Mathオブジェクト

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Math オブジェクトは、JavaScriptにおいて数学的な定数および関数を提供する標準ビルトインオブジェクトです。Mathオブジェクトはインスタンス化することなく、直接プロパティやメソッドにアクセスできます。

Mathオブジェクトには、以下の特徴があります:

  • Mathオブジェクトは 静的 オブジェクトであり、コンストラクタを持たない。
  • すべてのプロパティやメソッドには Math.プロパティ名 または Math.メソッド名() の形式でアクセスする。

主なプロパティ

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Mathオブジェクトにはいくつかの数学的定数が定義されています。

プロパティ 説明
Math.E 約 2.718 自然対数の底(オイラー数)。
Math.LN2 約 0.693 2の自然対数。
Math.LN10 約 2.302 10の自然対数。
Math.LOG2E 約 1.442 eの2を底とする対数。
Math.LOG10E 約 0.434 eの10を底とする対数。
Math.PI 約 3.14159 円周率(π)。
Math.SQRT1_2 約 0.707 1/√2 の平方根。
Math.SQRT2 約 1.414 2の平方根。

主なメソッド

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Mathオブジェクトのメソッドは、数値の計算や操作に使用されます。

基本的なメソッド

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  • Math.abs(x)
    数値 x の絶対値を返します。
    Math.abs(-10); // 10
    
  • Math.max(x1, x2, ..., xn)
    与えられた数値の中で最大値を返します。
    Math.max(5, 10, 20); // 20
    
  • Math.min(x1, x2, ..., xn)
    与えられた数値の中で最小値を返します。
    Math.min(5, 10, 20); // 5
    

べき乗と平方根

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  • Math.pow(x, y)
    xy 乗した値を返します。
    Math.pow(2, 3); // 8
    
  • Math.sqrt(x)
    数値 x の平方根を返します。
    Math.sqrt(9); // 3
    

端数処理

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  • Math.floor(x)
    数値 x を小さい方の整数に切り捨てます。
    Math.floor(4.9); // 4
    
  • Math.ceil(x)
    数値 x を大きい方の整数に切り上げます。
    Math.ceil(4.1); // 5
    
  • Math.round(x)
    数値 x を四捨五入して最も近い整数を返します。
    Math.round(4.5); // 5
    

三角関数

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三角関数の引数は ラジアン で指定します。

  • Math.sin(x)
    ラジアン角 x の正弦を返します。
    Math.sin(Math.PI / 2); // 1
    
  • Math.cos(x)
    ラジアン角 x の余弦を返します。
    Math.cos(0); // 1
    
  • Math.tan(x)
    ラジアン角 x の正接を返します。
    Math.tan(Math.PI / 4); // 1
    

擬似乱数の生成

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  • Math.random()
    0以上1未満の疑似乱数を返します。
    Math.random(); // 例: 0.352847
    

使用例

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以下は、Mathオブジェクトの主な機能を組み合わせた例です。

// 0から9の範囲でランダムな整数を生成
function getRandomInt() {
  return Math.floor(Math.random() * 10);
}

console.log(getRandomInt()); // 例: 3

関連項目

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