例65
これを証明せよ.
解答例
とおく.任意の関数 で,
…①
が成立するとき, として特定の形を①に代入して の満たすべき必要条件をあぶり出す.
のとき,
等の定数に対する微分は となるから,
…②
が必要.
のとき,
のとき .よって,
…③
②③より
…④
のとき,
のとき .よって,
…⑤
②④⑤より
…⑥
のとき,
のとき ,
のとき ,
…⑦
の場合から がすでにいえており、これと⑦から が必要.
以上から は任意の関数であるとき, が必要条件.
逆に のとき,
…⑧
⑧は が任意の の関数であってもその値は常に .
すなわち,
これにより十分性を示せた.
さらに微分作用素の和と差を,任意の微分可能な に対して,
と,また積を,
が成立することと定義する.これらの定義と前に述べた の定義と抵触しないことは明らかであろう.
このように微分作用素間の加減乗の 3 演算を定義すると,これらは多項式の加減乗の定義と一致するから,
これら 3 演算から導かれる多項式に関する公式は,そのまま微分作用素に対しても成立する[1].
例えば,
[補題 3.1]
を多項式とすると
が成立する.つまり微分作用素の積は交換可能である.
証明
とおく.まず,
を示す.
[2]
[3]
[4][5]
この結果を用いて,
[6]
[7]
[8]
よって,
が示された.
[補題 3.2]
が で割り切れるならば,
の解は,
の解となる.
証明
と書けるから, ならば,
[系]
ならば,
が成立する.ここに は定数である.
証明
補題(3.2)より,
これと重ねあわせの原理Ⅰより明らか[9].
例66
は の[10],また は の解[11]である.よって上記系より,
は の解である.
[補題 3.3]
(i)
(ii)
証明
(i)
より明らか[12].
(ii)
またこの結果を 2 度用いると,
[13]
一般に,
[14]
となるから,求める結果を得る[15].
[系]
ならば
[16]
例67
であるから,
[17]
一般に を高々 次の多項式とすると,
[補題 3.4]
(i) が の解となるための必要十分条件は, が を因数として持つことである.
(ii)
が の解であるための必要十分条件は が を因数として持つことである.ただし .
証明
十分性は 補題3.2 で示されている.(ii) の必要性だけ証明する.
(i) も (ii) も証明は同じであるから難しい方を示しておく[18].
とおき, を示せばよい.[19]
であるから[20],
[21]
[22]
これより,
が成立しなければならない[23]. であるから,
を得る[24][25].
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例65 は, である可能性はあっても, はありえないことをいっている.この事実よりこれがいえる.
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すなわち 式(3.9a)の微分作用素の定義式による.
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すなわち, による.
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すなわちこれは, による.
すなわちこれば, による.
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すなわち式(3.9a)の微分作用素の定義式による.
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式(3.9a)の微分作用素の定義式による.
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を変数分離法で解く.
,
.または解関数として .両辺を で積分して,
これは解 も含む表現である.(, また と置きなおしている.)
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を変数分離法で解く.
,
.または解関数として .両辺を で積分して,
これは解 も含む表現である.(, また と置きなおしている.)
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すなわち,
とおけば,
よって,.
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すなわち,
だから,
- ^
補題3.3より,
.
ならば
すなわち,
- ^
補題3.3 より
今, より,
- ^
(i) の必要性を証明する.
とあらわされるとき, ならば, であることを示す.
補題3.3)
.
今 のとき,
より
よって, だから
すなわち, であり, は を因数として持つことを示せた.
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証明の方針を整理する.
どのような多項式 も,予め定めておいた を含む二次式 で割れば,余りを許せば,
に書き換えることが可能である.係数 を調整すれば,
…①
の形にすることも当然可能である.
今,①の形のもとで,予めさだめておいた に対して を入力条件としたとき,これから を結論とできるか、を証明するべき問題とする.
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の解の一つが であることは例48 ですでに証明している.ただし他の形の解が存在するかどうかはここでは触れないでおく.
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補題3.3(ii)
による.
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三角関数の合成より, とすると,
この値が全ての で であるためには, かつ が必要.
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すなわち,
かつ
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より,
の形に表すことができ,すなわち, が を因数として持つことを示せた.