中学校保健体育/健康の成り立ちと疾病の発生要因
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健康や疾患(病気)には、どのような要因が関係していますか?
キーワード
編集健康・主体の要因・環境の要因
健康の成り立ち
編集健康とはどういう意味ですか。病気(疾病)にかかっていない状態のみをいうのでしょうか。平均寿命は、ある年に0歳の人が平均してどれくらい生きられるかに基づいています。日本人の平均寿命は、衛生環境の整備・医療水準の向上・乳幼児死亡率の低下・食生活の充実・栄養状態の改善などにより延びてきました。
次に日本の死因の移り変わりについて、疫学的変遷のグラフを見ていきましょう。
昔の日本は、結核や肺炎などのように、細菌やウイルスなどの病原体からかかる感染症が主な死亡原因の上位に入っていました。やがて社会が豊かになると、食生活の変化、運動不足、高齢者人口も増加しました。その結果、癌(悪性新生物)・心臓病(心疾患)・脳卒中(脳血管疾患)などの生活習慣病が、死亡原因の中心に変わりました。
現代の日本には、高齢化に伴う認知症の増加・新興感染症・再興感染症・ストレス性心身不調・自殺・アレルギーなど、様々な健康問題が存在しています。中でも、自殺は10歳から39歳の死亡原因の第1位となっており、他の先進国に比べて自殺率が高く問題になっています。このように、健康は主体(人間)と環境を良好な状態に保ってこそ成り立ちます。言い換えると、健康とは、人間の体と心の健康状態を整え、楽しく豊かな生活を送れるような状態を意味します。なお、健康寿命とは、寝たきりになったり、他の活動が出来なくなったりせずに過ごせる期間をいいます。
健康を守り、体を良くするためには、自分の生活を見つめ直し、自分の行動や自分周囲の環境を健康的な内容に変えていきましょう。また、自分の健康に気を配り、改善するためには、周囲の人の力を借りなければなりません。さらに、行政などが幅広い情報を提供するとともに、環境整備などの社会的な取り組みを行っていきましょう。このように、個人の努力と社会的な取り組みの両方が必要とされています(ヘルスプロモーション)。
健康面では、各自が生きがいを持ち、人生を生き抜けるような生活の質(Quality of Life)も重要です(Wellness)。
疾病の発生要因
編集※疾病(病気)の発生原因は何ですか?
疾病(病気)は健康を損ないかねません。いつも健康な人でも、環境の変化で体調を崩してしまいます。反対に、どんなに恵まれた環境でも自分の行動で病気になってしまうかもしれません。このように、疾病(病気)は主体の要因(個人)と、環境の要因(周囲の状況)の両方に関係しています。
主体の要因は、体質・抵抗力・年齢・性別・免疫・遺伝などの病気に敏感な体質に加えて、運動・食生活・休養・睡眠などのこれまでの生活行動や生活習慣などが挙げられます。
一方、環境の要因として、次の4つが挙げられます。
- 気温や湿度などの物理的環境要因
- 有害化学物質などの化学的環境要因
- ウイルスや細菌などの生物学的環境要因
- 人間関係や保健・医療機関などの社会的環境の要因
また、医学の発達によって心臓や肝臓などの臓器を移植出来るようになりました。
進化する歩数計【発展講義】 |
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平賀源内は江戸時代中期に、ヨーロッパの歩数計を改良して国内最初の歩数計「量程器」を作りました。伊能忠敬は江戸時代後期に日本地図『大日本沿海輿地全図』を作成するために、歩数計などの道具を使って日本全国を巡り、正確な測量を行いました。
現在、歩数計は、主に健康のため、自分がどのくらい動き回っているかを記録するために使われています。携帯電話・腕時計・スマートフォンの登場で、機器の小型化・軽量化が進んでいます。歩数を数える以外にも、心拍数やエネルギー消費量を知るための機器が数多くあります。これらの機器は、楽しみながら自分の体や健康に関する情報を教えてくれるように作られています。多くの情報を知っていても、使い方を上手に知らないと健康にはなりません。自分の体と健康を上手に生かすためには、それらについて多くの知識を持つ必要があります。 |
資料出所
編集- 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著 2021年
- 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年