疑問文を作るとき英語では語順を変えて先頭に Do などの言葉を付加しますね。これが当然だと思い込んでいる人は、少し日本語や中国語やトルコ語のことを考えてみてください。実は英語(ドイツ語も)の疑問文はややこしい規則だということに気づくはずです。
ロジバンではどんな命題文も「xu」を(どこでもよいのですが大抵先頭に)加えるだけで「はい/いいえ」で答える質問文になります。幾つか例を挙げます。

xu do nelci la bil.
君はビルのことが好きなの?

xu mi klama
僕は来ているんだろうか。

xu crino
緑?

多くの言語のように、こういう質問に対してロジバンには幾つかの答え方があります。「はい/いいえ」に相当する言葉を知らなければ、「はい」と言いたいときには selbri をそのまま繰り返しましょう。

  • xu do nelci la bil.

  「君はビルのことが好きなの?」

  • nelci

  「好き。」
また、「go'i」を使うこともできます。これは最後の bridi を繰り返す(疑問なしに)という役割を果たします。

注:もしあなたが「あなたはビルのことが好きか」と私に聞いて、私が「あなたはビルのことが好きだ」と答えたら違う意味になってしまいます。この点 go'i は便利です。「xu do nelci la bil.」「go'i」という会話で返答が意味する文は「do nelci la bil.」ではなく、ちゃんと「mi nelci la bil.」なのです。

じゃあ「いいえ」と言いたいときは?どんな bridi も「na」を使うことで否定文になります。「bridi 全体」を否定する役割があり、もうちょっと文法を学べば自由に置くことができます。ただ文法的に最も簡単なのが「selbri の直前に置くこと」です。なので「mi cu na nelci la bil.」は「私がビルを好きだということは正しくない。」つまり「私はビルのことが好きでない。」となります。

小ネタ:デフォルトでは na は selbri と共にあるものです。そして cu の役割は「selbri が来るぞ」と知らせることですから、na により cu は無用になります。なので上の文は単純に「mi na nelci la bil.」と変えれます。そして答え方としては先ほどと同様に、ただ「na nelci」だとか「na go'i」と言えば済みます。
論理の話:実は否定文というのは意外に複雑です。厳密には「mi na nelci la bil.」は私がビルのことなんて金輪際聞いたこともないという場合でも使えるのです(知らない相手を好きになることはできませんね)。この後も幾つか否定文が登場しますが、当分は na で不都合は起こりません。日本語で「君は田中ジョセフィーヌ太郎のことが好きか」と聞かれたら、当然そんな人など知らないので「いや」と答えますね。あまり収穫のある会話ではありませんが、嘘は言っていないわけです。

「何・誰・どこ・どれ」などの疑問はロジバンでは一つの言葉「ma」とそれを置く場所で表します。いわば「ここの不明な sumtiを埋めてね」と言っているようなものです。例を挙げましょう。後で学びますが、時制が決定されていないことに注意してください。

  • do klama ma
  • la london.
  • 「どこへ行くんです?」
  • 「ロンドンへ。」


  • ma klama la london.
  • la klaudias.
  • 「誰がロンドンへ行くの?」
  • 「クラウディア。」


  • mi dunda ma do
  • le cukta
  • 「僕が君にあげたのは何だっけ。」または「僕が君にあげることになっているのは何だっけ。」
  • 「本。」

そしてもう一つ、「mo」という言葉があります。これは ma に似ているのですが、sumti でなくて selbri を尋ねる役割を果たします。つまり「sumti 同士の関係を述べてね」と言っているようなものです。例えば

do mo klaudias.
君 ? クラウディア ⇒ 君はクラウディア に/の 何 する/である の?

答え方は文脈によります。あり得る答えとしては

  • nelci ⇒ 「好きだ。」
  • pendo ⇒ 「友達だ。」
  • prami ⇒ 「大好きだ/慕っている/愛している。」
  • xebni ⇒ 「嫌いだ」
  • fengu ⇒ 「彼女に対して怒ってる。」
  • cinba ⇒ 「キスした。」

ここで時制は問題ではないことに注意してください。「cinba」だけならば「キスする」「キスした」「キスするつもり」などなど様々な可能性があります。ロジバンには時制を表す言葉があるのですが、(中国語のように)使わなくてもよいというだけなのです。
mo は「~は何?」という類の質問にも使えると言いましたね。最も単純な例が「ti mo」で、「これは何?」を意味します。また、「la meilis. mo」と問えば「メイリって誰?」「メイリって何?」「メイリは何しているの?」などなど様々な意味になります。対する答えもまた、文脈によります。例えば、

  • ninmu ⇒ 「女性だ。」
  • jungo ⇒ 「中国系だ。」
  • pulji ⇒ 「警官だ。」
  • sanga ⇒ 「歌手だ。」「歌っている。」
  • melbi ⇒ 「美しい。」(中国語で meili は美しいという意味なので、おそらく洒落のつもりでしょう)

もっと特定のことを訊くときは、ma を使って「la meilis. gasnu ma(メイリは何する?)」のように訊きます。
ロジバンには疑問のための言葉がまだありますが、とりあえずは「xu」「ma」「mo」で訊きたいことの多くは表現できるでしょう。そして「xo(幾つ)」「ca ma(いつ)」「pei(どう感じる?)」のような別の言葉は「数、時制、感情表現」の章で学びましょう。