「中学校社会 公民/金融のしくみ」の版間の差分

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担保(たんぽ)
銀行の貸し出しの利益の計算例(単純計算)。ついでに色糸と加筆。
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そもそも銀行(英:bank)は、どうやってお金をかせいでいるのでしょうか?
 
銀行は、企業などにお金を貸して'''利子'''(りし)と元金(もときん)を返してもらうことで収入を得ています。
お金を貸した際の利息によって収入を得ているのです。預金者が預けたお金の一部が、企業に貸し出されます。
 
貸すときの利息は、預金の利息よりも高いので、このしくみで、銀行は利益をかせげるのです。(くわしくは、後述の、銀行の仕事についての節で説明します。)
 
 
== 金融とは ==
銀行のように、お金の貸し借りをする業務を、<big>'''金融'''</big>(きんゆう、英:finance ファイナンス)といいます。お金の融通(ゆうづう)をする、という意味です。銀行以外にも証券会社や保険会社の業務も金融になります。
 
そして金融を業務に行っている会社を金融機関(きんゆう きかん、英:financial institution ファイナンシャル・インスティチューション)と言います。銀行や証券会社や保険会社は金融機関となります。
:※ 範囲外: 銀行や証券会社などは、カネを必要としている人に、カネを貸すなどして、カネを融通(ゆうづう)する業界なので、「金融」というわけです。
 
:※ 保険の場合も、事故や病気などで大金が必要になった人のために、加入者どうしで積み立てておいてカネを融通しあうわけですから、そういう意味では「金融」でしょう。
 
 
そして金融を業務に行っている会社を金融機関(きんゆう きかん、英:financial institution ファイナンシャル・インスティチューション)と言います。銀行や証券会社や保険会社は金融機関となります。
 
=== 銀行の仕事 ===
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銀行は、企業などにお金を貸して'''利子'''(りし、英:interest インタレスト)と元金(もときん、がんきん 、英:principal)を返してもらうことで収入を得ています。借り手はお金を返す必要がありますが、さらに'''利子'''(りし)を借り手は銀行に払わなければなりません。そもそも'''利子'''(りし)によって、銀行は収入を得ているからです。
預金者が銀行に預けたお金の一部は、お金を借りたい企業や個人などに貸し出されています。銀行からすれば、貸し出すお金が高いほど、リスクも大きいので、一般に貸し出す金額に 利子率(りしりつ、英:interest rate インタレスト・レイト) を掛けた金額が利子になります。
 
預金者が銀行に預けたお金の一部は、お金を借りたい企業や個人などに貸し出されています。
貸すときの利子率は、預金の利息率よりも高いので、銀行は利益をかせげます。銀行の利子収入と預金者への利息支出との差額が、銀行の利潤になります。なお、銀行が個人にお金を貸す例は、たとえば住宅ローンなどです。
 
銀行が貸すときの利子率は、預金の利息率よりも高いので、銀行は利益をかせげます。銀行の利子収入と預金者への利息支出との差額が、銀行の利潤になります。なお、銀行が個人にお金を貸す例は、たとえば住宅ローンなどです。
 
{{コラム|※ 範囲外: 銀行がもうける仕組みの計算例|
たとえば、ある銀行にあずけた預金につく利子が1年あたり0.001%だとします。その銀行が企業に貸し出す時の利息が、例として、1年あたり2.000%の利息で貸し出しをしたりするわけです。
 
すると銀行の貸し出しによる利益は、単純計算で、さしひき、1年あたり1.999%(=2.000ー0.001)の利益があります。(実際の数字ではなく、原理の説明のためのイメージですので、数字を覚える必要はありません。)
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預金者が銀行に預けたお金の一部は、お金を借りたい企業や個人などに貸し出されています。銀行からすれば、貸し出すお金が高いほど、リスクも大きいので、一般に貸し出す金額に 利子率(りしりつ、英:interest rate インタレスト・レイト) を掛けた金額が利子になります。
 
なお、銀行は、企業にだけカネを貸すのではありません。個人にも、銀行はカネを貸します。銀行が個人にお金を貸す例は、たとえば住宅ローンなどです。
 
必ずしも、お金を借りたい企業や個人が、返せるという保証は無いので、銀行は、その人や会社が本当に金をかえせるだけの能力があるかどうか、審査(しんさ)をします。会社が借りようとするする場合は、会社の事業計画や過去の実績や売り上げなどが審査されます。個人が借りようとする場合も、借りようとするお金の利用法や、その人の所得などを参考に審査をします。
 
 
銀行では、預けたお金の全てが貸しだされるわけではありません。預金をおろす利用者のために、お金のいくらかは、貸しださずに残しています。(※ 範囲外: なお、これを「預金準備」とか「準備預金」などと言います。)
 
 
{{コラム|※ 範囲外: 銀行の預金準備|
:※ ( 高校の範囲): 預金者の引出しのために、銀行が貸し出さずに残して置いた金銭のことを「預金準備」とか「準備預金」などと言います。日本の法律では、銀行は預金準備のために、預金に対して一定の割合で、貸し出さずに残しておく事が、義務づけられています。(そのような一定割合を、預金準備率という。)
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預金者から見れば、預金者の預けたお金が銀行を通して間接的に企業などに貸し出されているので、銀行のように預金者と貸し手の異なる金融の仕組みを '''間接金融'''(かんせつ きんゆう、英:indirect finance) と言います。
これに対して、株取引などの証券取引などは、購入者が直接、出資者や貸し手になっているので、証券取引などの金融を '''直接金融'''(ちょくせつ きんゆう、英:direct finance) と言います。
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銀行とは別に、貸金業(かしきんぎょう)には、消費者金融(しょうひしゃ きんゆう)のように預金業務を行わずに、お金を貸すことで利息を得ている会社もあります。ですが中高生には消費者金融の利用の機会は無いので、この節では、銀行などの預金業を行っている金融機関のしくみについて説明します。なお、消費者金融は、銀行からお金をかりて、元手の資金を調達していることが多いです。
 
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;<big>為替</big>(かわせ)
銀行の仕事の、もうひとつは、いわゆる「振り込み」(ふりこみ、英:transfer )などの、銀行口座を用いた送金の仕事です。口座取引のたびに、けっして 直接 お金を送るのではなく、振込額を引き落とした口座から振込額の分だけ口座の預金額を引き落として、相手の振込先の口座のある銀行が振り込まれた分の金額だけ口座の預金額を増やします。
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一般の人から預金をするのは、銀行の他にも、信用金庫も、預金業務をします。また、郵便局でも、郵便貯金(ゆうびんちょきん)として、預金業務をしています。信用金庫が預金から利益をえる手法は、銀行と同様で、企業にお金を貸して利息収入で、信用金庫は利益を得ます。
 
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=== 日本銀行 ===
[[ファイル:Bank of Japan 2010.jpg|thumb|250px|thumb|日本銀行 本店。東京都 中央区 日本橋 本石町にある。設計は辰野金吾。1896年 竣工]]
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それは、日本の国が運営している<big>'''日本銀行'''</big>(にほん ぎんこう)という銀行です。略して日銀(にちぎん)と言われる場合もあります。
 
* 日本銀行は、一般の銀行を相手に、お金の貸し借りをしています。('''銀行の銀行''')<br>
::日本銀行は、個人や会社には、お金を貸しません。
 
[[ファイル:Series E 10K Yen Bank of Japan note - front.jpg|thumb|left|240px|日本銀行券。壱万円券。]]
* また、日本の紙幣(日本銀行券)を発行しているのは、日本銀行のみです。( '''発券銀行'''(はっけん ぎんこう) )
 
* 日本銀行は、政府にもお金を貸します。('''政府の銀行''')
 
 
*::日本銀行に口座を持てるの銀行と政府にもお金を貸しまのみです。('''政府の銀行''')
 
日本銀行に口座を持てるのは銀行と政府のみです。
 
日本銀行が、貸し借りをする目的は、お金の価値の安定のためや、物価の安定のためなどです。
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*資金調達
会社の資金調達の方法は、なにも株式の発行により出資者をつのるだけには限りません。銀行から金を借りるという 借り入れ(かりいれ 、英:borrowing) の方法もあるし、社債(しゃさい、英: corporate bond)と言って社債の出資者から金を借りる債権を発行する方法もあります。
上場したばかりの企業をのぞけば、会社の資金調達は、むしろ銀行から借りるのが一般でしょう。