法学民事法コンメンタール民事訴訟法

条文 編集

(言渡しの方式)

第252条
判決の言渡しは、判決書原本に基づいてする。

解説 編集

  旧法第189条は判決原本とある。『・・・原本』と『・・・の原本』では意味が異なる。原本とは『確定したものとして最初に作成した・・・』であるが、前者は『・・・』が一つしかない場合は『・・・そのもの』と強調を意味する。後者は、通常は『複写して・・・を作成した被写物』である。判決書は、裁判官の頭の中に存在する判決の内容を裁判官又は裁判所書記官が文書にして正本とし、正本は効力をコピーできないから、裁判官がこの正本は自分の頭の中の判決と文書構造を含めて完全に一致すると認めて記名押印することにより効力を与えたものである。従って、『判決書』は『判決の正本』であり、『判決書の原本』は『裁判官の頭の中にある判決』である。この『判決』が『判決原本』である。謄本は効力をコピーできるが、判決原本は目に見える文書の形態を持たないから謄本は作成できない。謄本とは、文字のフォントタイプ、大きさ、文字間隔、記号等の全てが原本と同じである完全コピーをいう。原本の内容が完全コピーされると原本が持つ効力もコピーされるのである。例えば、偽札も、人間の目でも機械でも違いを見出せない完全コピーなら真札として通用する。従って、謄本とは『謄写した原本』、即ち、原本の複製であり、原本が効力を持てば効力も複製される。一方、正本は『正しい原本』、即ち、「原本の内容はこの通り」と言う証明に過ぎず原本の効力は持たない。改正新法は至る所で謄本と正本、判決と判決書の意味を混乱している。旧法に帰るべきである。決定、命令についても同様である。

参照条文 編集


前条:
第251条
(言渡期日)
民事訴訟法
第2編 第一審の訴訟手続
第5章 判決
次条:
第253条
(判決書)


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