中学校技術/生物の生育環境と育成技術

中学校技術/生物の生育環境と育成技術では、生物を育てる際に必要なことについて学習します。

農地と原野の違い編集

農地は、決して自然そのままの環境では無い。農地とは、野山を人工的に切り開き、人間が農産物の生鮮に適する環境に置き換えている。だから、その農地の環境を維持するために、人間が手を加え続ける必要が生じる。

食べ物など農産物などは粗末にせず、大切に扱おう。われわれ人類は原野を切り開き、生態系に負担をかけてまで農産物を作っているのだから、食べ物など農産物を粗末にしないなど、農産物を大切に扱わなければならない。

除草編集

さて、農業では雑草を取らないといけないことが多い。 なぜなら、地中の栄養が雑草にも取られ、収穫量が減るからである。

冒頭に述べたように、そもそも田畑などの農地は、人間が数年もの長年をかけて、野生の土地を、農業生産に都合がいいように作り替えてきているのであった。だから農地も維持管理が必要であり、農地の維持管理を怠ると、雑草などの生えた元の自然の原野な土地に近づいてしまい、農地として回復するのに手間が掛かる。

品種改良編集

動物の品種改良編集

乳牛やブタといった家畜も、品種改良をしていった結果である、人間が野生動物を品種改良していった結果の生物種であり、野性のままではない。たとえば、ブタはイノシシを品種改良したものであるし、乳牛などのウシは、野性の牛の中からより多くの牛乳を出す牛を交配させ品種改良していったものである。 鶏卵を出す家畜用のニワトリは、卵の収穫量を増やす目的で排卵周期を短いものを選び出し交配させていった品種改良がされている種である。

(本書では、家畜に関しては、主に牛や豚や鶏など酪農に関わる家畜をあげる。観賞用の動物や、愛玩用の動物は扱わない。)

植物の品種改良編集

農産物の品種も、自然そのままの種ではなく、既存の植物から、農産物として優れた種どうしを交配させるなどして品種改良していった結果の品種である。


また、植物も動物も品種改良して言った結果、自然環境の中での生存能力が衰えていった種もある。人間にとっては害のある性質であっても、その動植物にとっては生存に必要な性質であった場合もある。 そのため、環境に対して、脆弱な品種が多い。


鳥獣による農作物被害編集

食料などの農産物は、人間だけにとって食料となるだけでなく、人間以外の鳥獣などにとっても食料となる。 だから、鳥獣による農産物の被害を防ぐため、人間が、なんらかの対策を施さなければならない。

農業で言う「害」のある動物とは、人間の農業生産者の立場から見た場合の、当面の「害」のことである。 主観的で人間中心主義な表現かもしれないが、現実問題として、人類は農業にたよる必要があり、だから農産物の収穫量を低下させる現象には対策を講じなければならない。

とくに日本は人口密度が高く、食料の自給率も低いことから、社会的に農産物の生産量を増やすことが奨励されるのが一般である。

肥料の必要性編集

農産物で、多くの収穫量を上げるためには、農産物に栄養が必要であり、したがって肥料を加える必要が増す。 農産物は、経営の都合で大量生産をすることが一般なので、土壌の栄養および植物の吸収した栄養が不足しがちであり、肥料が欠かせない。 肥料を与えれば、その肥料の栄養を目当てにした虫が増える場合があるかあら、虫による被害が増す場合があり、農薬の必要性が増す場合がある。

換気や清掃の必要性編集

動物の飼育の場合も、大量生産のため、屋内などの狭い環境に多くの動物を飼うことが多い。 そのため自然の浄化能力を超えて糞尿や老廃物が発生するので、雑菌が繁殖しやすく、不衛生な環境になりやすい。 だから畜舎の換気や清掃の労働を人間が行う必要がある。

季節編集

植物は光合成を行って、光と水と二酸化炭素から、デンプンという栄養物質を作っている。そのため、植物は光の強さや光をあびた時間の長さなどの光の環境によって、季節の時期を感じとる者が多く、これを利用して、植物に季節を誤解させ、旬の季節以外に農産物を生産する技術がある。

動物の肉はタンパク質が多いため、タンパク源として食用の動物は重要である。タンパク質は農産物にも含まれているが、必須アミノ酸をバランス良く含んではおらず、従ってアミノ酸スコアが小さい。

編集

植物は酸素を取り入れ、二酸化炭素にして吐き出す呼吸をしている。植物の根も呼吸をしており、酸素を消費するため、土にも通気性が必要である。

団粒構造編集

作物によって適した土壌は異なるが、多くの作物では団粒構造の土が農地に適している。

団粒構造とは、土の粒子が集まって小さな(かたまり)になり、その小さな塊が多くあつまった土壌である。塊どうしに隙間があるので通気と水はけ[1]が優れている上、塊の内部に水を蓄えるので水持ちも適度に備えている。

単粒構造編集

いっぽう、団粒構造でない、小さな粒だけの土を単粒(たんりゅう)構造という。単粒構造の土は、水はけが悪く、基本的に植物の生育には適さない。

田畑編集

米を生産する水田と、米以外を作る畑とでは、適した土壌が異なる。田は、「水」田というように保水性、水持ちも必要である。一般に田に適した土地は畑には向かないことが多い。同様に畑に適した土地は田に向かないことが多い。

良く水はけが土壌の良さと誤解されることがあるが、単なる誤解である。水はけとは土壌の透水性に過ぎない。良い土の透水性とは、作物に適した透水性を持つことである。場合によって、水はけを上げたほうがいい場合もあれば、水はけを下げたほうがいい場合もある。

肥料編集

生育に必要な養分として、リン(P)、窒素(N)、カリウム(K)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などがあり、これらを肥料として加えることが多い。このうち、特にリン、窒素、カリウムの養分が作物の栽培に多大に必要であるので、 「肥料の三大要素」 という。

化学肥料編集

化学的に合成した肥料で、たとえば化学肥料の塩化カリウムなどのように、分子構造が分解しやすいので、植物にすぐに吸収されやすい物が多い。

有機肥料編集

動物の糞尿や、植物のかすや油かすなどを肥料として利用したもの。微生物による分解に時間が掛かることが多く、化学肥料に比べ肥料の効果が出るのは遅れる。

連作障害編集

植物によって、消費する栄養の種類の傾向は異なる。同じ作物を毎年続けて栽培する連作をくりかえすと土壌が一部の栄養ばかり消費するため栄養不足になりやすい。また、土壌の微生物のバランスも、同じような環境が毎年続くと、微生物のバランスが偏るため、病害も発生しやすくなる。

このような連作による不都合な現象を連作障害という。連作障害を回避するため、多くの農地では、同じ作物を毎年作ることはせず、定期的に別の作物を栽培する輪作を行ったり、あるいは栽培をしない休耕(きゅうこう)などを施したりする。

生育温度編集

植物が育つのに適した温度がある。植物によって最適な温度は異なるが、およそ15°C から30°Cまでが生育に適していることが多い。これより温度が高いか、あるいは低い場合、生育が悪くなることが多い。この温度の範囲を最適温度、もしくは最適生育温度 (学校の指導に従ってください) などと呼ぶ。

夏物や春物の農産物を冬季などに栽培する場合は、暖房などを用いる場合がある。当然、暖房の費用は価格に上乗せされる[2]。それ故、消費者は季節にあった (旬の) 農作物を購入するのが望ましいとされる。

話を植物に戻すが、温度が低すぎると、植物は成長をやめる。また、温度が高過ぎても、水の蒸散などにより、生育に適さない。植物の生育が可能な温度はおよそ  5 °Cから40°Cの間と言われる。この温度を 生育温度 などという[3]

脚注編集

  1. ^ 土壌の透水性がよく水の通過による排出のしやすさのこと。
  2. ^ 旬の品物を買うことで費用を抑えることは中学校家庭でも紹介されている。
  3. ^ この単元の用語の使い方はあまり厳密ではなく、栽培に最適な温度の意味で「生育温度」という場合もある。