トーク:日本の大学受験ガイド/総論
IP:126.27.62.185 の記述について
編集2016年5月8日 (日) 08:26 126.27.62.185 の記述について、疑問に思う点が多々あります。利用者:すじにくシチュー による疑問・反論です。
疑問は、以下の通り。
- 疑問 1
冒頭で「学校教育法第八十三条」の提示により、断定的な自己の主張を権威付けしている。
学校法人は法律に従わざるをえないので、教育関連の法律を受験生に紹介する事じたいは、仕方無いかもしれない。だが、法律は、しょせんは行政などにおける当面の約束事であり、けっして普遍の真実でもなければ、普遍の正義でもない。
- 疑問 2
「大学の特定の学科を卒業していない場合には数年の実務経験がある人しか取得できない、といった資格もありますので、こういった資格を狙う場合もそのような大学へ進学することがベターでしょう。」などというが、そもそもそのような資格のほとんどに、市場価値は無い。
何故なら、すでに実務に就職してる人なら、仕事をつづければ充分だし、一方で、志望する業界に関連する仕事についてない社会人の保有する資格など、企業は信用しない。
そもそも小泉改革などから続く規制緩和によって、そのような資格の参入障壁は、減る方針にある。
- 疑問 3
また、大企業の高学歴採用について「共同研究などによって信頼関係が」などというが、ほとんどの場合、企業の研究者は共同研究などしない。
なぜなら最先端の研究であればあるほど、企業は、ノウハウを隠すだろう。
学生でも思いつく研究なんて、ほとんどは、とっくの昔に企業も手を出しているが、採算性などの理由によって、企業が研究から撤退したに過ぎないだろう。
ただし、もしかしたら、医歯薬学などの、企業が参入できない業界は、例外なのかもしれない。
- 疑問 4
「その点、高校で習う内容は理解している生徒ばかりが集まる大学ならば、さらに程度の高い内容を授業することができます。この違いは、理系の場合は特に顕著に表れます。」などというが、せいぜい国立と私立の違いがあるくらいで(私立の推薦組が、高校レベルの学力が身についてない連中がいる)、それ以外には、それほど差は現われていないだろう。
それよりも、個人差のほうが大きい。
すくなくとも理系の新入生の場合、偏微分も線形代数も、多くの高校生は習ってないのである。物理ではベクトル解析すら高校生は習ってないし、力学の慣性モーメントすら習ってないのである。
そして、たとえば数学の「イプシロンデルタ論法」も数学科以外では、ほとんどの大学で習わないし、他学科の学生は、そういう「純粋数学」は専門書を入手して勉強するわけだ。
専門分野で、程度の高い教育を受けたいなら、大学院まで進学することが、確実な手段だろう。
- 疑問 5
「志望先に関する専門知識めいたものは不要です。専門知識に見えるたいしたことないことを、素人が浅く学んだところで役に立ちません。そもそも、それを学ぶために進学するのですから、進学しなくても学べるのであれば進学する意味がありません。」などというが、それも違う。
- ・ まず、職業高校などを見落としてる。
- ・ そもそも、何が「たいしたことないこと」なのかも定義しておらず、いわば「学ぶ価値の乏しい大したことないことなんて、学ぶ価値はない」とでもいうような同義反復になっており、なんの論証にもなってない。
- ・ 実技系を除けば、ほとんどの学問は進学しなくても学べるが(時間は掛かるが)、しかし企業が採用方法が学歴主義なので、仕方なく大学進学するだけである。
- 疑問 6
「筆者の私見では、医学部や東大でようやく見合うかどうかギリギリライン、それ以外の大学では論外、と思います。」と言ってるが、根拠が書かれておらず、たんなる感想に過ぎない。IP:126.27.62.185 の記述こそが、検証可能性の乏しい論外な記述かと思います。
- 疑問 7
「センター試験で5教科すべてを受験する必要があることが大多数ですので、文系だろうと理系だろうとまんべんなく学習する必要があります。」などというが、センター対策では文系科目や社会科の比重が重いだろう。
なぜなら、数学なら、センターは数学2Bまでしか出ない一方で、社会科は政治経済や倫理など3年生で習うことの多い科目がセンターにあり、社会科は明らかに高校3年の範囲に入っている。どう考えても、文系科目を重点的に勉強したほうが、センター対策では合理的だろう。
センター対策を「まんべんなく学習する必要」というのは、お役所的な連中のタテマエであり、文系に偏ったセンター試験の現状という実態から目をそらした、虚偽的なプロパガンダである。
--すじにくシチュー (トーク) 2016年5月16日 (月) 09:50 (UTC)
- コメントを受けて一部修正しました。修正した点、していない点について、以下にその理由を述べます。「疑問n」という形でナンバリングしていただいているおかげでとても議論がしやすいことに感謝します。
- 疑問1について
ご指摘の記述は「普遍の真実」や、いわんや「普遍の正義」を主張するものではありません。そのことは、このページのページ名が「日本の大学受験ガイド」である時点で自明だと思ったのですが、どうも誤解を招いているようですので、その下の「大学とは」を「日本の現行法令に基づいて現存する大学とは」に修正しました。
- 疑問2について
ご指摘の記述は、私が編集する前にあった「国家資格によっては、特定の学科を卒業していないと、取得に必要な実務経験が長くなる資格もあります。」という記述をいじったものです。私自身としてはあってもなくてもどっちでもよいと思いますので、除去しました。
- 疑問3について
事実誤認ですので対応していません。少し古い資料ですが産学官連携基本戦略小委員会(第2回)配付資料をご覧ください。この資料によれば、2008年度の大学と企業などとの共同研究の件数は17,638件(資料3 p4)です。そのうち東大だけで1,214件(資料1 p5)だそうですが・・・。
- 疑問4について
事実誤認ですので対応していません。ネット上で拾える資料を適当に拾ってみますと、東大のある講義では1年生で実数の連続性から始まり前半のうちに一変数関数及び二変数関数の微分・極値・テイラー展開など、後半には一変数関数の積分と簡単な常微分方程式に加えて重積分までが扱われていますが、室蘭工大では前半には一変数関数の微分とテイラー展開、後半には一変数関数の積分および二変数関数の微分・テイラー展開・極値を扱うというペースです。この差を受験生に知らせないのは不誠実というものです。
- 疑問5について
まず、この記事は大学受験に関する概論的記事ですので、想定読者は普通科高校生です。概論的記事であまり職業高校生に配慮しすぎるのは多数を占める普通科高校生読者の理解の妨げになります。「たいしたことないもの」とは、高校生が読める新書や啓蒙書に乗っている程度の薄っぺらい知識という意味です。文脈から読み取れるかと思いましたが、加筆しておきました。また、進学せずに学ぶことのできる内容は限定的です。知識だけなら時間と手間をかければ学べるかもしれませんが、効率が悪いです。また、知識の枠を超えた、学問をするための手法というべきものは、よっぽど優秀な人以外は大学で学ばないと身につきません。大学に行かなくても学問ができるというのであれば、w:日本人のノーベル賞受賞者・日本人のw:フィールズ賞受賞者の中に大学を出ていない人が一人もいないのはとても不自然です。
- 疑問6について
私はそうだと確信していますが、根拠となるような客観的な言及を探す手間をかけるほどこだわる記述ではありませんので、除去しました。
- 疑問7について
事実誤認だらけですので対応していません。以下3点に絞って事実誤認を指摘します。
- 政治経済や倫理を3年生で習うことが多いのは難しいからではありません。
- むしろ逆で、3年生で集中的に取り組めば受験に間に合う程度に内容が少ないから3年生で習うのです。
- 理系の受験に政治経済や倫理は必須ではありません。
- 使いたければ使えばいいわけですが、理系大学ならば普通は社会科は1科目だけですので、日本史Bでも地理Bでも、一部難関大以外では現代社会でも、使えます。
- 現行課程のセンター試験で負担が重いのは誰がどう見ても理科です。
- 敢えて説明するのは釈迦に説法であることを期待していますので説明しません。これについてもし「根拠を示さないのはけしからん」などと反駁されれば、この記事を編集する資格がないことを自白することになるだけです。
--126.27.62.185 2016年5月16日 (月) 15:11 (UTC)
利用者:すじにくシチュー の回答
- 疑問3
東京大学に共同件数が多いのは分かりました。そのことと、企業との信頼関係は別問題でしょう。学科によっては共同研究が少ない場合も考えられるが(数学科や医学・薬学など)、そのような学科が信頼されてないというわけでもないので。
共同研究が多いから、企業は信頼しているはず、というのはアナタ個人の類推です。類推だと断り書きをした上で紹介するならば、もしかしたら私もそのような意見の紹介に賛同するかもしれません。
- 疑問4
想像ですが、いくつかの理系大学の1年で微分方程式とかを教えたり、1年の前期から重積分を教えるのは、おそらく単に、物理数学や応用数学などとして公式を紹介してるだけ(くわしい証明は抜き)であり、けっして2年レベルのより本格的な微分方程式論などを1年で本格的に紹介してるわけでないと思います。
物理学科や電気工学科などでは専門科目にて微分方程式やベクトル解析などの応用解析が大学入学当初の早くから使われますので、ふつうの一般教養課程の線形代数や偏微分とは別に、専門基礎などとして「物理数学」とか「電気数学」などの科目名で微分方程式を紹介するってのが、物理学科や電気工学科などでの定番です。
東大の場合、たんにその「物理数学」「電気数学」などが、教養の微積科目などに組み込まれているだけでしょう。
室蘭工大がうんぬんは、単に室蘭工大の1年に応用数学の概論の授業が無いだけでしょう。室蘭広大などの専門科目まで見てみないと、分かりません。
あと、進振りで3年から学科を決める東京大学では、低学年では機械工学とか電気工学や土木工学とかの各科目(機械要素や電気機器や土質力学などの各科目)を習わないわけですから、そのぶん、数学や物理などに時間を多く費やせるのは当然でしょう。
東大はどうだか知りませんが、一般の物理学科や電気工学科は、自分らの学科で習わない数学は、ほとんど知らないわけです。 ほとんどの物理科や電気科の学生は、統計数学もろくに知らないわけだし。幾何学ですら、機械工学などで習うインボリュート曲線などの伸開線や、土木工学などでも用いるクロソイド曲線も、それの存在自体のレベルで知らなかったりするわけですよ。
電気工学科なら、材料力学などでの曲げ応力の解析などで用いる曲率半径の方程式も、(授業だけで数学を勉強するならば、)ろくに知らないでしょう。
現在の世界の物理学教育や数学教育の想定する産業応用が、たんに電気工学や電子材料物性ばかりを想定してるってだけでしょう。ファインマンの物理の書籍を見ても、量子力学の紹介はあるくせに、流体力学とかの紹介は無いんだし。
- 疑問5
日本人のノーベル賞受賞者が大卒ばかりなのは、そもそも研究を続けられる教職や研究職につくのに、大卒の肩書が必要だからでしょう。
だいたい、導電性高分子なら最初にその物質を発見したのは学生の実験ミスであり、大学教授はそれを続けて調べたってだけでしょう。あるいはカミオカンデなら実質的には実験設備をつくった浜松ホトニクスが最も偉いんでしょう。
湯川や朝長のような理論物理や、森のような純粋数学ならともかく、それ以外の実験系の国際的な受賞は、学力ではなく研究費の問題でしょう。
だいたい、土木工学も機械工学もノーベル賞の受賞対象にならないし、物理学ですら流体力学も連続体力学も賞にならず、ノーベル賞はけっして自然科学の最先端の賞ではなく、化学(ケミカル)と物理化学と生化学の賞でしょう。
青色発光ダイオードのノーベル賞に至っては、赤色ダイオードは受賞しないくせに、青色は受賞させるわけですから、ノーベル賞の選考委員の不見識を疑います。なお、カラー液晶ディスプレイなどの青色は半透明カラーフィルターによるものであり、発光ダイオードによるものではありません。薄型液晶テレビ・液晶ノートパソコンの光源は、薄型バックライトであり、LEDではない。
青色LEDをもちいたテレビディスプレイは、「LEDテレビ」「LEDディスプレイ」などという製品のテレビディスプレイであり、液晶は無関係ですので。
家電ならせいぜい、ブルーレイディスクと、LED照明が、発光ダイオードによるものでしょう。有線LANなどの光ファイバーなら、青色光源でなくとも可能な技術です。
屋外なら、現在の信号機の緑色〜青色の照明が、LEDでしょう。
- 疑問7
私が高校を90年代に卒業してから年月が立ってるので、当時とセンター試験が違うかもしれませんが、すくなくとも当時はセンター試験の理科の負担なんて、8択くらいの中から答えを選ぶだけであり、計算練習をする必要がなく(答えを選ぶだけなので)、軽いでしょう。 しかも、物理Iや化学I、生物Iなどの内容しか出ないわけですから。物理IIなんて、出なかったわけですよ。
一方、社会科は、世界史や日本史なら2年までに教えて、世界史・日本史受験を志望する受験生は3年生では1年間掛けて受験のために復習する・・・ってのが進学校での定番でしょう。
理系のセンター受験ってのは、文系学生で物理IIなどのセンター範囲外を履修しないでセンター対策ばかりしてる文系の連中と、受験競争をさせられてるわけですよ。
--すじにくシチュー (トーク) 2016年5月17日 (火) 01:40 (UTC)
- 疑問3について
「共同研究などしない」という話だったと思ったのに今度は「そのことと、企業との信頼関係は別問題」ということで、論点が変わっていくので議論しづらいのですが、まぁいいです。おそらく「信頼関係」という単語が強すぎるので引っかかっているのでしょうから、「信頼」を取っておきました。
- 疑問4について
昨日紹介した東大の講義の場合、微分方程式はおそらく一例としてさわりを紹介するだけでしょうが、重積分はしっかり扱っているように見えます。でなければ「フビニの定理」で1時間使うことはないでしょう。一方、室蘭工大は(別に恨みがあるわけではないのですが行きがかり上紹介しますと)、4年間の全容はこんな感じです。2年生前期で重積分と微分方程式を扱って以降はもう数学はなさそうで、すじにくシチューさんが独学ガイド/理工学一般の中で学習することをお勧めされている内容は開講されていないように見えます。なお参考までに東大の2年生前期(=進振り前)では必修の数学はありませんが、選択の数学が「数理科学I」から「数理科学V」までの5種類あり、内容は微分積分続論、常微分方程式、ベクトル解析、線型代数続論、1年生でεδを学ばなかった学生のための補充、です。また、「数学や物理などに時間を多く費やせるのは当然」という指摘は的外れです。いずれも週に1時間の講義で1年間に進む分量を比較したのですから。
- 疑問5について
何がおっしゃりたいのかわかりません。大学に属することによって「それを続けて調べ」られたり「研究費の問題」で有利になったりする、という例を挙げておられるわけですから、それはつまり私の主張する、学問をするなら大学でする方がよい、という見解につながると思うのですが。「ほとんどの学問は進学しなくても学べる」という主張だったのではないですか?その主張の根拠はどこに書いてあるのですか?
- 疑問7について
あーあ、やってしまいましたね、自白。当然「当時とセンター試験が違う」のです。それを知らない方の見解を重視した「日本の大学受験ガイド」なんて、現代のセンター試験を受ける高校生の邪魔にしかなりません。まずは今年のセンター試験あたりを解いてみていただければ、「物理Iや化学I、生物Iなどの内容しか出ない」というのが大昔の化石のような認識であることに気付いていただけると思います。確かに「8択なので軽い」のは相変わらずですけれど、それを言えば地歴なんて4択なんですからその倍軽いのですが。「理系のセンター受験ってのは、文系学生で物理IIなどのセンター範囲外を履修しないでセンター対策ばかりしてる文系の連中と、受験競争をさせられてるわけですよ」というのもおかしな認識です。理系は理系、文系は文系、合否を決める際にお互いの成績が混じることはないので何の関係もないのですが。。。