XML(eXtensible Markup Language)とその派生であるXHTML(eXtensible Hypertext Markup Language)は、過去にはウェブ開発やデータ交換の分野で非常に期待されていましたが[1]、その期待感は時間とともに沈静化していきました。以下に期待と失望の要因を示します。

期待:

  1. データの構造化と交換: XMLはデータを階層的な構造で表現することができ、異なるシステム間でのデータ交換に適していると考えられました。これにより、異なるプログラミング言語やプラットフォーム間での相互運用性が向上すると期待されました。
  2. 拡張性: XMLはタグのカスタム定義が可能であり、特定の業界や用途に合わせて独自のマークアップ言語を作成することができました。これにより、さまざまな用途に応じた柔軟なデータ表現が期待されました。
  3. XHTMLの厳密性と一貫性: XHTMLはXMLに基づいており、より厳密な文法と構造を持つことから、より信頼性の高いウェブページの作成と解析が期待されました。これにより、異なるブラウザやデバイス間での一貫性が向上し、アクセシビリティが改善されると期待されました。

失望:

  1. 複雑性と冗長性: XMLは非常に冗長で読みづらい形式を持ち、データの記述に多くのタグが必要となるため、手書きでの作成や読解が難しくなります。また、XHTMLも厳密な文法と構造を必要とするため、開発者にとっては煩雑であり、効率性が低いと感じられることがあります。
  2. JSONとYAMLの登場: JSON(JavaScript Object Notation)やYAML(YAML Ain't Markup Language)などの新しいデータフォーマットが登場しました。これらのフォーマットはXMLよりもシンプルで読み書きが容易であり、特にウェブ開発やAPIの通信において広く採用されるようになりました。
  3. HTML5の普及: XHTMLの時代にはHTML5が登場し、HTML5はより柔軟で強力な機能を提供しました。HTML5はXMLの複雑性を回避し、より直感的で使いやすいマークアップ言語として広く受け入れられました。

さらにW3CがHTMLの規格策定主体でなくなったことは、HTMLの進化と共に、XMLとXHTMLに対する注目と重要性が低下する傾向に影響を与えました[2]。その結果、HTML5が広く採用され、XMLとXHTMLの役割は限定されたものとなりました[3]

脚註

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  1. ^ Ajax は Asynchronous JavaScript + XMLの略であるように、かつてはXMLがペイロードであることが想定されていました。
  2. ^ XHTMLを主導的に標準化してきたW3Cはウェブ標準の策定を WHATWG に譲っています。 https://www.w3.org/blog/news/archives/8909
  3. ^ HTML5ではXHTMLは、HTML5のXML構文との位置づけられるともに、XHTMLの語は標準仕様書のなかでは用いないとしている https://html.spec.whatwg.org/multipage/xhtml.html#writing-xhtml-documents