「高等学校政治経済/権利と義務」の版間の差分

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民事裁判において、裁判官はどのような考えにもとづいて判決を出さなければならないかは、民法などの法律に書いてある。(中学公民および高校「現代社会」「政治経済」の範囲内。)
公共の福祉の例の一覧表
51 行
民法では、個人と個人どうしの契約についての法が、定められている。
 
== 範囲外 ==
=== 中学の復習: 国家権力による、個人の権利の制限 ===
{| class="wikitable" style="float:right"
|+ 「公共の福祉」により、人権が制限される例
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! 人権 !! 制限の内容 !! 根拠法令
|-
! rowspan="2"|表現の自由
| * 他人の名誉を傷つける行為の禁止 || 刑法
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| * 不当な選挙運動の禁止 || 公職選挙法
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!  集会・結社の自由 
| * デモの規制 || 公安条例
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! rowspan="3"|居住・移転の自由
| * 感染症による入院・隔離の措置 || 感染症法・医療法
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| * 親の指示による子の居住地指定 || 民法
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| * 破産者の居住制限 || 破産法
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! rowspan="2"|財産権 
| * 道路・空港などのために保証金を払ったうえで<br /> 土地を収用 || 土地収用法
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| * 不備な建築の禁止 || 建築基準法
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!  労働基本権 
| * 公務員のストライキの禁止<br /> || 国家公務員法、<br />地方公務員法
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! rowspan="2"|営業の自由 
| * 医師などの国家資格職において<br /> 無資格者による営業の禁止 || 医師法など
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| * 企業の価格協定(カルテル)などの禁止 || 独占禁止法
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|}
 
(※ 政治経済の検定教科書にも、右表のような「公共の福祉」の一覧表があり、高校「政治経済」の範囲内です。)
 
:国民どうしの人権の衝突を防ぐ場合のみに義務が与えられることで、権利が制限される、・・・
という事は、裏を返せば、他者の権利を守るためなら、権利は制限されるという事である。
 
いわゆる「命の利」のような基本的人権を除けば、もはや他の権利は、あまり基本的ではなく、特別な理由があれば、制限されるのである。
 
中学校で習ったように、・・・
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などのように、自由権が制限される場合もある。
 
他にも、犯罪を犯して逮捕されて拘束された者に対しては、拘束を禁じるという意味での「身体の自由」なんて、当然、ありえない。
 
一般に日本の法律などでは、(日本国憲法の定める)「'''公共の福祉'''」などの概念によって、最小限の権利制限であるならば、「権利」というものは制限可能である、・・・と考えられている。
 
「公共の福祉」とは、自分の人権と、他人の人権がぶつかったときに、それを調整・解決するための原理である。
 
さらに、「生命の権利」そのものですら、日本国憲法では、
:「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」(第31条)
という言い方をされている。つまり、刑事裁判で死刑判決が出るなどのように、法律の定める手続きに則れば、生命が奪われる場合すらも、ありうる、・・・という事でもある。
 
さて、他にも、「公共の福祉」ではないが、犯罪を犯して逮捕されて拘束された者に対しては、拘束を禁じるという意味での「身体の自由」なんて、当然、ありえない。このように、権利は、場合によっては制限される
一般に日本の法律などでは、(日本国憲法の定める)「公共の福祉」などの概念によって、最小限の権利制限であるならば、「権利」というものは制限可能である、・・・と考えられている。
 
なお、「表現の自由」について、侮辱・脅迫・犯罪指示などを目的とした言動の場合、その言動をした人物は取り締まりを受ける場合もある。日本国憲法には、表現の自由について、侮辱・脅迫・犯罪指示などについての例外規定はないが、事実として、侮辱や脅迫や犯罪指示などを、「表現の自由」の名目で正当化することはできないように、取り締まりをされている。
 
だからといって、「他人の権利を守るため」などの名目で、なんでもかんでも言動を禁止していいわけではない。高校科目の「日本史」「世界史」などで第二次世界大戦前・大戦中の治安維持法について説明したりするのは、そういう失敗(第二次大戦期において、戦前、「治安の維持」などを名目に、政府に批判的なだけの言動が取り締まられるようになった。)を繰り返さないようにするため、・・・という教育的な意図だろう。