JavaScript/Boolean

Boolean オブジェクトは、JavaScriptにおける真理値を表現するプリミティブ型のラッパーオブジェクトです。論理的な真偽値の操作と型変換において重要な役割を果たします。

真理値の基本

真理値の定義

JavaScriptでは真理値はtrueとfalseの2つの値で表現されます。これらは論理的な判断や比較演算の基本的な結果を表します。

比較演算子による真理値

比較演算子は常に論理的な真偽を返します。

console.log(0 < 1);   // true
console.log(0 > 1);   // false
console.log(5 === 5); // true
console.log(5 !== 5); // false

真理値の型変換

JavaScriptのあらゆる値は、暗黙的にブーリアン文脈で真偽値に変換可能です。これは型変換（型強制）の重要な特徴の一つです。

Falsy な値

以下の値は偽（false）と評価されます：

false - 論理的な偽
0 - 数値のゼロ
-0 - マイナスゼロ
0n - BigIntのゼロ
"" - 空文字列
null - null値
undefined - 未定義
NaN - 非数値（Not a Number）

Truthy な値

Falsyな値以外のすべての値は真（true）と評価されます。例えば：

すべての非ゼロ数値
空でない文字列
オブジェクト（空のオブジェクトや配列を含む）
関数

Boolean オブジェクト

コンストラクタと型変換

Booleanには2つの使用方法があります：

型変換関数として

const boolFromString = Boolean("abc");     // true
const boolFromNumber = Boolean(0);         // false
console.log(typeof boolFromString);        // "boolean"

ダブル否定演算子による簡潔な変換

const boolByNegation = !!"abc";            // true
const boolByNegation2 = !!0;               // false

new 演算子による生成

newキーワードを使用すると、Booleanオブジェクトインスタンスが生成されます：

const boolObj = new Boolean(true);
console.log(typeof boolObj);               // "object"
console.log(boolObj.valueOf());             // true

ブーリアンコンテキスト

ブーリアンコンテキストとは、値が論理的な真偽に変換される環境を指します。典型的な例：

if 文の条件式
論理演算子 &&、||、!
三項演算子 ?:
while ループの条件
for ループの条件

型変換の例

ブーリアンコンテキストと暗黙の型変換
値	Boolean変換	`typeof`
undefined	false	`boolean`
null	false	`boolean`
false	false	`boolean`
true	true	`boolean`
0	false	`boolean`
1	true	`boolean`
""	false	`boolean`
"1"	true	`boolean`
[]	true	`boolean`
[2]	true	`boolean`