高等学校情報A

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アナログとデジタル

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アナログとは、連続的な値を持つ信号のことです。例えば、アナログ時計の針は滑らかに動き、音楽は波形の形状によって音色が変わります。

一方、デジタルは、離散的な値を持つ信号のことです。デジタルデータは0と1の2進数で表現されます。例えば、デジタル時計は数値で表示され、音楽はサンプリングによって一定間隔で音声信号を取り込み、数値化されます。

符号化は、情報をデジタルデータに変換することを指します。符号化することで、情報をデジタル信号として扱いやすくし、データの転送や保存に適した形式に変換します。代表的な符号化方式には、音声や動画を圧縮するMP3やMP4があります。

情報を活用するための工夫と情報機器

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問題解決の工夫

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問題解決において情報源は極めて重要です。情報源を効果的に活用することは、問題を解決するために必要な情報を正確に収集し、適切に分析することにつながります。ここでは、インターネット以前のメディア(書籍、雑誌、新聞、ラジオ、テレビ)とインターネットを比較しながら、問題解決における情報源の役割について考察していきます。

まずは、インターネット以前のメディアから見ていきましょう。書籍や雑誌、新聞は、その情報の信頼性や正確性が高く、事実に基づいた報道が行われていました。また、ラジオやテレビなどの放送メディアは、視聴者やリスナーに情報を提供するための重要な手段でした。これらのメディアは、情報収集に時間がかかるというデメリットがありましたが、その代わりに、信頼性の高い情報が提供されていたと言えます。

一方、インターネットが普及した現代では、多くの情報が利用可能となりました。しかし、これにはいくつかの問題があります。まず、情報の信頼性や正確性が低く、誤った情報が拡散される「情報氾濫」が起きています。また、情報源が多すぎるために、必要な情報を見つけることが難しくなっている「情報過多」も問題となっています。さらに、インターネットの普及が進むにつれて、「デジタル・ディバイド」と呼ばれる現象も生じています。情報にアクセスできない人々や地域が存在することで、情報格差が広がっています。

しかし、一方で、インターネットは多くのメリットも持ち合わせています。例えば、情報の収集や検索が容易になり、必要な情報を迅速に入手することができます。また、インターネットを利用した情報発信やコミュニケーションによって、多様な意見や知識が共有されることで、新たな問題解決のアイデアやアプローチが生まれることもあります。

また、近年ではAI(人工知能)の発展によって、より正確な情報の収集や分析が可能になってきています。AIによる情報収集や分析は、人間の手作業では不可能な量の情報を処理することができるため、効率的な情報収集が可能となりました。しかし、AIによる情報収集や分析には、情報の偏りやバイアスが生じる可能性もあります。そのため、人間がAIが提供する情報を適切に検証し、判断することが重要です。

また、モバイルファーストという言葉があります。これは、モバイル端末を優先する設計思想のことで、スマートフォンやタブレットなどの携帯端末が普及するにつれ、情報の閲覧や検索が主にモバイル端末で行われるようになってきたことを反映しています。モバイルファーストによって、情報をいつでもどこでも手軽に収集することが可能になりましたが、画面の小ささやタッチ操作などの制限もあるため、情報の見落としや誤解を招く可能性もあることに注意が必要です。

以上のように、情報源は問題解決において極めて重要である一方、その収集や分析には注意が必要です。インターネット以前のメディアとインターネットを比較しながら、情報氾濫や情報過多、デジタル・ディバイド、AI、モバイルファーストなど、現代の情報社会における問題点や課題を把握し、適切な情報の収集と活用が求められます。

情報伝達の工夫

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ここでは、情報を正確かつ効果的に伝えるために必要な技術について学ぶことを目的としています。本章では、情報を伝える上で重要なポイントや、情報を的確に伝達するための方法、コンピュータや情報通信ネットワークなどのツールの適切な活用について解説します。

まず、情報伝達において重要なのは、伝えたい内容を明確かつ簡潔に伝えることです。そのためには、伝達対象者の背景や知識レベル、興味関心などを考慮し、的確な表現や用語を選ぶ必要があります。また、伝達手段や媒体に合わせて適切な言葉選びや表現方法を工夫することも重要です。

次に、情報を的確に伝達するための方法として、以下のような工夫が挙げられます。

・分かりやすい図表やグラフを用いる 情報を視覚化することで、伝えたい内容をより分かりやすく伝えることができます。例えば、統計データをグラフにすることで、膨大な数字を視覚的に表現することができます。

・具体例や比喩を用いる 抽象的な概念や理論的な説明をする場合には、具体的な例を挙げることで、理解しやすくすることができます。また、比喩やアナロジーを用いることで、複雑な概念をシンプルに表現することができます。

・重要なポイントを強調する 伝えたい内容の中で、特に重要な部分を強調することで、対象者に印象づけることができます。例えば、太字や色分けなどを使って強調することができます。

・質問形式を用いる 伝えたい内容を質問形式で提示することで、対象者が自ら考えることを促すことができます。例えば、「あなたが考える、この問題に対する解決策は何ですか?」といった質問を投げかけることができます。

また、情報伝達においては、コンピュータや情報通信ネットワークなどのツールを適切に活用することも重要です。例えば、以下のようなツールを使うことができます。

・Eメールやチャットなどのインターネットツール 遠隔地にいる相手とのコミュニケーションには、Eメールやチャットなどのインターネットツールが有効です。これらのツールを使うことで、コミュニケーションの時間や場所を限定することなく、効率的に情報を伝えることができます。

・プレゼンテーションソフト プレゼンテーションソフトを使うことで、伝えたい内容を視覚的に表現し、分かりやすく伝えることができます。また、プレゼンテーションソフトを使うことで、スピーチや発表の効果を高めることができます。

・ビデオ会議システム リモートワークやリモート会議には、ビデオ会議システムが有効です。ビデオ会議システムを使うことで、遠隔地にいる相手と顔を合わせたようなコミュニケーションができます。音声だけでなく、顔の表情や身振りなども伝わるため、よりリアルなコミュニケーションが可能です。また、ビデオ会議システムを使うことで、場所や時間に制約を受けずにコミュニケーションを行うことができます。

・クラウドストレージサービス 複数の人で情報を共有する場合には、クラウドストレージサービスが有効です。クラウドストレージサービスを使うことで、複数人が同じデータにアクセスすることができます。また、クラウドストレージサービスを使うことで、ファイルの共有やバージョン管理なども簡単に行うことができます。

・SNSやブログ SNSやブログを使うことで、情報発信や情報共有を行うことができます。特に、リモートワークでは、社内SNSやブログを活用することで、社員同士のコミュニケーションや情報共有を促すことができます。

以上のように、コンピュータや情報通信ネットワークなどのツールを適切に活用することで、情報伝達の効率化やコミュニケーションの円滑化を図ることができます。

しかし、ツールの適切な活用だけではなく、伝達者自身のコミュニケーション能力も重要です。伝えたいことを相手に正確に伝えるためには、相手の状況や立場に合わせた適切なコミュニケーションを行う必要があります。また、相手からのフィードバックを正しく受け止め、適切に対応することも大切です。

最後に、情報伝達においては、相手に伝わったかどうかを確認することも重要です。伝えたいことが相手に正確に伝わったかどうかを確認することで、誤解を防ぐことが重要になります。

プレゼンテーションソフトとは
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「プレゼンテーションソフト」とは、スライドやグラフィック、動画、音声などを使って情報を提示するためのソフトウェアです。プレゼンテーションソフトを使用することで、情報を的確に伝達するための工夫を行うことができます。

以下に、プレゼンテーションソフトの使用についての注意点や工夫について解説します。

スライドの作成

プレゼンテーションソフトを使用する際には、まずスライドの作成が必要です。スライドの作成にあたっては、以下の点に注意することが大切です。

  1. 伝えたい情報を明確にする
  2. 見やすさを意識する
  3. レイアウトや色の使い方に工夫を加える
グラフィックの活用

プレゼンテーションソフトでは、グラフィックを活用することで情報を視覚的にわかりやすく伝えることができます。グラフィックを使用する際には、以下の点に注意することが大切です。

  1. グラフの種類を選ぶ
  2. 軸や目盛りを正確に設定する
  3. 見やすいフォントや色を使用する
動画や音声の活用

プレゼンテーションソフトでは、動画や音声を活用することで情報をわかりやすく伝えることができます。動画や音声を使用する際には、以下の点に注意することが大切です。

  1. 動画や音声の長さを適切に調整する
  2. 再生する場所やタイミングに注意する
  3. 音声のクオリティに注意する
デザインの工夫

プレゼンテーションソフトのデザインについては、以下の点に注意することが大切です。

  1. テーマを統一する
  2. フォントや色を統一する
  3. 背景色や画像の使用に注意する

以上のように、プレゼンテーションソフトの使用にあたっては、伝えたい情報に適したスライドの作成やグラフィックの活用、動画や音声の活用、デザインの工夫など、様々な工夫が必要です。これらの工夫を行うことで、情報を的確に伝達することができます

情報の収集・発信と情報機器の活用

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情報の検索と収集

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ここからは、インターネットに代表される情報通信ネットワークでの、情報収集について具体的に述べる。コンピュータを用いた情報通信ネットワークは、コンピューター同士を様々な機具を用いて接続し、お互いが持っている情報を通信しあう事で、成り立っている。しかし、単純に情報を受け渡すだけでは、不都合な事態が生じる。

例えば、銀行の暗証番号や性別、収入、家族構成などを含む、個人のプライバシーに関わる情報は、例え、ネットワークに接続されているあるコンピューター上にあったとしても、他のコンピュータに伝達されないことが望ましい。このため、情報通信ネットワークに加わるコンピュータは、特に機械が持っている情報を他に渡さないようにすることも出来ることが求められるのである。

また、掲示板やコミュニティーサイトなどで用いられるパスワードは、多くの場合には他人に知られてはいけない文字列を用いるが、しかし、そのパスワードを用いて、パスワードを入力した人が対応する人であることを調べる人は、もちろん、そのパスワードが何であるかを知っていなくてはならない。そのため、パスワードの管理者は、通常はパスワードが外部にもれないよう注意しながら、必要なときには自由にパスワードを取りだせるように工夫する必要がある。

次に、ネットワーク内の情報が非常に多くなり得る事によって引き起こされる問題について述べる。情報通信ネットワークに参加できるコンピューターの数は、非常に多くなり得る。仮に接続されているコンピューターが増えても、自分に必要な情報がどこにあるか分かっているときには問題にはならない。例えば、自分の友人が持っている情報が必要で、それを手に入れたいときには、単に自分の友人のコンピューターと通信を行なえばよいのである。

しかし、自分に取って必要な情報がどこにあるかが分からないときには、それを探しだす事が非常に困難になる。既存のメディアと比較するために例をあげて考えてみる。例えばある自然現象について、それに関する情報を書籍を用いて調べたいとするとき、それらを見つけることはそれほど困難ではない。というのは、通常図書館などの施設では、本の内容ごとに本の置き場所が決まっており、ただ情報の種類を指定するだけで、 必要な書籍のおおまかな位置が分かるからである。一方、情報通信を用いたときには、多くの場合に情報は人間が内容を把握するのには適切でない方法で蓄積されるため、それらのおおまかな内容を把握するのがそれほど簡単ではないことがある。このため、ネットワーク上の情報の内容を把握し、ある情報がどの位置にあるかを調べる方法が必要となった。

これの対策として、いくつかの方法が実際に用いられている。ここではそれらの工夫の題材として、WWW(ワールド ワイド ウェブ)と呼ばれる通信の種類を用いるが、それらの詳しい動作原理は高等学校情報Cの範囲である。

現在のインターネットの重要な用途の1つとして、webページの閲覧があげられる。ここでいうwebページとはいくつかの要素が組み合わさったものであり、その内容は割合複雑だが、

プロトコルはhttpを用いて、情報の受け渡しを行ない、 受け取った情報を解釈するのは、クライアント側のブラウザの仕事 である。


大雑把には、

あるコンピューターを指定し、そのコンピューターに連絡を行なう。
連絡を受けたコンピューターはその連絡内容に記述された場所にある情報を送り返す。

という手続きをくり返すことで、2つのコンピューター間の、情報の伝達を行なう。 ただし、このような手続きで送り返された情報には、多くの場合、それに関連する情報の場所が記されており、情報を探している側は、それを用いて、更に検索を続けることができる。ここで、webページは送られた情報自体の事を指す。これらの手続きそのものは、w:www、ワールドワイドウェブと呼ばれることを注意しておく。

伝達された情報の例

さて、wwwで受け渡される情報の中には、人間が読んで理解できるものも多い。更に、その中に人間が探している情報があるかどうかは、その中に含まれる単語を調べることで、多くの場合知ることが出来る。例えば、先ほどの自然現象の例では、その現象の名前が書かれている情報を得ることで、その現象に関する情報が得られる可能性が高いことが予想される。そのため、あるwebページ上に含まれている文字列をあらかじめ調べておくことで、ある人が欲しい情報がどこにあるかを知ることが出来る。このような技術をw:検索と呼び、特にwwwの情報に関する場合には、'web検索'と呼ばれることがある。

このような技術は、いくつかの会社がwwwの中で提供している。有名なものとしてw:googlew:yahoow:msnなどがある。

google
http://www.google.co.jp
yahoo
http://www.yahoo.co.jp
msn
http://www.msn.co.jp

などがあり、無料で用いることが出来る。各々の会社の検索手法は会社ごとに異なっており、いくつかの検索を試してみることで、より良い結果が得られる事がある。

情報の発信と共有に適した情報の表し方

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wwwでは、文書の構成を伝えるものとしてHTMLと呼ばれる手法を用いている。HTMLとは、文章に適切な修飾をつけ、それらの修飾そのものに、文章の構成を伝えるための情報を持たせるという手法である。具体的には、文章の要素を'タグ'と呼ばれる要素ではさみ、その中の内容について特殊な処理をほどこすことを目的としている。もちろん、このような手法は、情報の送り手と受け手が共通のものを用いていないと、送り手が意図したような配置にはならないことが予想されるが、HTMLは、現在では世界中で用いられているので、多くの場合両側で意図したとおりの配置がなされる。

ここでは実際に簡単なHTMLを書いてみる。非常に簡単なHTMLは、

<html>
<title>
テスト
</title>
<body>
ただいまマイクのテスト中。
</body>
</html>

などのようになる。ここで、<html>のように、'<'、'>'で囲まれた部分をタグと呼ぶ。タグにはそれぞれ定められた配置があり、配置によって、それぞれの意味を発揮するのである。具体的に何がなされているかは、計算機科学などの範囲であるので、ここでは詳しくは述べない。

上の例で、それぞれのタグは、

<html> </html>

中に書きこまれた内容がHTMLの要素であることを宣言するタグであり、文書がHTMLである時には通常このタグで全体を囲むことが求められる。

<title> </title>

文章のタイトルを定めるタグであり、多くの場合ページ内の文章の内容を、まとめるようなものが付けられる。タイトルの表示方法は、各々のコンピューターによっているが、この中味がタイトルであることは共通である。

<body> </body>

実際の文章を書く部分を指定するタグである。書かれた文章は、このタグで囲む必要がある。

HTMLは多くの内容を含んだ規格であり、それに対するコンピューター側の対応も様々であるので、この時点でHTMLについて非常に詳しく学習することは求められない。しかし、更に詳しく知りたいときは、HTMLなどを参照するとよい。

情報の収集・発信における問題点

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コンピューターの情報通信ネットワークを用いた情報収集は、既存のメディアと比べて優れている点がいくつかある。ネットワークを用いた情報伝達は、速報性という点ではテレビに近く、外国や遠方で起こったニュースについても即座に知ることが出来る可能性がある。この点で、ネットワークは新聞と比べて、情報の早さの面で上まわっているといえる。

また、情報通信では多くの情報を文字の形で伝達することができるので、既存の本というメディアと比べても記録できる情報量において遜色があるわけではない。この点でも情報通信ネットワークは優れている。

また、前章で述べた検索を用いると非常に高速に対応する情報を得ることが出来る。これは、既存のメディアにはない優れた点である。

加えて、情報通信ネットワークは、適切に用いることでそれぞれのコンピューターにある情報を他のコンピューターから取り寄せることが出来る。 既存のメディアと異なって、これらの手段による情報公開は放送機具や、印刷機具などの設備が必要でない。そのため、企業などの大きな規模の金額を動かすものでなくとも、非常に広い範囲への情報伝達が可能になった。例えば、wwwのサービスでは、個人が作ったホームページを公開することは普通に行なわれている。ただし、コンピューター内に置かれた情報は通常の状態では他のコンピューターから閲覧できないようになっているため、ホームページを公開するには、別の手段を用いなくてはならない。その手段は高等学校情報Cの範囲である。 また、電子メールを用いたメーリングリストも、個人で出来る情報発信の例である。更に、近年ではw:ブログw:SNSなどの新たな手法を用いた情報発信がよく行なわれるようになって来た。

多くの良い点がある一方、情報通信ネットワークには欠点も存在する。 主要な欠点として、

機具をそろえないと利用できない上、機具の設定や操作が難しい。
必要な手段を取らないと情報が消失することがある。
情報の信憑性に問題がある場合がある。
情報の公開が簡単になった分、w:プライバシーw:著作権の問題が発生しやすくなっている。

などがある。

情報通信ネットワークを用いるには、デジタル化した情報を扱うことができる機具が必要である。これらの機具は、新聞や書籍などと比べて高価であり、情報ネットワークを用いるための障壁となっている。また、特にソフトウェアに関しては、最新版のものを用いないと情報漏洩などの危険が出る可能性があるため、廉価版などを用意することも難しい。このことによって、情報通信に必要な機具をそろえることは、やや困難になっている。また、情報通信に必要な機具を手に入れたとしても、一般にこれらの機具は操作に必要な手順が多く、また、それらの手順が直観的でない場合もあるため、操作の修得に時間がかかる場合が多い。そのため、コンピューターを使うことが必要と感じるなら、早めに操作手順に慣れておくことが望ましい。

また、情報機器は、多くの場合磁気的もしくは光学的に情報を記録するのだが、これらの機具は一般に衝撃に弱く、高いところから落下させたりすると機具が破損し、中に貯えられていた情報が消失することがある。また、これらの機具は水にも弱く、飲み物などをこぼしてしまうとそれによって機具がこわれることもある。このように、情報機具に貯えられた情報は、紙などの既存のメディアと比べるとややこわれ易い。ただし、情報機器の記録は、メディアの性質上簡単に内容を複製することが出来る。そのため、重要な情報は、こまめに複製し、保存用の機器に記録しておくことが、情報を守る上で重要になる。情報の破損にそなえて情報を複製しておくことを、情報のw:バックアップと呼ぶ。

更に、情報の伝達が容易になり、個人のレベルで発信される情報が容易に手に入るようになり、情報の信憑性に関する問題が注目されるようになって来た。以前は新聞やテレビなどのメディアが中心となって情報発信がなされており、それらの情報は記事を作成する期間で誤った情報が取り除かれるため、これらの記事は非常に信憑性が高かった。一方、個人によって書かれた内容はそのような手順をふんでいないため、一般に既存の伝達手段によるものよりも内容の信憑性が低い傾向がある。そのため、情報をうのみにせず、必要な場合にはそれを見た人自身が、それらが真実かどうかを確かめる必要がある。

最後に、上の内容とも関連するが、個人的な情報などを過失でも故意にでも公開されることがあり、それらが相手のプライバシーを侵害する危険性がある。また、w:掲示板w:ブログのコメント欄などの簡単に情報発信が出来る手段がある場合にも、そのことは問題になる。加えて、簡単に複製できるというメディアの性質上、著作権がある著作物がwww上に公開されてしまった場合、それらは非常に多くの人の手に渡ってしまう可能性があることとなり、重大な著作権の侵害となる。これらの行為は、'公開を行なった方'にとっても、'それを用いた方'にとっても違法行為であり、違反者は通常の刑事裁判によって裁かれることになる。このように、ネットワークを通じて情報を公開するときには、個人のプライバシーや著作権について十分な配慮を行なうことが求められる。

情報の統合的な処理とコンピュータの活用

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ここでは、コンピュータを用いて、情報を処理する方法を学ぶ。コンピュータは様々な情報を扱うことが出来、それらを統合的な表現にすることが出来ることに注意する必要がある。

コンピュータによる情報の統合

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コンピューターは情報をデジタル化して扱う。デジタルデータは、加工や複製が容易であり、様々な情報を組み合わせて扱うのに適している。実際、現在のコンピューターは、映像、動画、音楽などの様々な情報を扱うことが出来、それらを組み合わせて用いることがなされている。しかし、これらの情報を扱うことはそれほど簡単ではなく、ハードウェアとソフトウェアの両面で多くの努力がなされて来た。

ここで、ハードウェアとは、実際に触れることが出来るコンピューターのパーツなどのことであり、キーボード、マウス、ディスプレイなどがその例である。これに加えて、場合によってはコンピューターの箱に入っていて見えないことがあるが、[CPU、ビデオカード、サウンドボード、ハードディスクなどによって、コンピューターは構成されており、これらも総称してハードウェアと呼ばれる。

一方、ソフトウェアはハードウェアを動かすための命令群のことであり、通常様々なw:記憶装置に記録されており、必要に応じて読みだす形式を取っている。ここでいう記憶装置とは、ハードウェアのうちで特に情報の記録を目的として用いられる装置の総称であり、ハードディスク、CD、DVDなどがある。ソフトウェアは、ハードウェアと違い、一度作成すれば簡単に複製できるため、ハードウェアよりも扱いが簡単であるといわれる。しかし、実際には高度なソフトウェアは、1つの間違いが重大な結果を引き起こすことも多く、ソフトウェアもハードウェアと同様、設計や作成に細心の注意をはらう必要がある。

情報の統合的な処理

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ここでは実際にコンピュータを用いて複数の情報を扱う実習を行なってみる。用いるソフトウェアは、文書処理,表計算,図形・画像処理などを扱うソフトウェアである。

実習の課題としては、'少なくとも1つの表計算ソフトによって作られた表と、1つ以上の画像を含んだ文書を作成せよ。文書のテーマは自由とする。ただし、作成された表の中では、少なくとも3つ以上の数値データを含んだセルと、少なくとも1つの関数を含んだセルを用いるものとする。作られた表は'埋め込み'形式で、文書内に書きこむものとする。また、用いる画像の保存形式は指定しない。'を用いる。ここで、'埋め込み'とは、用いたデータを後に編集したとき、その変更が文書内の表に反映されないことを表わす。一方、変更が反映されることを'リンク'と呼ぶ。

実際に用いるソフトは学習者の環境によって変わってくる。ここではLibreOfficeを扱う。LibreOfficeを起動する方法は環境によるので、ここでは述べない。ここからはLibreOfficeが起動できたものとして、話を進める。

設定にもよるが、起動した画面では

ファイル 編集 挿入 ...

などのボタンがある。これらはプルダウンメニューと呼ばれることが ある。ここでは、文書処理が行ないたいので、ファイル - 新規作成 - 文書を選択する。これによって、新規の文書が選択される。文書中をクリックすると、文書内にカーソルが表示されるので、これを用いて日本語入力を行なう。

表計算ソフトを用いて表を挿入したいときには、プルダウンメニューから、

挿入 - OLEオブジェクト - 新規作成 - LibreOffice 表計算

を選択する。これによって、表計算ソフトが起動する。

表計算ソフトは、縦と横の座標で指定されるマスの中に、数値などを書きこみ、それらを用いて様々な計算を行ない、データを加工などを行なうソフトウェアである。それらのマスは'セル'と呼ばれる。通常、これらのソフトは文書処理とは別のソフトウェアであり、これらの表を、文書処理ソフト中で扱えるかは与えられた環境による。

ここでは、そのような手法が可能であるとして、話を進める。表計算ソフトで作成した表を、文書処理ソフトで作成した文書とは別のデータとして保存し、その内容を文書中から呼び出すことも可能である。そちらの方法でも同じ結果が得られるので、余裕があればそれも試してみてもよいだろう。

表計算ソフトでは、カーソルはそれぞれのセルを扱うように用いられる。それぞれのセルに日本語や数値を書きこむことが出来るので、自由に書きこむとよい。ただし、数値だけが書かれたセルは3つ以上なくてはならない。

表計算ソフト中では、それぞれのセルの内容を用いて、別のデータを作成することができる。これは、自由に選んだセルの中に特別な意味を持った命令を書きこむことで、なされる。このような命令を、'関数'と呼ぶことがある。この名称は、数学的な関数とは異なった意味を持つことがあるので、注意が必要である。例えば、現在の時刻を得る関数が存在するが、これは、数学的な意味の関数ということは出来ない。簡単な関数の例として、ここでは

sum()

などを用いる。sum()は、対応するセル中に書かれた数字の合計を求める関数である。対応するセル中には半角で書かれた数字を書かなくてはいけない。

うまく指定が出来れば、与えられたセル中の数字の、合計が得られるはずである。一応、それらの数値が正しいかどうかを確認しておくとよい。これらのデータを保存すれば、表計算の埋め込みは完了である。

次に、同じ要領で、

LibreOffice draw 図形

を元々の文書内に埋めこむ。図形処理ソフトの使い方は通常直観的なので、それほど苦労することはないだろう。図形が完成して保存が終われば、課題は完了である。時間があれば、更に進んだ機能に挑戦してみてもよいだろう。ただし、マクロ、LibreOffice_Basicは、高等学校情報Bの範囲なので、ここでは扱わない。

情報機器の発達と生活の変化

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情報機器の発達とその仕組み

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ここでいう情報機器とは、情報を伝えるために用いられるあらゆる装置のことを表わしている。古くは、郵便、電話などが遠方の情報を伝えるために用いられていた。このうちで、特に電話は、アナログの情報伝達を行なっている。w:電話は、音の波形を電気的な波形に変換してそれを伝達し、受け手側の装置で再びそれを音として扱うことで情報を届けている。ここで、電気的な波形は相手側で現われた情報の全てを持っていることが重要である。

一方、現在実際に用いられている情報通信ネットワークでは、情報は基本的にデジタルデータとして表わされる。デジタルデータは情報を全て数値として扱う。例えば、表計算ソフトで扱ったような数値は、数値のデータの例である。一方、音声や映像などのより複雑な情報も、数値として扱うことが出来る。ただし、実際に生じる音声や映像を、数値化する過程で、情報を多少なりとも変質させることが避けられない。これは、これらのデータを数値として扱えるような処理をするために必然的に生じる欠点である。

一方、デジタルデータにはアナログデータにない良い点もある。デジタルデータは、基本的に数値で表わされる情報なので、情報の劣化をおこすことがない。一方、例えば、レコードやビデオテープなどのアナログの記録装置では、何度も再生をくり返しているうちに、データが消えたり、質が落ちたりすることが避けられない。加えて、デジタルデータはこれらの複製を作ることが非常に簡単である。一方、上であげたようなアナログの記録機器は、これらの複製をするときにも、これらの情報を移しかえる過程で、多少なりとも、質が劣化することが避けられないのである。

このようにデジタルデータには、既存のデータ保存の方式と比べて良い点がいくつかあるため、この方式の利用はこれからも増えていくものと考えられる。

情報化の進展が生活に及ぼす影響

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情報通信ネットワークの発達は、我々がこれまでに無いほどの量の情報を手に入れることを可能にした。結果として、我々の生活の多くは、変革を迫られることになった。

例えば、現在では我々のうちのいくらかの割合ががw:携帯電話を持っており、どのような時にでも連絡が取れるようになっている。 また、コンピュータを用いて情報通信を行ない、様々なサービスが受けられるようになった。特にインターネットサービスの発展は、これまでに無かったサービスを可能にした。例えば、インターネットバンキング、オンラインショッピング、オンライン予約などがその例である。

加えて、職場では、ITを用いて業務を効率的に行なうことが、経営を行なう上で非常に重要になっている。例えば、遠方との連絡を電子メールなどで行なったり、オフィス文書を統合ソフトウェアを用いて効率的に作成することなどが例としてあげられる。更に、w:サーバを用いて、作成した文書などを何人かで共有し素早く閲覧、変更などを行なうことも行なわれている。'サーバ'について詳しくは、高等学校情報Cを参照。

一方、これらは我々の生活を便利にすると同時に、様々な問題を引き起こすようになった。例えば、インターネットを用いて、子供でも簡単に不適切な情報を手に入れられることが問題としてあげられる。また、それぞれのコンピューターに対してw:コンピュータウイルスなどを送り込み、それらの中にある情報を奪い取ろうとする新しい犯罪が生じるようになってきた。情報技術は様々な問題を生み出しながら、現在でも発展を続けている。このような情報技術を適切に用いるには、それに関する学習を怠らず、新しい技術とそれに関する知見に接し続けることが重要となるだろう。

  • 課題

情報社会がもたらす問題と、それに対する対応策についてまとめ、それを用いて討議を行なう。

情報社会への参加と情報技術の活用

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情報技術は、現在広範な個所で用いられており、我々の生活の重要な一部を占めているといえる。しかし、情報技術は同時に多くの問題をかかえたものでもあり、これらを適切に活用することが情報技術を役立てるにあたって、非常に重要である。また、情報技術は現在でも発展を続けており、以前常識と思われていたことがそうでなくなるまでの時間が、非常に短い時期が続いている。そのため、将来に渡って、情報技術に興味を持ち、これについての学習を続けることが重要である。

付録

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コンピュータの基本的な操作法

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コンピュータを起動するときには、まず電源をいれる。電源はコンピュータの正面についていることが多い。

環境によってはパスワードの入力を求められることがある。ここでは自分のユーザー名とパスワードを入力する。通常、これらはシステムの管理者から支給されるはずである。無事に認証が済むと、再びグラフィカルな画面が表示される。この時、マウスを動かすとカーソルが動くはずである。この画面から、マウスを用いた操作で様々なソフトウェアを起動することができる。 ここでは、オフィスソフトしか用いないが、そのソフトの起動の仕方は環境に よる。

続いて、日本語入力について述べる。日本語入力は専用のソフトウェアを用いてなされるが、そのソフトの起動の仕方も、環境によってまちまちである。ここでは日本語入力が可能になったものとする。日本語の入力方式としてはw:ローマ字入力とかな入力が代表的である。ローマ字入力はローマ字のつづりの通りにキーを打つことで、日本語を入力する方式である。一方、かな入力とは、キーボードに書いてある日本語の文字に対応するキーを打つことで、日本語を入力する方式である。どちらの方式を用いてもよいが、英文を打つときのことを考えると、ローマ字入力で慣れておいた方がよいかもしれない。