高等学校工業 電気機器
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編集鉄などを磁石によって磁化した場合、いちど磁化した金属は、磁石などの外部の磁力を取り去っても、鉄などの磁化された金属には、磁力がいくぶんか残る。
このように、対象の金属の磁化のていどは、以前にどのように磁化されていたかに影響される。このように、以前にどのように磁化されていたかによって、対象物の磁化のていどが変わってくる性質をヒステリシスという。
けっして、たんに、その瞬間だけの外部の磁場の大きさ H だけでは決まらない。
そのため、グラフで、鉄などの磁力を縦軸のBにして、磁石などの外部の磁力を横軸のHにすると、右図のようなグラフになり、このようなグラフをヒステリシス曲線などという。
外部磁場を取り去っても、対象の金属に残った磁力Brを残留磁気(ざんりゅうじき)という。
この残留磁気を打ち消すには、反対方向の磁場 ーHc を加えなければいけない。
この、反対方向の磁場の大きさ Hc のことを保磁力(ほじりょく)という。
ヒステリシス曲線でいう、縦軸の磁束密度Bは、材料内部の磁場の強さのこと(つまり、磁化の程度を表す)。いっぽう、横軸の磁化(磁場)Hは、電流などによる磁束・磁場などのような、その材料の外部の磁場に強さのことである。材料から見れば、横軸Hは、材料に加わってる磁場の発生源である外部磁場の強さのこと。
目的の対象物の材料を取り外した、真空中の磁界の強さが、このようなグラフの場合のHである。
けっして、磁束密度「B」といった物理量そのものに材料内部という意味があるわけではなく、たんに慣習として、対象の材料内部の磁化の強さを表すのに磁束密度Bが使われるだけ。同様に、磁界の強さHという物理量そのものに真空中という意味があるわけでもなく、たんに慣習として、外部磁場の強さや、真空中の磁界の強さとして、磁界の強さHという記号が使われることが多いだけである。
上記では説明の都合のため、外部磁場の発生源を電流としたが、じっさいには外部磁場の発生源が電流とは限らない。電気機器としての実用性はともかく、たとえば永久磁石を外部磁場の発生源として使い、鉄を磁化してもよい。
なので、目的物そのものによる「内部」の磁力線への影響=Bと考えて、目的物以外による磁力線への状況=H、と考えたほうがイイだろう。
なお、物質内部の磁束密度の測定方法とは、磁性体の内部に小さな穴をあけ、その空間に測定器の端子などを入れて穴の中の磁束密度を測定し、それを磁束密度の保存法則から「この小さな穴の空間の磁束密度は、材料内部の磁束密度と等しいはず」だろうと類推したもの。(参考文献: 書名は忘れたが、丸善出版の物理学の電気磁気学の本(1980年代くらいの出版年の本だったかな)に、こういう感じのことが書いてあった。緑色の表紙の本。)
材料内部の磁束密度は、材料形状が普通の長方形・正方形状や柱状・円柱状の材料なら、材料の外表面ちかくなどを除けば、内部での磁束密度の大きさは、ほぼ一定である。けっして、内部にもぐるほど磁束密度が大きくなったりしないし、同様に内部にもぐるほど磁束密度が小さくなったりもしない。このような事も、誰かが実際に材料内に穴をあけて、そこの磁場を測定するなどの実験によって、最初は調べたわけである。
なので、物質の透磁率μは、けっして位置によって変化しない、その材料固有の物理定数である。
もっとも現代では、すでに物質中での磁束についての基本法則などが既に分かってるので、いちいち内部に穴を空けて材料中の磁束を測定を検証する必要がないものの、物理学の原理的には、いちおう誰か物理学者がじっさいに磁場を測定して、きちんと検証しているというわけである。
磁束は、右図のように、磁束の貫かれた壁面の前後では、けっして磁力線が枝分かれもしないので、貫通の前後で本数が増減したりもせず、貫通の前後でかならず垂直方向には連続する。ただし、右図の上下の材料ごとの磁束密度の通しやすさのちがいによって、磁束密度がちがうように、壁面貫通のさいの磁力線と平行方向には、かならずしも連続とは限らない。
(※ 以下、要・確認。てもとに参考文献が無いので、私が記憶を間違えてて、BとHが逆の可能性もあります。)
なので、材料内の磁束密度Bを測定するさいの穴の向きは、右図のように、磁力線に垂直な方向に長い、厚さのうすい穴で測定するのが望ましい。
(これが上記の参考文献、丸善出版の物理学の電気磁気学の1980年代くらいの本に書いてあった内容。) 磁力線の流れに、直列的に穴を配置する、というわけである。(← わたしの私見)
穴をあるていど細くする必要があるのは、磁力線を穴のない経路に迂回させないため、であろう。
図のように細長い穴の配置によって、物質内部の磁場Bが検証できるので、あとは、外部電流などのつくる外部磁場をHとすれば、BとHとの比率計算により、材料中の透磁率 μ を検証できる。
もっとも、現代では、すでに物質中での磁界についての基本法則などが既に分かってるので、いちいち内部に穴を空けて材料中の磁束密度Bの測定を検証しない。
たとえば、もし、材料の受けている磁界の発生源が電流のつくる磁界(中学理科でも習うアンペールの法則による磁界)なら、材料の受けているHを求めるには、たんに発生源の電流のつくる磁界の法則である「アンペールの法則」による磁界Hの値をそのまま測定すれば済み、なので、材料をいったん外してHを測定して、その測定値Hをそのまま、材料のある場合の材料内部の磁界Hも同じ値であるはず、と設定して計算してしまうのが、現代の方法である。
そして、材料が無い場合での外部磁場の発生源の電流などのつくる磁界Hと、材料があることによって生じている磁場の強さ(Bに相当する量)との違いから、比率計算によって透磁率μを求める、・・・というような手順が、現代の標準的な手順であり、一般の多くの電気磁気学の教科書にも書いてある、透磁率の標準的な求め方の方法である。
- ※ 「ヒステリシス」とは、英語で歴史をヒストリーというように、理科でいうヒステリシスとは、磁気現象にかぎらず、現在に加わっている力や温度だけでなく、さらに過去の経緯も物質などの取る状態に影響を与えることである。
- なお、英語のヒストリーの語源のデマで、「彼の物語」 he story というデマがあるが、そもそも「彼の」はhisだし、ラテン語で歴史を意味するヒストリア historia とかも無視していて、頭が悪い。
- ※ 本科目では磁気のヒステリシスをあつかったが、ある物質の状態が過去の経緯に由来するのは、なにも電磁気だけに限った現象ではない。中学校の範囲ですら、たとえば液体の過冷却の現象は、その液体の温度だけでなく、直前の状態が液体であったかどうかにも由来している。
- また、工業高校の機械工学でも、たとえば鉄鋼の焼入れなどの熱処理の性質のグラフなどでも、焼入れ材料の体積と温度のグラフをとると、低温から高温へと加熱していった際の体積と、高温から低音へと冷却していった際の体積は、たとえ同じ温度であっても異なっている。(※ 科目『工業材料』などで、このような熱処理のグラフを習う。工業高校での、熱処理の単元では、「ヒステリシス」という言葉こそ使わないが、内容は、温度的なヒステリシスの一種である。)
- ※ 磁気ヒステリシスにしろ、熱処理のヒステリシスにしろ、共通しているのは、(真空ではなく)物質材料であることだ(磁性体はかならずしも金属とは限らない)。おそらくだが、理解としては結局、(仮説になるが)「いくつもの分子・原子から構成される物質材料そのものの基本的な性質として、ヒステリシス」というのがあるとみなすべきだろう。
損失について
編集- 銅損
銅損(どうそん)とは、ジュール熱などの電気抵抗による損失。
- 鉄損
鉄損(てっそん)とは、鉄心などの磁化による損失のこと。
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機械損(きかいそん)とは、摩擦などによる損失。
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編集電機子
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編集指導要領では次のように教育内容を定めてます。 章や節のページ名の命名での混乱を回避するため、各項目のページ名は、指導要領の表現に準拠した名称に統一したいと思います。
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