現在、日本の高等学校では公民科目の高等学校現代社会または高等学校政治経済・高等学校倫理が必修科目として学習指導要領により定められています。
現代社会と選択余地があるものの、必修科目であることは高等学校で倫理を学ぶことが強く薦められていることに他なりません。
なぜ、私たちは倫理を学ぶことを促されているのでしょうか。この学習指導要領には倫理の指導者、高校教諭にこのような目標を設定しています。
- 人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念に基づいて,青年期における自己形成と人間としての在り方生き方について理解と思索を深めさせるとともに,人格の形成に努める実践的意欲を高め,他者と共に生きる主体としての自己の確立を促し,良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。
生きるとは、どういうことなのだろうか。また、どう生きればよいのか。「私」や「他人」とは何であるのか。そして、どのような「私」になればいいのか。どのように「他人」と接すればよいのか。
このような疑問は青年期に差しかかった私たちが直面するであろう解決しがたい問題となります。その解決の糸口としてこの倫理が示されているのです。
このような疑問は、現代に生きる私たちだけに限ったことではなく、遠い昔の人たちも同じように経験したことであると思われます。その中でもこの疑問を解決することに一生の多くを割いたであろう先哲、過去の偉人たちが残した言葉は現代にも生きています。その言葉を頼りに私たちそれぞれの疑問を解決する糸口を探し出そう。これが学習指導要領の定める倫理なのです。
指導者に示された目標であると同時にこれは私たち一人一人にも投げかけられた目標でもあるのです。先哲の言葉、思想、作品に触れることで彼らの一生をかけた悩み、苦しみ、情熱などが垣間見えることでしょう。彼らの思いを道しるべにして、倫理の学習を始めてみませんか。