前項のベクトル・行列による表示をさらに一歩進めよう.
とおき,例 104 の解法をたどってみよう.このとき,
に留意すれば,次のように簡潔に記述することができる.まず 式 (5.1) は
と表すことができる.これをLaplace 変換すれば,
すなわち,
これを解けば,
この原像は,
となる.これは,
(5.8)
であるから式 (5.2) と一致する.
例 108 を同様に取り扱ってみよう.
とおけば,式 (5.3) は,
である.これを Laplace 変換すれば,
すなわち,
これを について解けば,
となる.いま、
とおけば,
を得る. は式 (5.8) で与えられているから,この結果は 式 (5.4) にほかならない[1].
このようにベクトル・行列表示を用いれば,連立微分方程式は,スカラの 1 階微分方程式と,形式的には全く同様に取り扱うことができる.
例111
例 109 を行列表示で解け.
解答例
にて, とおいて各式両辺をラプラス変換すると,
とおくと,
より,
とおくと,
いま,
とおけば,この原像は,
- [2]
- ^ 式 (5.7a) も参照せよ.
- ^
が に関係ない定ベクトルとすれば
すなわち であるから,