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煙草の有害物質はどのような健康被害をもたらしますか?

キーワード 編集

ニコチン・タール・一酸化炭素・発癌物質・依存症・有害物質・主流煙・副流煙・受動喫煙

煙草に含まれる有害物質 編集

※煙草の有害物質を調べてみましょう。

 
煙草

200種類以上の有害物質(ニコチン・タール一酸化炭素・ヒ素・カドミウム・ホルマリン・ルエンシアン水素など)が煙草の煙に含まれています。

有害物質 主な害
ニコチン
  • 血管の収縮
  • 血圧の上昇
  • 心拍数の増加
  • 強い依存性があります。
タール(やに)
  • 肺に付着し、肺の働きを下げます。
  • 発癌性物質を多く含んでいます。
一酸化炭素
  • 血液中のヘモグロビンと結び付き、血液の酸素運搬能力を下げます。
  • 血管を傷つけます。

その中に、発癌物質が60種類以上含まれています。このような有害物質は、主に肺から取り入れられると、血液中に入って体内を巡ります。

喫煙の健康への影響 編集

※煙草を吸うとどうなりますか?

煙草を吸うと、毛細血管が細くなり、血圧も上がり、心臓に負担をかけ、酸素の運搬能力も落ちます。そして、痰・咳・目眩・息切れなどの症状がすぐに体に現れます。このような症状は主にニコチンと一酸化炭素から起こります。

★喫煙後の症状

  • 脳の血流減少
  • 思考能力の低下
  • まぶたの腫れ
  • 肌荒れ
  • 首や肩の凝り
  • 味覚・嗅覚の低下
  • 口臭の悪化
  • 食欲の低下
  • 咳・痰・息切れ
  • 心臓への負担
  • 運動能力の低下

ニコチンは依存性を持っているだけでなく、喫煙をやめたくてもやめられないような依存症を引き起こします。タールの中に発癌性物質が含まれているので、肺癌や咽頭癌などの様々な癌は長期間の喫煙者にかかりやすくなっています。また、心臓病・脳卒中・COPD(慢性閉塞性肺疾患)などのように様々な病気にかかりやすくなります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)では、気管支や肺の炎症から呼吸困難になります。COPD(慢性閉塞性肺疾患)の約90%は喫煙から発症します。COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、煙草病としても知られています。

★喫煙と関係の深い病気

そのほかの病気
  • 鼻腔・副鼻腔癌
  • 口腔・喉頭癌
  • 喉頭癌
  • 食道癌
  • 肺癌
  • 肝臓癌
  • 胃癌
  • 膵臓癌
  • 膀胱癌
  • 子宮頸癌
  • 脳卒中
  • 歯周病
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 心臟病

など

発育・発達期での影響 編集

※煙草を吸い始めると、健康状態はどのように変わりますか?

発育期・発達期の体は、有害物質の影響を受けやすくなります。そのため、喫煙を始めるのが早ければ早いほど、喫煙時間も長くなり、健康によくありません。また、このような時期に喫煙すると、依存症になりやすくなります。このため、20歳未満の喫煙は法律で認められていません。親は子供に煙草を吸わないようにしなければなりません。また、煙草の販売業者は20歳未満の人に販売出来ません。

★喫煙期間と肺癌の危険性

 

周りの人などへの影響 編集

※喫煙は喫煙者だけに影響しますか?

 
受動喫煙

喫煙者が煙草から吸い込む煙を主流煙といいます。煙草の先から出る煙を副流煙といいます。副流煙にも多くの有害物質が含まれています。受動喫煙では、周りの人が副流煙や喫煙者が吐き出す煙を吸い込んでしまいます。喫煙の影響は周りの人にも影響を与えます。企業・飲食店・公共施設などでは、受動喫煙防止のために禁煙や分煙を呼びかけています。受動喫煙防止の対策は、健康増進法で定められています。2018年の改正健康増進法では、望まない受動喫煙をなくし、子供や患者などに気配りしなければならなくなりました。このため、多くの自治体では、受動喫煙防止条例を定めています。

★主流煙と副流煙

主流煙 副流煙 主流煙と比べた場合
ニコチン 0.46mg 1.27mg 2.8倍
タール 10.2mg 34.5mg 3.4倍
一酸化炭素 31.4mg 148mg 4.7倍

また、妊婦の喫煙は胎児の成長を妨げ、早産などを招きます。現在、加熱式煙草が人気を集めています。しかし、有害物質が多く含まれており、健康被害もよくわからないので、普通の煙草と同じように制限されています。

★夫の喫煙と妻の肺癌の危険性

 

資料出所 編集

  • 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著  2021年
  • 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年