Lojban For Beginners 日本語訳/代名詞の割り当て
代名詞の割り当て
二人以上の登場人物が話に出てくる時に、 go'i や ri を使うこともできますが、もっと簡単な方法もあります。goi 「または以下ともいう」を使って、登場人物を次々に、 ko'a 、 ko'e 、 ko'i …と名付けていくのです。
- 注:法律文書で、以下甲という、乙という、というようなものです。ロジバンは、明確さが要求される法律の分野で理想的な言語だ、と言われます。また、一般人にも分かりやすくなるという画期的なことにもなりましょう。
スーザンの話に立ち返ると、
la suzyn. goi ko'a klama le barja 「スーザン(以下 ko'a )はバーに行く。」
のように使います。これからは、 ko'a と言えばスーザンのことです。同様に、次に彼女が見る男性を ko'e とします。すると
.i ko'a zgana lo nanmu goi ko'e 「 ko'a は男(以下 ko'e )を見る。」
となり、全体でこうなります。
la suzyn. goi ko'a klama le barja .i ko'a ze'a pinxe loi vanju .i ko'a zgana lo nanmu goi ko'e .i ko'e melbi .i caku ko'e zgana ko'a
ko'a 類の後には、 selbri の前に置く cu は要りません。 mi などと同じです。新しい selbri を作っていると誤解されることがないからです。
上の文で、「その男」のことを ko'e とするのは、例えば le nanmu とするよりも、実はずっと良いことです。 le nanmu というのは「私が心に浮かべて、男と呼ぶもの」なので、理論的に今さっき言った男とは全く違うものでありえます。ロジバンの le は、イギリス語の the のように今言った特定のもの、という意味では使われません。それなのにそのように le を使うと、 malglico 「それはいまわしい英語だ」と言われかねないでしょう。あるいは malrarbau 「いまわしい自然語だ」とか。
- 小ネタ:ko'a / e / i / o / u に ri / ra / ru を混ぜて使う時には、 ri 類がko'a 類を指すことはありません。
話を戻します。
la suzyn. rinsa ko'e .i ri cisma 「スーザンは ko'e にあいさつした。スーザンは笑った。」
ri が指すのはスーザンです。 ko'e ではありません。 ko'e が笑ったと言いたいなら .i ko'e cisma と言えば良いことです。こうすることで ri/ra/ru はもっと大事な時に文を分かりやすくする為に取って置けます。
スーザンの友人のジョティにも登場してもらいましょう。ちなみにジョティはインドのグジャラート人です。
la djiotis. goi ko'i mo'ine'i klama .i ko'i rinsa ko'e 「ジョティス(以下 ko'i と呼ぶ)は中に入った。ジョティスはko'e にあいさつする。
mo'i は「~へ」という移動の意味で、ne'i は「~の中で」という意味です(gismu の nenri より)。合わせて、mo'ine'i 「~の中へ」という意味の空間のテンスとなります。また、 sumti tcita (前置詞、selbri に新しい補語を付けるもの)としてだけではなく、それだけでも selbri の前に付いて mo'ine'i ku 「中へ」と同じ意味になります。つまり sumti tcita の句の sumti が抜けている形態です。これは ca 「~の時に」が caku 「今」になるのと同じです。あるいは、 ba 「~の後で」が baku 「後で」になるのと同じです。それぞれ、「そのとき、今現在ここの状況の時に」あるいは「そのあとで、今現在この状況の後で」という意味ですね。同様に、mo'ine'iku 「中へ」は、「今現在この状況よりも中へ入る」というような意味です。奇妙と言えば奇妙です。
mo'i 「~へ」は移動を表します。目指す方向を表しますから、「そこで~している」という意味と区別ができ、非常に役立ちます。
mi bajra ti'a le barja 「私は( x1 )走る、酒場の後ろで。」 mi bajra mo'i ti'a le barja 「私は( x1 )走る、酒場の後ろへ。」
また、 ne'i klama 「中で行く。」とは、中に行くのではなく、どこかの中で移動している、という意味です。