中学校保健体育/感染症の広がり方

小学校・中学校・高等学校の学習>中学校の学習>中学校保健体育>感染症の広がり方

感染症はどのように私達の体内に入り、他の人へ移りますか?

キーワード

編集

病原体・感染症・感染・感染・感染経路・発病

病原体とその感染経路

編集

※様々な感染症の病原体の種類と感染経路を調べてみましょう。

外から病原体(細菌やウイルスなど)が私達の体に入ると、感染症になります。病原体の種類が違うと、感染経路も違います。病原体はそれぞれの感染経路から私達の体内に入ります。体内に入ると、増殖しやすい場所にすみつきます(感染)。もし、妊娠中に母親が風疹にかかると、胎児にも感染します。

★細菌とウイルスの違い

[1]細菌

1個の細胞が分かれて、より多くの細胞を作っています。人間と違って細胞壁があります。抗生物質を使うと、細胞壁を作れなくなり、細胞も死んでしまいます。

[2]ウイルス

細胞を持っていなくても、人間の細胞の中に入り込んで、自分のコピーを作り出します。そのため、抗生物質を使っても、ウイルスに効きません。近年、抗ウイルス薬の研究や開発が進められています。

★感染症の例

病名 病原体 主な感染経路 潜伏期間 主な症状
インフルエンザ インフルエンザウイルス 感染者が咳やくしゃみをして、

他の人にうつります。

感染者がドアノブなどを触れて、

他の人がそのドアノブなどを触ると、

その手が口や鼻に当たります。

1~3日
  • 高い発熱
  • 頭痛
  • だるさ
  • 筋肉痛
  • 関節痛
  • 鼻水
  • 喉の痛み
風疹 風疹ウイルス 14~21日
  • 発熱
  • 発疹
  • リンパ節の腫れ
麻疹(はしか) 麻疹ウイルス 感染者が咳やくしゃみをすると、

病原体も空気中に出されます。

それを、他の人が吸い込んで感染します。

8~12日
  • 高い発熱
  • 発疹
  • 目の充血
  • 鼻水
結核 結核菌(細菌) 2年以内
  • 発熱
  • 体重減少
  • 顔色不良
  • 寝汗
  • 長引く咳
ノロウイルス感染症 ノロウイルス
  • 感染者の嘔吐物や糞便
  • 細菌やウイルス入りの水や食品
12~48時間
  • 嘔吐
  • 下痢
コレラ コレラ菌(細菌) 1~3日
  • 嘔吐
  • 下痢
マラリア マラリア原虫 蚊はマラリア原虫を持っており、

その蚊に刺されたら感染します。

10~30日
  • 高い発熱
  • 貧血
デング熱 デングウイルス 蚊はデングウイルスを持っており、

その蚊に刺されると感染します。

3~7日
  • 発熱
  • 頭痛
  • 筋肉痛
  • 関節痛
  • 腹痛
  • 発疹

★様々な感染症の病原体

感染症は様々な条件で拡大

編集

※感染症はどのように広がりますか。

病原体に感染すると、体に発熱などの症状が現れます(発病)。潜伏期間は、感染してから発病までの期間をいいます。

感染症の中でも、インフルエンザは冬によく発生します。また、感染症は人通りの激しい場所や衛生状態の悪い場所で広がりやすくなります。このように、自然環境(温度・湿度など)と社会環境(住居・人口密度・交通機関など)の双方が、感染症の発生に影響を与えています。

病原体が体内に入っても、感染しない場合もあります。もし、感染しても発病しない場合もあります。感染症の発症は、栄養状態や抵抗力なども関係するからです。

日本の結核は、まだまだ多い
かつて死因の中でも結核は第1位を占めていました。その後、治療薬の使用と予防接種(BCG)によって、結核も減少しています。しかし、現在でも日本の結核感染者は毎年約1万7000人を記録しています。日本の結核感染者は先進諸国と比べても、かなり多くなっています。近年、耐性結核菌が流行ったり、都市部を中心に不特定多数の人が集まりやすい場所で感染したりします。

様々な問題が感染症にあります。具体的には次の通りです。

  • エイズ・新型インフルエンザ・新型コロナウイルス(COVID-19)などの新しい感染症(新興感染症)が生まれています。
  • 結核のように一度消滅しても、再び世界各地で流行しています。
  • 耐性病原体が増えています。

★感染経路

[1]飛沫感染(インフルエンザ・風疹・新型コロナウイルス感染症など)

感染者が咳やくしゃみをして、その飛沫(しぶき)を吸いこんで感染します。

[2]空気感染(麻疹・結核など)

飛沫の水分が蒸発して軽くなり、空気中の浮遊物を吸い込むと感染します。強い感染力を持っています。

[3]経口感染(ノロウイルス感染症など)

汚染食品や汚染飲料から病原体が体の中に入って感染します。

インフルエンザにかかったら
インフルエンザウイルスに感染すると、ほとんどの場合、発症前日から発症後3~7日間まで、鼻や喉からウイルスを飛ばします。この期間は、他の人に移さないためにも、外出を控えましょう。中学生の場合、インフルエンザ発病後5日間・解熱後2日間を過ぎるまで、学校を休まなければなりません[学校保健安全法施行規則]。

また、交通機関が整備され、人や物を自由に移動出来るようになると、感染症も世界中に広がりやすくなります。さらに、新たな感染症(新興感染症)が広がると、患者やその家族に偏見を持たれたり、差別を受けやすくなったりします。その結果、人権問題につながります。

★インフルエンザウイルスと湿度・温度の関係

  • 温度が高く、湿度も高かったら、ウイルスの生存率も下がります。
  • 気温が低く、湿度も低かったら、ウイルスの生存率も高まります。

★新型インフルエンザウイルスはどのようにして作られますか?

鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスが豚に感染すると、それぞれの遺伝子が組み合わります。それぞれの遺伝子が組み合わさると、新しいインフルエンザウイルスが生まれます。新しい型に変わると、それまでの薬が効かなくなります。

資料出所

編集
  • 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著  2021年
  • 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年