中学校保健体育/薬物乱用の社会的な影響

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薬物を乱用すると、周りの人や社会にどのような影響がありますか?

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薬物乱用による生活の崩壊・薬物乱用による犯罪や事故

薬物乱用による生活の崩壊 編集

※薬物乱用者が周りの人にどのような影響を与えるかについて話し合ってみましょう。

薬物乱用から心の健康に問題を抱えていると、いらいらしたり怒りっぽくなったりします。そして、家族や他の人に暴力を振るったり、物を壊したりします。それが原因で友達が離れていき、家族も離れ離れになっていきます。また、やる気や責任感を失って学校を欠席したり、仕事を休んだりして、正常な社会生活を送れなくなります。

★覚醒剤乱用者の証言

証言1
僕は今から1年前に初めて覚醒剤を使いました。

回数を重ねるうちに、体が肉と骨だけになってしまいました。いつも、部屋にこもって何もせず、毎日のぼせていました。ついに、幻覚を見たり、大丈夫とは思えない行動をしたりするようになりました。いつも誰かに見られているような感じがして、寝ても誰かがついてきそうで怖くなり、一晩中街を走り回っていました。また、覚醒剤の欲しさに、通りがかりの人を何も言わずに殴って財布を奪いました。あのまま覚醒剤を飲んでいたら人を殺していたかもしれません。

証言1は公益財団法人日本学校保健会資料より引用しています。

証言2
私の記憶が正しければ、18歳の時に初めて覚醒剤を知りました。覚醒剤はお金がかかるのに、覚醒剤がないと動けなかったり、仕事に行けなくなったりします。私は覚醒剤を買うために多額の借金をしました。しかし、私は借金を返せず、いつまでも借金に追われていました。実家で隠れてお金を盗もうとすると、母親に見つかってしまいました。

証言2も公益財団法人日本学校保健会資料より引用しています。

薬物乱用による犯罪や事故 編集

※薬物乱用が犯罪や事故にどうしてつながりますか?

薬物を乱用すると、自分を見失ってしまい、「自分が狙われている。」「自分の体から虫がたくさん出てきた。」のような幻覚を見てしまいます。その結果、性的な非行・暴力行為・殺人・放火などの恐ろしい犯罪につながります。また、薬物の欲しさに、窃盗や恐喝などの犯罪も起きています。

さらに、薬物乱用は死傷者を出すような大事故にも関わっています。そのため、薬物の乱用は法律で禁止されています。薬物所持と乱用の両方で罰せられます。毎年、世界中で約16万人が薬物使用で死亡しています(2016年)。薬物乱用は世界中の大きな問題となっており、どの国でも法律で厳しく禁止されています。

このように、薬物乱用は個人の体と心の健康だけでなく、家族・学校・地域社会に深刻な影響を受けます。

★社会への影響

 

資料出所 編集

  • 東京書籍『新しい保健体育』戸田芳雄ほか編著  2021年
  • 学研教育みらい『中学保健体育』森昭三ほか編著 2021年