高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ5


命令する

order と dictate と command

オーダーとディクテイトとコマンド


匂い関係 smell, scent(セント), odor(オウダ) など。


説明する

describe, explain , illustrate , , ,


従う obey, conform


「独裁者」dictator という単語がある(旺文社1900のdictate 項目)。東京書籍や桐原にはdictator は無い。


このように dictate には、どちらかというと「押し付ける」ようなニュアンスがある。

なので、とりあえず普通の場面では、orderを用いるのが安全だろう。

このためか、単語集によっては dictate に「命令する」の意味がない。東京書籍4500にはない。桐原5500にだけ、和訳だけ「命令・指図」と書いてある(例文なし)。

なおdictateには「書き取らせる」「後述する」の意味もある。むしろ、こっちが高校単語集でよく紹介されており、桐原5500および東京書籍4500の両方で紹介されている。

なお、スペルと意味の似た動詞 describe は「説明する」の意味。辞書(ジーニアス英和)だとdescribeに「記述する」の意味もあるが、あくまで説明が第一の意味だと考えるべきであり、「記述」の場合でも説明になるように記述しているわけである。だからか、単語集ではdescribeの意味を「記述」で照会せず、「描写」で紹介している。なお語幹 scribe が「書く」の意味である。


東京書籍4500が「(言葉で)描写する」としているのは、scribeにそういう文字的な意味があるから。

ジーニアスおよび旺文社1200によると、describe の第一義は(「説明する」ではなく)「特徴を述べる」である。 たとえば旺文社によれば

Can you describe the contest to me? 「そのコンテストの特徴を私に説明してくれませんか。」

となる。

describeの目的語には、説明相手ではなく話題になっているもののほうが入る。

ただし、和訳として「特徴を述べる」だと日本語として不自然になる場合もあり、その場合は「詳しく説明する」(桐原4500)や「描写する」(東京書籍4500)などの訳にするのが良いだろう。例えば桐腹4500では「私の気持ちを詳しく説明するのは難しい」 It is difficult to describe my feeling. という例文がある。

また、熟語 describe A as B で、「AをBだと説明する」である。


中学英語の explain だと、単なる「説明する」こと。東京書籍4500は「(理解させるために)説明する」と紹介しているが、describeの文章的な説明だって理解を目的にしているだろうし、無理があるだろう。

やはり、語幹のscribeを解説せざるを得ない。

動詞 illustrate には、図解などで「説明する」の意味のほかにも、実例などで「説明する」という意味もある(桐原4500)。

ただ、古い時代の文章を読むならともかく、現代では図やイラストなどでの説明との誤解を避けるためにも、実例での説明で illustrate を使うのは避けるのが安全だろうとは思う。実際、東京書籍3000では illustrate の意味を「(図・イラストなどで)・・・を説明する」と紹介している。東京書籍では「実例」については紹介していない。

ただし、辞書を見るとジーニアス英和にもセンチュリー英和にも、まず実例による説明の意味でilustrateの意味を紹介している。名詞形 illustration にも、「絵画」の意味のほかにも「実例」や「例証」の意味がある。旺文社1400にもillustrationの「挿絵、イラスト:具体例」と紹介しているように「具体例」の意味があるし、桐原4500はillustrationを「図解、実例による説明」と紹介している。

なのに、辞書で illustrator には「画家」の意味しかないので、辞書と実際の用法とに若干の食い違いがあると思われる。


命令の話に戻ると、

子供相手などの言いつけには tell ~ to ~ という表現がある。この場合、tellは「告げる」「指示する」の意味[1]


※ order には熟語がいろいろとあるが、それはまた別の単元で。

order ○○ to ~で、「○○に~を命令する。

order にかぎらず、force「強制する」やask「頼む」などでは、これから相手が何かの動作をするわけだから、to不定詞が続く。

つまり、order(命令する) や tell(指示する) や force(強制する) や ask(頼む) で、相手に何かの動作をさせる用法では、  動詞+目的語+to不定詞  の語順になる[2]

ところで、よくレストランなどの注文を「オーダー」というが、実際に英語でも名詞「注文」および動詞「注文する」も order である[3]

なお、「割り勘」は英語で split the bill である[4]。英語と日本語の表現が近い。費用などの分担・分割は split (割る・切り裂く)である。


command は、指揮して「命令する」ような意味なので、軍隊や警察の命令であり、命令される側が通常は従うのが前提。

センチュリー英和によると、医者が患者に安静を「命じる」のは、command ではなく order だ、というニュアンス。


なお、disorder の意味は「無秩序」であり、まったく意味が違う。

そしてさらに、「摂食障害」を an eating disorder といい、「精神障害」を a mental disorder という(ジーニアスで確認)。このように disorder には、健康上の~「障害」の意味もある。なお、桐原4500と旺文社1900の例文が、この~障害である。

日本語では「障害」と言うが、しかし摂食障害や精神障害についての英語的な発想では、おそらく英米人は、胃やら脳などの機能が「混乱」しているというイメージなのだろう。なお、disorder には「混乱」という意味もある。

disorder には、そのほか、ジーニアスいわく「暴動」の意味もある(ここまで単語集にある)。単語集にはないが、実際、派生の形容詞 disorderly の意味は、ジーニアスによれば「乱暴な」「無法な」の意味である。


警視庁で運用される防護盾(riot shield)

「暴動」はこのほか riot (ライオット)という単語があるが、旺文社1900しか紹介していない(東京書籍4500、桐原4500・桐原5500には無い)。英検準1級には riot がある。大学入試で英検準1級を出す難関大学(国公立も含む)もあるので、学習すべきか悩ましい。

マジメに例文をあれこれ探すよりも、機動隊のもってる大きな盾(たて)を「ライオットシールド」というと覚えたほうが覚えやすいだろう。なお、ジーニアスにちゃんと riot shield は紹介されており「警察の防護用の盾」と紹介されている。

なお、盾 shield も受験英語(旺文社1900)。だが、東京書籍・桐原・鉄緑では、盾 shield の単語が見つからない。旺文社は shield の学習を推奨。


盾は、旺文社1900ではミサイル missile の防御の話の例文。おそらくイージス・システムのような。


なお、旺文社1900の shield の一つ上の単語が「銃弾」bullet (ブリット)で、防弾チョッキの例文。日本語では「チョッキ」と訳されるが、英語では、ああいうのは vest である(旺文社1900)。

この bullet も、東京書籍・桐原・鉄緑では紹介せず。

どうも、こういう火薬とか硝煙(しょうえん)の匂い(におい)のしそうな単語は、桐原らは紹介しない方針らしい。まあ、gun とか、最低限の単語は中学あたりで教えてあるが。

「こんぐらい教養として知っておいてよ」という、旺文社の意志のある単語チョイスです。英字新聞とかでも軍事ニュースとかでも出そうですし。


なお、「匂い」もまた類義語が色々とある。smell, scent(セント), odor(オウダ) など。

桐原は odor の紹介を拒否。東京書籍は odor を4500語レベルの巻末で紹介している。

scent は「香り」で、花などの香りに使う(鉄緑、旺文社)。

scent of flowers 「花の香り」(旺文社を改変)


odor は、いやな「匂い」にも使うが、辞書によると必ずしも「いやな匂い」とは限らない。なお、特に嫌な臭いであることを明示する場合は bad odor などと言う(東京書籍の例文)。


「いい香り」も類義語があり、旺文社によると、

scent, incense, fragrance など。

なお、perfume は「香水」。香りではなく「香水」なので注意。

もう説明は省略。入試に出ないでしょ。鉄緑ですら紹介していない。興味ある人は大学合格後あたりに自分で調べて。


さて、riot の話に戻る。 警察の「機動隊」が、a riot police である(ジーニアス、グランドセンチュリー)。なお、もちろん鎮圧する側が「機動隊」「である。

「消防士」の fire fighter だって、消火をする側なのと同様。

入試範囲外だが、色彩・音楽などの豊かさを riot で言う場合もある(ジーニアス、グランドセンチュリー)。a riot of color で「色とりどり」「様々な色の」みたいな意味(ジーニアス、グランドセンチュリー)。芸術的な色彩に限らず、単に庭や花壇などの花が色とりどりなだけでも a riot of color を使う(ジーニアス、グランドセンチュリー)。というか、そもそも英和辞典には。花の例文しか書いてない。

日本でよく「才能の暴力」とか「色彩の暴力」とか言うのは、たぶんこれの翻訳が元ネタだろう。英語を知らない芸術ファンが多いようであり、本来の英語の意味とは違う意味で日本では使われている。


なお、受験範囲外でしょうが、暴動などによる「大混乱」は mayhem (メイヘム)です。これを紹介している大学受験単語集もありますが、しかし、普通の単語集はまったく紹介しておらず、難関大むけの緑鉄単語集ですら紹介しておらず、また古い過去問の桐原5500ですら紹介していません。なお、mayhem は英検1級の単語のようです。

mayhem は、古風な言い方です(ジーニアス)。

ジーニアスも紹介していますが、「混乱」confusion でだいたい通じると思います。高校生としては confusion で充分だと思います。


さて、単語 command には「能力」の意味もあり、桐原 4500 によるとcommand of the English language で「英語を自由にあやつる能力」のような意味もある。だが東京書籍は「能力」の用法を紹介してない。

まずはcommandは軍隊的な「命令」の意味で理解するのがいいだろう。あとは派生的な用法と解釈すると良いだろう。


ほか、

have a good command of ~ 「~を自由にあやつる」「~を自由に使いこなせる」

の意味(桐原の熟語ページ、旺文社)。

典型的な例文は、

She has a good command of English 「彼女は英語を自由にあやつれる。」

である。


なお、高校範囲外だが、特殊部隊・コマンドーは commando という語尾にoがつく別単語であるので、混同しないように。


なお、命令に従うのは obey である。

obey orders や obey command という。

東京書籍4500 が obey orders を紹介。センチュリー英和辞典が obey commands を紹介。

「 obey teacher's commands . 」で「先生の命令に従う」とセンチュリーが紹介。

commandするのは、かならずしも軍隊や警官でなくてもいい。


なお、発音は「コマンド」。ドーとは伸ばさない。ハリウッド映画の『コマンドー』は 軍隊などの特殊部隊員 commando のことであり、別単語。

指揮官が commander である。(東京書籍4500が紹介。)


conform (コンフォーム)という語にも「従う」の意味がある。conformには「順応する」という意味もあるが、この場合でも慣習や規則などに「順応する」という意味である(ジーニアス、グランドセンチュリー)。

やや高度な単語のようであり、桐原4500は掲載を拒否。東京書籍4500でも巻末おくり。旺文社1900と鉄緑がconform を本編っぽい箇所で紹介している。

温度などの変化に適応するのは、別の単語を使う。『高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ10』の形容詞「適合する」・「適応する」 adapt とadjust、動詞「慣らす」 orient などを使うことになろう。


さて、conform の語幹の -form は「形」の意味。だから conform は、ニュアンス的には「形を合わせる」→「従う・順応する」のようなニュアンスかと(鉄緑の図が、そんな感じの図)。

「確認する」confirm (コンファーム)とは別単語。『高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ15』の「確認する」check, confirm , confident などがある。

ともかくconformの話をすると、、

conform 「従う」の例文

conform to the rules 「ルールに従う」(鉄緑、グランドセンチュリー)

のように「 conform to(前置詞) ~」の形で使う。


例文は違うが、東京書籍4500巻末、旺文社1900でも紹介している。


conformの「従う」と「順応する」の使いわけは、単に文脈による。

旺文社だと、

conform to the custom 「慣習に順応する」

だが、

しかしジーニアスでは、慣習に「従う」と訳してもいいと言っており、特に使い分けは定まっていないウ。

「従う」より「順応する」


ビジネスなどの業務上の指示は direct が、(コマンドよりかは)望ましいだろう。旺文社1400が、directを「業務上の指示を与える場合で用いる」と紹介している。また東京書籍4500にも

Mark directed the project. 「マークはそのプロジェクトを指揮した。」という例文がある。


文字以外で描写する

represent, depict, portray

動詞 represent は、絵や彫刻や音楽などで、なにかを描写する際、それが何を描写・表現しているかという意味を説明している。

芸術に限らず、たとえば「地図にあるこの記号は何を表しているのか?」とか、そういうのも represent である(センチュリー、ジーニアス)。

もっとも、mean 「意味する」で代用できそうではあるが。ジーニアス mean で確認したところ、絵の意味を mean を含む一文で質問する例文がある。

represent には集団などを「代表する」という意味もある(東京書籍4500)。


動詞 depict は、絵や彫刻などが、「詳細に描写している」または「生き生きと描写している」ことを示す(ジーニアス)。

言葉で物語を説明する場合でも、対象が生き生きと描写されているなら、depict で表してもよい(東京書籍4500巻末、ジーニアス)。

名詞形は depiction 「描写」「叙述」である(旺文社1900、ジーニアス、センチュリー)。旺文社だと「描写」としか書いてないが、ジーニアス・センチュリーでは「叙述」の意味も紹介している。


「肖像画」(しょうぞうが)や肖像の彫刻などを名詞で portrait (ポートレイト)と言う。

ポートレイトとは、人物の顔または上半身の絵や彫刻や写真などのことだが、全身のものでも構わない。

動詞 portray でも、「生き生きと描く」いう意味である。

絵画や彫刻などの形あるものだけなく、文章や言葉や物語や映画などでも良い(ジーニアス。東京書籍4500巻末で映画の例。センチュリーだと自叙伝)。


ポートフォリオとは異なるので混同しないように。

なお、portfolio は、作家の「作品集」や、金融における「有価証券の一覧表」のこと(旺文社1900巻末、ジーニアスで確認)。センチュリー portfolio だと、「有価証券の一覧表」しか書いていない。

桐原4500・5500と東京書籍4500には、ポートフォリオは無し。


「支配」 -クラシー

democracy(民主主義), bureaucracy(官僚政治), aristocracy(貴族政治), meritocracy(能力主義)


単語集にはないが、独裁者には dictator という言い方のほかにも、 autocrat (オート・クラート)ともいう。これは単語集に書いてないので暗記しなくていい。

「独裁政治」のことを autocracy (オートクラシー)というが、これ自体は覚えなくていいが、次のことを覚えてほしい。

語尾の -cracy (クラシー)というのは、「支配する」のような意味である。

そして、「民主主義」 democracy は、語幹を分析すると、民衆が支配する、のような意味の構成である。

よく政治学の用語で、何とかクラシー、あるいは何とかクラート、というのがある。


なお、企業などによる市場の「独占」を言いたい場合、monopoly (モノポリー)という別の単語である。動詞形(市場を)「独占する」は monopolize である(旺文社1900)。mono- 「モノ」というのは「単一の」という意味(桐原4500巻末)。白黒写真のことを日本ではモノクロとも言ったが、英語で monochrome (モノクローム)は「単色画」や「白黒写真」などの意味である(センチュリー)。

だから「君主制」「君主国」は monarchy (モナーキー)である(桐原4500 republic 「共和国」の対義語として紹介)。ジー二アスには「君主制」の意味も書いてある。なお、東京書籍4500と旺文社1900にはモナーキーはない。そういうマニアック単語なので、やや高校範囲外。

ほか、音響機器などの音声の「モノラル」monaural などの単語がある(ジー二アス)。意味はたぶん、ステレオ音声ではないという意味かと(詳しくないので、よく知らない)。

さて、クラシーの話題に戻る。

たとえば「官僚」のことを bureaucrat (ビュアロウクラート)という。なお、「官僚」とは、日本で言えば財務省とか経済産業省とか、ああいう国の上級の役所に勤める、上級の国家公務員のことである。

桐原5500にあるが、bureaucracy で「官僚政治」の意味。


アメリカの「連邦捜査局」 FBI は、Federal Bureau of Investigation である。このように bureau という単語には「局」の意味もある。

「民主主義」democracy は桐原4500。東京書籍4500にもdemocracyはある。東京書籍4500に bureaucracy は無い。

単語集を見ても、democracyとbreaucracyを関連づけて教えるような工夫は、されていない。


これが分かると、「民主主義者」のことを democrat というのも、理解しやすいだろう。もっとも、旺文社1900でしかdemocrat(民主主義者)は紹介されてない。 しかし大文字 Democrat で「米国民主党の支持者」という意味もある。


「貴族制」を aristocracy という(桐原5500)。

また、単語集にはないが、この意味での「貴族」を aristocrat という。

成績主義などで選ばれた知的エリートなどが支配することを、「能力主義」 meritocracy という。日本語でも、政治評論や社会評論などで「メリトクラシー」という。

旺文社1900の merit の項目に派生語として「実力主義」 meritocracy がある。


「貴族の」の、より平易な言い方として、 形容詞 noble 「高貴な」「貴族の」がある。桐原・旺文社が紹介している。東京書籍は巻末でだけ紹介で、あまり乗り気ではない。

名詞として、「貴族」 nobleman がある(旺文社)。辞書で確認したところ、男性の貴族が nobleman である。女性の貴族は noblewoman である。

貴族の家柄のことは noble family である(旺文社、センチュリー)。

名詞 nobility が「高潔さ」「気高さ」である。


単語集にはないが、金・銀などの腐食しづらい「貴金属」が noble metal である(センチュリー、ジーニアス)。

また、希ガスのことを「貴ガス」ともいい、「貴ガス」 noble gas である(ジーニアス)。


形容詞 arbitrary 「独断的な」(発音: アービトレリー)という単語がある(東京書籍4500巻末、旺文社1900)。副詞ではなく形容詞である。

この arbitrary でも「独裁政治」は言えて、たとえば arbitrary government で「専制政治」である(センチュリーの訳)。


だが、そんなことよりも、 arbitrary の意味は「任意の」で覚えるほうが良い。

「任意の」とは、論理的な議論をする場合なら「条件を満たすものなら、全て(すべて)が」のような意味である。

少なくとも、そういうニュアンスで「任意の」は使われる。

なぜ、この「任意の」(=すべての)意味で arbitrary を覚えるべきかと言うと、

大学レベルの基礎的な数学で arbitrary という用語を「任意の」の意味で使うからである。

『条件「〇〇」を満たす変数は、すべて~(以下略)』のような議論をするとき、arbitraryを使う。


そして、大学の数学科では、大学1~2年レベルの数学で、ほぼ必ず、「 ∀ 」という記号を習う(「全称記号」(ぜんしょう きごう)という)。

∀ の意味は「任意の」という意味である。

この全称記号を「アービタラリー」(arbitrary)と読んだり、あるいは「オール」(all)と読む。

よって、arbitrary の「任意の」という用法は、海外での数学エリートの教養なので、この単語と意味を知っておくと海外では頭良さそうに思われるだろう。


ほかの意味もまとめて紹介すると、arbitrary の意味は「独断の」「任意の」「気まぐれな」などである。

バラバラに覚えるではなく、たとえば「任意の」(≒すべての)を基準に関連づけて覚えるなどして、「独裁者のいうことには、なんでも(≒任意に)従わざるをえない」とか、「これは任意だというので、つまり最低条件さえ満たしていれば、あとは気まぐれに選べる」とか、頭の中で関連づけて覚えよう。

an arbitrary choice 「任意の選択」(センチュリー)

make an arbitrary selection 「任意に選択する」(ジーニアス。旺文社に似た文。)


旺文社は「恣意(しい)的に選択する」という。本来「恣意的」とは、「任意」とほぼ同じ意味なのだが、しかし現代では誤用だが、本来なら規則などを管理者が自分の好都合に解釈することで規則の意味を歪めて不公平に運用したりするのを「恣意的な運用」とか言ったり、意味がゆらいでいる。

念のため国語辞典で確認したところ(三省堂『新明解』、岩波『広辞苑』)、「恣意」(しい)は「思いつき」(三省堂)、「気ままな心」「自分勝手な考え」(広辞苑)などの意味である。


邪魔する

interrupt, interfere, disturb, bother


interrupt は「邪魔する」の意味。

「邪魔する」を意味する単語はいくつかあるが、高校生はまず、interrupt で「邪魔する」を覚えるのが良いだろう。


よく単語集にある典型的な例文が、

Don't interrupt me when I ~ 「私が~しているときは邪魔しないで。」

である。


interfere は「邪魔する」の意味もあるが、「干渉する」の意味で覚えると良いだろう。

interfere in ~ で「~に干渉する」の意味。

interrupt with ~ で「~の邪魔をする」の意味。


disturb は「邪魔する」の意味もあるが、「かき乱す」の意味で覚えると良いだろう。

とくに、進行形 disturbing で、「動揺させるような」(東京4500)、「迷惑な。心を悩ませる。」(旺文社1400)のような、相手の心を乱すような意味がある。

名詞形は disturbance で、「邪魔。乱すこと」(旺文社)、「混乱」(東京)、「妨害。不安」(桐原)、のような意味。


こういった意味だけ聞くと、disturbはあたかも強く邪魔するような印象を読者に与えかねないが、しかし実際には下記の例文

I'm sorry to disturb you, but ~

で、「邪魔してすみませんが、~」の意味。(東京4500。桐原4500)

このように、ちょっとした「すみませんが、」程度のニュアンスのことに disturb を使うし、むしろそういう用法では interrupt よりも好まれるだろう。


bother は、慣用的に

「ジュリアの邪魔しちゃ駄目よ」Don't bother Julia.

みたいな使われ方をする。単語集では、邪魔しちゃダメな相手は、東京書籍がジュリア Julia 、桐原はエレン Ellen である。

bother には「思い悩む」という意味もあり、 単語集にはないが、辞書ではよく、

「そんなこと気にするな」Don't bother about that.

のような例文がある(センチュリーにそのままの例文。ジーニアスに少し違った例文あり)。


ほか、

I'm sorry to bother you, but ~

で、「邪魔してすみませんが、~」の意味。(旺文社1400、センチュリーで確認)


提案する

propose と suggest

プロポーズ、サジェスト

ともに「提案する」だが、suggest には「示唆する」の意味がある。

propose には「求婚する」の意味があり。

なお名詞形はともにあり、それぞれ proposal と suggestion である.


なおoffer(発音「オーファー」)は「申し出を提案する」なので意味が異なる。

offerの名詞では「提供」の意味もあるので、動詞の場合はどちらかというとサービスや高待遇などを提案するニュアンスもありそうである。


促進

promote と prompt と stimulate , urge , facilitate


販売促進が promote である。 ジーニアス英和によるとpromoteには「増進させる」の意味もある。

消費者の販売意欲を「増進させる」的なニュアンス。

だから、人の昇進などにもpromoteを使う。


prompt は、「促す」(うながす)。※ジーニアス英和で確認。

なおpromptには形容詞の用法もあり、(行動が)「すばやい」、「即座の」の意味。

行動ではなく、速度が速い場合は rapid である。


コンピュータ用語で Windows のDOS画面

C:\>

のような画面を「コマンド・プロンプト」というのだが、たぶん「さっさとコマンド入れろ」的な意味の名前の画面。


広告を考える広告マンが消費者の購入意欲を促進するのはpromoteだが、彼によって作られた広告が購入意欲を促進するのはpromptである(東京書籍4500で広告のpromptの例文あり)。

ただし桐原4500で、外交の訪問が国家間の友好を「促進する」という例文があるので、あまり境界は明瞭ではない。


ジーニアス英和に「平和を促進する」 promote peace とあるが(※辞書)、どちらかというと、「平和を増進させる」的なニュアンスだろう。


景気刺激など、活気づかせる意味で「刺激する」のが stimulate である(東京書籍4500、桐原4500、旺文社1900)。

stimulate the economy 「景気を刺激する」(旺文社、東京書籍)

が典型的な例文。

stimulate は「刺激」が第一の意味であり(桐原4500)、「促進」は派生。

単語集にはないが、stimulateには「興奮させる」の意味もある。刺激して興奮させるのが stimulate のニュアンス。

派生的に、(活動などを)「活気づける」もstimulateである。(東京書籍4500)

桐原4500が指摘しているように、あくまで「刺激」が stimulate の第一の意味。


桐原には(人を)「励ます」stimulate の用法もあるが、桐原しか紹介していないし、例文も無い。


なお、類義語として encourage 「励ます」「勇気づける」がある。courage と勇気の意味。

この「勇気」も brave という類義語があるが、もう省略。

高等学校英語 英単語/類義語 4500語レベル サブページ20 で encourage などを説明してある。

urge (アージ)は「強く勧める」(東京書籍4500)とあるが、ジーニアスによれば(~するように)「催促する」「強く迫る」である。

桐原4500によると、urge 人 to ~ で「<人>に~するように強く促す」である。東京書籍4500でも同様、urge (A) to ・・・ で「・・・するよう強く勧める」である。


facilitate は、「促進」の意味もあるが、「容易にする」の意味もあって(桐原5500)、たとえばセンチュリー英和には、「コンピュータによって仕事が容易になった」的な例文でfacilitateを用いている。ただし桐原5500の例文を見ても、容易にするニュアンスは無い。桐原の例文は慶応大の過去問「軍縮を促進したことで国民に良い影響を与えてきた。」の紹介。この軍縮の文のどこにも容易のニュアンスはない。

また、旺文社1900では名詞形 facility (ふつう複数形でfacilities)は「設備」の意味だと紹介しており、例文で day care facilities 「デイケア施設」のある文章を紹介している。

入試には出ないだろうが、公共機関などの「機関」の意味もあり、たとえば monetary facilities で「金融機関」だとジーニアス英和にある。

なお、「複数形」は英語で plural (プルーラル)という(旺文社1900巻末)。


示唆(しさ)

suggest と imply


implyは、明言を避けて、「暗に示す」、「ほのめかす」の意味。

東京書籍が、implyでは「明言を避けて」の意味があるといっている。

ジーニアスも「暗に示す」と言っている。

桐原4500だと「示唆する」「ほのめかす」しか書いてない。



反対

contrary, opposite

contrary と opposite の違いは、この単語や派生の品詞だけをいくら見ても分からないだろう。

数学で「対頂角」のことを opposite angle または vertically angle という。

数学英語は高校の範囲でないので暗記しなくていい。

opposite にはこういうふうに、単に向かい合う位置にあるという事だけをあらわすようなニュアンスがある。

もっとも動詞oppose を見ると、他人の意見に「反対する」のような用法もあるので、ニュアンスの違いは不明確であるが。


contrary のほうが、意見などの「対立」のニュアンスが強い。実際、ジーニアスに a contrary opinion 「反対意見」という単語があるし、東京書4500も同じ単語を紹介している。ほか、センチュリー英和だと、訳語こそ「反対」だが、最初の例文の用例が、趣味・趣向が「反対」という例文である。

熟語 on the contrary で「それどころか」の意味。桐原4500では例文を紹介しているが、東京書籍4500では紹介していない。旺文社1900は熟語が存在することを紹介しているが、例文はなし。


この「それどころか」の訳語が曲者で、単語集では「それどころか」としか説明してないが、実際にはセンチュリー英和では、否定文につづいての「それどころか」である。桐原4500でも「介入は役に立たなかった。それどころか事態を悪化させてしまった。」である、。

自分の否定の意見をはっきりさせるために on the contrary を用いるので、たとえば疑問文のあとの文頭なら「とんでもない。~~ですよ」のように訳す。実際、ジーニアスもセンチュリーも「とんでもない」と疑問文の解答では訳している。

(センチュリーの例文は単語が難しいので非紹介とする。)

例文のない別の熟語(桐原と旺文社が熟語のみ紹介)で to the contrary は、「それとは逆の」である。センチュリー英和の例文だと「見かけによらず、彼は親切な人だ」 Appearance to the contrary, he is a kind man.

とある。to the contrary のほうは、とくに否定形がどうこうとかはない。


肯定形の疑問のあとなら「逆に」として相手の意見を否定する用法で on the contrary だったりする。否定疑問文に対しては、相手の意見を否定する意味での「それどころか」だったりする。

つまり、「contrary」(対立の)という知識がある上での「それどころかで」ある。

疑問文でも平常文でも(桐原4500の例文が平常ぶん)、前の意見や説明に


旺文社1900や東京書籍に似た例文があるが、

「期待に反して」Contrary to the expectations,

という用例もある(旺文社の例文)。


敵対

「敵意」は hostility である。単語集には形容詞 hostile が書いてあるが、たぶん名詞形のhostilityのほうが覚えやすいだろう。

be hostile to ~で「~に敵対する」の意味。

なお、「憎悪」「嫌悪」はhate。 hateで名詞も動詞もある。とくに名詞には hatred という専用の名詞もあリ、意味は同じく「憎悪・嫌悪」だが(ジーニアスで確認)、単語集ではhatredは「憎しみ」と訳している(桐原・東京書籍の両方とも)。

桐原4500によると、「写真を取られるのをひどく嫌う」のような、ちょっとキライなぐらいでも hate を使う。


抗議

protest

protest は動詞としては「抗議する」、名詞としては「抗議」の意味である。動詞も名詞もスペルは同じ protest である。

protest against ~ で「~に抗議する」。againstまたはatを使う(旺文社1400)。ただし、桐原4500および東京書籍4500を見ても、protest against のほうしか書いてない。

よくある例文が「戦争に反対する」とかで、たとえば「戦争に抗議する」なら protest against the war である(桐原4500)。

なにも平和運動ばかりに使うわけではなく、たとえば「増税に抗議する」なら protest against the tax increase である(東京書籍4500)。



提供、供給

supply と provide と furnish

サプライ、プロバイド、ファーニッシュ


ともに「供給する」の意味だが、

supply はdemand「需要」の対義語として使われる。

supply と demand をセットで覚えよう。なお、日本語では「需要(demand)と供給(supply)」の語順だが、英語では「supply and demand 」の語順になる。


一般にprovideを「提供する」と訳す場合もあるが、しかし東京書籍4500語によると、supplyを「供給する」と紹介している。


備え付ける

equip と furnish


furnish という単語にも「提供」・「供給」の意味があるのだが、どちらかという「家具を備え付ける」という別の意味で使われる。東京書籍4500では家具のほうしかfirnishは書いてない。

なお「家具」は英語で furniture である。まずはfurnitureを覚えよう。

たとえば「家具屋」は furniture store である[5]

なお furniture は集合名詞である。なので、どうしても数えたい場合は、 a piece of furniture のように数える。

equip は、とくに家具に限定しないが、家具に用いてもいい。東京書籍4500で、電子レンジの取り付けを equip で説明している。

企業や店舗などにカメラを取り付けるのは equip だと、桐原4500は説明。


桐原4500およびセンチュリー英和辞典では furnish は equip に意味が近いというスタンスだが、いっぽう東京書籍およびジーニアス英和辞典は類義語としての紹介を避けている。


据え付ける(すえつける)

壁に絵を貼る程度の「据え付ける」(すえつける)(※旺文社)あるいは「備え付ける」(※桐原)は、 mount である(旺文社)。「載せる」というイメージだろう。

センチュリーいわく、写真などを台紙に貼るのも mount である。

また、「台紙」そのものも名詞 mount である(旺文社、センチュリー)。

なお、「壁」(かべ)は英語で wall である。


mount は、自転車やウマなどに「乗る」の意味の動詞だが、他動詞で「載せる」の意味もあり(桐原5500)、「~をすえつける」という意味もある(桐原・旺文社)。

桐原5500が、ウマに乗るの意味を紹介。なお、自転車やウマに乗るは ride も言えると、ジーニアスは言っている。

辞書いわく

「自転車に乗る。」 mount a bicycle

である(ジーニアス、センチュリー)。


「ウマに乗る。」 mount a horse

である(ジーニアス)。


mount には「増える」という意味もある(東京書籍)。(おそらく、なにかを積み重ねるイメージからか、あるいは山( mountain )を登る行為の連想からだろう。紙などを積み重ねる行為も、紙のうえに紙を載せているわけである。)

辞書によくある例文が、物価関係で

「物価が上がっている」 Price are mounting.

である(ジーニアスを参考。なお東京書籍では「出費」expenses が上昇)。


辞書にはないが、IT用語で、USBメモリなど外部ハードをパソコンに接続したときに、その外部ハードをパソコンで使えるように自動設定される処理のことを(USBメモリなどを)「マウントする」などといい、英語でも mount という。

単語集にはないが、mount の対義語は、意味によって unmounted か dismount かが変わる。

すえつけられていた物を取りはずしする場合は、形容詞 unmounted である。

一方、乗り物や馬などから降りたり、下ろしたりするのは、動詞 dismount である。


辞書にはないが、先ほどのパソコンのUSBメモリなどの件でも、取りはずしなどには unmounted が使われる。



「欲望」と「欲しい」

desire と hope

動詞 desire デザイア は「強く望む」。

名詞 desire に「欲望」「願望」のようなニュアンスがあるので、それだけ強い望み。

名詞 hope はどちらかというと「希望」なので。


wish にも「願う」や「願望」の意味がある。仮定法以外でも使う。

※ 高校生は、まず desire を覚えよう。hope は中学レベルなので、いちいち勉強しなくていい。

want は「ほしい」という意味であり、やや幼稚・初等的な表現。wantを「願う」と訳せなくもないし、単語集にそういう意味もあるが、まあ中学で習っているので放置でいい。


逃亡する

flee と escape

「虐殺」genocide、 「自殺」suicide


「追放する」expel 、banish 「追放される」 be sent into exile , be expelled


flee は「全力で逃げる」(※東京書籍)。

※ 東京書籍でも言ってるが、国外逃亡とかの表現でよく使う。(※ 英字新聞などでよく見かける)高校生としては flee を覚えたいところである。

なお、「難民」は refugee (レフュジー)なので、「難民が国境を越えて逃げた」(桐原4500)は The refugees fled across the border.

である。fled はflee の過去形。


「難民」ついでに言うと、「難民キャンプ」は refugee camp です(検定教科書2社[6][7]、Z会TOEIC対策本1900[8])。


なお、名詞だけ単語集にない単語だが、「難民」ではなく、災害などの「避難民」は evacuees である。動詞「避難する」が旺文社1900にあり、スペルは evacuate である。名詞「避難」が桐原4500の単語集で evacuation である。

evacuate は英検1級あたりの単語であり、そのため高校単語集では紹介されない場合があるが(※ 東京書籍4500には無い)、しかし非常時の説明に使う可能性がある単語なので見かけることも多いだろうし、できれば覚えておいてほしい。


「亡命者」は exile (エグザイル、エクサイル)である。

「亡命」(ぼうめい)とは、政治上の理由で、迫害などをおそれて、自国を離れて国外などに逃れること(三省堂『真明解国語辞典』など)。

日本語の場合、普通、自発的に国外へ脱出した人間のことを「亡命者」と言うが、ただし英語の exile はもっと意味が広く、自発的かどうかに関わらず結果的に「国外追放された者」のようなニュアンスの違いもある。


たとえば、

be sent into exile 「追放される」

の意味である(旺文社、センチュリー)。


「亡命する」は

go into exile 「亡命する」

である(ジーニアス、旺文社)。

ほか、単語集には無いが、名詞 asylum (アサイラム)は「亡命者へ与える保護」、「難民保護」(難民へ与える保護待遇のこと)である(センチュリー「亡命者保護」、ジーニアス「難民保護」)。亡命者自身のことではないので、混同しないように。


「追放する」には expel という動詞もある。

expel は日本ではあまり聞きなれない単語だが、語幹のpelは、プロペラなどの語源になった動詞 propel 「推進する」と同じで(グランドセンチュリー)、pelは「駆り立てる」という意味である(鉄緑)。compel「強制する」と同じ語幹である(鉄緑、グランドセンチュリー)。

※ ジーニアスのほうがグランドセンチュリーより単語数が多いからと言って、必ずしもジーニアスに何でも書いてあるわけではない。

ただ、「駆り立てる」と言うとなんだか自主的なように聞こえるが、どっちかというと「追放」「強制」のように、なんだか「押し出す」ようなイメージの用法が受験英語では多い。

「外に押し出す」→「追放する」という風に覚えよう。(実際は「外に押し出す」が語源の直訳だが、「追放する」になるまで、やや飛躍があるので、ここでは「外に押し出す」とした。)

一般的な自車(足でこぐヤツ)は後輪駆動なんですが、前輪は後輪につられて仕方なく従動することで、自転車全体が押し出されるわけで、このように駆動物には従動物が伴う。

さて、よくある例文は

The student was expelled from school. 「その学生は退学になった。」(鉄緑、グランドセンチュリー)

ほか、banish「追放する」という語もある。旺文社1900でしか説明してない単語なので省略。

なお、(bでなく)vから始まる動詞 vanish「消える」とは別単語。


さて、難民の話題に戻る。

説明の都合、refugee を「難民」の意味だけで説明したが、実は refugee には、災害などの「避難民」の意味もある(ジーニアスで確認)。ただし、センチュリーのrefugeeでは「避難民」の意味を説明していない。


また、refugee は、災害などの避難民だけでなく、政治亡命者なども含む、広い意味で使える単語である。英語でも political refugee 「政治的亡命者」という表現がある(ジーニアスで表現を確認)。

なお、日本語では「亡命」だけでも、国外に逃れた原因が政治的な迫害であることを説明できるが、特に政治による原因であることを強調したい場合などに日本語では「政治亡命」などという。

なので、英作文では、難民か亡命者かよく分からなければ、とりあえず refugee を使えばいい。

桐原4500ではrefugeeは「難民」としか説明していないのに、なぜか桐原3000ではrefugeeの意味で「難民」「避難民」としている。

refugeeの避難民の意味は、こういうクセのある意味なので、深入りしない。


「難民」には、さらに displaced person という言い方があり、戦争や迫害などによって「追い出された人々」のようなニュアンスで「難民」を表すのに使い(センチュリー)、DP と略すこともある(ジーニアス)。ただしジーニアスによれば、災害などの批判民でも displace person を使う例もあるとのこと(ジーニアス)。

ともかく、 displaced person 「難民」である。

動詞 displace は多義語であり、「取って代わる」(=replace に近い)とか「(国や家などから)追い出す」とか、「通常の位置から動かす」などの意味がある。

物理学の力学における、基準位置からの「変位」が英語で displacement である(ジーニアスで確認)。そのほか、displacement には「置き換え」や「解雇」の意味もある(旺文社、ジーニアス)。


なお、refuge (レフュージ)というスペルの少し違った単語があり、末尾のeが1つだけな refuge だが、この refuge は「避難」「保護」「避難所」の意味である(旺文社のみ紹介)。いちおう辞書にはあるが、桐原も東京書籍も紹介していない単語。


他にも「避難所」については shelter という単語もあり、これも単語集(4500語レベル)にある。いわゆる「シェルター」のことである。東京書籍4500いわく、洪水からの避難の避難所でも shelter と呼んでよい。

桐原および旺文社いわく、雨宿りのための一時的な住居も shelter である。さらに桐原たちの紹介する熟語で take shelter で、「雨宿りのために避難する」である。

shelterの語源はジーニアスによると、「盾を重なり合わせ身を固めた一団」とのこと。

盾(シールド)的な意味がニュアンスがあるので、屋根つきの建物を盾に見立てて雨風を防ぐという発想なのだろう。

なお、「屋根」は英語で roof である。「屋根」 roof の複数形は roofs である。rooves(×)ではないので注意。

日本語で「シェルター」というと、なんだか虐待や家庭内暴力から逃れるための避難所か、あるいは戦争から逃れる避難所みたいなニュアンスだが、一応そういうのもsheleter と言いそうだが、しかしshelter はもっと幅広い意味である。

ジーニアスによると、防空壕を an air-raid shelter というとのこと(単語集には当然ない)。センチュリーによると、「子供を保護する」をgive the child shelter というとのこと(なおセンチュリーの例文中では過去形)。

旺文社1900が紹介しているが、「衣食住」のことを "food, clothing and shelter" といい、通例ではこの語順である(つまり語順は変えてはいけない)。(ジーニアスおよびセンチュリーで確認)


haven にも「避難所」の意味があり、センチュリーとジーニアスと旺文社に書いてある。だがセンチュリーに例文が少なく1個だけだし、ジーニアスに至っては例文なし。また東京書籍と桐原の単語集には記載が無い。

「タックスヘイブン」「租税回避地」 a tax haven が有名である。旺文社がタックスヘイブンを紹介している。ジーニアスおよびセンチュリーでは tax の項目で探すと tax haven が見つかる。

なおタックスヘイブンとは、税金がとても安い国または税のとても低い地域などのことで、外国企業の誘致のために税金を非常に安くしている国などのこと。

念のため指摘するが、「天国」「楽園」の heaven (ヘブン)とはとは別の単語(桐原3000レベル)。


旺文社1900のevacuateと同じページP.488に「帰国子女」returnee があった。 このreturneeのように、語尾にeeがついて「~な人」のような意味になることもある。

「従業員」の employee が典型例。

「雇い主」は employer である(旺文社1900で確認)。

employ ついでに言うと、「雇用」は employment であり(桐原、旺文社)、「失業」は unemployment である(東京書籍、旺文社)。

なお、「解雇する」は dismiss です(東京書籍 employ、旺文社 dismiss )。

ただし、lay off 「解雇する」という表現もあります(桐原4500熟語)。もしかしたら lay off のほうが口語的によく使われるかもしれないので、使用頻度は高いかもしれません。

日本では、よく「リストラ」とマスコミで言いますが、やや和製英語です。英語での企業におけるリストラクチャリング restructure は「再構築する」「再編成する」という意味であり(ジーニアス、センチュリー)、もっと意味が広いです。

もしかしたら婉曲表現として、大々的な解雇のことを restructure「再編成する」という米英企業もあるのかもしれませんが、しかし日本の大学入試でそういう各企業の個別具体的なことは出ないでしょう。

英語を見れば、リストラクチャリングは「企業再編」という意味ですので、なので、その企業が再編するわけでもなく今までどおりの体制が続くのに、単に一個人の従業員の解雇やら派遣などの雇い止めのことを 「リストラ」というのは、英語の出来ない人の、間違った用法です。


dismiss には、意見などを「しりぞける」など別の意味もありますが、いまは触れないことにします。

また、名詞形 dismissal は「解雇」「却下」の意味です(旺文社、桐原)。


どういうわけか、昔から英語教育では employ を早めに教えるのに dismiss はなかなか教えません。

単語集でも、 dismiss は後回しです。

しかし

「雇う」employ ⇔ dismiss 「解雇する」

と、なるべくセットで覚えるべきでしょう。

workforce という単語があり、「総労働力」の意味だが、一企業の「全従業員数」(東京書籍が紹介)や一国や産業の「労働人口」(旺文社が紹介、センチュリーで確認)という意味もある。 桐原は workforce を紹介せず(桐原4500にも桐原5500にもない)。

ジーニアスだと、workforceの例文がない。センチュリーいわく、total workforce のようにtotal で強調してもいい。


なお、hire は「一時的に雇う」の意味である。桐原によると、「大工を1週間雇う」のがhireの例。

東京書籍によると、「レンタカーを借りる」が hire a car である。


ほか、recruit (リクルート)は、新入社員や新会員などといった新人を「募集する」の意味(旺文社1900、ジーニアス)、または「新入社員」「新会員」などの新人のこと(東京書籍4500 巻末)。桐原には recruitはない。

また、「背広」(せびろ)は単に suit だけである(ジーニアス和英)。

なお、freshman (フレッシュマン)は、イギリスでは大学の1年生のことだが、アメリカでは高校1年生と大学1年生のこと(ジーニアス、センチュリー)。なので、企業の新人にはフレッシュマンを使えない。あと、男女平等の観点から語尾「マン」に文句がついていて、freshperson やbeginner や newcomer などに言い換える必要がある。

日本だと「フレッシュマン」は学校を卒業して企業人とかになったばかりの人を言うが、しかし英語の freshman にそういう意味はない。

なお、東京書籍3000が英語 freshman を紹介している。

ほか、Z会が出版しているTOEIC対策本『速読速聴・英単語 Core 1900』に、AP通信の記事の引用で、「大学新入生」の意味で freshman を用いている[9]

日本ではよく、米英では「man」が差別的だと言うが、しかし上述のAP通信の記事のように実際はそう単純ではないらしい。


さて、動詞 engage の話題。

旺文社にしかないが、センチュリーいわく、弁護士など専門職を一時的に雇う場合は engage を使う場合もある。 engage a lawyer で弁護士を雇う。

桐原4500や東京書籍4500などの単語集にあるのは、 be engaged in ~ で「~に従事する」である。

典型的な例文が「ボランティアに従事している」 be engaged in volunteer activities.

である。

volunteer はもともと「志願者」とかそういう意味なので(桐原4500でも volunteer に「志願者」の意味が書いてある)、英語でいう時はボランティア活動のように volunteer activities と言おう。


「~と婚約している」は be engaged to ~ である。


さて、難民を発生させた理由が侵略やらその他の国際法違反行為なら当事国には経済制裁がされることがあるが、「経済制裁」は economic sanction である(桐原4500)。 sanction で「制裁」の意味。東京書籍と旺文社1900にはsanctionは無い。

なお、単語集にはないが、スペルの似ているサンクチュアリ sanctuary (もとは「聖域」の意味)は、現代でも「自然保護区」等の意味で使われている。開隆堂(教科書会社の一つ)の高校英語の検定教科書に、中華人民共和国のパンダ保護区 panda sanctuary という単語が載ってた[10]

ルワンダ虐殺とか、歴史的に名前が残っている事件の「虐殺」は genocide が普通であろう。検定教科書でもルワンダの虐殺について genocide という表記を行っている[11]


genocide の-cide は「殺すこと」のような意味です。たとえば「自殺」は名詞 suicide です(東京書籍)。

commit suicide 「自殺する」

です(東京書籍、旺文社)。

自殺やら犯罪やらをする場合の動詞は、 commit です。

また、自殺未遂は、「試みる」の意味の単語 attempt をもちいて、

attempt suicide 「自殺を試みる」(=自殺未遂をした)

のように言います(旺文社、)。

桐原は熟語としては紹介してないが、例文にもあるが impose sanctions on ~(国名など) で「~に制裁を加える」である。

impose で、罰金・税金などを「課す」の意味。だから impose a fine で「罰金を課す」である(東京書籍4500)。桐原に例文があるが、 impose ~(罰金・税金など) on ・・・(人や課税対象)で「・・・に~を課す」である。

sanctionの基本的な意味は名詞形「制裁」だが、実は動詞「制裁する」も同じスペル sanction (制裁する)である。ジーニアス英和辞典で確認できる。桐原5500を見ても動詞までは書いてないが、実はスペルが同じままで動詞にもなる。

なお、スペルの-tionな似た現象として、旺文社1400(緑本)に書いてあるが、condition (名詞「条件」、動詞「条件付ける」)とかposition(名詞「位置」、動詞「位置を定める」・「置く」)など、一見すると名詞な単語にも実は動詞の用法のある場合もある。ただし単語集を見ても例文まではないので、そんなに気にしなくてもいいだろう。

「置く」ついでに言うと、動詞 locate にも「置く」の意味がある。なお、名詞形は location 「場所」である。このように、語尾が -tion だからって何でもかんでも動詞の意味があるわけでもない。熟語 be locate in ~で「~に位置している」(旺文社1400、桐原3000)、「~にある」(東京書籍4500)。

なお、経済危機は the economics crisis である。食糧危機は the food crisis である(東京書籍4500に経済・食料の両方。旺文社1400に経済危機のみ紹介)。


なお、軍隊などを「撤退させる」「撤退する」のは withdraw である。「撤退」は名詞 withdrawal である。(東京書籍4500)


東京書籍4500に、「将軍は兵士に撤退を命じた」 This general command soldiers to withdraw.

という文章がある。語法 command A(相手) to B(動作) で「AにBするように命じる」の意味である(東京書籍4500、旺文社1400)。

なお、攻撃の命令なら command ~ to attack the enemy である(旺文社1400)。

(※範囲外 :)なお、企業の「市場撤退する」は単に動詞 exit で通じる。

retreat 「撤退する」「撤回する」「(田舎などに)引きこもる」という動詞もある(東京書籍4500巻末、旺文社1900)。桐原4500・5500は retreat を紹介していない。


commandにはその他、動詞としてなら「言語を自由に操る」、名詞としてなら「言語を自由に操る能力」という意味もあり、桐原4500にその意味での例文もある。(なお桐原3000では、「警官が彼に停止を命じた」という例文で The policeman commanded him to stop. という例文がある。)

withdrawの話に戻れば、預金を引き出すのも withdraw である。(桐原4500、旺文社1900)

典型的な例文は

「彼は銀行から2万円を引き出した。」 He withdrew 20,000 yen from the bank.

である(桐原、旺文社、ジーニアス英和、センチュリー英和、に類似の例文)。

なお活用は withdraw - withdrew - withdrawn

である。

旺文社によると、ATMからの抽出にも withdraw は使えるとのことで、(旺文社)、

「彼はATMから2万円を引き出した。」 He withdrew 20,000 yen from ATM.

である(旺文社に類似の例文)。ただし辞書を見たが、ジーニアス英和とセンチュリー英和ではATMの例文は確認できなかった。


「預金する」および「預金」は deposit である。(桐原4500 および東京書籍 4500)。

なお、「定期預金」は fixed deposit です(Z会TOEIC対策本 core 1900)。fixed deposit は高校の範囲外ですが、せっかく「預金」 deposit まで高校で習うのですから、ついでに定期預金も覚えましょう。

(※ 範囲外: )なお、海外のホテルに宿泊しようとすると、フロントでの最初のチャックイン(check in[12])のときに一定の金額を保証金としてホテルに預けなければならないホテルも多いのだが、その保証金のことも deposit と言う[13]。なお、ホテルの宿泊だけでなく飛行機の搭乗手続きのこともチェックイン check inという[14]

なお、ホテルのフロントは front desk である(ジーニアス和英「フロント」)。

「攻撃」だの「撤退」だのの話のついでに話すが、アグレッシブ aggressive という形容詞があり、日本ではよく「積極的な」と言われるが、しかし「攻撃的な」という意味もある。つまり米英人は、「攻撃的」と「積極的」とを区別していない。aggressive の「攻撃的な」の意味のほうも、普通に桐原や東京書籍の単語集に書いてある。


貸し借り

無料で借りる borrow, use

(もの・お金を)貸す lend

部屋を賃借りする rent

お金を借りる owe

借金 debt

貸付金 loan


東京書籍によると、「レンタカーを借りる」が hire a car である。

しかし、rent も「賃借りする」と言う意味の英語である。東京書籍によれば、rent a car で「車を賃借りする」である。

典型的な例文としては、

(アパート・マンションなどの)「一部屋を賃借りする」 rent an apartment

である(旺文社1900およびジーニアス)。apartment は、日本語でいうアパートの一室、またはマンションの一室である(ジーニアスで確認)。


また、とくにアパートなどの部屋の賃借りをすることを rent と言う。また「家賃」も同じスペルで rent である。

典型的な例文は、

「家賃を払う」 pay a(またはthe) rent

である(東京書籍4500を若干改変、およびジーニアス)。


ややこしいが、 lend は「貸す」 である。なお、東京書籍によれば、lend は 無料で「貸す」 の意味。

「お金を貸してください」もlendであり、東京書籍4500によれば

Will you lend me a money? 「お金を少し貸してください」

である。

桐原3000によれば、

Could you lend me $5 until tomorrow? 「明日までに5ドル貸してください。」

である。


なお、ペンを借りたり、移動できるものを「借りる」のは borrow である。東京書籍によれば、さらに、無料で借りるのが borrow である。

車を借りる場合でも、無料で借りるなら borrow だと、東京書籍1900は言っている。

lend ⇔ borrow のように対義語をセットで覚えよう(旺文社1400がセットで紹介)。


トイレのように設置してあって移動できないものを「借りる」場合は、 use である(桐原3000、東京書籍4500)。つまり、「トイレを使わせてもらう」的な言い回しを英米人はしている。

東京書籍1900だと、「電話」をuseで借りる例文がある。たぶん、トイレを英語でどういうかの説明が面倒だったのだろう。


しかし、実際には、短時間なら、持ち運びできるものでも use で無料で借りることも表現できる。桐原の検定教科書『EMPOWER ENGLISH EXPRESSION II』のP26に、辞書を借りるさいに

May I use your dictionary for a while? 「少しの間、辞書を借りてもいいですか。」

という表現がある。常識的に、まさか金を払って借りるわけではないだろう。

長期間借りるなら borrow のほうが適切かもしれないが、少し借りるくらいなら、とりあえず use で十分だろう。


旺文社では1900でなく旺文社1400にrentが書いてある。


owe は「お金を借りる」である。典型的な例文が、「私は兄から(または「友達から」)10ドルを借りている」である(センチュリーと東京書籍に、ほぼ同じ例文)。桐原とセンチュリーは友達から借りている。東京書籍が兄から借りている。

ともかく典型の例文は、

「私は兄からお金を借りている。」 I owe my brother 10 dollars.

である。語順を変えて、

「私は兄からお金を借りている。」 I owe 10 dollars to my brother.

としてもいい。

owe で借りる行為に、利子がつくかどうかは、特に決まっていない。


owe には、恩義を負っているという意味での(誰かに対し)「借りがある」という意味もある。

「負う」とowe の発音が似ているので、ついついこれをもとに暗記したくなるが、しかしまずは「お金を借りる」から暗記したほうがいい。

典型的な例文が「私が成功したのはあなたのおかげだ」である。(ジーニアスそのまま。旺文社に「彼のおかげだ」という例文あり)

「私が成功したのはあなたのおかげだ」I owe my success to you.

である。この意味の場合、I owe you my success (×)としてはならないとジーニアスは述べている。

IOU で「借用証書」の意味であり、そのままアイオーユーと読み、"I owe you"とのダジャレになっている(旺文社でも紹介)。

たとえば50ドルの借用証書の場合、

IOU $50

のように書く(センチュリーに同じ例文。ジーニアスにも金額の単位が違うが似た例文あり)。なお辞書でIOUを探す際は、oweの項目ではなく、「I」の段で「IOU」を探せば掲載されている。


loan は「貸付金」である。

だが、「公債」のように、一般人が借しつける立場になる機械のないものでも、loan という(ジーニアスで確認)。あるいは、センチュリーは「公債」を a public loan というと言っている。

また、ジーニアスいわく「銀行の貸付」は bank loan である。


ジーニアスいわく apply for a loan で「貸付けに申し込む」である。

要するに「借りる」わけだが、英語では「貸付に申し込む」みたいな言い方もする。

apply でなく ask でもいい。センチュリーがaskを使っている。

Hal asked for a loan of $5,000. 「ハルは5000千ドルの貸付けを申し込んだ。」

である(センチュリーの例文そのまま引用)。

借金を「返す」のは pay back である(旺文社およびセンチュリー)。

pay back a loan. 「借金を返済する。」

である。

銀行で金を借りる場合は、loan が適切だろう。

公債については、ジーニアスで確認したところ debt もloan も「公債」である。


debt の借金を返す場合は、旺文社およびセンチュリーいわく 「借金を完済する」pay off one's debt である、とのこと。ただし、これはあくまで完済した場合だけである。

完済ではなく、単に「借金を返す」と言いたい場合、ジーニアスおよびセンチュリーを見ると、「借金を返す」は get out of debt であると言っている。

なお東京書籍いわく、「借金をする」は get into debt であるとのこと。ジーニアスは、get 以下略のほか go into debt でもよいと言っている。


「私は銀行に30万円の借金がある。」 I am 300,000 yen in debt to the bank.

である。

be in debt で「借金がある」という意味である。借金の金額も言いたい場合、上述のように、be と in の間に金額が入る。

debt には「恩義がある」という意味もある。だが単語集に例文はない。

indebted という形容詞があり、「借金をしている」「恩義がある」という意味である(借金の意味だけ、旺文社でも紹介)。だがジーニアスいわく、普通は be in debt を使うとのこと。


position(位置) と possession(所有)

名詞 position は「位置」「場所」や体の「姿勢」(東京書籍3000)や「地位」(桐原4500)の意味。動詞としてのposition は「位置を定める」の意味(旺文社1400)。

発音の似た単語で名詞 possession (発音は「ポゼッション」)があるが、意味は「所有」である。動詞形possess は「所有する」の意味。名詞形 position や動詞 possess (発音「ポゼス」)にも、まったく位置や場所などの意味は無い。possessは「所有する」の意味。



位地 position, location

立場・地位 place, position


position には「地位」や「立場」などの意味もあるが、本セクションでは深入りしない。なお、location には、テレビ撮影などでの「野外撮影」の意味もある(ジー二アス)。なお、positionは桐原3000や東京書籍3000にある3000語レベルの単語。locationは東京書籍4500語および桐原3000。

本セクションでは、場所的な「位置」での、position (ポジション)と location (ロケーション)のニュアンスの違いに、正面から分析を挑もう。


まず、location は、地図的な位置のことであろう。動詞locate だが、東京書籍4500も桐原3000も、locate の例文は、地図に関する例文である。

別に世界地図でなくとも町内の地図でもいいが、そういう地図にかかれるような位置は、location で表すのが無難だろう。


単語集にはないが、実際、IT分野などでは、たとえば携帯電話などのGPS位置情報などの「位置」は、英語では location という単語が使われている。

辞書にはないが、 geolocation (ジオ・ロケーション)という「地理的位置」とでも訳せるような単語が既に英語にはある。


逆に、たとえば(座席などで座る)「椅子(いす)の位置」だとか、そういうのは position で表すのが無難であろう。旺文社1200のposition の例文が、テーブルで座る(イスの)位置の例文である。

東京書籍3000は、position は「(相対的な)位置・場所」だと説明している。

だから東京書籍は、「私の位置からでは聞こえない」というような英文を書くときは、position を使うことを進めている(例文は著作権に配慮して省略。買ってあげよう)。

position を「相対的な位置」と考えれば、「立場」も割と相対的なものだから、まあ「位置」以外の他の用法も連想しやすいかと。


placeにも立場の意味があるが、これはよく仮定法で

In your place, I would ~ 「あなたの立場だったら(、~するのに)」

とかで使われる。

If I were in your place, I would ~

と省略せずに書かれる場合もある。

詳しくは、辞書や文法参考書などを参照せよ。



回避

avoid , evade


センチュリーevadeにある説明では、escape は「危険から脱する」、avoidは「危険に近寄らない」 のニュアンス。

東京書籍3000にavoid the danger (危険を避ける)という典型的な文、東京書籍4500にavoid the mistake (過ちを避ける)という例文がある。


なおevadeはescapeおよびavoidの両方のニュアンスを持つ。


義務から逃れることをevadeという。税金の支払いなど、evadeの例文で典型的。


一方、avoidは、悪いことやいやなことを「避ける」の意味。avoidは 「議論を避ける」とか(東京4500)、「悪友との付き合いを避ける」(センチュリー英和)ぐらいでも使われる。

ただし、どうやらavoidには、向かってくるものを「回避する」ほどの強い意味合いはないようだ。

語法として avoid ~ing で、「~することを避ける」の意味(旺文社1400、東京書籍4500)。動名詞を使う。旺文社1400でも指摘されてるが、不定詞は使わない。


その他、shun(シャン)という単語があって、「人前に出ることを避ける」shun the publicity (旺文社1900)とか「人付き合いを避ける」shun the society (センチュリー)などの意味だが、単語集では旺文社1900にしか書いてない。ジーニアス英和に単語だけあるが例文すら買いてない(センチュリーには英文あった。桐原4500と5500および東京書籍4500には単語は無し。

shun the media's spotlight で「メディアのスポットライトを避ける」 などの熟語が旺文社1900にはある。



「達成」と「到着」

  • 達成

achieve と attain と reach

アチーブ、アテイン、リーチ


achieveは(目標などを)「達成する」。

achieve the objective (東京書籍4500)または achieve the goal (桐原3000、旺文社1400)で「目標を達成する」。

名詞 achievement には、「達成」の意味のほかにも、「業績」(東京書籍4500。旺文社1400のmodestの項目)や「成績」(旺文社1400)の意味もある。


attainは(目標などを)「達成する」だが、並の人には到達不可能な目標を達成した場合によくattainが使われる用例もあるが(ジーニアス)、べつに並の人でも達成できる目標にattainを用いても構わない。

たとえば東京書籍4500 に「彼はオリンピックのメダルを獲るという目標を達成した」 He attained his goal of winning an Olympic medal. とあるのは、並の人には到達不可能な目標に用いれる例だろう。

一方、センチュリー英和にある例文「父は80歳の高齢に達した」My father has attained the advance age of eighty. のような、一般人でも達成できるattainもある。

なお、別に年齢のattainでは現在完了形を使う必要はなく、たとえばジーニアス英和では「彼女は77歳に達した。」She attained the age of seventy-seven. である、


reach は「手が届く」の意味と、ほか(場所などに)「到着する」。

reachは多義的なので目標的な意味でもreachが使われるが(英和辞典にそう書いてある. 東京書籍3000にも書いてある)、しかし attain のほうが「目標達成」のニュアンスが強い。

※ 高校生としては、目標達成には attain を覚えたい


  • 到着

arrive とreach

arriveは場所に「到着する」。

「到着の予定」は be due to arrive である(東京書籍4500. 旺文社1900)。


due は「予定」の意味の名詞。桐原の単語集に至っては、dueの意味紹介で「(人・乗り物などが)到着する予定で」とすら紹介している。

いちおう、東京書籍および旺文社では、 be due to 〜(動詞) が「〜の予定である」と紹介しており、その例文として乗り物の到着の例文を出している。


なので、ともかく due to arrive 「到着の予定」というふうにセットで覚えよう。


典型的な例文が

The train due to arrive at 6 pm .

のような例文である。train(電車)の代わりにplane(飛行機)だったりする場合もある。

桐原4500によれば、to arrive を省略しても通じるらしい。つまり、

The train due at 6 pm .

でも通じる。

なお「省略する」は英語で omit (オミット)という(旺文社1900巻末)。


さて、due の話に戻る。スペルが同じだが、前置詞的に due to で、「〜が理由で」の意味がある。because of とほぼ同じ。

桐原4500にある例文「彼女は病気のため休んだ。」で、「病気のため」の部分が due to illness である。全文は単語集を買って読んで。辞書にあまり例文が無い。


その他、due には、給料などが「支払われるべき」という意味もあるが、平易な例文が少ない。東京書籍4500に例文ある。


reachにも「到着する」の意味があるが、他の意味もあるので、専門的な会話などでは避けたほうが安全。実際、桐原4500を見ても、目標の段階到達の意味は書いてない。それが書いてあるのは東京書籍3000だけ。 


つまり、

attain 目標達成する

arrive (場所に)到着する

reach 手が届く

のように使い分けるのが安全だろう。


さて、目的地は destination です(桐原4500、旺文社1400)。

arrive at the destination 「目的地に到着する」です(旺文社1200)。

「arrive at ~(地点)」で「~(地点)に到着する」です。東京書籍3000によると、町・駅など比較的に狭い場所に到着するときはarrive at ~ です。

「arrive in ~(地域)」で「~(地域)に到着する」です。東京書籍3000によると、大都市・国など比較的に広い場所に到着するときはarrive in ~ です。たとえば arrive in New York 「ニューヨークに到着する」という例文があります(英語例文は東京書籍3000より。日本語はwikiに合うように言い換え)。


なお、「出発する」は動詞 depart または動詞 leave [15]です。

leave ⇔ arrive

とセットで覚えましょう。


  • 目標

purpose, aim, target

「目標」は、まずはpurposeで覚えるべきである。

aim (エイム)は銃などで「狙う」という意味の動詞だが、名詞としてはaimは「目標」の意味にもなる。

aim to ~(動詞) で「~しようと目指す」のような意味。

target はアーチェリーなどの「的」(まと)の意味の名詞だが、派生的な意味で「目標」の意味にもなる。また、動詞でtargetは「目標を定める」の意味にもなる(センチュリーで確認)。

旺文社1900およびセンチュリーによれば、「的に当てる」 hit the target である。

よく外来語で「ターゲット」と聞くが、なんと東京書籍と桐原の単語集にはターゲットは書いてない。(旺文社1900には書いてある。)


さんざん上述でreachだのachieveだのの話をしたが、ジーニアスに「目標を達成する」は reach a target または achieve a target だと書いてある。


一見すると aim は銃などの狙いなので攻撃的な雰囲気がありそうだが、しかしジーニアスで確認すると target にも攻撃目標の意味があるので、違いが不明瞭である。

ジーニアスによれば、「広告ターゲット」の客層のことは target audience という。



修理する

repair と fix

リペア、フィックス

repair のほうが硬い表現であり(東京書籍4500)、そのためか、大型または複雑なものの修理に使われる(桐原3000)。

ただし、あまり境界は明確ではなく、たとえば東京書籍では TVの修理が repair なのに car の修理がfixだったり。実際は自動車の「修理」なんて修理工場とかが必要で凄く難しいが。

桐原3000では、腕時計 watch の修理が repairだった。


実用英語としてはズレるが、高校生はまずrepair で覚えるのが安全だろう。


fixは多義語であり、「固定する」の意味もあるので、誤解されるおそれがある。ただし、実際はよく使うが。

なお、船の錨(いかり)を名詞 anchor というが、これには動詞 anchor で(物理的に)「固定する」の意味もあるが、単語集に書いてないので入試には出ない。センチュリー英和には、「本棚を固定する」という例文で anchor が使われていた。fixだと紛らわしい場合にはanchorをどうぞ。


なお、mend は衣服や靴などを「修繕する」。

mendには、行儀などを直す、改心する、などの意味もあり、

諺(ことわざ) It is never too late to mend. 「行いを改めるのに遅すぎることはない」[16]

というのもある。


なお、「ことわざ」は英語で名詞 proverb (プラバーブ)である。

決まり文句として、

as the proverb say 「ことわざの言う通り」

という言い回しがある(東京書籍4500、ジーニアス、センチュリー)。

なお、単語集proverbにある ことわざ は、

「行動は言葉よりも雄弁である」 "Action speak louder than words. " (旺文社1900)

「ローマは一日にしてならず」 "Rome was not built in a day." (東京書籍4500)

である。

なお桐原は、日本の「出る釘(杭)は打たれる。」を紹介。


支配

dominate と control

dominate が、統治的な意味で「支配する」とか(桐原4500)、力(ちから)などで「支配する」(東京書籍4500)。

一方、control には、そういう統治やチカラ的なニュアンスはないだろう。controlを「支配する」と紹介する単語集もあるが(東京書籍1800)、どちらかというとcontrolは「制御する」だろう。

和英辞典(ジーニアス)で「制御する」を調べても control しか書いてない。

また、ジーニアス和英で「操作する」を調べても、controlはない。「コントロール」を操作の意味で使うのは、どうやら和製英語のようだ。


管理

management と controlと in charge of

経営管理や(単語集にはないが)遺産管理などがmanagement である。

単語集にはないが、品質管理などはcontrolである。(quality control、QC)である。


単語集には manage を単に「経営する」とだけ書いてあるが、今後の応用などを考えると「経営管理する」と覚えるほうが良いだろう。

動詞 manage to do で、「なんとか~をやりとげる」という意味があり、桐原3000や東京書籍3000にこの熟語が書いてある。

manage で「経営管理する」→「やりとげる」だと意味を連想しやすい。一方、「管理する」→「やりとげる」だと、やや飛躍があるだろう。


ついでに、動詞 cope with が「うまく処理する」という意味があり、似たような使われ方をする。

典型的な例文が、

cope with the problem 「問題を処理する」

である(東京書籍4500、旺文社1900)。

その他、handle にも、問題を「処理する」の意味がある。(handle については、別の機会にほかの用法ごと意味を勉強したほうが効率的だと思うので、当セクションでは解説を省略。)


「品質管理」について、日本語では「管理」と言っているが、しかし under control で「制御下で」という用法があることを考えると、推測だが、どちらかというと、QC には「生産工程を正しく制御することで、すぐれた品質を維持する」的なニュアンスが英語QCにはありそう。

QCは管理自体は目的ではなくて、品質の維持が目的なので。

なにかを維持したりするのは、日本語では「制御」という訳を当てることが多い。もっとも、もう「品質管理」で訳語が広まってしまったので、どうしようもないが。


形容詞のような使いかたで in charge of ~ 「~を管理して」という熟語がある。(旺文社・熟語1000)

「~を預かっている」→「~を管理している」のようなニュアンスだろう。

たとえば The person who is in charge of repairs is Mr. Smith. で、「~を管理しているのはスミス氏だ」のような意味。なお、センチュリー英和と旺文社熟語1000を組み合わせた例文。

manager だと支配人と誤解されかねないし、そういう場合に who is in charge of ~ という表現は便利そうである。

なお、動詞「管理する」「担当する」はtake charge of ~ である(旺文社 熟語1000)。


administration に「管理」という意味もある。

だが、これは現代では、ネットのサーバー管理者やその他のシステム管理者のことを「アドミニストレーター」 administrator と言ったりして用いるので、よく目にかかるだろう(単語集にはない)。ジー二アス英和 administrator には、きちんとコンピュータ用語で「管理者」の意味だと書いてある。

administration には、「政権」という意味もあり、たとえば「ケネディ政権」the Kennedy administration とか(東京書籍)、トランプ政権 the Trump Administration とか(旺文社)、のように使う。

manager でいうと「経営者か?」と誤解されないが、ある人が何らかの管理の権限が与えられている場合など、administration などで言い換えると良いだろう。

東京書籍4500では administration は巻末送りである。あまり高校教育的に良い題材にしづらいのだろうか。だが、「政権」も「サーバー管理者」も、大学進学を目指すなら知っておきたい単語であろう。


遺産

estate, heritage

受け継ぐ inherit


estate (エステート)が、親からの財産などの相続的な「遺産」。


heritage (ヘリティッジ)は後世に残すにふさわしい文化的な「伝統」などの意味での「遺産」(旺文社1900、センチュリー)。ただし、heritage にも親からの「遺産」という意味もある(センチュリー)。

「世界遺産」は World Heritage である(桐原3000)。世界遺産はヘリティッジ冒頭のHが大文字。

東京書籍3000・4500はheritageを紹介せず。

heritage は発音注意。後半はテージではなくティッジ。


inherit (インへリット)は、単語集では「相続する」で書いてあり(桐原)、辞書にもそうあるが(ジー二アス)、しかし「継ぐ」「引き継ぐ」「受け継ぐ」で覚えたほうがよいだろう。(「継承」と訳すと固すぎて、日本語の訳には合わない。)

前任者から地位や方針などを「受け継ぐ」という用法が、 inherit にはある(ジー二アス、センチュリー)。

財産の「相続する」の例文については、典型的なのは、

(桐原、センチュリー)「財産を相続する」inherit a fortune

(ジー二アス、東京書籍)「財産を相続する」inherit a property

である。

She inherited a fortune from her father. 「彼女は父から財産を受け継いだ。」

のように使う。

単語集には、inherit には、親から性格・体質などを「受け継ぐ」の意味があると書いてある(東京・桐原)。

名詞形は inheritance (インヘリタンス)であり、「相続」「遺産」「遺伝」などの意味である(桐原)。

「相続税」を inheritance tax という。だから、inherit を「相続する」と訳すのも間違いではない。


日本人は「受け継ぐ」と「相続する」を別々の言い回しとして区別しているが、英米人はそうではない、というのが理解の本質である。

生物学などで「遺伝」の分野の英文をよんでいると、しばしば inheritance という英文も見かける。

en:w:Mendelian inheritance (英語版 wiki「メンデル遺伝」(直訳) )など。


(※ 範囲外 : )ほか、単語集にも辞書には無い範囲外の話題だが、プログラミング用語で「継承」 inheritance という概念があり、( w:継承 (プログラミング) )

親(parent)的なデータ集合のモジュールから、子(child)的なデータのモジュールにデータを継承させる設定などで「継承」 inheritance は使う用語である。(※大学の情報工学レベルの内容なので、高校生は暗記しなくていい。また、工業高校でも、ここまでは習わない。)


※ 対義語

メジャーとマイナー

major と minor

major は「主要な」。minorは「重要ではない」。

2つ以上のもののうち大きいほうがメジャーmajor、比較的に小さいほうがマイナー miner 。

高校では bigger とかlargerとか論外だし、そっちは紹介すらしていない。 なお、big と large の違いとして、文英堂インスパイアは形容詞の単元で、bigは『最も口語的で、主観の入ることが多い。』としており、larger は『(largeは)「広い」「数量が多い」の意味。客観的表現。』としている。

「多数派」が majority マジョリティ。

なお「多数決」は a majority vote である(東京書籍4500 でvoteの項目に書いてある)。vote とは名詞形では「投票」とか「票」の意味であり、同じスペルで動詞の意味の場合もあり動詞なら「投票する」の意味。

派生的に major には「重要な」という important に近い用法もあるが、上述のような違いがある。

「圧倒的多数」は an overwhelming majority である(東京書籍4500。旺文社1900)。

単語集にはないが、ジーニアス英和には「圧倒的多数」は a sweeping majority of votes だと書いてある。

sweep は、掃除のホウキなどでゴミを「掃く」(はく)の意味だが(旺文社1900にはこの例文が書いてある)、ほかには敵などを「一掃する」などの意味もあるが(旺文社のに書いてある)。一見すると単語集にはないが派生的な意味として票や人気などを「かっさらう」の意味もある。実は東京書籍4500巻末の Plague 「ペスト」に、

The plague wept through Europe. 「ペストがヨーロッパ中に蔓延した。」

という例文がある。swept はsweepの過去形・過去分詞形。

あと、試合や勝負などで「圧勝する」の意味もある。


検定教科書では、三省堂CROWN III に sweep が書いてあった[17]。環境問題の単元で。

「圧倒する」overwhelm は、勝負事のほかにも、「美しい景色に圧倒された」のような使い方もして良く、旺文社1900の例文がそうである。センチュリー英和の例文でも、交響曲が「感動的」をoverwhelming としているのがある。

ジーニアスによると、感動だけでなく苦しみや困惑でも overwhelm を使うこともあるようだが、wikiで紹介するには例文が不足しているので、紹介しない事にする。

大学などで特定の学問分野を「専攻する」ことを米語(アメリカ英語)で major といい、普通は major in ~で「~を専攻する。」

典型的な例文が

He majored in economics. 「彼は経済学を専攻している。」

問題は場所の前置詞である。


He majored in economics in university. 「彼は大学で経済学を専攻している。」

だと、inがいくつもあって読みづらい。(東京書籍4500は気にせずin ・・・ in college と並べている)

He majored in economics at university.

のように、atが好まれる場合もある。(センチュリー英和が at university としている。)


イギリス英語だと、専攻はread だったりstudy だったりするが、まあ同音意義語が多くて分かりづらい。なるほど、米国英語 major が必要とされたわけである。

旺文社1900には specialized が紹介されているが、しかしspecialized は大学院以上での「研究する」に用いるのが本来だとジーニアスは述べている。


主要な

chief ,principal, main, primary


第1位の primary , prime


まず、chief は組織の「長」という意味の名詞である。

だが、それ以外の意味として、形容詞として、「主要な」という意味がある。

たとえば、「主要な都市」だとか「主な理由」とかで chief が使われる。

この「主な」という用法では、chief は main とほぼ同じである。


形容詞 principal という「主要な」を意味する単語がある。

名詞の「原則」principle とい別の単語である。(ただし、語源は同じで、princip-が「第一の」という意味。)

また、発音も同じで、つまり principal の発音と、principle の発音は同じで、両方とも「プリンセプル」と発音する。旺文社1900が同音だと紹介している。


principalの語源は「第一の」であるが、しかし「主要な」の意味する対象は唯一のものでなくとも構わない。

ジーニアスの例文で、「ヨーロッパの主要都市」 the principal cities of Europe という単語がある。

このように、複数個ある「主要都市」に principal を用いても良い。

東京書籍にある「主な原因」principal reason とか、またはセンチュリーにある principal cause は、別に理由が一個だけとは限っていないだろう(教材では特に言及はされていない)。


principal は名詞としては「校長」の意味である。

ジーニアスおよびセンチュリーいわく、「会長」を principal という場合もある。

ジーニアスいわく「社長」にも principal が使えるらしいが、しかし「社長」は、 president で十分だろう。

principalには「元金」という意味もある。利子に対する元金のこと。旺文社で、元金が紹介されている。


primary (プライマリー)は「第一の」という意味の形容詞。

イギリス英語では a primary school で「小学校」である。なお、アメリカ英語では「小学校」は elementary school である(ジーニアス和英「小学校」)。


「主な目的」と同じ意味で「第一の目的」 a primary purpose という言い回しもあるので、「主な」とも訳される場合もあるが(東京書籍3000)、しかし primary の意味は「第一の」で先に覚えるのが安全だろう。

小学校を「主な学校」と覚えるのは、飛躍をしすぎている。 よくあえる典型的な例文は

a primary concern 「第一の関心ごと」

である(ジーニアス「最も心配しているのは」、桐原「第一の関心事」)。


ほか、米国の「予備選挙」を a primary election という(桐原4500、ジーニアス)。


さて、よく似た関連の別単語 prime (プライム)の話。

今の単語集にはあまり書いてないが、昔はよく「総理大臣」は英語で the prime minister (ザ・プライム・ミニスター)だと高校で習ったものである。いちおう、東京書籍の例文中に「総理大臣」the prime minister がある。桐原には書いてない。

なお、「大臣」は英語で minister である。


いま話しているのは、primary ではなくprimeである。

違いは、ニュアンス的に

primary は単に「順番が第一の」 の意味でも使われる。

一方、prime は、総理大臣のように、やや固い言い回しであることくらいか。

prime の語源はもともと、カトリックの日課の「最初の」礼拝のこと(ジーニアスで確認)。 prime はこういう意味なので、単に一番目であるだけでなく、さらに重要性の高いものに使われるというニュアンスがある。

形容詞を単独で覚えるのではなく、primary concern とか prime minister とか、名詞とセットで覚えよう。



「深刻な」

serious と severe

日本語になっているシリアスとシビアと同じような使い分け。


ともに「深刻な」の意味があるが(東京書籍3000にそういう用例あり)、

シビアのほうは、マジメに考えるべきという意味で「深刻な」。

severe のほうは、苦痛などがひどいという意味で「深刻な」。

だが、あまり境界は明瞭ではなく、桐原3000では severe economic problem のように「深刻な経済問題」という用法もある一方、東京書籍で serious damage 「深刻なダメージ」という用法もある。

※ 東京書籍には悪いが、高校生の段階では、とりあえず severe のほうだけを「被害で深刻な」と覚えておいて、serious の被害的な用法は例外的だと思うほうが安全だろうか。


なので、serious は(「深刻な」ではなく)とりあえず「(問題などが)重大な」と覚えるほうが良いだろう。

もっとも、そう覚えると今度は important「重要な」との区別が難しくなる。

なので、serious は「(まじめに考えるべき、問題などが)重大な」で覚えるのが良いだろう。東京書籍3000 でも、serious を「(問題などが)重大な」と説明してある。


上述のように「重大な」「重要な」「主要な」など漢字が一文字変わるだけで意味が変わるので、ここらヘンは注意が必要である。



「能力」

ability と capability, faculty, capacity,

潜在能力 potential、capacity

「才能」 talent、gift, genius,


まず、形容詞 able は「~できる」の形容詞。

形容詞 capable は「~の能力がある(※ 東京書籍4500)」「(人や組織が)有用な」の形容詞。組織の有能は桐原4500、人の有能は東京書籍4500。


なお、構文では「be able to 原形動詞」 と 「be capable ~ing」の違いがある。


問題は、ability と capability の違いがある。

桐原3000がabiity を「能力」と訳し、桐原4500および東京書籍 4500 が capability を「能力」と訳し、ともに「能力」である。


※ これはもう、capability のほうが格調が高くて高尚な表現だと思うしかない。


なお、国家の「戦闘能力」のことも capability といい、ジーニアス英和辞典にそう書いてあるし、よく海外の軍事ニュースとかで聞く。

辞書(三省堂センチュリー)を見ていたらcapabilityに「力量」がある、という表現があった。 ジーニアス辞典だとcapability に「手腕がある」。


高校の単語集では capable を「有能な」と訳しているが、上述のような力量・手腕なニュアンスがあると見るのが良いだろう。

構文「be able to 原形動詞」 と 「be capable ~ing」の違いについても、capableが手腕や力量を評価していると考えれば、普通は過去の実績にもとづいて手腕を評価するだろうから、capable ~ing のように後続が動名詞である事も納得理解しやすいだろう。


桐原 3000 およびセンチュリー辞典によると「able」は人のみを主語とする、桐原3000ではcapable は人も無生物も主語とするとあるが、しかしジーニアス英和辞典ではそのような説明は確認できなかった。

ableが人のみを主語としているなどは、あくまで傾向・経験則に過ぎない。


なお、本来なら can より be able to のほうが文語体に近い。なのでbe able to は高尚なはずである。

しかし、上には上がいて、さらに be capable ~ing という、上級な表現がある。

キャパシティ capacity 「収容力」にも「潜在能力」という意味がある。これは頭を容器に見立てて、そこから派生的に、知識や技術などを頭に受け入れる能力があるという使われ方である。(ジーニアス)

ただし入試としては、旺文社1400でしか例文では「能力」の意味を紹介していない。、

現在の能力だけではなく、将来の予想される能力も含めて capacity が使われる。

She has a remarkable capacity for learning languages. 「彼女には語学の才がある。」(ジーニアス)

Children has the capacity to acquire foreign language easily. 「子供は外国語を容易に習得する能力がある。」(旺文社1400)

のように、語学などで使われる例文をよく見かける。


劇場などの建物の、観客の収容能力も capacity である。(東京書籍4500、桐原3500)


seating capacity で、劇場などの「収容能力」(ジーニアス、東京書籍4500)。基本的には seating capacity とは「座席数」である(東京書籍、グランドセンチュリー)。

The theater has a seating capacity of 600. 「その劇場は600名の座席数がある」(東京書籍、グランドセンチュリーをもとに作成)


ほか、建物だけでなく、容器などの「容量」も capacity である(東京書籍、ジーニアス、センチュリー)。

電気工学で、コンデンサーなどの電気容量のことをcapacitance(キャパシタンス) という(ジーニアス)。高校の専門「物理」でキャパシタンスを習う。


potential も「潜在能力のある」「可能性のある」という意味である。

ビジネスなどで「潜在顧客」 a potential customers である(東京書籍、旺文社1900)。潜在顧客とは、将来的な顧客になる可能性のある人たちのこと。

人の能力のほかにも、事件・事故などが未来に起きる可能性があることも potential を使う。(「未来に起きる」条件はジーニアス情報)


a potential risk 「潜在的な危険性」(東京書籍4500、旺文社1900)

※ 旺文社いわく a potential danger 「潜在的危険」でも良いとのこと。あまり聞かない表現だが、「潜在的危険」という用語もあり、防災教育などで厚労省が使っている。

a potential disaster 「起こりうる大災害」(グランドセンチュリー)


ほか、物理学で、「位置エネルギー」や「電位」などをまとめた概念として potential という概念を大学物理の力学で習う。


talent は「生まれつきの才能」という名詞である。

genius は、生まれつきでなくても構わない、「才能」という名詞である。

べつに英語のような5教科の才能でなくても、音楽の才能などでも genius を使ってよい。(東京書籍、)


また、才能そのものではなく、その才能を持っている人を指して「天才」というのにも genius は使われる(東京書籍)。

芸術方面に限らなくても talent は使われるが、しかし実際には芸術・スポーツ方面で使われることが比較的に多い(ジーニアス)。


そのためか、「数学」など学問の才能については faculty を使うことが多い(ジーニアス、桐原)。

ほか、大学の「学部」「教授陣」も faculty である(桐原4500、東京書籍4500)。


桐原4500いわく、faculty は ability の類義語。使い分けは難しい。

なお、gift のほうが、(talentよりも)さらに生まれつきである事を強調している「才能」である。

グランドセンチュリーいわく、実際には talent は、訓練などで伸ばすことのできる才能にも使われる。


あまり論理的な使い分けではないので、高校生としては気にしなくていいだろう(米英人の慣習に過ぎないし、芸能分野の慣習でしかない)。

なお、芸能人のことを「タレント」というのは和製。英語では a TV personality とか celebrity 等と言う。


「語学の才能」 talent for languages (東京書籍、グランドセンチュリー)

He has a great talent for languages. 「彼には素晴らしい言語の才能がある」(東京書籍、グランドセンチュリーを組みわせた例文(東京書籍のShe をグランドセンチュリーのHe に変えただけ))

なお、talent for ~ で「~の才能」(東京書籍、グランドセンチュリー)

桐原3000および旺文社1400は、capacityの形容詞形が capable という見解。いっぽう、東京書籍4500は capacity と capable を類義語と見なしているが、派生形という立場はとっていない。


talent が芸能分野に使われるから、数学では faculty を使うといっても、「語学の才能」には talent for languages とtalentを使うし、大学には語学の学部・学科のある学校だってあるわけで、使い分けはあまり論理的ではない。しょせん英語は暗記科目。


「力量」

上述のcapabilityに「力量」のついでに言うと、なんと「美徳」を意味する virtue にも、辞書にないが、中世あたりの古いラテン語などで、virtue に相当する言葉に「力量」という意味があった。

現代でも、辞書ではvirtue に「長所」「(薬などの)効能」の意味がある


なお対義語の「悪徳」は vice である。美徳 virtue と悪徳 vice はセットで覚えよう。


さて、桐原4500 にだけ virtue の意味に「美徳」のほか「長所」という意味があると説明しているが、こういう力量的なニュアンスが背景にある。

高校の範囲外だが、たとえば政治学の古典のマキャベリ『君主論』の和訳本を読むと(NHK出版のを読んだ)、君主には virtue (に相当する昔のイタリア語)が必要だと言ってるのだが、これは「君主には(敵を押さえつける)力が必要だ」的な意味。辞書には書いてないが。

薬の効き目なども virtue というと辞書にあるが、そういう「力量」的な意味が背景だろう。

ジーニアス英語辞典にあるが、キリスト教の天使にバーチュ virtue というのがいるが、そういう意味で、だから「力天使」(りきてんし)と訳されるわけだ。

  1. ^ 高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P88
  2. ^ 高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P88
  3. ^ 高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71
  4. ^ 高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P71
  5. ^ 高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P61
  6. ^ 高等学校英語 検定教科書『FACTBOOK English Logic and Expression I』、令和3年5月 文部科学省検定済、令和4年2月25日発行、P186
  7. ^ 高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P75
  8. ^ 松本茂 監修『速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4』、Z会、2014年3月10日 ver.4第7刷発行、P.351
  9. ^ 松本茂 監修『速読速聴・英単語 Core 1900 ver.4』、Z会、2014年3月10日 ver.4第7刷発行、P.74
  10. ^ 『Amity I』、開隆堂、令和3年1月29日 文部科学省検定済 高等学校外国語科用、令和4年2月10日 発行
  11. ^ 高等学校学外国語科用『CROWN English Expression III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P75
  12. ^ 『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P153
  13. ^ 『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P151
  14. ^ 『ビジネス・コミュニケーション』、実教出版、令和2年12月25日 検定済、令和4年1月25日発行、P153
  15. ^ 高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P124
  16. ^ 高等学校外国語科用『Standard Vision Quest English Logic and Expression I』、啓林館、令和3年3月5日検定済、令和3年12月10日発行、P68 ページ脚
  17. ^ 『CROWN English Communication III New Edition』、三省堂、2018(平成30)年2月28日 文部科学省検定済、2022(令和4)年3月30日 発行、P.117