条文 編集

準正

第789条
  1. 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
  2. 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
  3. 前二項の規定は、子が既に死亡していた場合について準用する。

解説 編集

準正の規定である。婚外子の保護のための規定と理解され、婚外子の親達の婚姻を促す狙いもあるとされる。戦後の民法改正においても、明治民法第836条と同趣旨の規定が受け継がれている。
ローマ法の Matrimonium subsequens legitimos facit. (事後の婚姻は準正する)に由来する。
第1項を婚姻準正、第2項を認知準正と呼ぶ。準正の効力発生時は、いずれも婚姻時であり、第2項の場合は、婚姻時に遡及すると考えるのが通説である。これは、認知の効力は、出生の時に遡及するから(784条)、準正の要件が具備されるのは婚姻の時であること、準正制度の趣旨が父母の婚姻によって嫡出でない子をなるべく嫡出化しようとする点にあることを理由としている。これに対し、第2項の場合は文言を重視して、認知の時から効力が発生するとする見解もある。
2項は、婚姻成立後に父のほか母の認知も必要とするようにも読めるが、法律上の母子関係は、分娩の事実によって当然に生ずると解されることから(最判昭37.4.27)、父の認知のみで足りるとされる。
第3項は、死んだ子に直系卑属があり、その子について代襲相続権の発生が問題となる場合に意味を持つ規定である。
比較法的には裁判準正と呼ばれる制度もあるが、日本の民法上は規定が存在しない。

参照条文 編集

参考文献 編集

  • 『民法(5)親族・相続(第3版)』有斐閣新書(1989年、有斐閣)105頁-116頁(川田昇執筆部分)
  • 泉久雄『親族法』(1997年、有斐閣)204頁-220頁

参考 編集

明治民法において、本条には夫婦の同居義務に関する以下の規定があった。趣旨は、明治民法第790条と合わせて民法第752条に継承された。

  1. 妻ハ夫ト同居スル義務ヲ負フ
  2. 夫ハ妻ヲシテ同居ヲ為サシムルコトヲ要ス

前条:
民法第788条
(認知後の子の監護に関する事項の定め等)
民法
第4編 親族

第3章 親子

第1節 実子
次条:
民法第790条
(子の氏)


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