実用新案法第2条の4
実用新案法第2条の4
権利能力なき社団等の権利能力について規定する。
条文
編集第2条の4 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において次に掲げる手続をすることができる。
2 法人でない社団又は財団であつて、代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において審判の確定審決に対する再審を請求されることができる。
解説
編集権利能力なき社団・財団が代表者、管理人の名[1]においてする手続として、
が認められる(本条1項各号)。ここで、特許法の場合と異なり条文上審判の種類に限定が無いようにも思えるが、無審査登録制度への移行と訂正審判・訂正無効審判の廃止により対象外の審判がなくなったため問題ない。また、再審の請求にいずれの条文を根拠とするかの限定も無いが、43条1項の再審を請求するには確定審決により権利が害される必要があるところ、権利能力なき社団等は権利を害されることがないため43条1項の再審は請求できず、42条1項のものに限られると解される。
さらに、実用新案登録無効審判の確定審決に対する再審が請求されることもある(本条2項)。こちらについては、43条1項の再審が請求されることはある。
審判・再審を請求できるあるいは再審を請求されることから、該当する審判・再審の係属中に必要な審判手続をすることができる。また、審判・再審を請求できることから当事者参加(準特148条1項)も認められると解される。 条文上の規定は無いが判定(準特71条)を求めることも認められている[2]。
実用新案技術評価の請求を認めることとしたのは、出願審査の請求と同様、権利者となることはできないものの、実用新案技術評価請求を何人にも認めていること(12条1項)との均衡を図ったからである。
改正履歴
編集- 平成5年法律第26号 - 特許法の準用をやめ書き起こし、無審査登録制度への移行対応
- (平成6年法律第116号 - 外国語実用新案登録出願固有の理由に基づく無効審判廃止に伴い対象から除外)
平成5年の改正において読み替えの方式を採らなかったのは、無審査登録制度への移行と同時に登録異議の申立て(準特55条)が廃止され実用新案技術評価書制度が導入されたためとされるが[3]、読み替え方式[4]を採ったとしてもさほど理解が困難となるとも思えず必然性があったとは言い切れないとも考えることができよう[5]。
脚注
編集- ^ ここにいう代表者、管理人は権利能力なき社団等の活動機関のことをいうが、定款や寄付行為などで定められているのであれば代表者、管理人という名称でなくとも良い(特許庁編『産業財産権法(工業所有権法)逐条解説』〔第20版〕、発明推進協会、2017年、p. 25)。
- ^ 審判便覧58-01
- ^ 特許庁編『産業財産権法(工業所有権法)逐条解説』〔第20版〕、発明推進協会、2017年、p. 875
- ^ 「同法第6条第1項第1号中「出願審査」とあるのは「第12条第1項に規定する実用新案技術評価」と、」のような規定が想定される。
- ^ 確かに、厳密には1項2号以降も読み替える必要があるが、意68条2項と対照すれば分かるようにこれらの規定に読替規定を置く必然性は無い。
関連条文
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