 睡眠のメカニズムについては、検定外高校生物に多少記述がある。
失行や失語
編集- 失行
「服を着よう」と思ってるのに、胴体や筋肉は正常であるが、おそらく脳のなんらかの機能障害で、服を着るための動作をうまく出来ないような事態を、「失行」(しっこう)という[104]。
行動する意欲があり、筋肉なども正常なのに、何らかの中枢神経の異常により行動できない状態が、失行である。
- 失語
医学でいう「失語」(aphasia)とは、脳卒中・脳梗塞などの大脳障害や、認知症により、言語がうまく使えなくなる事。言葉がたどたどしくなったり、二語や三語ずつしか、一度の会話でしゃべれなくなる。[100][105][104]
精神医学でも救急医学でも、"失語"はそういう意味でとらえている。脳卒中や脳梗塞で、脳の言語をつかさどる部分が損傷し、言語障害になる、という[105]。
精神疾患とは何か?
編集まず一点、米国で、器質的な原因だとされている種類の精神障害が、本当に器質が原因なのか、たびたび学術的な場でも議論されているという[6]。
1970年代に、当時の精神医学に欺瞞があることに気づいて改革を唱えた精神医学者がいた。ヘンリー・スピンカーというDSMを制定する実行委員会の一員の人物であり、彼は、精神疾患の対象をもっと狭くするべきだ、つまりあらゆる人間性に関する問題が、精神疾患という安易な解釈に貶められている、と、主張した[106]。
アメリカの診断基準の DSM-IV は、当初はこれは単なる研究用の「申し合わせ」のようなものにすぎなかったが、なのにこれの権威が一人歩きしていき、聖書というか『不磨の大典』のような権威的な扱いを受けるようになってしまった[107]。DSMなどのマニュアルは存在すれど、しかし複数の別々の精神科医がためしに一人の精神病患者に対して診断をマニュアルに従ってそれぞれ下してみると、マニュアルに従ったにもかかわらず、各医師ごとのマニュアルの解釈の違いにより、診断結果も医師ごとに異なる場合もよくあり、つまりDSMなどの信頼性なんてその程度のものであり、DSMはせいぜい参考程度のものでしかない[108]。
ジャーナリストや評論家などによって、現代の精神医学のあり方を傲慢だとして批判する動きもある。たとえば米国の大学教授クリストファー・レーン著『乱造される心の病』では、その各章のタイトルを見れば「第2章 感情が病状にされる」、「第3章 内気は病気になった!」と題うっており[109]、アメリカ精神医学界の診断マニュアルそのものを信用に値できないものとして手厳しく批判している。
一説としてうつ病の原因を脳内のセロトニン不足とする「セロトニン欠乏説」というのがある。しかし極度の不安や苦悩の原因は、必ずしもセロトニン分泌不足ではない可能性が高いとされており、セロトニンが分泌されていても不安の大きい人もいるし、そうでない人もいる[110]。しかしセロトニン分泌の不足が原因だという学説も一部ながらある。このように精神医学では不明な事も多い。だがアメリカの製薬会社が、セロトニン分泌の薬を売りたいがために、学説の一つに過ぎないセロトニン不足説を、あたかも証明されつくした定説かのように誇大な宣伝をしている[110]。私たち日本人には困った事に、日本の製薬会社は、アメリカの製薬会社と業務提携をしている。
クリストファー・レーン著『乱造される心の病』だけがそういってるのではない。日本の精神科医・岩波明も彼の著書『精神科医が狂気をつくる 臨床現場からの緊急警告』で、セロトニン仮説は仮説にすぎず、科学的には全くセロトニン仮説は証明できていないと言及している[111]。
うつ病のセロトニン欠乏説の証明の不十分さと同様の問題、統合失調症でも似たような問題があり「ドパミン仮説」というのがある。覚醒剤がドパミンを過剰に分泌させ、しかも統合失調症と似たような幻覚を引きおこすこと等の理由から、統合失調症の「ドパミン仮説」を導き出している。しかし「ドパミン仮説」も医学的には証明されていない。
なお、うつ病の治療薬の多くは、脳内のセロトニンまたはノルアドレナリンの濃度を高める作用をもち、三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI、SNRI、NaSSA、など幾つかの種類がある[112]。セロトニンに特化したものとしてはSSRI(選択的セロトニン阻害薬)という種類の薬で、脳内のセロトニン濃度を上げることもよく行われる。だが、この薬SSRIに速効性は無く、効果の発現までに2週間は掛かる[113]。
日本のマスコミも、精神疾患について正しく語っているとは思えない。筆者(←誰?)がある日 NHK を見ていたら、統合失調症について、ふつうの体の病気と同じように、器質の病気としてもっともらしい説明をしていたが、見ている方は非常に違和感があった。
また、マスコミが統計について、数字について語るとき、メディアリテラシーの格言のひとつとして、「マスコミが件数を報道するときは率を、マスコミが率を報道するときは件数を確認するのが良い」という警句があるという。
未分類
編集五大疾病
編集厚生労働省が注意を呼び掛ける四大疾病(よんだい しっぺい)「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞(いわゆる心臓病)」「糖尿病」に2011年に、精神疾患が加えられ、五大疾病と言うようになりました。
「脳卒中」という言葉は、医学的には「脳血管疾患」という言い方のほうが厳密なようです。(※ 第一学習社の2021年版デジタルパンフの表記がそう。)
4大死因
編集日本人の4大死因は多い順に、がん、脳血管疾患、心疾患、肺炎です。五大疾病とは少し違います。
第一学習社の2021年版予定の検定教科書デジタルパンフレットで、「肺炎」(はいえん、pneumonia [114])が日本人の4大死因のひとつである事が紹介されています。
その他
編集妄想
編集妄想も精神疾患に分類している。原因は多様かつ不明。本Wikiでは深入りしないし出来ない。
病的な妄想としてよく例に挙げられるのは、「自分の考えが他人に盗聴されている、考えが周囲に漏れている」、「自分は神である」、など。
特に大きな理由がないまま自然に妄想を抱きやすくなることがある一方で、麻酔などの薬物治療の副作用により、一定期間の間、妄想をしやすくなる場合もある。
てんかん
編集「てんかん」(漢字は「癲癇」)という、発作的に短時間(10秒程度)のあいだ、意識が消失・不明瞭になったり[115]、あるいは、短時間、身体の痙攣(けいれん)が起きる症状がある。神経疾患であり、かつ精神疾患であると考えている。
古くから知られている症状であり、確実な史料として、古代ギリシアの医者ヒポクラテスが、てんかんは、神がかりではなく(当時は『神聖病』と言われていた)、肉体的な病気であるという主張をしていることが彼自身の著書に残っている[116]。
東洋では、やや不明確だが、古代中国の三国志の曹操(そうそう)は少年時代の悪戯の演技で、てんかんの振りをして大人を困らせた、というエピソードが伝えられている。(ただし、中世に作られた小説の『三国志演義』や、近現代の歴史小説(大正時代の前後に活躍した吉川栄治など)の創作かもしれない。だとしても、(第2次世界大戦後の現代と比べて)比較的に古い時代から「てんかん」は知られていることになる。)
西洋では、古代ローマ帝国の政治家カエサルも、一説には「てんかん」であったと言われている。曹操やカエサルが「てんかん」であったかどうかは定かでないが、少なくとも当時から既存の概念として「てんかん」に相当する症状のあることが医療者や知識人達に知られていたことは確かだろう。
てんかん発作時の脳波の測定をすると、発作時の10秒ていどの間だけ、脳波の波形の振幅が大きく乱高下する[117]。なお、脳波の測定技術は1929年に発明された。そのため、1930年代から、てんかんの脳波測定の研究が始まっている。
脳波の異常がみられることから、脳の器質的な病気だとも見なされている。しかし一般に「てんかん」は知能の低下はもたらさない[118]。
てんかんの患者は、医師から職業指導を受ける際、てんかん発作が重大な事故を引きおこす仕事(たとえば交通機関の運転)には就職せずに避けるよう、指導される[119]。
一時期てんかんの発作による大きな自動車事故が多発したので、自動車免許更新時に、そういう問題を抱えている人を見出すためのアンケートが添付されるようになった。現時点(2022)でもその配慮は継続中だろう。
多重人格は少ないようだ
編集『ジキルとハイド』や『24人のビリー・ミリガン』(なお、実在の殺人事件のノンフォクション)など、ひとりの人間に複数の人格が宿ることを題材にした映画やドラマや小説は多いが、しかし精神疾患としては、そのような症例は少ないようである。
なお、21世紀では「解離性同一性障害」(dissociative identity disorder, DID [120])という精神病が従来の「多重人格」(multiple personality disorder [121])に相当する[122][123] [124]。
統合失調症が多重人格のことだと思われることはあるようだが、(かつて「精神分裂病」と呼んでいた)、この症状では幻覚が生じたり判断力が低下したりはするが、しかし、けっして人格が別人として豹変するわけではない。
「精神分裂病」(英: Schizophrenia)を多重人格のことだと見なしてしまう誤りは、日本だけのことではなく、医学書『カールソン神経科学テキスト』によると、欧米でも同様の誤謬が時々あったようだ[125]。
認知症も多重人格とは全く別物だろう。記憶を失う場合も多いようだが(物忘れ)、認知症の初期は昔のことはよく覚えているのが普通。認知症の人がストレスで怒りっぽくなることはあるかもしれないが、人格が別になったとは見なせないだろう。
精神障害という言葉もあるけれど…
編集精神障害という言葉は、精神疾患よりさらに広い意味を持つようだ。統合失調症は精神疾患であり、精神障害であると見ていいだろうが、例えば、反社会性パーソナリティ障害のような、生理的ではないとみなされる、人間性に関する問題も「精神障害」という[126]。
- ※パーソナリティ障害とは…精神疾患ではなく、かといって神経組織の生理的な、「神経」疾患というものでもなく、人格・人間性に起因するような障害がパーソナリティ障害と呼ばれる。パーソナリティ personality は、人格・性格を意味する英単語。
- 医学者達は、『パーソナリティ障害』の医学的な定義をあげるかもしれないが、しかし、それは学者たちの都合による机上の空論であり、あまり実用的な意義は無い。(書籍名は忘れたが、社会学者の宮台真司が1990年代の後半ごろから、そういう用語の問題点を指摘している。)
- 特に、『反社会性パーソナリティ障害』について限定すれば、その名の通り、反社会的な性格という障害、という程度の意味でしかなく、実際にマスコミ報道や社会評論などでも、そのような意味で用いられている。
- たびたび、犯罪事件の逮捕された容疑者が、精神鑑定により「反社会性人格障害」または「反社会性パーソナリティ障害」と診察される場合があり、社会学者や有識者達が、そのように、「パーソナリティ障害」の意味を説明している。
また、法律的には、障害者福祉法などで、精神障害も福祉の対象になっている。
PTSD
編集戦災や大災害などのストレスを体験すると、日常生活に戻っても、警戒感や恐怖感などが長期間ずっと抜けない場合があり、PTSD(心的外傷後ストレス障害、ピーティーエスディー)と言う。
大事件などが起きるたびにメディアではたびたび「PTSD」の語句が話題になるが、この問題の生理的な分析も明確ではなく、現在決定的な治療法は無い。
歴史的には、1970年代のベトナム戦争の従軍アメリカ軍兵士たちの、帰国後のアメリカでの生活中にも警戒感・恐怖感などが長期間抜けていない、ということが、話題に取り上げられたのが、PTSDという用語の誕生である。
治療法としては、PTSD患者が投薬治療を希望する場合は、とりあえず抗うつ薬(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が処方されるのが通常であるが、しかし効果はいまひとつであり[127]、決定的な治療法にはならないとされている。
その他、患者に体験を語らせて、自己分析したり客観視するなどの方策もある。しかしこれもまた、効果は必ずしも、それほど良くない[128]。
適応障害
編集例えば社会人が新しい職場で、仕事や人間関係がうまくいかないため、会社に行くのが不安で、なじめないで困る、こういう事態が、適応障害(てきおう しょうがい)と呼ばれる。日本だけでなく欧米などでも、世界的に、適応障害と診断された患者には、彼が望めば、抗うつ薬(こううつやく)などが処方される。
医学・生理学的には、適応障害に関しての生物学上の知見は得られていないので、詳細不明のまま、心理的な問題として、精神医学上の一分類とするしかないのが実情だろうか。
診断を下された患者も、会社をやめるのではなく、投薬をつづけながら、会社に通う、または休職しながらも会社員として勤務先に所属したままにしている(そういう人が、「治療」を希望する。そうでない人は、事実上退職したり転職している)。
なお、うつ病自体が、欧米では20歳前後の年齢(※wiki注:欧米でも高卒・大卒の新卒の就職の時期に近い)で発症する事例が多いという統計が知られている[129]。日本では、20歳前後だけでなく、さらに中高年にも比較的に、うつ病が多いという統計がある[129]。
また、精神疾患の診断基準は、国際的に共通化が進められており、すでにある程度確立しているが(実態はアメリカが基準)、しかし、労働環境や教育制度などの社会制度は共通化していない、国際的な差異がある。
また、転職を尊重するアメリカの雇用慣習と、(現在では不況・その他の理由で終身雇用が民間で実現されない場合が多いが)終身雇用を理想像とする日本の雇用慣習が、日米の「適応障害」の労働者の背景として、大きく異なっている。
日本の漫画では、高校生活や大学受験や大学生活など学校生活を話題にした物が多いので、そのため受験の心理的ストレスのノイローゼなどを描いた作品もある程度あるが、しかし実際の社会では、(明治時代ならともかく)受験なんて、学費があれば、とりあえずどこかの学校に進学できるから、大多数の人には(家庭が裕福なら)比較的に楽なのではないだろうか。受験よりも、就職活動やその後の仕事を続けるほうが大きな心理的ストレスである事が、実情だろう。
- コミュニケーション障害
「コミュニケーション障害」とは、もともとの医学的な意味では、盲目(もうもく)や、耳が不自由など、主に身体障害により、コミュニケーションが円滑に行えない状態をいう。
ネット上や若者たちは、人付き合いが下手な人のことを「コミュ障」と言うが、しかし正当な医学の用法ではない。
ただし、「社会的コミュニェーション障害」という概念が近年では提唱されており、そこには、場の雰囲気が読めないなどの意味があり、ややネットの用法に近い。
ただ、場の雰囲気が必ずしも正しい保証は無く、たとえば戦前の日本の世論が戦争賛美に突入していく空気(雰囲気)の形成過程の研究をした(戦後の)評論家の山本七平『空気の研究』などの文献もある。なお、この文脈での「空気」のように、なんとなく賛同しないといけないかのような雰囲気のことを「同調圧力」という。
高等学校の『歴史総合』科目でも、たとえば清水書院の検定教科書で、同調圧力に流されないようにする意義が説明されている。しかし同調圧力に流される人は、結局その発想が正しいと考えているのであり、人間の世界観、人間性自体の問題かもしれない。
2018時点のある精神科医の言明。「ほかの国では許容されるレベルが、日本では問題視されてしまう。日本は国家レベルで空気を読むことを国民に求める風潮があり、人々は互いに完璧を求めすぎているように思います」[130]
芸術家や作家は、本来このような不正な圧力に抗する作品を作るべきではないか、という主張ももっとも。お金を稼ぎたいから同調圧力をあおる作品を書くことはあるかもしれない。
しかしここで前編集者Sは、作家の質は、消費者の質に比例する、と結論しているが、本当に悪いのは消費者ではないだろう。編集者Hの考えでは、まずその作品を作る作家が一番悪いし、その作家がそういうインチキな作品を作るよう誘導する、企業や業界も相当悪いんじゃあないの?そうしないと売れないっていうんだろうけど、自分たちが馬鹿だと思っている人たちを喜ばせてお金を得る業界なんて、そもそもこの世に要らないんじゃあないの?・・・という事である。
アスペルガー症候群に関しては、国際基準そのものが疑問視されており、一部の学者たちからは「基準のほうが間違っているのではないか?」という批判意見が出ている[131]。アスペルガー症候群は、最近では「自閉症スペクトラム」の一部と考える、そのような分析がなされている。
労働環境が劣悪だと見られている日本では、本来ならブラック企業のパワハラとして処分されるべき事例が、労働者側の適応障害や「うつ」や「社会コミュニケーション障害」などの精神疾患として分類されてしまうような、馬鹿げた事態も頻発しているだろう。
企業に雇われている産業医は、企業側に有利な診断をくだす傾向があり、たびたびジャーナリズムでは産業医による精神科診断について問題視されている。
過食症と低体重
編集BMI「17」以下程度で、神経性の低体重とみなす。
BMIの正常値の下限は「20」と見て、平均値は22である。
大量の食事をした後、吐き出すことを繰り返すような習慣が見られると、神経性の過食症と診断されることになるだろう[132]。
過食症の原因として、参考文献には、「生物学的な要因のある可能性も考えられる」[133]と、ある。
人類の食環境が改善したのが、20世紀以降の比較的に現代、だから過食については、現代以前は、ほぼ統計が無い。
日本では1960年以降、過食や低体重などの診断の数が統計的には増えたことが分かっている。ただし、この時代、日本のメディアで「ダイエット」ブームがあったので[134]、それの影響もあるだろう。
過食の治療には抗うつ薬が用いられる[135]。一方、極度の神経性低体重の治療法は、投薬ではなく、入院しての食事習慣のトレーニングや、症状がひどい場合は点滴など[136]が多いようだ。
ADHD
編集主に、幼児や小学生程度の児童について、その子が騒ぎすぎたり落ち着きがない状態を症例とみている。まわりの大人たちにとって、教育活動や仕事に支障が出る。
ADHDは、注意欠陥・多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder)の略。幼児や児童、あるいは知能が児童と同程度とみなされている知能障害者に限定して使われる場合が多い。
とはいえ、成人の ADHD も診断される(成人の2.5%)。学童のほうが割合が多い(学童の5%)[137]。
普通の幼児・児童でも、幼少のときは、さわいだり歩き回ったりする場合があるので(その場合も「多動」という[138])、ADHDに関する診断を下すことは難しい。
医学者たちは、ADHDの原因を脳のドーパミンやノルアドレナリンなどの分泌異常としており、実際に薬物治療でも、それらのホルモンに関係のある投薬がなされる。
だが、投薬には批判的な意見も学会やジャーナリズムなどから出されており、アメリカの製薬会社の利権中心の暴走では?という批判もある。(NHKクローズアップ現代の報道などでも紹介されている。)
ODD(反抗挑戦性障害)という子供の精神疾患とみなされている状況があるようだが、アメリカでは一部の児童に投薬が行われている。この対応について「その子に必要なのは投薬ではなく、イギリス式の躾(しつけ)の厳しい乳母では?」という批判を言うジャーナリストが居る(『ワシントン・ポスト』のサリー・サテルとクリスティーナ・ホフ・ソマーズの社説など)[139]。
また、イギリスでも、『タイムズ』記者のロジャー・ドブソンが上述サリーらと同様の批判的な意見を『内気にはうんざり』という皮肉的なタイトルの記事だが述べている[140]。
精神疾患の遺伝子から、米国、日本の教育や科学リテラシーについて、その他もろもろの雑感
編集遺伝子工学やバイオテクノロジーの分野で「精神の〇〇疾患の遺伝子が特定」との学会論文がときどき発表される[要出典]。ナチス・ドイツが行った「優生学」(障害者などに、結婚させずに、子供を作らせないことで、将来的な障害者を減らそうとする政策)の議論とも関連するだろうか。マスコミ界隈でときどき話題になる[要出典]。
今のところ、「統合失調症」や「うつ病」の遺伝子が発見されたという論文の多くは、少なくとも2011年の時点では、それらの新説はその後の追試験で否定されている[要出典]。 医学雑誌などで紹介されるような論文では、その後に論文の説が的中して確定していく普遍性のある妥当な学説は、1割程度であると言われている[141]。
遺伝子や受容体、物質を対象とした科学実験により、物質構造は解明される。しかし解明されるのは「物質」。遺伝子や受容体の物質的な振る舞いが、精神とどう結びついているのか、臨床の精神科医の納得するようなレベルで解明されることは、学会論文では、今のところ少ないのが現状[要出典]。
たとえばフランスの現代思想家タレブも、彼の著書で、多くの論文は妥当性を持たず、10年、20年後には、正しい主張と認められず消えていく、という[要出典]。
多くの学問分野で、現代で妥当性があると見られている学説は、大学1、2年で学習する、その教科書に書かれているものだと、タレブは指摘する[要出典]。
数学、理科では、アメリカの大学の学習内容は、日本よりやや簡単で、1~2年で学習することは日本では多くの場合高校で学習しているという[要出典]。
あるメディアによると、「現代の倫理に反する記述のある小説は読みたくない」とアメリカの大学生が主張し、古典を学習させる大学を訴訟した例がかなりあるらしい[142]。
そして同じくアメリカの法学部では、犯罪の惨状を調べる精神的なストレスを受けないで、法学を学習したいと望む学生もいるらしい[142]。
米国での「ゆとり教育」の施策の多くは、米国フェミニズム政治運動に基づく、と、米国の女性哲学者クリスティーナ・ホフ・スマーズは指摘していて、著書『The War against Boys』に記述がある。
ゆとり教育では理系科目の簡素化が図られたが、クリスティーナの主張では、女子は数学や物理の成績が悪いので、数学教育や物理学などはフェミニズム運動家にとって政治運動に都合が悪いからその方針がとられたという。
知能検査の話
編集知能検査では、IQが100程度なら常人だとされる。IQが80~70以下なら、知能障害などの疑いがあるとされている。
精神科では、患者の診断の参考にするため、知能検査をする場合がある。
ちなみにこんな話がある。近代ヨーロッパの著名な数学者ポアンカレが当時の知能検査(ビネー式検査)を受けてみたところ、きわめて悪い点をとったという。
知能検査で出題される図形問題なども、もし厳密に数学的に図形の性質を証明しようとすれば、とてつもなく困難である。(むしろ、証明が不可能かもしれない。) しかし、大多数のテスト受験者は、数学的な証明をしようとなんて考えない。
ビネー式知能検査が発明された時点で、アインシュタインは成人だったようなので、世にあるアインシュタインの IQ の話はかなり怪しい。
参考資料
編集生物学的な予備知識(※高校生物の一部)
編集脊椎動物の脳の構造と働き
編集感覚器で受けた刺激の情報は感覚神経によって脳(のう、brain)へ送られ、 脳はその情報を判断し、 運動神経によって効果器に情報が送られ反応する。
脊椎生物の脳は大脳(だいのう、cerebrum)、間脳(かんのう、diencephalon)、中脳(ちゅうのう、midbrain)、小脳(しょうのう、cerebellum)、延髄(えんずい、medulla oblongata)からなる。 ヒトの脳には約一千億個のニューロンがあり、そのニューロンには数千のシナプスがあり、複雑なネットワークを形作っている。
- 大脳
大脳の構造は、左右の半球に分かれており、それら左右を結ぶ脳梁(のうりょう、corpus callosum)がある。 両半球は表層は大脳皮質(だいのうひしつ、cerebral cortex)でおおわれており、ニューロンの細胞体があつまって灰色をしているため 灰白質(かいはくしつ)という。 内部には大脳髄質(だいのうずいしつ、cerebral medulla)があり、多くの神経線維が通っていて白色をしているため 白質(はくしつ)という。 大脳皮質には、新皮質(しんひしつ、neocortex)と、古皮質(こひしつ)および原皮質(げんひしつ)からなる辺縁皮質(へんえんひしつ)がある。ヒトの大脳では新皮質が発達している。ヒトの古皮質および原皮質は、大脳に囲まれており、そのため内側に古皮質および原皮質が隠れている。
新皮質には視覚・聴覚など感覚の中枢があり( 感覚野(かんかくや) )、また、運動の中枢があり( 運動野(うんどうや) )、また、記憶・思考・理解などの学習を必要とする精神活動をつかさどる中枢( 連合野(れんごうや) がある。 辺縁皮質は、本能などを司る。辺縁皮質にふくまれる海馬(かいば)という部分が記憶を主につかさどる。
- 脳幹
中脳・間脳・延髄を 脳幹(のうかん) という。
- 間脳
間脳の位置は中脳と大脳の間に位置し、構造は視床(ししょう、thalamus)と視床下部(ししょうかぶ、hypothalamus)に分かれている。視床下部に自律神経系の中枢があり、体温の調整や内臓の働きを調整している。また、視床下部は脳下垂体(のうかすいたい)とつながっており、ホルモンの分泌を調整しており、血糖値を調整している。視床は大脳への感覚を中継する。
- 中脳
中脳の構造は、間脳の後方、小脳の上方に位置している。 中脳の働きは、間脳と小脳との通路になっている。眼球運動や瞳孔反射の中枢、聴覚反射、姿勢制御などを司る中枢がある。
- 小脳
小脳の構造は、大脳の後下部に位置している。 小脳には、体の平衡、筋肉の運動機能を司る中枢がある。
- 延髄
延髄の構造は、脳の最下部に位置し、脊髄に続いている。 延髄には、呼吸・血液循環(心臓の拍動)・消化などを司る中枢がある。
延髄より下の体の右側は、脳の左側が担当する。延髄より下の体の左側は、脳の右側が担当する。なぜなら、神経が延髄を通るときに、多くの神経で、左右が交差するからである。したがって脳の右側が損傷すると、体の左側が麻痺(まひ)・不随(ふずい)になる。
参考: 血液脳関門(けつえき のうかんもん)
(※未執筆)
自律神経系
編集自律神経(autonomic nerve)は、意思とは無関係に、他の器官に情報を伝える神経である。 自律神経はホルモンに比べて、比較的早く、局所へ作用する。 自律神経には、働きの異なる二つの神経系があり、交感神経(こうかんしんけい、sympathetic nerve)と副交感神経(ふくこうかんしんけい、parasympathetic nerve)とに分けられる。
交感神経は、敵と戦うなどの身体が活動的なときや緊張状態のときに働く。一方、副交感神経は、休息したりなどの身体が非活動的なときに働く。
たとえば、動物が、敵と戦うとか、あるいは敵に襲われて逃げなければならない、ときの神経の働きを考えよう。
- まず、緊急事態なので緊張をするはずである。そこで、交感神経が働く。敵と戦うにしても、逃げるにしても、すばやく力強く活動をする必要があるので、心臓の拍動が激しくなって、血行が良くなる。また、呼吸が活発になることで、すばやく力強く動けるようになる。いっぽう、敵から攻撃されたときの出血を減らすため、血管は収縮している。交感神経の働きは、このような働きになっている。
このように、交感神経は、闘争(そうそう)や逃走(とうそう)のときに、よく働く。この「闘争や逃走」のことを、英語でも fight or flight (ファイト・オア・フライト)という。
多くの場合、交感神経と副交感神経は、反対の作用を持つので、拮抗(きっこう)的に働く。交感神経と副交感神経は、同じ器官に分布している事が多い。
交感神経は、脊髄から出て、交感神経節を経てそれぞれの器官に分布している。
副交感神経は、中脳・延髄および脊髄の末端から出ている。
自律神経は間脳の視床下部に中枢がある。
神経の末端からは、情報伝達のための神経伝達物質が放出される。 交感神経の末端からは主にノルアドレナリンという神経伝達物質が分泌される。副交感神経の末端からは、主にアセチルコリンという神経伝達物質が分泌される。
参考文献・脚注
編集主な参考文献
編集- ※ 数が多いので、紹介し忘れがあるかもしれないので「主な」参考文献です。
医学書
- 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷
- 日本救急医学会『標準救急医学』、医学書院、2017年9月1日第5版第3刷
- 『標準薬理学 第7版』
- 『ER実践ハンドブック』、羊土社、2019年5月25日第4刷発行
科学書
- KIM E. BARRETTほか原著改訂、岡田泰伸 監訳『ギャノング生理学 原著23版』丸善株式会社、平成23年1月31日発行
- Neil R. Carlson著『第2版 カ-ルソン神経科学テキスト 脳と行動』、泰羅雅登・中村克樹監訳、平成20年1月10日発行、丸善株式会社
心理学、心理療法など
- 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行
- クリストファー・レーン著『乱造される心の病』、寺西のぶ子 訳、河出書房新社、2009年8月20日初版発行
- 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行
- 宮下照子・免田賢 著『新行動療法入門』、ナカニシヤ出版、2007年12月10日 初版 第1刷発行
- 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行
- 福島修美 著『心理カウンセリング実践ガイドブック 面接場面に大切な7つのプロセス』、金子書房、2017年9月30日 初版 第1刷 発行
- 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行
- 日本カウンセリング学会 編『認定カウンセラーの資格と仕事』、金子書房、2006年8月10日 初版 第1刷 発行
- 岩壁茂 ほか著『臨床心理学入門』、有斐閣、2013年4月25日 初版 第1刷
- 玉瀬耕治『カウンセリング技法を学ぶ』、有斐閣、2008年12月25日 初版第1刷発行
- 『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日 初版第1刷
- サトウタツヤ・渡辺芳之 著『心理学・入門 心理学はこんなに面白い』、有斐閣、2021年5月30日改訂第7版第7刷発行
- 徳田 英次 著『よくわかる臨床心理学の基本としくみ』、秀和システム
- 下山晴彦 編『よくわかる臨床心理学』、ミネルヴァ書房、2011年10月30日 初版 第5刷 発行
- 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、
- 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、
- 上田安昭 著『カウンセリングを受けたいと思ったら』、創元社、2017年6月20日 第1版 第1刷発行、
教育学
- 小泉令三 編著『よくわかる生徒指導・キャリア教育』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、P.105 および P.114
- 森敏昭 ほか著『よくわかる学校教育心理学』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、P140
辞書・語学書など
- 『新明解国語辞典 第八版』、三省堂
- 高等学校外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日発行
脚注
編集- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、225ページ
- ^ 2.0 2.1 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、216ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、144ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、331ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、355ページ
- ^ 6.0 6.1 6.2 クリストファー・レーン著『乱造される心の病』、寺西のぶ子 訳、河出書房新社、2009年8月20日初版発行、75ページ
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、45ページ
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P132
- ^ 宮下照子・免田賢 著『新行動療法入門』、ナカニシヤ出版、2007年12月10日 初版 第1刷発行、P84
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P182
- ^ 小泉令三 編著『よくわかる生徒指導・キャリア教育』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、P.105 および P.114
- ^ 森敏昭 ほか著『よくわかる学校教育心理学』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、P140
- ^ 小泉令三 編著『よくわかる生徒指導・キャリア教育』、ミネルヴァ書房、2010年4月20日 初版 第1刷 発行、P.141
- ^ 福島修美 著『心理カウンセリング実践ガイドブック』、金子書房、2017年9月30日 初版 第1刷 発行、P.17
- ^ 福島修美 著『心理カウンセリング実践ガイドブック』、金子書房、2017年9月30日 初版 第1刷 発行、P.104
- ^ 『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P18
- ^ 日本カウンセリング学会 編『認定カウンセラーの資格と仕事』、金子書房、2006年8月10日 初版 第1刷 発行、P64
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P158
- ^ 福島修美 著『心理カウンセリング実践ガイドブック』、金子書房、2017年9月30日 初版 第1刷 発行、P.56
- ^ 日本カウンセリング学会 編『認定カウンセラーの資格と仕事』、金子書房、2006年8月10日 初版 第1刷 発行、P147
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P170
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P92
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P92
- ^ 福島修美 著『心理カウンセリング実践ガイドブック』、金子書房、2017年9月30日 初版 第1刷 発行、P.218
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P166
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P172
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P174
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P182
- ^ 岩壁茂 ほか著『臨床心理学入門』、有斐閣、2013年4月25日 初版 第1刷、P134
- ^ 下山晴彦 編『よくわかる臨床心理学』、ミネルヴァ書房、2011年10月30日 初版 第5刷 発行、P215
- ^ 下山晴彦 編『よくわかる臨床心理学』、ミネルヴァ書房、2011年10月30日 初版 第5刷 発行、P215
- ^ 下山晴彦 編『よくわかる臨床心理学』、ミネルヴァ書房、2011年10月30日 初版 第5刷 発行、P215
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P188
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P188
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P108
- ^ 岩壁茂 ほか著『臨床心理学入門』、有斐閣、2013年4月25日 初版 第1刷、P37
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P310
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P310
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P310
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P310
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P20
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P117
- ^ 矢幡洋 著『雑学3分間ビジュアル図解シリーズ 心理療法』、PHP研究所、2007年6月27日 第1版 1刷発行、P117
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P158
- ^ 宮下照子・免田賢 著『新行動療法入門』、ナカニシヤ出版、2007年12月10日 初版 第1刷発行、P87
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P154
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P162
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P174
- ^ 上田安昭 著『カウンセリングを受けたいと思ったら』、創元社、2017年6月20日 第1版 第1刷発行、P47
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P67
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P67
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P70
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P71
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P72
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P76
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P180
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P181
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P181
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P181
- ^ 片田珠美 著『自己正当化という病』 、祥伝社、2023年1月10日 初版第1刷 発行、P194
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P151
- ^ 玉瀬耕治『カウンセリング技法を学ぶ』、有斐閣、2008年12月25日 初版第1刷発行、P97
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P150
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P191
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、46ページ
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、50ページ
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P198
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P97
- ^ 竹内健児『Q&Aで学ぶ心理療法の考え方・進め方』、創元社、2015年9月20日 第1版 第1刷発行、P98
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、57ページ
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、56ページ・57ページ
- ^ 高等学校外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日発行、P75
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、174ページ
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、65ページ
- ^ 『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日 初版第1刷、114ページ
- ^ 『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日初版第1刷、1ページ
- ^ 『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日初版第1刷、115ページ
- ^ 『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日初版第1刷、113ページ
- ^ サトウタツヤ・渡辺芳之 著『心理学・入門 心理学はこんなに面白い』、有斐閣、2021年5月30日改訂第7版第7刷発行、P34
- ^ 80.0 80.1 『よくわかるパーソナリティ障害』、吉川眞理、ミネルヴァ書房、2020年6月20日初版第1刷、121ページ
- ^ エキサイト大辞典『死の本能』
- ^ コトバンク『死の本能』
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、53ページ
- ^ 『新明解国語辞典 第八版』、三省堂、1310ページ
- ^ 85.0 85.1 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、206ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、17ページ
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P389
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P389
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P378
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P383
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P57
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、22ページ
- ^ 93.0 93.1 『標準精神医学』、医学書院、第7版、33ページ
- ^ 94.0 94.1 サトウタツヤ・渡辺芳之 著『心理学・入門 心理学はこんなに面白い』、有斐閣、2021年5月30日改訂第7版第7刷発行、P32
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、147ページ
- ^ 『ER実践ハンドブック』、羊土社、2019年5月25日第4刷発行、492ページ
- ^ 『ER実践ハンドブック』、羊土社、2019年5月25日第4刷発行、275ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、231ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、237ページ
- ^ 100.0 100.1 KIM E. BARRETTほか原著改訂、岡田泰伸 監訳『ギャノング生理学 原著23版』丸善株式会社、平成23年1月31日発行、P.348
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、434ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、55ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、15ページ
- ^ 104.0 104.1 『標準精神医学』、医学書院、第7版、124ページ
- ^ 105.0 105.1 日本救急医学会『標準救急医学』、医学書院、2017年9月1日第5版第3刷、310ページ 節『アテローム血栓性脳梗塞』および 313ページの節『一過性脳虚血発作』『TIA急性期の臨床像』など
- ^ 『乱造される心の病』、81ページ
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、159ページ
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、162ページ
- ^ クリストファー・レーン著『乱造される心の病』、寺西のぶ子 訳、2009年8月20日初版発行、目次
- ^ 110.0 110.1 『乱造される心の病』、190ページ
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、26ページ
- ^ 『標準薬理学 第7版』、P326
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、29ページ
- ^ 荻野治雄『データベース4500 完成英単語・熟語【5th Edition】』、桐原書店、2020年1月10日第5版第6刷発行、P.388
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、493ページの図19-5説明文
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、486ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、493ページおよび495ページなどの図表
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、497ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、500ページ
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P266 ※ 該当部の章の著者は塩入俊樹
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P266 ※ 該当部の章の著者は塩入俊樹
- ^ 下山晴彦 編『よくわかる臨床心理学』、ミネルヴァ書房、2011年10月30日 初版 第5刷 発行、P83
- ^ 徳田 英次 著『よくわかる臨床心理学の基本としくみ』、秀和システム、2010年7月1日 第1版 第1刷 発行、P114
- ^ 尾崎紀夫 ほか編集『標準精神医学 第7版』医学書院、2018年12月1日 第7版 第2刷、P266 ※ 該当部の章の著者は塩入俊樹
- ^ Neil R. Carlson著『第2版 カ-ルソン神経科学テキスト 脳と行動』、泰羅雅登・中村克樹監訳、平成20年1月10日発行、丸善株式会社、P567
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、234ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、308ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、309ページ
- ^ 129.0 129.1 『標準精神医学』、医学書院、第7版、346ページ
- ^ https://www.sankeibiz.jp/econome/news/180217/ecb1802171610001-n6.htm
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、17ページなど
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、397ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、402ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、395ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、401ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、400ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、383ページ
- ^ 『標準精神医学』、医学書院、第7版、384ページ
- ^ クリストファー・レーン著『乱造される心の病』、寺西のぶ子 訳、河出書房新社、2009年8月20日初版発行、262ページ
- ^ クリストファー・レーン著『乱造される心の病』、寺西のぶ子 訳、河出書房新社、2009年8月20日初版発行、270ページ
- ^ 岩波明『精神科医が狂気をつくる 臨床現現場からの緊急警告』、新潮社、2011年6月15日発行、228ページ
- ^ 142.0 142.1 [1]