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限界消費性向と消費関数
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いっぽう同じ1970年代の日本では、あまりCPIとGDPデフレーターは乖離しなかった。
 
 
== 「金持ちはケチ」は本当か?(限界消費性向のお話) ==
よく、「金持ちはケチ」だと、言われることがある。
 
たとえば、「金持ちは金を貯めてケチで金を使わないから、だから金持ちに課税して、金を市場に流させろ」とか。
 
だが、実は、あまりそうとは言い切れない統計的事実がある。
 
 
まず、所得が増えたときに、消費支出がどれだけ増えるかのパラメーターのことを限界消費性向(MPC、marginal prpensity to consume)という。
 
一般に経済学では「限界〇〇」とは、何か(金額など)の投入を1単位ぶん増やしたときに、増える出力の割合のことを「限界〇〇」という。
 
 
そして、この限界消費性向を実際にアメリカで測定したところ、よほどの大富豪でないかぎり、限界消費性向の実測値は0.8~0.9で、所得の大小にかかわらず、よく一致することが分かった。
 
つまり、縦軸に消費額をとり、横軸に所得(可処分所得)をとると、傾き0.8~0.9の直線になる。(『スティグリッツ入門経済学 第4版』、薮下史郎ほか訳、東洋経済、2012念4月5日 発行、)(クルーグマン『マクロ経済学』、大山道弘ほか訳、東洋経済、2009年4月2日発行、315ページ)
 
 
限界消費性向が0.8という事は、単純計算すると、所得が2倍になったら、消費支出はおよそ1.6倍(=0.8×2)になるという事である。
 
もちろん、正比例ではないので(つまり、所得が2倍になっても支出が2倍にならないので)、そういう意味では「金持ちはケチ」かもしれない。
 
 
また、クルーグマンは限界消費性向は0.597程度であると主張している。(『クルーグマン マクロ経済学』、大山道弘ほか訳、2009年4月2日発行、)
 
 
学者によって限界消費性向の数値が分かれているが、しかしスティグリッツにせよクルーグマンにせよ、どちらにせよ、限界消費性向の数値の大きさは、決して無視できない正の値をとっている。
 
 
また、各国の消費動向の分析の結果、所得にかかわらず一定額の消費をする。(たとえば、食費など、誰でも消費が必要である。)
 
この、所得によらずにする消費のことを独立消費(antonomous consumption)という。
 
このような事実から、消費関数 consumption function は、次のような式であらわされる。
 
:c = a + MPC × Yd
 
ただし
:c: 消費
:a: 独立消費水準
:MPC: 限界消費性向
:Yd : 可処分所得
である。
 
 
 
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