「量子力学」の版間の差分

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となり、これはデュロン=プティの法則に一致する。つまり、エネルギーの量子化という手順を踏むことで低温領域の温度依存性を再現しつつ、常温ではデュロン=プティの法則に漸近するような分布を得られたことになる。
 
 
==シュレーディンガー方程式の導入==
== 不確定性原理 ==
古典物理の範囲でも、波の理論では、波長と位置とは、一つの波では、同時には決められない。なぜなら、パルス波のような境界のハッキリした波は、位置がハッキリしているが、このパルス波のようなギザギザした波形を、正弦波などの三角関数的な滑らかな波の重ねあわせで作るには、多くの種類の三角関数の重ねあわせが必要である。「うなり」を考えれば分かるだろう。波長の種類が多いほど、特定の一波長で代表させる事ができず、波長は不確定になる。
 
この事は、数学の「フーリエ変換」という理論によって、量子力学を使わないでも、近代数学や古典物理の範囲内でも厳密に計算で証明できる。
 
そして量子力学では、運動量によって波長が決まる。
 
これまでの理論を組み合わせると、たとえば音波の「うなり」で時間と周波数が両立できないのと同様に、なんらかの横波の合成波でも位置と波長は同時に決められない事がわかる。つまり、「うなり」では、時間と周波数のあいだに不確定性がある。横波の合成波では、位置と波長のあいだに不確定性がある。
 
そして、量子力学的に重要な結論として、同様に量子力学でも位置と運動量が同時に決められない。よって、量子力学では、位置と運動量のあいだに不確定性がある。
 
そして、我々の住むこの世界の物質を構成する原子や電子などの物質が量子力学の法則にしたがう事から、つまり、この世界では、位置と運動量を同時に厳密には測定できないという制約がある、というのが定説である。
 
位置を正確に測定しようとすると、どんな測定方法でも、運動量の誤差が大きくなってしまう。同様に、運動量を正確に測定しようとすると、どんな測定方法でも、位置の誤差が大きくなってしまう。このような、位置と運動量の不確定性がある。
 
測定における「誤差」(ごさ)という用語を使うなら、位置 x の誤差 |Δx| と、運動量 p の誤差 |Δp| を、同時には小さくできない、という事である。
 
古典力学において、そのような不確定が観測されないのは、単に、不確定性によって大きくなる誤差の大きさが、日常的な物理量の大きさとくらべたら、とても小さい値なので、観測者が気が付かないだけである、というのが定説である。
 
式であらわせば、
: <math>|\Delta x| |\Delta p| \ge \frac{\hbar}{2}</math>
の程度である。
ここで、
:<math> \hbar = \frac{\h }{2 \pi} </math>
の関係である。<math>\hbar</math> は「エイチ・バー」と読む。
h はプランク定数である。プランク定数の値は
:<math>h =6.626\, 070\, 040(81)\times 10^{-34}\, \mathrm{J\, s}</math>
である
 
さて、この記事(wikibooks『量子力学』)では今後、位置と運動量が同時に定められないことを前提として認めてしまい、ある物理的状態を表わすために必要な物理量がどんなものであるかを考える。
 
 
 
== シュレーディンガー方程式の導入 ==
 
ここからはある物理的な定数を持つことが量子力学的にどのような
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このことについては[[解析力学]]のネーターの定理が詳しいので、詳細を知りたければ参照せよ。とりあえず量子力学においては、運動量はけっして単なる観念上の量ではなく、物質波の波長に関わる実在的な量である、という事が重要である。
 
古典物理の範囲でも、波の理論では、波長と位置とは、一つの波では、同時には決められない。なぜなら、パルス波のような境界のハッキリした波は、位置がハッキリしているが、このパルス波のようなギザギザした波形を、正弦波などの三角関数的な滑らかな波の重ねあわせで作るには、多くの種類の三角関数の重ねあわせが必要である。「うなり」を考えれば分かるだろう。波長の種類が多いほど、特定の一波長で代表させる事ができず、波長は不確定になる。
 
この事は、数学の「フーリエ変換」という理論によって、量子力学を使わないでも、厳密に計算で証明できる。
 
そして量子力学では、運動量によって波長が決まる。だから結局、「うなり」で位置と波長が同時に決められないのと同様に、量子力学でも位置と運動量が同時に決められない。
 
この記事では、位置と運動量が同時に定められないことを認めて、ある物理的状態を表わすために必要な物理量がどんなものであるかを考える。
ここではその様な量として各々の状態の持つエネルギーを取る。
 
ここで、[[解析力学]]の知識を援用して、ある物体の持つエネルギーEが古典的にハミルトニアンHという量で表わされることを用いる。