OSS開発ツール/GUIツールキット
デスクトップ環境とGUIツールキットの組み合わせは、デスクトップアプリケーションの開発者にとって重要であり、それぞれのツールキットは特有のデザインや機能を提供します。開発者は、プロジェクトの要件やデザインガイドラインに応じて適切な環境とツールキットを選択します。
OSSなデスクトップ環境とそれに対応するGUIツールキットは以下の通りです:
- GNOMEデスクトップ環境
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- GUIツールキット:GTK (GIMP Toolkit)
- GNOMEデスクトップ環境は、GNOME Foundationによって開発されています。GNOMEはLinuxデスクトップ環境の一つであり、GTKツールキットを使用して構築されています。
- KDE Plasmaデスクトップ環境
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- GUIツールキット:Qt
- KDE Plasmaデスクトップ環境は、KDE Communityによって開発されています。KDEアプリケーションやプラズマデスクトップはQtツールキットをベースにしています。
- XFCEデスクトップ環境:
- GUIツールキット:GTK (GIMP Toolkit)
- XFCEデスクトップ環境は、Xfce Development Teamによって開発されています。XFCEは軽量で高速なLinuxデスクトップ環境であり、GTKツールキットを使用しています。
これらのデスクトップ環境とGUIツールキットは、それぞれのプロジェクトに特有の特性やデザイン哲学を持っています。開発者は、プロジェクトの要件や好みに応じて適切な環境とツールキットを選択します。
デスクトップ環境
編集オープンソースソフトウェア(OSS)における「デスクトップ環境」とは、コンピュータのデスクトップ上でのユーザーインターフェースとその周辺の機能を提供するソフトウェアの集合体を指します。これには、以下の要素が含まれます:
- ウィンドウマネージャー
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- ウィンドウの配置や操作を管理し、デスクトップ上のウィンドウの表示や非表示を制御します。タイトルバー、ボタン、ウィンドウのドラッグ、最大化、最小化、閉じるなどの機能を提供します。
- パネル/タスクバー
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- デスクトップの上部や下部に表示され、起動中のアプリケーションやウィンドウ、システムトレイアイコンなどの情報を提供します。通常、メニューやランチャー、デスクトップ切り替えなどの機能も含まれます。
- メニューシステム
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- アプリケーションや設定へのアクセスを提供するメニューインターフェースです。通常、アプリケーションメニュー、システム設定メニュー、ランチャーなどが含まれます。
- デスクトップアイコン
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- デスクトップ上に表示されるアイコンで、よく使用するファイルやフォルダ、アプリケーションへのショートカットを提供します。
- ファイルマネージャー
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- ファイルやフォルダの操作、管理、閲覧を行うためのツールです。ファイルの移動、コピー、削除、作成、プレビューなどの機能を提供します。
- テーマやウィンドウマネージャーの設定
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- 外観や操作性をカスタマイズするための設定ツールが含まれます。テーマやアイコンセット、ウィンドウの装飾などを変更できます。
デスクトップ環境は、ユーザーがコンピュータを操作し、アプリケーションを実行するための視覚的で直感的なインターフェースを提供します。多くのOSSデスクトップ環境が利用可能であり、それぞれが異なるデザインや機能を持っています。
GNOMEデスクトップ環境
編集GNOMEデスクトップ環境は、使いやすさと洗練されたデザインを特徴とするオープンソースのデスクトップ環境です。以下は、GNOMEデスクトップ環境のクイックツアーです:
- デザイン哲学
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- GNOMEは、直感的でシンプルなインターフェースを提供することを重視しています。シンプルなメニューやウィンドウ、洗練されたアニメーションなどが特徴です。
- アクティビティ
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- GNOMEのメイン画面は「アクティビティ」と呼ばれます。アクティビティには、アプリケーションの起動、ウィンドウの切り替え、デスクトップ間の切り替えなどの機能が含まれています。
- ダッシュボード
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- アクティビティ画面には、アプリケーションを素早く起動するための「ダッシュボード」があります。ダッシュボードにはよく使われるアプリケーションのアイコンが表示されます。
- アプリケーションメニュー
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- GNOMEには、アプリケーションメニューがあります。ここからインストールされているすべてのアプリケーションにアクセスできます。
- 通知センター
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- GNOMEは通知センターを提供し、システムの更新、メッセージ、アプリケーションからの通知を一元管理します。
- ウィンドウ管理
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- GNOMEは、ウィンドウの管理や操作を容易にするための機能を提供します。ウィンドウの移動、最小化、最大化、閉じるなどの操作が直感的に行えます。
GNOMEデスクトップ環境は、多機能で使いやすく、ユーザーフレンドリーなデスクトップ体験を提供します。これらの機能は、ユーザーが作業を効率的に行い、楽しいデスクトップ体験を提供するために設計されています。
KDE Plasmaデスクトップ環境
編集KDE Plasmaデスクトップ環境は、豊富な機能とカスタマイズ性を特徴とするオープンソースのデスクトップ環境です。以下は、KDE Plasmaデスクトップ環境のクイックツアーです:
- ウィジェットとパネル
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- KDE Plasmaでは、デスクトップにウィジェットやパネルを配置して、自分だけのワークスペースを作成できます。ウィジェットには時計、天気予報、システムモニターなどがあります。
- ランチャーとアプリケーションメニュー
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- KDE Plasmaには、スタートメニューやランチャーがあり、インストールされたアプリケーションに簡単にアクセスできます。また、お気に入りのアプリケーションをランチャーにピン留めすることもできます。
- アクティビティと仮想デスクトップ
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- KDE Plasmaでは、複数の仮想デスクトップを使用して作業スペースを整理することができます。アクティビティスイッチャーを使用して、異なるアクティビティやデスクトップ間を簡単に切り替えることができます。
- ウィンドウ管理
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- KDE Plasmaは、高度なウィンドウ管理機能を提供します。ウィンドウの最小化、最大化、タイル配置などの操作が容易に行えます。また、ウィンドウの角をドラッグしてサイズを変更することもできます。
- タスクマネージャー
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- KDE Plasmaのタスクマネージャーには、起動中のアプリケーションやウィンドウが表示されます。タスクバーにアイコンをクリックすると、対応するアプリケーションやウィンドウが前面に表示されます。
KDE Plasmaデスクトップ環境は、高度なカスタマイズ性と使いやすさを兼ね備えており、ユーザーが自分好みのデスクトップ環境を構築できるように設計されています。これらの機能は、作業を効率的に行い、快適なデスクトップ体験を提供するために設計されています。
XFCEデスクトップ環境
編集XFCEデスクトップ環境は、軽量で高速な動作とシンプルなデザインを特徴とするオープンソースのデスクトップ環境です。以下は、XFCEデスクトップ環境のクイックツアーです:
- パネルとメニュー
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- XFCEには、上部や下部にパネルを配置し、アプリケーションメニューやお気に入りのアプリケーション、システムトレイなどの機能を含めることができます。メニューからアプリケーションを簡単に起動できます。
- デスクトップアイコン
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- XFCEでは、デスクトップ上にアイコンを配置することができます。これにより、よく使用するファイルやフォルダへのアクセスが容易になります。
- ウィンドウ管理
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- XFCEはシンプルで効率的なウィンドウ管理を提供します。ウィンドウの最小化、最大化、タイル配置などの基本的な操作がサポートされています。
- 仮想デスクトップ
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- XFCEには、複数の仮想デスクトップを使用して作業スペースを整理する機能があります。これにより、複数のアプリケーションやタスクを分けて管理することができます。
- テーマとカスタマイズ
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- XFCEはテーマやウィンドウマネージャーの設定をカスタマイズすることができます。ユーザーは外観や操作性を自分好みに調整することができます。
XFCEデスクトップ環境は、シンプルで直感的な操作性を重視し、軽量でリソース効率の良いデスクトップ体験を提供します。これらの機能は、ユーザーが効率的に作業を行い、ストレスなくデスクトップ環境を利用できるように設計されています。
GUIツールキット
編集GUIツールキット(Graphical User Interface Toolkit)は、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を構築するためのソフトウェアライブラリやフレームワークのことを指します。GUIツールキットは、アプリケーション開発者がウィンドウ、ボタン、メニュー、テキスト入力フィールドなどのGUIコンポーネントを作成し、配置し、操作するための手段を提供します。
GUIツールキットには、以下のような特徴があります:
- ウィジェットセット
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- ボタン、チェックボックス、ラベル、テキストボックスなど、さまざまなGUIコンポーネントが含まれています。
- イベント処理
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- ユーザーの入力や操作に応じて、イベントを処理し、適切な動作を実行します。
- レイアウト管理
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- コンポーネントの配置やサイズの調整を行い、アプリケーションのレイアウトを設計します。
- グラフィックス描画
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- グラフィックス描画や画像処理の機能を提供し、GUIコンポーネントの外観をカスタマイズします。
- クロスプラットフォーム性
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- 複数のプラットフォーム(Windows、macOS、Linuxなど)で動作することができるように設計されています。
代表的なGUIツールキットには、次のようなものがあります:
- Qt:クロスプラットフォームのGUIツールキットであり、C++言語で使用されます。
- GTK (GIMP Toolkit):Linuxデスクトップ環境で広く使用されるGUIツールキットであり、C言語をベースにしています。
- wxWidgets:クロスプラットフォームのGUIツールキットであり、C++言語で使用されます。
GUIツールキットは、アプリケーション開発者が効率的にグラフィカルなユーザーインターフェースを構築し、ユーザーとの対話を可能にするための重要なツールです。
GTK
編集GTK(GIMP Toolkit)は、クロスプラットフォームのウィジェットツールキットであり、主にLinuxやUnix系システムで使用されています。以下は、GTKのクイックツアーです:
- ウィジェットセット
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- GTKには、ボタン、ラベル、テキスト入力フィールド、チェックボックス、ラジオボタン、メニュー、ダイアログなど、さまざまなGUIコンポーネントが含まれています。
- イベント処理
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- GTKは、ユーザーの入力や操作に応じてイベントを処理し、適切なアクションを実行します。これには、クリックやキー入力などのイベントが含まれます。
- レイアウト管理
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- GTKは、ボックス、グリッド、固定配置などのレイアウトマネージャーを提供し、コンポーネントの配置やサイズの調整を行います。
- 描画とカスタマイズ
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- GTKは、グラフィックス描画や外観のカスタマイズをサポートします。テーマやスタイルを変更することで、アプリケーションの外観をカスタマイズできます。
- 国際化とアクセシビリティ
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- GTKは、国際化とアクセシビリティを重視しており、複数の言語やテキスト方向に対応し、バリアフリーなユーザーエクスペリエンスを提供します。
- 拡張性とカスタマイズ
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- GTKは、さまざまなプログラミング言語(C、Python、JavaScriptなど)で使用でき、機能の拡張やカスタマイズが可能です。
GTKは、GNOMEデスクトップ環境の中核となるツールキットとして広く使用されていますが、独立したアプリケーションや他のデスクトップ環境でも利用されています。GTKを使用することで、使いやすく魅力的なグラフィカルなアプリケーションを開発することができます。
アプリケーションコード例
編集以下は、GTKを使用してウィンドウとボタンを含む基本的なアプリケーションのC言語のコード例です。
- GtkApp.c
#include <gtk/gtk.h> // ボタンがクリックされたときのコールバック関数 void button_clicked(GtkWidget *widget, gpointer data) { g_print("ボタンがクリックされました\n"); } // メイン関数 int main(int argc, char *argv[]) { // GTKの初期化 gtk_init(&argc, &argv); // ウィンドウの作成 GtkWidget *window = gtk_window_new(GTK_WINDOW_TOPLEVEL); gtk_window_set_title(GTK_WINDOW(window), "GTKアプリケーション"); g_signal_connect(window, "destroy", G_CALLBACK(gtk_main_quit), NULL); // ボタンの作成 GtkWidget *button = gtk_button_new_with_label("クリックしてください"); g_signal_connect(button, "clicked", G_CALLBACK(button_clicked), NULL); gtk_container_add(GTK_CONTAINER(window), button); // ウィンドウとボタンの表示 gtk_widget_show_all(window); // GTKのメインイベントループを開始 gtk_main(); return 0; }
このコード例では、まずgtk/gtk.h
ヘッダーファイルをインクルードしてGTKライブラリを使用します。次に、button_clicked
という名前のコールバック関数を定義し、ボタンがクリックされたときに呼び出される処理を定義します。
main
関数では、GTKを初期化し、ウィンドウとボタンを作成し、それぞれのイベントに対するコールバック関数を設定します。最後に、ウィンドウとボタンを表示してGTKのメインイベントループを開始します。
このコード例は、GTKを使用してシンプルなGUIアプリケーションを作成するための基本的なものです。
Qt
編集Qtは、クロスプラットフォームのGUIアプリケーション開発フレームワークであり、C++をベースにしています。以下は、Qtのクイックツアーです:
- ウィジェットセット
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- Qtには、ボタン、ラベル、テキストボックス、スライダー、メニューバー、ツリービューなど、豊富なGUIウィジェットが含まれています。
- イベント処理
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- Qtは、ユーザーの操作に応じてイベントを処理し、対応するアクションを実行します。クリックやキー入力などのイベントが含まれます。
- レイアウト管理
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- Qtは、グリッド、ボックス、スタックなどのレイアウトマネージャーを提供し、ウィジェットの配置やサイズの調整を行います。
- 描画とスタイリング
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- Qtは、グラフィックス描画や外観のカスタマイズをサポートします。独自のスタイルシートを使用して、アプリケーションの外観をカスタマイズできます。
- データモデルとビュー
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- Qtには、データモデルとビューを組み合わせた豊富なモデル/ビューアーキテクチャが含まれており、データの表示や操作を容易にします。
- 国際化とアクセシビリティ
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- Qtは、多言語対応やアクセシビリティ機能を提供し、グローバルなユーザーに対して使いやすいアプリケーションを開発することができます。
- マルチプラットフォーム対応
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- Qtは、Windows、macOS、Linuxなどのさまざまなプラットフォームで動作します。クロスプラットフォームのアプリケーションを効率的に開発できます。
Qtは、広範なアプリケーション開発に使用され、特にデスクトップアプリケーション、モバイルアプリケーション、組み込みシステムなどの分野で人気があります。使いやすく強力な開発ツールとして、Qtは多くの開発者によって選ばれています。
アプリケーションコード例
編集以下は、Qtを使用してGUIアプリケーションを作成するための基本的なコード例です。この例では、ウィンドウとボタンが含まれています。
- QtApp.cpp
#include <QApplication> #include <QPushButton> int main(int argc, char *argv[]) { QApplication app(argc, argv); // アプリケーションの初期化 // ウィンドウを作成 QWidget window; window.resize(250, 150); // ウィンドウのサイズを設定 window.setWindowTitle("Qtアプリケーション"); // ウィンドウのタイトルを設定 // ボタンを作成 QPushButton button("クリックしてください", &window); // ウィンドウにボタンを配置 button.setGeometry(QRect(QPoint(100, 50), QSize(100, 50))); // ボタンの位置とサイズを設定 // ウィンドウを表示 window.show(); // アプリケーションのイベントループを開始 return app.exec(); }
このコード例では、Qtの各種ヘッダーファイルをインクルードし、QApplication
オブジェクトを作成してアプリケーションを初期化します。次に、QWidget
クラスを使用してウィンドウを作成し、QPushButton
クラスを使用してボタンを作成してウィンドウに配置します。最後に、アプリケーションのメインループを開始するためにapp.exec()
を呼び出します。
このコード例は、非常にシンプルなGUIアプリケーションを作成するためのものであり、Qtの基本的な機能を示しています。
wxWidget
編集wxWidgetsは、クロスプラットフォームのGUIアプリケーションを開発するためのC++フレームワークです。以下は、wxWidgetsのクイックツアーです:
- ウィジェットセット
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- wxWidgetsには、ボタン、テキスト入力フィールド、ラベル、リストボックス、メニューバーなど、豊富なGUIウィジェットが含まれています。
- イベント処理
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- wxWidgetsは、ユーザーの操作に応じてイベントを処理し、適切なアクションを実行します。ボタンのクリックやキー入力などのイベントが含まれます。
- レイアウト管理
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- wxWidgetsは、ボックス、グリッド、サイザーなどのレイアウトマネージャーを提供し、ウィジェットの配置やサイズの調整を行います。
- 描画とカスタマイズ
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- wxWidgetsは、グラフィックス描画や外観のカスタマイズをサポートします。ネイティブな外観やカスタムスキンを使用して、アプリケーションの外観をカスタマイズできます。
- データモデルとビュー
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- wxWidgetsには、データモデルとビューを組み合わせたMVC(Model-View-Controller)アーキテクチャが含まれており、データの表示や操作を効率的に行えます。
- マルチプラットフォーム対応
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- wxWidgetsは、Windows、macOS、Linuxなどのさまざまなプラットフォームで動作します。クロスプラットフォームのアプリケーションを効率的に開発できます。
wxWidgetsは、C++で開発されており、豊富な機能とクロスプラットフォーム対応性を備えたGUIアプリケーションを開発するための強力なツールキットです。使いやすさと高度なカスタマイズ性を兼ね備えており、多くの開発者によって広く利用されています。
アプリケーションコード例
編集以下は、wxWidgetsを使用してウィンドウとボタンを含む基本的なアプリケーションのC++のコード例です。
- wxApp.cpp
#include <wx/wx.h> // アプリケーションクラスの定義 class MyApp : public wxApp { public: virtual bool OnInit(); // 初期化関数のオーバーライド }; // メインウィンドウクラスの定義 class MyFrame : public wxFrame { public: MyFrame(const wxString& title, const wxPoint& pos, const wxSize& size); // コンストラクタ void OnButtonClicked(wxCommandEvent& event); // ボタンクリック時のイベントハンドラ private: wxButton* m_button; // ボタンオブジェクトへのポインタ }; // アプリケーションの初期化 bool MyApp::OnInit() { MyFrame* frame = new MyFrame("wxWidgetsアプリケーション", wxPoint(50, 50), wxSize(250, 150)); frame->Show(true); return true; } // メインウィンドウの実装 MyFrame::MyFrame(const wxString& title, const wxPoint& pos, const wxSize& size) : wxFrame(NULL, wxID_ANY, title, pos, size) { m_button = new wxButton(this, wxID_ANY, "クリックしてください"); Connect(m_button->GetId(), wxEVT_BUTTON, wxCommandEventHandler(MyFrame::OnButtonClicked)); } // ボタンクリック時のイベントハンドラ void MyFrame::OnButtonClicked(wxCommandEvent& event) { wxMessageBox("ボタンがクリックされました", "メッセージ", wxOK | wxICON_INFORMATION); } // アプリケーションのエントリーポイント wxIMPLEMENT_APP(MyApp);
このコード例では、wxWidgetsの各ヘッダーファイルをインクルードし、MyApp
クラスとMyFrame
クラスを定義しています。MyApp
クラスでは、アプリケーションの初期化を行い、MyFrame
クラスではメインウィンドウを作成し、ボタンのクリックイベントを処理するためのイベントハンドラを定義しています。
アプリケーションのエントリーポイントはwxIMPLEMENT_APP(MyApp);
であり、OnInit()
関数がアプリケーションの初期化を行います。メインウィンドウはMyFrame
クラスのインスタンスとして作成され、ボタンのクリックイベントはOnButtonClicked()
関数で処理されます。
これは基本的な例ですが、wxWidgetsを使用してGUIアプリケーションを作成するための一般的なパターンを示しています。
X Toolkit Intrinsics
編集Xt(X Toolkit Intrinsics)イントリンシクスは、X Window System用のツールキットであるXtの内部構造や基本的なメカニズムを提供するライブラリです。Xtイントリンシクスは、Xtの構成要素となる以下の主要な概念や機能を提供します:
- ウィジェット(Widget)
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- ウィジェットは、Xtが扱うGUIコンポーネントの基本単位です。ボタン、ラベル、テキストフィールドなどの各種ウィンドウ部品がウィジェットとして表現されます。
- リソース(Resource)
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- リソースは、ウィジェットの属性や外観を指定するための設定項目です。色、フォント、サイズなどの属性が含まれます。ウィジェットの外観や動作をカスタマイズする際に使用されます。
- イベント処理
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- Xtイントリンシクスは、X Window Systemからのイベントを処理し、適切なウィジェットにイベントをディスパッチする仕組みを提供します。ユーザーの操作に応じてウィジェットが反応し、アプリケーションの動作を制御します。
- リソースマネージャ(Resource Manager)
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- リソースマネージャは、アプリケーションのリソースを管理する機能を提供します。アプリケーションのリソースは、リソースマネージャを介して取得され、実行時に変更される場合があります。
- レイアウトマネージャ(Layout Manager)
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- レイアウトマネージャは、ウィジェットの配置やサイズ調整を自動化する機能を提供します。ウィンドウ内のウィジェットの配置を柔軟に管理し、ユーザーインターフェースの設計を容易にします。
Xtイントリンシクスは、Xtツールキットの基盤となる部分であり、Xtベースのアプリケーションの開発やカスタマイズにおいて重要な役割を果たします。これらの概念や機能を理解することで、Xtを使用した効果的なGUIアプリケーションを開発することができます。
アプリケーションコード例
編集以下は、X Toolkit Intrinsics(Xt)を使用して、ウィンドウとボタンを含む基本的なアプリケーションのC言語のコード例です。この例では、Xtを使用してX Window System上で動作するシンプルなGUIアプリケーションを作成します。
- XtApp.c
#include <X11/Intrinsic.h> #include <X11/StringDefs.h> #include <Xm/PushB.h> void button_click(Widget w, XtPointer client_data, XtPointer call_data) { printf("ボタンがクリックされました\n"); } int main(int argc, char *argv[]) { XtAppContext app; Widget topLevel = XtAppInitialize(&app, "MyApp", NULL, 0, &argc, argv, NULL, NULL, 0); Widget button = XtVaCreateManagedWidget("button", xmPushButtonWidgetClass, topLevel, NULL); XtAddCallback(button, XmNactivateCallback, button_click, NULL); XtRealizeWidget(topLevel); XtAppMainLoop(app); return 0; }
このコード例では、Xtのヘッダーファイルをインクルードし、XtAppContext、Widget、XtPointerなどの型を使用してXtアプリケーションを構築します。
main
関数では、Xtアプリケーションコンテキストを初期化し、トップレベルウィジェット(ウィンドウ)とボタンを作成します。XtVaCreateManagedWidget
関数を使用してボタンを作成し、XtAddCallback
関数を使用してボタンのクリックイベントに対するコールバック関数を登録します。
最後に、XtRealizeWidget
関数を使用してウィンドウを表示し、XtAppMainLoop
関数を呼び出してXtアプリケーションのメインイベントループを開始します。
このコード例は、X Toolkit Intrinsicsを使用して簡単なGUIアプリケーションを作成する手順を示しています。
- Xtは現在のツールキットの礎となっていますか?
X Toolkit Intrinsics(Xt)は、X Window Systemの初期のGUIアプリケーション開発において非常に重要な役割を果たしましたが、現在のGUIツールキットの中で主流とは言い難いです。Xtは、Xlib(X Window Systemの低レベルなAPI)の上に構築されたツールキットであり、直接的なX Window Systemのプログラミングを簡素化する目的で設計されています。 しかし、近年のGUIアプリケーション開発においては、Xtよりも高レベルで使いやすいツールキットが主流となっています。例えば、QtやGTKなどのツールキットは、Xtよりも抽象化されたAPIを提供し、クロスプラットフォーム対応や豊富な機能を備えています。また、Web技術を用いたアプリケーション開発も広く行われており、JavaScriptフレームワークやウェブブラウザを用いたGUI開発も一般的です。 そのため、Xtは古典的なX Window Systemアプリケーションの保守や特定の環境下での開発には依然として利用されていますが、現代のGUIアプリケーション開発においては、より洗練されたツールキットがより広く利用されています。
- Xcbは現在のツールキットの礎となっていますか?
XCB(X C Binding)は、X Window Systemとの低レベルな通信を行うためのライブラリであり、Xlibの代替として開発されました。XCBは、より効率的で拡張性があり、スレッドセーフなAPIを提供します。 ただし、XCB自体はGUIツールキットではなく、X Window Systemとの通信を行うためのライブラリです。そのため、XCBが直接的にGUIツールキットの礎となっているとは言い難いです。GUIツールキットは、XCBを低レベルで利用してX Window Systemとの通信を行う場合がありますが、通常はより高レベルなAPIを提供します。 現代のGUIアプリケーション開発では、XCBよりも高レベルで使いやすいAPIを提供するツールキットが一般的です。例えば、QtやGTKなどのツールキットは、XCBの下に隠れてX Window Systemとの通信を行いますが、開発者にはXCBの詳細を意識する必要はありません。 そのため、XCBはX Window Systemの低レベルな通信を行うための基盤として重要ですが、GUIアプリケーション開発においては、より高レベルなツールキットがより広く利用されています。