制御と振動の数学/第一類/Laplace 変換による解の吟味/t0≠0で初期値が与えられている場合

Laplace 変換を用いて微分方程式を解くとき,初期値は で与えられている必要があった. しかし,前節で述べた定常性の原理を用いると, で初期値が与えられている場合,すなわち,

(3.12)

の解法を与えることができる.

[定理 3.3]

式 (3.12) の解は,

(3.13)

の解を とするとき, で与えられる.


証明

式 (3.13) の解を とする. そうすれば,定常性の原理 Ⅱにより,

式 (3.12) を満足し,しかも,

となる[1]


例68

を解け.

を Laplace 変換すると

となる.この原像は,

[2]

ここで, を改めて とおくと[3]

となる.これが求める結果である.

一般的な解放も同様である.式 (3.13) を Laplace 変換すれば,

[4]

となる.ここに は高々 次の の多項式である.

の原像を求めるため,

とおけば,

(3.13b)

ここで とおくと,

[5]

を得る.

原像を求める際,(3.13b) で,

[6]

とおいても誤りではない.このとき, は,

となる.


例69

を直接示せ.

解答例


にて, とおいて, の変数変換を行う.
のとき,,また


例70

の解は,

または

となることを示せ.

解答例

例 69 と同じ推論で解く.

にて
とおき両辺をラプラス変換すると,



…①


①からの展開は二通りある,まず一つは,


とおいて, の積分変数変換を行う.
このとき のとき
すなわち,
これが解の表現の一つ.


もう一つは①から,
よって


例71

を解け.

解答例

直前の を使う. における初期値はすべて より過渡解



とおくと,




  1. ^ の解,すなわち であるならば, の解である.
  2. ^
  3. ^ したがって置き換える前の について, のとき,
  4. ^ は過渡解.
  5. ^ とおき直せばこれは
  6. ^ ,すなわち 例 19 を参照.