中学校保健体育/生活習慣病の予防

生活習慣病 編集

三大死因のがん心臓病(しんぞうびょう)・脳卒中(のうそっちゅう)や、糖尿病(とうにょうびょう)や動脈硬化(どうみゃくこうか)などはは、生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)である。生活習慣病は、かつては「成人病」(せいじんびょう)と呼ばれて成人に多い病気と考えられていたが、現在では原因が食事での栄養の偏りなどの食習慣や、飲酒や喫煙、そのほか運動不足などの生活習慣に主な原因が有ることが分かり、呼び方が生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)に変わった。

つまり、がん、心臓病、脳卒中や糖尿病や歯周病などが、生活習慣病に含まれる。

※ 糖尿病には、生活習慣とは無関係におこるタイプもある。(中学校の範囲内。学研の検定教科書にある。学研は保健体育の検定教科書も出している。)

生活習慣病の多くは、かかっている事に自覚がなく、そのため治療の開始が遅れやすい。なので生活習慣病の予防や治療のためにも、普段から生活習慣を気をつけるとともに、定期的な健康診断を受診することが望ましい。

12歳~14歳の人での
1日に必要なエネルギー(kcal/日)
  基礎代謝  活動レベル
 ふつう  高い 
 男   1490   2500   2750 
 女   1360   2250   2550 
※ 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」2010年版
ふつう ・・・ 軽い作業や軽いスポーツなど
高い ・・・ スポーツなど

スポーツなどの運動をしていないときでも、わたしたち生き物の体は、生命を維持するためにエネルギー消費を行っている。これを基礎代謝(きそ たいしゃ)という。そのため、食事をとる時刻も、スポーツや労働の有無にかかわらず、定期的に食事を行う必要がある。

生活習慣病の内容 編集

  • 心臓病

狭心症(きょうしんしょう)や、心筋梗塞(しんきんこうそく)などがある。

狭心症(きょうしんしょう): 血管が硬化して狭くなって、血が流れにくくなり、その先の心臓の筋肉が酸素不足になる病気。
心筋梗塞(しんきんこうそく): 心臓の血管がつまって、心筋の細胞が死ぬ病気。
  • 脳卒中

脳出血(のうしゅっけつ)や、脳梗塞(のうこうそく)がある。

脳出血(のうしゅっけつ): 脳の血管が破れて、血液が脳を圧迫して、障害を起こす病気。
脳梗塞(のうこうそく): 脳の血管がつまり、その先の脳細胞が死ぬ病気。
  • がん

正常でない細胞が、無制限に増えようとする病気。がん の結果、器官の働きが、さまたげられてしまう。

  • 糖尿病

血液にふくまれるブドウ糖の濃度がコントロールできなくなった結果、血液中のブドウ糖の濃度が異常に高くなる病気。なお、血液中のブドウ糖の濃度のことを血糖値(けっとうち)という。(※ 血糖値については中学範囲外。だが、常識として知っておいてもらいたいし、たぶん教員が授業中に説明するだろう。)

糖尿病が悪化すると、心臓病や脳卒中などになったり、失明などの目の病気や、腎臓(じんぞう)の病気などになる。糖尿病のこれらの症状は、血管に負担がかかるために起きると考えられている。(※ 検定教科書の範囲内。学研の保健体育の検定教科書。平成23年検定版、82ページ。) ともかく、血管は糖尿病の影響を受けやすい。そのため心臓の血管や、脳の血管などが影響を受けるので、心臓病や脳卒中が起きやすくなる。(※ 検定教科書の範囲外。※ 以下の書籍を参考文献にした:医学芸術社『病理学 疾病のなりたちと回復の促進』岡田英吉、2004年第1刷、37ページ )

※ 糖尿病には、生活習慣とは無関係におこるタイプ(1型糖尿病)もある。(中学校の範囲内。学研の検定教科書にある。)
糖尿病には2種類がある。1型糖尿病と2型糖尿病である。生活習慣が原因で起きる糖尿病は2型糖尿病である。(中学範囲外。)
※ 高校理科の「生物」科目で、糖尿病について、くわしく習う。

発展内容 編集

病気の予防 編集

  • 一次予防

病気自体を発症しないように気をつけること。生活習慣の改善。 たとえば、バランスのとれた食事や、適度な運動。十分な睡眠をとる。また、飲酒や喫煙を控える。もし読者が未成年なら、そもそも飲酒や喫煙をしない。

  • 二次予防

定期的な健康診断などで、病気を早期に発見し、早期に治療すること。(早期発見、早期治療。)

  • 三次予防

発症した患者のリハビリテーションなどのこと。回復を目指したり、あるいは重症化を防ぐこと。

その他 編集

メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)

健康な人の腹部の脂肪は、ほとんどの脂肪は皮下にたまる。しかし、メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)とは、内臓に脂肪が多くたまる症状。メタボリック・シンドロームになると、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病にかかる率が上昇する。

やせ

体脂肪が少ない状態を「やせ」という。極度の「やせ」は栄養不足・エネルギー不足である。成長ホルモンなどのホルモンの分泌も不足する。性ホルモンの分泌も不足し、女性では月経不順や、不妊などの生殖機能に障害をあたえるおそれもある。このような理由で、いわゆる「ダイエット」などの減量は、医師などの指導がある場合を除き、原則として未成年者には、すすめられない。

BMI

肥満や「やせ」の程度を、客観的かつ数値的に、はかる指標としてBMI(body mass index)という判定法がある。

体重[kg]÷(身長[m]の2乗)

で、算出される。 このBMIの健康な人での適正値は、国によってことなるが、統計的に、 BMI=22 がもっとも病気にかかりにくいとされ、なので22がBMI値の標準とされている。日本では、BMI値が18.5未満が低体重として、25以上の場合を肥満としている。計算上の適正値は18.5~25の範囲内である。 ただし、これは、あくまでも簡易的な参考程度の指標であって、けっして厳密に栄養バランスや内蔵脂肪率などを測るものでは無い。そのため、健康な人でもBMIが適正値外になるという例外が出る場合もある。

※ 範囲外: 皮下脂肪と内臓脂肪について 編集

(※ 中学か高校の保健体育のどれかの教科書に書いてあった話題)

よく、メディア連中の頭の悪いダイエット広告とかで「脂肪を落としてスリムになって美人になるし、メタボ予防!」とかのタワゴトがあるが、・・・

・ 一般に、生活習慣病とかの原因になる脂肪は、皮下脂肪ではなく内臓脂肪とされている。
・ たとえ外見では、やせてるように見えても、MRIなど専用の検査装置で検査しないと内臓脂肪の割合は分からない。
・ 女性の場合、第二次成長のときに身体に多くの皮下脂肪がついても、しかし内臓脂肪は同程度につくわけではない。(どこかの検定教科書で、一般女性の皮下脂肪と内臓脂肪のMRI画像が掲載されており、この事実が写真で紹介されている・)