借用語


新しい語を作りたい時には、まず基本語( gismu )の組み合わせの合成語( lujvo )を考えます。合成された語が selbri (述語)としてどのような場所構造を取るかは決まっているので、基本語( gismu )と同じように使えます。


しかし、それではどうしても間に合わない時があります。

例えば「ブリーチーズ」だとか、「ロックンロール(後のロックという音楽ジャンルとは違う)」をどのように表すのでしょう?


ここで借用語(fu'ivla )に頼ることになります。


ロジバンに借用語を導入するにあたって問題になるのは、ロジバンが文字の列に厳密に語を認めてしまう、ということです。

つまり、ほとんどの外来語はそのままロジバンで言うと、ロジバンで違う意味に解釈されてしまう、ということです。

例えば、エスペラントと言うつもりでそのまま .esperanto. と言うと、 .e speranto 「~と、結婚で柔らかい?」もの、という解釈されてしまいます。(厳密に言えば、「柔らかい」は ranto ではなく、 ranti ですが。)


原則として、借用語には基本語( gismu )を先頭に付けて、どんな意味の語であるかを明らかにします。基本語( gismu )の最後の母音を取って、 r (もし r が重なるようなら n )を間に挟みます。借用する語は子音で始まって母音で終わるようにします。

この発音しづらい子音の連続により、ロジバン本来の語と間違えられることを免れます。


借用する語が母音で始まる場合、どんな子音を置くのかは決まってはいません。人気があるのは x や n です。同様に、借用する語が子音で終わる場合に、どんな母音を置くのかも決まっていません。しかし本書では、その前の母音を繰り返すことにします。

例えば、イングランド( England )なら、

gugdrninglanda 

「国のイングランド」( gugd + r + n + ingland + a )


「カレー」の場合

cidja 「食べ物」から最後の a を取る。

借用語にする語を kari とする。(子音で始まり、母音で終わる。)

r で二つをくっ付ける。

cidjrkari

「食べ物のカレー」

となります。


この子音の連続では、 r だけで一つの音節になります。

cidjrrrrrkariというような発音です。


ロジバンでは借用語( fu'ivla )が使われることは多くありません。標準的な借用語の一覧があるわけでもないのです。

どの言語から採用するのか、という問題がありますし、それによって問題が起こることも考えられます。生物の名には、ラテン語の特にリンネ式の学術名が国際的に使われています。しかしそれを使おうと思えば、学術名をいちいち知っておかなければならないことになります。


fu'ivla はロジバンにおいてまだ未開の分野なのです。


今まで見た fu'ivla は、その第三段階と呼ばれるものです。

第四段階の fu'ivla を見ることがあるかもしれません。第四段階とは、あの発音しづらい gismu の前の部分を除いて、それでいて普通の brivla と間違えられないような形のものです。良く知られている語について使われます。

例えば、The Complete Lojban Language は国名の「チリ」について、gugdrtcile 「国のチリ」ではなくて、 tci'ile の方を推奨しています。しかしそれに賛成でない人もいます。標準になっているわけではありませんし、もし使うなら、注意をたびたび受けることになるでしょう。


ところで、「ブリーチーズ」と「ロックンロール」それに「ロック」はそれぞれ、

cirlrbri

「ブリーチーズ」


zgiknroknrolo

「ロックンロール」


zgiknroko

「ロック」

と言います。