中学校保健体育/生活習慣病の起こり方

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  • 生活習慣病はどのような病気ですか?
  • どのような生活すると生活習慣病を発症しますか?

キーワード 編集

生活習慣病・動脈硬化・癌・心臓病・脳卒中・糖尿病・COPD(慢性閉塞性肺疾患)・QOL(生活の質)・歯周病・歯垢

生活習慣と病気 編集

※生活習慣病について考えてみましょう。

生活習慣病は、体や心につらい生活習慣を続けると発症します。生活習慣病は、つらい生活習慣を見直すと予防出来ます。生活習慣の中でも、喫煙・お酒の飲みすぎ・食生活の乱れ・睡眠不足・大きなストレス・口腔の汚れなどが原因として挙げられます。

生活習慣が心臓病・脳卒中・糖尿病・癌・COPD(慢性閉塞性肺疾患)の発症や進行に、大きく影響しています。心臓病・脳卒中・糖尿病・癌・COPD(慢性閉塞性肺疾患)は日本人の主な死亡原因になっています。煙草の煙は有害な化学物質を含んでいます。それを長期間吸い込むと、肺に炎症が起こり、酸素を体内に取り込めなくなります。この病気をCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といいます。癌・心臓病・脳卒中などは、中高年に発症しやすいため、かつて成人病と呼ばれてきました。また、歯周病は生活習慣病と関係しており、食事や会話など口腔の生活の質(QOL)を大きく落とします。

★日本人の死亡原因

 

上のグラフは厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」から抜粋しています。

生活習慣病の起こり方 編集

※生活習慣病はどのように進みますか。

子供の頃から、生活習慣病の基本が作られます。運動不足・塩分や糖分の摂りすぎなどの正しくない食生活に加えて、睡眠不足・大きなストレス・喫煙や飲酒などの正しくない生活行動を子供の頃から続けると、激しい体重減少や体重増加を引き起こします。また、心臓や脳の血管で動脈硬化を引き起こして心臓病や脳卒中も引き起こしたりします。一度身についてしまったら、その生活習慣をやめられません。長い間続けていると、その習慣が原因で生活習慣病にかかってしまいます。

また、歯磨きが足りないと歯周病になります。歯周病で、歯肉が腫れたり、歯の骨を傷つけたり、歯を失ったりします。

さらに、生活習慣病が近年になって子供にも増えています。

★心臓病、脳卒中などの進み方

[1]正しくない生活習慣

睡眠不足 ストレス過剰 脂肪分の多い食事 間食のとりすぎ
運動不足 塩分の多い食事 喫煙 飲酒

[2]自覚症状の少ないまま病気が進む

  • 高血圧症
  • 脂質異常症(高脂血症)
  • 糖尿病
  • 肥満症
  • 血管の変化

[3]重い症状が現れる

  • 心臓病(狭心症、心筋梗塞)
  • 脳卒中(脳梗塞、脳出血)
  • 糖尿病の合併症
  • 癌など

循環器の病気 編集

動物性脂肪を摂りすぎたり、あまり運動をしなかったりしたら、動脈硬化につながります。動脈硬化では、血管の壁にコレステロールなどの脂肪がたまって、血管をもろく硬くします。コレステロールは2種類あります。体に悪いLDLコレステロールと体に良くて血管壁に脂肪がつかないようなHDLコレステロールがあります。脂質異常症は、LDLコレステロールが多すぎたり、HDLコレステロールが足りなかったりするとかかります。塩分の摂りすぎや大きなストレスなども高血圧につながります。高血圧では、動脈に大きな圧力がかかっています。

高血圧と動脈硬化は、心臓病脳卒中を招きます。心臓病は狭心症と心筋梗塞の2種類になります。心臓の筋肉に酸素と養分を運ぶ血管(冠状動脈)が狭くなると狭心症を発症します。これに対して、心臓の筋肉に酸素と養分を運ぶ血管(冠状動脈)が詰まると心筋梗塞を発症します。心臓病になると、激しい胸の痛みと心臓の活動低下がみられます。脳卒中は脳梗塞と脳出血の2種類になります。脳に血液を運ぶ血管が詰まると脳梗塞を発症します。これに対して、脳に血液を運ぶ血管が破れると脳出血を発症します。脳卒中になると、体が麻痺したり意識を失ったりします。

高血圧症・脂質異常症・糖尿病を「サイレントキラー(silent killer)」ともいいます。このような病気は、自覚症状がほとんど現れずに血管の働きを変えてしまうので、動脈硬化を進行させます。

糖尿病 編集

太り過ぎ・カロリーの取りすぎ・運動不足などから血液中のブドウ糖の量が異常に増えると、糖尿病になります。糖尿病になると、血管に負担がかかります。その結果、心臓病・脳卒中・腎不全・失明・神経の障害など様々な病気を招きます。日本は約2000万人に糖尿病予備軍と考えられています。糖尿病は血液値の検査で見つかります。なお、生活習慣が全ての糖尿病の原因になりません。そして、糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病の2種類あります。1型糖尿病は生活習慣と無関係です。2型糖尿病は生活習慣と大きく関係しています。

歯周病 編集

煙草を吸ったり、砂糖を取りすぎたり、正しくない歯磨きの習慣や正しくない磨き方などは歯周病につながります。砂糖を摂りすぎると、口の中の細菌から歯の表面に食べかすがくっ付きます。加えて、歯磨きが足りないと歯垢(プラーク)も出来ます。歯垢を取り除かないと、歯垢が歯石になり、さらに固く歯にくっ付きます。歯垢は、虫歯(う歯)の原因になり、歯肉の炎症も引き起こします。歯周病が進むと、ゆっくりと歯の骨も壊れていきます。その結果、歯を失ってしまいます。歯周病と糖尿病は深く関係しています。また、心臓病や脳卒中など、様々な病気の原因にもなっています。

歯ブラシがない場合や水が少ない場合の歯の手入れ
外出先で歯ブラシを持っていなかったり、水道が止まって少ない水で生活しなければならなかったり、自然災害の避難先で歯ブラシも水もなかったりします。このような時に、口の中を健康にしたいなら、歯のお手入れ方法を知っておきましょう。

[1]歯ブラシがない場合

  • 食べたら少量の水かお茶で口をゆすぎましょう。
  • ハンカチかティッシュで歯の汚れを取りましょう。

[2]水が少ない場合

  • 2つのカップにそれぞれ少量の水を入れます。
  • 一方のコップで歯ブラシをきれいにして、ティッシュで拭き取りながら歯を磨きましょう。
  • 最後に、もう一方のコップの水で口をすすぎます。

資料出所 編集

  • 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著  2021年
  • 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年