中学校家庭/家庭生活と消費

物資とサービス編集

普段、私たちは必要なものを商品として買ったり、公的機関から提供されながら生活している。それらには形のある物資(ぶっし)と、形のないサービスがある。

物資やサービスを購入し利用することを消費(しょうひ)といい、購入するために支払うお金のほとんどは、働いて得た収入(しゅうにゅう)である。消費と収入のバランスを考えながら何を買うか考えるのが重要である。

物資とサービスの一例
物資 食料品、住居、衣服、家具、家事用品、文房具、書籍など
サービス 映画、医療、クリーニング、通信、宅配、交通など

買い物の方法編集

支払い方法編集

 
図書カード
 
クレジットカード

前払い、即時払い、後払いの3つがある。

前払い

プリペイドカードや商品券、図書カードなどで買うこと。

即時払い

商品と現金を引換え。


後払い

公共料金の支払いや、クレジットカードでの支払いなど


後払いでは、手数料や利子が発生することや、貯金以上にお金を使わないように注意しよう。


販売方法編集

 
ジャドマ・マーク
公益社団法人 日本通信販売協会は、会員の業者に、公正な販売をするように求めている。

私達が商品を購入する際、さまざまな販売方法を利用している。

商品の販売の方法には、店舗販売(てんぽ はんばい)と無店舗販売(むてんぽ はんばい)とがある。 店舗販売は、スーパーやデパートなど商店で商品の現物を販売することである。

無店舗販売には、カタログ販売やインターネット販売などの通信販売や、訪問販売などがある。自動販売機での販売や移動販売での販売の無店舗販売である。


買い物と契約編集

契約(けいやく)とは、法律上の約束のことである。商店などでの消費者の「買います」という発言なども、契約である。

契約は、原則的には、一方的には解除できない。もし一方的に契約が解除できるとすると、合法的に契約されたものまで解除されてしまうと社会が混乱してしまうからである。

そして、買い物も契約の一種である。なにも、べつに契約書を買わさなくても、口約束だけでも、契約は成り立つのである。 そして商店での消費者の買い物も、「消費者である私は、この商品を受け取れば、その代金を払います。」という内容の約束であるので、買い物も法律上の契約である。このため、消費者にも売買の契約の当事者としての責任がある。ちなみに、販売者側にも売買の契約を守る義務があり、消費者の払った現金などと引きかえに商品をわたす義務が生じる。

消費者は、「代金を支払う義務」を負うかわりに、「商品を受け取る権利」を持つ。
販売者は、「商品を渡す義務」を負うかわりに、「代金を請求する権利」を持つ。


買い物にかかわらず、法律上では原則的には、約束をすることは法律上の契約であると見なされる。

なので、たとえ、消費者の一人が「消費者トラブルになってしまった」と感じても、かならずしも売買の契約が取り消しできるとは限らない。同様に、消費者の一人が「悪質商法に出会ってしまった」と感じても、はたして本当に悪質商法かどうかは警察や裁判所などが判断することであり、かならずしも消費者の「悪質商法に出会ってしまった」という感想だけでは売買の契約が取り消しできない。


なので、買い物をするときは、気をつけて、慎重(しんちょう)に、買い物するべきである。


また、トラブルが起きた時の対応のために、レシートや領収書(りょうしゅうしょ)などは証拠として保管しておくことが望ましい。

消費者トラブルの相談先編集

消費者トラブルについての相談機関として、地方自治体が消費生活センターを設置している。

また、国が、国民生活センターという機関を設置しており、消費者への情報提供、商品テストなどの活動をしており、消費生活センターとも連携している。


消費者庁では、電話で相談できる窓口の「消費者ホットライン」をもうけている。消費者庁は2009年に設立した省庁である。消費者庁は、2009年のそれまで、いろんな省庁で別々に行われていた消費者トラブルなどについての対応を、あたらしく消費者庁で一元化することによって行政を効率的にするため、あたらしく設立された庁である。


消費者トラブルになってしまったと感じたら、けっして一人では悩まずに、なるべく消費生活センターなど、公共の相談機関に、直接、行って、相談したほうがよいだろう。詐欺師の中には、ウソの肩書として「消費生活センター」などの職員を名乗る詐欺師も、いるかもしれない。なので、消費生活センターなどに相談する場合は、なるべく直接、消費生活センターなどに出向くのが望ましい。

消費生活センターの場所が分からない場合は、市役所などの役所に相談して教えてもらおう。地域によっては市役所の中に、消費生活センターの窓口がある場合もある。

(読者は、今ここで、インターネット検索などで、あらかじめ、地元の消費生活センターの場所を確認しておこう。)

悪質な業者や詐欺師(さぎし)には、いちど、詐欺にあった人を、「だましやすい人」と判断して、「もっと、だまそう」と考えて、さらにだまして来る場合もある。そのような、さらにだます手口として、たとえば「詐欺への救済手続きの代行をする」などのウソをついて、「手数料」などとして、お金をだまし取る詐欺業者もある。

詐欺師には、ウソの肩書として警察や弁護士または、警察・弁護士などの関係者などを名乗り、やはり、手数料などと称して、金をだまし取る手口もある。詐欺師の中には、消費生活センターの職員を名乗る詐欺業者も、いるかもしれない。

なので、悪質業者や詐欺業者に引っかかってしまったと感じたら、消費者の取るべき対策は、まず消費生活センターなどの公共の相談機関に、直接に出向いて相談することである。


消費者トラブル編集

悪質商法の例編集

  • キャッチセールス

街角で声をかけ、事務所や喫茶店や営業所などにつれこんで、強引に契約させたりする。


  • アポイントメント・セールス

電話などで「抽選に当たった」などと言って、「賞品を受け渡したいので事務所に来てほしい」などと言って事務所に呼び出して、事務所で強引に賞品を購入させる方法。


  • マルチ商法、マルチまがい商法

商品を販売しながら会員を勧誘し、会員は会費として高い値段で商品を買わねばならないが、もし自分が会員になれば、一時的には会費を出費するが、新規の会員を勧誘して入会させれば、今度は自分は紹介料をもらえて儲かるので、最終的には得をする、・・・などと言って勧誘する。

もちろん、マルチ商法は、いきづまる。

なぜかというと、新規会員を入会させるともらえる「紹介料」とやらの出どころは、もとをただせば、今までの会員が買わされた高額商品の出費である。なので、多くの会員は損をする側になっている。また、人間の数には限りがあり、いつかは必ず、会員が増えなくなる。よってマルチ商法の会員は、だいたいの場合は損をする側になる。


  • 押し売り


消費者トラブルの解決法編集

クーリング・オフ編集

契約とは、法律上の約束のことである。契約は、原則的には、一方的には解除できない。

もし、一方的に契約が解除できるとすると、合法的に契約されたものまで解除されてしまうと、社会が混乱してしまうからである。


ただし、訪問販売やキャッチセールスなどのように、消費者が自ら店舗に出向いていない取引の場合、一定期間内なら、書面で取り消しを通知することで契約の取り消しができる。この制度をクーリング・オフ制度という。

クーリング・オフ(cooling off)とは「頭を冷やしてから、考える」という意味である。

クーリング・オフは、契約直後から一定期間内しか出来ないので注意。販売方法の種類によって取り消しできる期間の日数がちがうが、たいていの場合の期間は契約書を受け取った日から8日まで、である。

また、店舗で購入した品物は、クーリング・オフできない。通信販売では事業者が自主的にクーリング・オフに応じない限り、通信販売ではクーリングオフができない。


訪問販売だからといって、かならずしも詐欺とか悪質商法とは限らず、そのため商品の購入の契約をしてしまった場合、契約を守る義務が発生するからである。

なお、クーリング・オフの通知は、内容証明郵便(ないようしょうめい ゆうびん)を配達証明つきで出すと安全である。

消費者契約法編集

また、消費者契約法(しょうひしゃ けいやくほう)により、事業者が契約内容について事実とちがう説明をした場合に、契約を取り消すことができる。また、事務所などにつれこまれて、契約しないと帰らしてもらえなかったりして、強制的に契約させられた場合も、消費者契約法により、契約を取り消しできる。


消費者を守る法律編集

消費者を保護している法律として、消費者生活法などのほかにも、製造物責任法PL法)や特定商取引法などがある。

製造物責任法(PL法)は、製品の欠陥によって被害を受けた場合に、消費者は過失の有無にかかわらず損害賠償を請求できる権利があることを定めた法律である。あくまでも、製品に欠陥がある場合のみに消費者が損害賠償を請求できる法律であり、製品に欠陥がない場合は法の範囲外である。


特定商取引法(とくていしょうとりひきほう)とは、訪問販売やマルチ商法や通信販売など、消費者トラブルになりやすい販売方法について、消費者保護のために、事業者がしたがう義務のあるルールを定めている。


けっして、何でもかんでも契約を取り消しできるわけではなく、契約の取り消しには一定の条件が必要である。


勧誘などを断るときの注意点編集

  • 勧誘などを断るときの注意点

・いらない場合は、けっして「いいです」とか「結構です」などのような、どちらとも受け取れる表現では、ことわらない。「いりません」「買いません」などというふうに、はっきりと断る。

・むやみやたらにサイン、署名(しょめい)をしない。サインしただけでも、契約が成り立つ。


  • 家庭などで、宅配員を名乗る者が家に来た時に、親が外出中の場合

家庭などで、宅配などの際、受け取りにサインをお願いされる場合もあるが、親などが留守で、子供だけでは信頼していいかどうかわかりづらい業者の場合、サインをせず、「現在は親が外出中で不在」「家にいるのは契約者とされる本人ではない」という事情を話して、いったん帰ってもらうのが望ましいだろう。

宅配や郵送をよそおった詐欺商法などの場合もありうる。なので、なるべく宅配時に留守をしている子供は、親に確認してから受け取る、あるいは親本人に受け取ってもらうのが望ましい。

まともな業者なら、どのみち、もしも宅配時に相手が留守なら不在通知をポストなどに入れて商品は持ち帰るので、事情を話せば、まともな業者なら、不在通知などをわたして帰ってくれるはずである。

「現在は親が外出中で不在」「家にいるのは契約者とされる本人ではない」というのは、一時的な受け取りを拒否する理由として、常識的には正当な理由であろう。


それでも宅配員が帰らない場合は、そもそも信頼できない業者であるか、または信頼できない宅配員である。

もしも、大手の宅配企業の宅配員が、そのような、親が不在の場合に受け取り拒否を認めない対応をすれば、相手企業に苦情を入れるべきである。相手企業に苦情を入れられるようにするため、相手企業の連絡先のメモをして、ひかえておくべきであろう。

こまったことに、一部の宅配員や宅配企業の中には、受け取り家庭の子供が「親が外出中」という理由を話しても、受取り拒否をみとめようとしない場合がある。なので、こういう場合には、あとで消費生活センターなどに相談を入れるのが望ましいだろう。

消費者トラブルの事例編集

インターネット関連編集

  • 「無料」を歌ったオンラインゲーム

「無料」と言っても、サービスの一部が無料なだけで、有料な部分があるゲームが多い。ゲーム中で有料サービスを申し込むとゲームを有利に進められるなどのサービスがあり、そのためお金のない子どもが不用意に有料サービスを購入してトラブルになる事例がある。そもそもゲーム会社は利益を出すためには、何らかの有料サービスを売らなければいけない。


  • ネットショッピング

商品の実物が直接は確認できないので、購入後に、事前の情報と違っていたというトラブルがある。


  • ネットオークションのトラブルや詐欺

オークションとは、一種の せり である。そのため、定価のような決まった価格はないので、たとえ法律にのっとって行われても、最終的な値段が、とても高い値段になることがある。

一個人が出品しているのが普通なので、出品者が詐欺的な人物だったりすると、たとえば代金を支払ったのに、商品が渡されないなどの詐欺がある。

ほかの詐欺の方法では、たとえば出品者の関係者が落札希望者として参加して、不当に価格をつりあげる詐欺などの事例もある。

消費者の権利と責任編集

消費者の8つの権利と5つの責任編集

また、国際的な消費者運動の団体である国際消費者機構(CI)が、消費者の8つの権利と5つの責任を定めている。

  • 消費者の8つの権利
1. 生活の基本的なニーズが保証される権利
2. 安全である権利
3. 情報がえられる権利
4. 選ぶ権利 (選択する権利)
5. 意見を反映させる権利
6. 救済を受ける権利
7. 消費者教育を受ける権利
8. 健全な環境で暮らす権利


  • 5つの責任
1. 批判的意識を持つ責任
2. 行動する責任
3. 自分の消費行動が、社会に与える影響(とくに弱者に与える影響)を自覚する責任
4. 環境への配慮を自覚する責任
5. 消費者として団結し連帯する責任

消費者基本法編集

消費者基本法では、消費者の権利が定められている。

日本の戦後の高度経済成長の時代において、経済の発展にともない消費者問題も取り上げられるようになり、1968年(昭和43年)に消費者を保護するための 消費者保護基本法(しょうひしゃ ほご きほんほう) が施行(しこう)された。

2004年(平成16年)には改正され 消費者基本法(しょうひしゃ きほんほう) となった。消費者基本法では、消費者の権利、事業主の責任、政府(国や地方公共団体など)の責任などを規定している。

いろいろなマーク編集

町中など、暮らしの中で見かけることの多い、製品やサービスについてのマークを紹介し、説明する。

製品の安全に関するマーク編集

  • PSCマーク

「消費生活用製品安全法」の基準に合格した製品につけられる。いくつかの業界では、このマークがついていないと販売できない。

  • PSEマーク

安全性の確認された電気用品には、「電気用品安全法」に基づきPSEマークが付けられる。PSEマークには2種類あり、「特定特定電気用品」と、特定電気用品以外の電気用品がある。 「特定特定電気用品」の認定のマークと、特定電気用品以外の電気用品の認定のマークは、それぞれ、異なったマークである。

  • SGマーク

製品安全協会が安全と認定した製品につけられる。

  • STマーク

おもちゃの安全基準に合格した製品につけられている。日本玩具協会の安全基準に合格している。

  • SFマーク

花火などの安全基準に適合している製品につけられる。日本煙火協会の安全基準である。


(※ 範囲外: )各種の安全規格には、実際には、安全性に問題のある製品でも、規格のための認証に合格して規格合格のマークとともに販売されているものもある。たとえば参考文献『電子回路のコモンセンス』(CQ出版社、2009年7月1日発行、141ページ)で、そのような安全性の不足した製品でも安全規格に合格する場合があり実際にその製品が販売もされている事がリポートされている。この実態のように、安全規格の合格マークは、せいぜい、極端に危険でないことを証明しているにすぎないので、製品購入の際にはマークを信用しすぎない事が必要である。

規格に関するマーク編集

  • JISマーク