JavaScript/Universal Module Definition
UMDは、Universal Module Definition(ユニバーサルモジュール定義)の略で、複数のモジュールシステムに対応するモジュールを定義する方法です。UMDパターンを使用することで、モジュールをどの環境でも動作させることができ、特定のローダーや環境に依存しない汎用的なモジュールを作成できます。
具体的には、UMDは以下の3つのモジュールローダーに対応します:
- CommonJS(Node.jsで使用されるモジュールシステム)
- Asynchronous Module Definition(ブラウザ向けの非同期モジュール定義)
- グローバル変数(ブラウザのグローバルスコープに直接モジュールを定義)
UMDの構造
編集UMDモジュールの典型的な構造は、以下のようになります:
(function(root, factory) { if (typeof exports === 'object' && typeof module !== 'undefined') { // Node.js / CommonJS module.exports = factory(); } else if (typeof define === 'function' && define.amd) { // AMD (Asynchronous Module Definition) define(factory); } else { // グローバル(ブラウザのグローバルスコープ) root.myModule = factory(); } }(this, function() { // モジュールの実装 var myModule = { sayHello: function() { console.log("Hello, world!"); } }; return myModule; }));
解説
編集- IIFE (Immediately Invoked Function Expression)
- これは即時実行関数で、モジュールのスコープを閉じるために使用します。
root
はグローバルオブジェクト(ブラウザならwindow
、Node.jsならglobal
)です。
- これは即時実行関数で、モジュールのスコープを閉じるために使用します。
- CommonJS 対応
typeof exports === 'object' && typeof module !== 'undefined'
という条件で、CommonJS(Node.js)環境を検出します。Node.jsで実行される場合、モジュールはmodule.exports
に割り当てられます。
- AMD 対応
typeof define === 'function' && define.amd
という条件で、AMD(非同期モジュール定義)環境を検出します。ブラウザでAMDローダー(例えばRequireJS)が使われる場合、define
関数が呼び出され、モジュールが定義されます。
- グローバル変数対応
- それ以外の場合、ブラウザのグローバルスコープ(
window
)にモジュールを直接割り当てます。
- それ以外の場合、ブラウザのグローバルスコープ(
UMDのメリット
編集- 互換性: UMDを使用することで、同じコードをNode.js、ブラウザ、AMDローダーで動作させることができます。
- シンプル: モジュールの定義を1つのコードブロックにまとめることができ、複数の環境を意識せずにコードを書くことができます。
- 柔軟性: 特定のモジュールローダーに依存することなく、モジュールをどの環境でも動作させることができます。
UMDの使用例
編集以下は、UMDパターンを使った簡単なライブラリの例です。
(function(root, factory) { if (typeof exports === 'object' && typeof module !== 'undefined') { module.exports = factory(); } else if (typeof define === 'function' && define.amd) { define(factory); } else { root.myLibrary = factory(); } }(this, function() { var myLibrary = { add: function(a, b) { return a + b; }, subtract: function(a, b) { return a - b; } }; return myLibrary; }));
このコードは、Node.jsでもブラウザでも使用できるライブラリを作成します。Node.jsでは require()
を使ってインポートし、ブラウザではグローバル変数として myLibrary
を使用できます。
まとめ
編集UMD(Universal Module Definition)は、Node.js、ブラウザ、AMDなど異なるモジュールローダーに対応したモジュールを作成するためのパターンです。このパターンを使用することで、複数の環境で同じモジュールを使い回すことができ、開発の柔軟性が向上します。
UMDは、特にライブラリやフレームワークを開発する際に便利であり、モジュールの互換性を保つために広く使用されています。UMDのコードを正しく実装することで、どんな環境でもモジュールを利用できるため、クロスプラットフォーム開発において非常に有用です。